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王都囁き班 1
しおりを挟むラングドシャが大のお気に入りになり、勇者様の娘の賢者様の力になれると、王都囁き班の妖精達は張り切っていた。
囁き班の中の黒い妖精達の魔法で、影の中を移動して、あっと言う間にクシールの町から、エターリアナ王国の王都に到着した。
囁き班の任務は、いたずら好きの妖精の得意とするところで、ジョルクの家にいた妖精の中では希望者が一番多かった。
その妖精達から話を聞いたクラークスが大好きな妖精達が、我も我もと参戦し、ちょっと吃驚する数の妖精が王都に入った。
妖精達は3~4人でチームを組んで、王都中に散らばった。
『ウルグス・ダンバルド子爵が国に治めるお金を横領して、国外逃亡を企てている』
『Sランク冒険者のダミーが、ダンバルド子爵家から破格の金額で、裏の仕事を引き受けている』
それに加えて、ダンバルド子爵家の人間の悪行の数々を、ほんの少しのウソを混ぜながら、妖精たちは王都の市場で、酒場で、宿屋で、囁き続けた。
それはもう、楽しそうに。
大好きな、大切な勇者様を殺したやつら。
大好きな勇者様の、大切な聖者様を狙うやつら。
大好きな勇者様の力を宿した、可愛い賢者様を殺そうとするやつら。
絶対に許さないんだよ~、と朝も昼も夜も夜中も、囁き続けた。
噂はあっという間に王都に広がり、王宮で働く多くの官吏にも届いていた。
ところが、不確かな情報を上げると国王が不機嫌になり仕事をしなくなるため、官吏たちは国王には報告しなかった。
王都では赤子でも知っているような噂話が、国王の耳に届かないことに腹を立てた妖精達は、暴挙に出る。
深夜、眠っている国王の耳元で囁いた。
『これは神託である。ウルグス・ダンバルド子爵の家族を徹底的に調べよ。この国に害をなそうとしている証拠が見つかるであろう。神託に従わぬならば、この国は亡びの未来を迎えることとなる。』
そう、神を語ってしまったのだ。
しかし、勇者クラークスを死に追いやり、その家族を不幸に陥れようとしているベルク、ダンバルド子爵の息子が住むエターリアナ王国の、ダンバルド子爵と癒着している国王相手に行ったことだったので、怒れる神様達は、何も見なかった、聞かなかったことにした。
そして妖精達は、ついでだ~っとばかりに、噂が浸透していない王宮内に散って行った・・・
「ウルグスめ!儂が散々目をかけてやったというのに…許さん…許さんぞ!宰相を呼べ!」
偽の神託を受けた国王は、部屋の外にいる護衛に命令した。
自宅に戻っていた宰相が国王の元に参じた時には、1時間以上が経過していた。
国王は憤死しそうなほどの怒りを露わにしていた。
「ウルグス・ダンバルド子爵について、なにか報告はなかったか!?」
宰相は真っ青になりながら答える。
「恐れながら、国王様に申し上げます。ウルグス・ダンバルド子爵についての黒い噂は、現在王都中に広まっております。しかしながら、ただの噂でございます。故に、報告は控えさせていただいておりました!」
怒りに震える国王は、宰相を王笏で殴りつける。
ただの噂が、王都中に広まる訳がないだろう!
「愚か者が!今すぐ王宮内で働く者達を総動員して、ウルグス・ダンバルド子爵とその家族を徹底的に調べよ!お前が惰眠を貪っている間に、神託が下ったのだ。あの者達がこの国に害をなそうとしていると、神託に従わない時は、この国は亡びると!!お前達が無能なせいで、この国が神罰を受けることになるのだぞ!!責任を取れ!」
激高し過ぎた国王は、そのまま倒れて意識を失ってしまった。
そして寝たきりの状態になり、2度とまともに会話をすることができなくなった。
囁き班の中の黒い妖精達の魔法で、影の中を移動して、あっと言う間にクシールの町から、エターリアナ王国の王都に到着した。
囁き班の任務は、いたずら好きの妖精の得意とするところで、ジョルクの家にいた妖精の中では希望者が一番多かった。
その妖精達から話を聞いたクラークスが大好きな妖精達が、我も我もと参戦し、ちょっと吃驚する数の妖精が王都に入った。
妖精達は3~4人でチームを組んで、王都中に散らばった。
『ウルグス・ダンバルド子爵が国に治めるお金を横領して、国外逃亡を企てている』
『Sランク冒険者のダミーが、ダンバルド子爵家から破格の金額で、裏の仕事を引き受けている』
それに加えて、ダンバルド子爵家の人間の悪行の数々を、ほんの少しのウソを混ぜながら、妖精たちは王都の市場で、酒場で、宿屋で、囁き続けた。
それはもう、楽しそうに。
大好きな、大切な勇者様を殺したやつら。
大好きな勇者様の、大切な聖者様を狙うやつら。
大好きな勇者様の力を宿した、可愛い賢者様を殺そうとするやつら。
絶対に許さないんだよ~、と朝も昼も夜も夜中も、囁き続けた。
噂はあっという間に王都に広がり、王宮で働く多くの官吏にも届いていた。
ところが、不確かな情報を上げると国王が不機嫌になり仕事をしなくなるため、官吏たちは国王には報告しなかった。
王都では赤子でも知っているような噂話が、国王の耳に届かないことに腹を立てた妖精達は、暴挙に出る。
深夜、眠っている国王の耳元で囁いた。
『これは神託である。ウルグス・ダンバルド子爵の家族を徹底的に調べよ。この国に害をなそうとしている証拠が見つかるであろう。神託に従わぬならば、この国は亡びの未来を迎えることとなる。』
そう、神を語ってしまったのだ。
しかし、勇者クラークスを死に追いやり、その家族を不幸に陥れようとしているベルク、ダンバルド子爵の息子が住むエターリアナ王国の、ダンバルド子爵と癒着している国王相手に行ったことだったので、怒れる神様達は、何も見なかった、聞かなかったことにした。
そして妖精達は、ついでだ~っとばかりに、噂が浸透していない王宮内に散って行った・・・
「ウルグスめ!儂が散々目をかけてやったというのに…許さん…許さんぞ!宰相を呼べ!」
偽の神託を受けた国王は、部屋の外にいる護衛に命令した。
自宅に戻っていた宰相が国王の元に参じた時には、1時間以上が経過していた。
国王は憤死しそうなほどの怒りを露わにしていた。
「ウルグス・ダンバルド子爵について、なにか報告はなかったか!?」
宰相は真っ青になりながら答える。
「恐れながら、国王様に申し上げます。ウルグス・ダンバルド子爵についての黒い噂は、現在王都中に広まっております。しかしながら、ただの噂でございます。故に、報告は控えさせていただいておりました!」
怒りに震える国王は、宰相を王笏で殴りつける。
ただの噂が、王都中に広まる訳がないだろう!
「愚か者が!今すぐ王宮内で働く者達を総動員して、ウルグス・ダンバルド子爵とその家族を徹底的に調べよ!お前が惰眠を貪っている間に、神託が下ったのだ。あの者達がこの国に害をなそうとしていると、神託に従わない時は、この国は亡びると!!お前達が無能なせいで、この国が神罰を受けることになるのだぞ!!責任を取れ!」
激高し過ぎた国王は、そのまま倒れて意識を失ってしまった。
そして寝たきりの状態になり、2度とまともに会話をすることができなくなった。
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