【BL/R18】元勇者の幼馴染は故郷の村に想い人がいるらしい【異世界転生描写有り】

テルマ江

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幼馴染のアプローチ(ルイス視点)

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 ローテーブルにはキレイな硝子製のコップが並べられ、燭台に載せた蝋燭が灯っている。暖炉は小さな火が燻っており、部屋全体が落ち着いた明るさになっていた。

(夜にハルの家に来るのは久しぶりな気がするな)

 ルイスがソファに腰掛けると、酒瓶と盆を持ったハルがやって来た。

「お待たせ」

 そう言うとさかなや水差しの載った盆と酒瓶をローテーブルに置き、ルイスの隣に座った。

「僕も酒のさかなを持って来たんだ」

 包みに入れていた干し肉を取り出してローテーブルに並べた。

「気を使わなくて良いのに」
「このくらいはさせてよ。僕もハルと飲むの久しぶりだし、楽しみにしていたんだ」

 そう言うとハルは「じゃあありがたく頂くよ」と嬉しそうに目を細めた。

「この果実酒は味が濃いから、水割りが丁度良いんだ」

 硝子コップに赤い果実酒を入れてから水差しで水を注いだ。

「はい、ルイスの分」
「ありがとう。このコップすごくキレイだね」

 硝子コップを受け取ってまじまじと見つめた。立体感のある細工がぐるりとコップに施され、薄い赤色になった果実酒の水割りがキラキラと輝いている。

「こんなキレイなコップで飲むと更に美味しく感じそう」
「ルイスと酒を飲む時用に良いなと思って買った」
「そ、そう……王都で買ったの?」
「うん、商人ギルドに寄った時にな」

 ハルは自分の分の酒を作りながら何でもない風に言った。

(僕用に買ったってこと? 嬉しいけどそういうのは想い人にやるべきだろ……)

 ルイスがハルを大事な幼馴染だと思っているように、ハルもルイスを大事に思ってくれている――それはとても嬉しいことだったが、ルイスの存在がハルの恋愛の邪魔になっていないか心配になっていた。

「ルイス、乾杯しよう」

 ハルは自分の硝子コップを持ち上げてそう言ったのでルイスも同じようにしてお互いの硝子コップをカツンと軽くぶつけた。


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