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ダミーとダミー偵察班
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Sランク冒険者ダミーは、Aランク冒険者の魔法使いクックと同じくAランク冒険者で剣士のマスカルドとパーティを組んでいた。
3人とも生まれた場所は異なるが、貧しい村の出身であった。
職業とスキルに恵まれ、英雄になることを夢見て、辺境の冒険者ギルドを目指した。
その冒険者ギルドで最低ランクの時に知り合ってから、ずっとパーティを組んでいる。
今では押しも押されぬ、Sランクパーティーだ。
ある日、全く面識のない国境近くの小さな町の領主から、ダミー宛の指名依頼がギルドに届いた。
依頼内容は極秘とのことで、個室に通され、封蝋が刻印された封筒を渡された。
「通例ですと、ギルドで依頼内容を精査させていただいてから依頼内容をお伝えするのですが、領主様の封蝋が刻印されているため、宛名にあるダミー様しか開封することができません。中をご覧になって、ギルドの介入が必要でございましたら、お声がけください。」
そう言って、ギルドマスターの秘書が出て行った。
もっともらしい理由を述べていたが、れっきとしたギルド規定違反である。
秘書はベルクから多額の賄賂を受け取っていた。
この頃のダミー達は王都で暮らしており、依頼の領地へは、ワイバーンに乗っても1週間はかかる。
ダミーは依頼内容の書かれた手紙を投げ捨て、
「けっ!そんな遠くにはした金で行けるか。依頼を受けて欲しけりゃ、王都に城が建てられるくらいの金を用意しろってんだ。」
と言った。
いつもの3人であれば、手紙を踏みつけて、ギルドを後にしていただろう。
ふとマスカルが手紙に目を留めた。
「おいダミー。これのどこがはした金だ?」
「金貨10枚とか、安すぎんだろ。」
「本当にお前は馬鹿だな。よく見ろ。金貨じゃない。白金貨だ。」
この世界の貨幣は
銅貨1枚:10円
鉄貨1枚:100円
小銀貨1枚:1,000円
銀貨1枚:10,000円
小金貨1枚:100,000円
金貨1枚:1,000,000円
白金貨1枚:10,000,000円
虹貨1枚:100,000,000円
白金貨10枚は、日本円にすると1億円。
日本でも1億は大金ではあるが、物価の安いこの世界での1億円は、とんでもない金額だ。
殺害を依頼された男のパーティーは、ダミー達より遥かに強かった。
特に目的の男の強さは、この世の者とは思えなかった。
可愛いSランクの召喚獣達が、すべてあっけなく殺されてしまった。
まったく歯が立たなかった。
そしてダミーは禁忌を侵し、自分の魂を悪魔に差し出し契約をした。
悪魔はダミーが魂を差し出すのは、ダミーの寿命がつきてからで良いと囁いた。
その代わり、ダミーの契約者として、この世に留まることを要求した。
ダミーは死ぬまで生きられるなら、死んだ後はどうでもいいと考えた。
悪魔と契約しても、何も変わらない。
魂を差し出すということの意味を、悪魔がこの世に留まるということの意味を、深く考えることはなかった。
この世に留まることができるようになった低級悪魔は、ダミーと同じような考えの人間と次々と契約し、その魂を喰らって力を蓄えていった。
「いい儲け話だったな。」
「また依頼してくるといいな。」
大金を手にした3人は、依頼から1年経った今でも、酒池肉林に溺れていた。
ダミーにたどり着いた偵察班は、ダミーの側に悪魔がいないことを確認すると、ダミー偵察班と悪魔探索班に分かれて、行動を開始するのであった。
----------------------------------------------
酒池肉林:お酒やお肉やその他のお料理がいっぱいある、贅沢な酒宴のことです。この3人に、女っ気はありません。
3人とも生まれた場所は異なるが、貧しい村の出身であった。
職業とスキルに恵まれ、英雄になることを夢見て、辺境の冒険者ギルドを目指した。
その冒険者ギルドで最低ランクの時に知り合ってから、ずっとパーティを組んでいる。
今では押しも押されぬ、Sランクパーティーだ。
ある日、全く面識のない国境近くの小さな町の領主から、ダミー宛の指名依頼がギルドに届いた。
依頼内容は極秘とのことで、個室に通され、封蝋が刻印された封筒を渡された。
「通例ですと、ギルドで依頼内容を精査させていただいてから依頼内容をお伝えするのですが、領主様の封蝋が刻印されているため、宛名にあるダミー様しか開封することができません。中をご覧になって、ギルドの介入が必要でございましたら、お声がけください。」
そう言って、ギルドマスターの秘書が出て行った。
もっともらしい理由を述べていたが、れっきとしたギルド規定違反である。
秘書はベルクから多額の賄賂を受け取っていた。
この頃のダミー達は王都で暮らしており、依頼の領地へは、ワイバーンに乗っても1週間はかかる。
ダミーは依頼内容の書かれた手紙を投げ捨て、
「けっ!そんな遠くにはした金で行けるか。依頼を受けて欲しけりゃ、王都に城が建てられるくらいの金を用意しろってんだ。」
と言った。
いつもの3人であれば、手紙を踏みつけて、ギルドを後にしていただろう。
ふとマスカルが手紙に目を留めた。
「おいダミー。これのどこがはした金だ?」
「金貨10枚とか、安すぎんだろ。」
「本当にお前は馬鹿だな。よく見ろ。金貨じゃない。白金貨だ。」
この世界の貨幣は
銅貨1枚:10円
鉄貨1枚:100円
小銀貨1枚:1,000円
銀貨1枚:10,000円
小金貨1枚:100,000円
金貨1枚:1,000,000円
白金貨1枚:10,000,000円
虹貨1枚:100,000,000円
白金貨10枚は、日本円にすると1億円。
日本でも1億は大金ではあるが、物価の安いこの世界での1億円は、とんでもない金額だ。
殺害を依頼された男のパーティーは、ダミー達より遥かに強かった。
特に目的の男の強さは、この世の者とは思えなかった。
可愛いSランクの召喚獣達が、すべてあっけなく殺されてしまった。
まったく歯が立たなかった。
そしてダミーは禁忌を侵し、自分の魂を悪魔に差し出し契約をした。
悪魔はダミーが魂を差し出すのは、ダミーの寿命がつきてからで良いと囁いた。
その代わり、ダミーの契約者として、この世に留まることを要求した。
ダミーは死ぬまで生きられるなら、死んだ後はどうでもいいと考えた。
悪魔と契約しても、何も変わらない。
魂を差し出すということの意味を、悪魔がこの世に留まるということの意味を、深く考えることはなかった。
この世に留まることができるようになった低級悪魔は、ダミーと同じような考えの人間と次々と契約し、その魂を喰らって力を蓄えていった。
「いい儲け話だったな。」
「また依頼してくるといいな。」
大金を手にした3人は、依頼から1年経った今でも、酒池肉林に溺れていた。
ダミーにたどり着いた偵察班は、ダミーの側に悪魔がいないことを確認すると、ダミー偵察班と悪魔探索班に分かれて、行動を開始するのであった。
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酒池肉林:お酒やお肉やその他のお料理がいっぱいある、贅沢な酒宴のことです。この3人に、女っ気はありません。
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