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アリアの職業とスキル
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真っ白い神聖な空間。
教会で感じた神気に満ちている空間。
これってあれ?
異世界に転生する時に通過する空間?
なんで今?
『先程ぶりじゃの。儂がこの世界の創造神じゃ。』
目の前に、真っ白い髪と髭の大柄なお爺さんが、ゆったりとした白い服を着て佇んでいた。
「あの時の神様の声だ!初めまして、アリアと申します。」
『聡い子じゃ。いや、主の魂は転生前の記憶を持っておるのじゃったな。儂が意図したものではなく、限りなく確率の低い廻りあわせだったのじゃ。奇跡じゃ。』
私は首を傾げて、創造神様を見る。
急に何を言い出すんだろう。
神様が意図したものではない、限りなく確率の低い廻りあわせってなに?
奇跡って、なにが奇跡なの?
『おっと、すまんのう。人と話すのは主で3人目での。慣れておらんのじゃ。』
独り言かと思いました。
『主は知っておるかのぉ。聖女としての万能な能力を持って生まれる「聖女」は、当代で1人だけでの。「守りの聖女」「浄化の聖女」など、本来の「聖女」の能力の中の何かひとつだけを使うことができる者は、「~の聖女」として時々生まれるのじゃ。本来の主の職業は「光の聖女」で、癒しの光魔法のスキルが与えられるはずじゃった。』
「私がいただいた職業とは、違うんですね。」
『主に授けた職業とスキルの殆どは、主の父親が持っていたものじゃ。』
「お父さんの…職業とスキル?」
自分の職業とスキルがお父さんの持っていたものだと聞いた途端、体の中から何かがぶわっと膨れ上がった。
『主の父親も転生者での。ああ、地球ではない。主とは違いこの世界での転生者での。主の父親は前世では勇者であった。』
「お父さんの前世が、勇者!?」
『そうじゃ。この世界を滅亡の危機から救ってくれたのじゃ。』
そう言って創造神様は慈愛に満ちた目で私を見つめる。
『お礼に儂は主の父親を記憶を持ったまま転生させ、勇者時代に身に着けたスキルをすべて与えた。今度は自分のために人生を楽しんで欲しくての。じゃが、主の父親の本質は変わらなくての。転生しても世界の脅威を退けてくれての。儂はずっと主の父親にどう感謝を表せば良いのか考えておった。・・・まさかあんなに卑怯な手で悪魔に殺されるとは想像もしておらなんだ。』
卑怯な手で悪魔に殺された?
『そこで彼の者の愛娘の主に、彼の者の職業と、枝葉を取り除いたスキルを渡すことにしたのじゃ。主の父親は今世では「賢者」、前世では「光の勇者」であったため、主の職業が「賢者」と「聖女」の最上位職であり、地上に初めて顕現する「大聖女」になってしもうたがの。前世の記憶を持つ主であれば、上手く使うことができるであろう。』
ぽろぽろと涙がこぼれ、自分が大泣きしているのが分かる。
恐らくここには魂だけで来ているのだろう。
でも、体が悲鳴をあげるように泣いている。
お父さんの職業とスキルを受け継いだ嬉しさに感情が大きく揺れた。
卑怯な手で悪魔に殺されたという事実に、怒りが沸き起こる。
お父さんのお母さんへの愛情の大きさと深さに切なくなった。
涙が止まらない。
「お父さんの最期を知ることはできますか?」
創造神様は頷いてくれた。
『じゃが、主の父親は敵討ちは望んではおらんぞ。主達の幸せだけを望んでおるぞ。』
それでも、お父さんの最期が知りたいとお願いした。
卑怯な手で悪魔に殺されたという事実が、頭にこびり付いて離れなかった。
創造神様がお父さんの最期を私の記憶に送ってくれた。
…体が壊れそうなくらい震えている。
3歳の体には明らかにオーバーキャパシティの感情の嵐だ。
目が覚めると、お母さんが私を抱きしめながら、名前を呼び続けていた。
その後ろにはジョルクおじさんの姿がある。
…心配かけちゃったな。
「凄く怖い夢を見たの。怖い夢・・・」
また涙が溢れる。
3歳の体は感情のコントロールが効かない。
大声でわんわん泣いてしまった。
声も涙も、止まらない。
神様に会ってきたこと、お父さんの職業とスキルを貰ったこと、悪魔のこと、は、今は言うべきではないと思った。
これ以上心配をかけてしまってはいけない。
お父さん、すごい人だったんだね。
神様が感謝しちゃうほどだったんだね。
私には十分最高のお父さんだったけれど、この世界を救えちゃうほど強い勇者だったんだね。
性格がいいだけでなく、カッコいいだけでなく、強さも優しさもピカ一で。
そりゃ、お母さんが惚れるはずだよ。
私、お父さんとお母さんの子供で良かった。
お父さんのスキルで、お母さんを幸せにして、私も幸せになるよ。
お父さん、安心して天国から見守っていてね。
愛してくれて、ありがとう。
教会で感じた神気に満ちている空間。
これってあれ?
異世界に転生する時に通過する空間?
なんで今?
『先程ぶりじゃの。儂がこの世界の創造神じゃ。』
目の前に、真っ白い髪と髭の大柄なお爺さんが、ゆったりとした白い服を着て佇んでいた。
「あの時の神様の声だ!初めまして、アリアと申します。」
『聡い子じゃ。いや、主の魂は転生前の記憶を持っておるのじゃったな。儂が意図したものではなく、限りなく確率の低い廻りあわせだったのじゃ。奇跡じゃ。』
私は首を傾げて、創造神様を見る。
急に何を言い出すんだろう。
神様が意図したものではない、限りなく確率の低い廻りあわせってなに?
奇跡って、なにが奇跡なの?
『おっと、すまんのう。人と話すのは主で3人目での。慣れておらんのじゃ。』
独り言かと思いました。
『主は知っておるかのぉ。聖女としての万能な能力を持って生まれる「聖女」は、当代で1人だけでの。「守りの聖女」「浄化の聖女」など、本来の「聖女」の能力の中の何かひとつだけを使うことができる者は、「~の聖女」として時々生まれるのじゃ。本来の主の職業は「光の聖女」で、癒しの光魔法のスキルが与えられるはずじゃった。』
「私がいただいた職業とは、違うんですね。」
『主に授けた職業とスキルの殆どは、主の父親が持っていたものじゃ。』
「お父さんの…職業とスキル?」
自分の職業とスキルがお父さんの持っていたものだと聞いた途端、体の中から何かがぶわっと膨れ上がった。
『主の父親も転生者での。ああ、地球ではない。主とは違いこの世界での転生者での。主の父親は前世では勇者であった。』
「お父さんの前世が、勇者!?」
『そうじゃ。この世界を滅亡の危機から救ってくれたのじゃ。』
そう言って創造神様は慈愛に満ちた目で私を見つめる。
『お礼に儂は主の父親を記憶を持ったまま転生させ、勇者時代に身に着けたスキルをすべて与えた。今度は自分のために人生を楽しんで欲しくての。じゃが、主の父親の本質は変わらなくての。転生しても世界の脅威を退けてくれての。儂はずっと主の父親にどう感謝を表せば良いのか考えておった。・・・まさかあんなに卑怯な手で悪魔に殺されるとは想像もしておらなんだ。』
卑怯な手で悪魔に殺された?
『そこで彼の者の愛娘の主に、彼の者の職業と、枝葉を取り除いたスキルを渡すことにしたのじゃ。主の父親は今世では「賢者」、前世では「光の勇者」であったため、主の職業が「賢者」と「聖女」の最上位職であり、地上に初めて顕現する「大聖女」になってしもうたがの。前世の記憶を持つ主であれば、上手く使うことができるであろう。』
ぽろぽろと涙がこぼれ、自分が大泣きしているのが分かる。
恐らくここには魂だけで来ているのだろう。
でも、体が悲鳴をあげるように泣いている。
お父さんの職業とスキルを受け継いだ嬉しさに感情が大きく揺れた。
卑怯な手で悪魔に殺されたという事実に、怒りが沸き起こる。
お父さんのお母さんへの愛情の大きさと深さに切なくなった。
涙が止まらない。
「お父さんの最期を知ることはできますか?」
創造神様は頷いてくれた。
『じゃが、主の父親は敵討ちは望んではおらんぞ。主達の幸せだけを望んでおるぞ。』
それでも、お父さんの最期が知りたいとお願いした。
卑怯な手で悪魔に殺されたという事実が、頭にこびり付いて離れなかった。
創造神様がお父さんの最期を私の記憶に送ってくれた。
…体が壊れそうなくらい震えている。
3歳の体には明らかにオーバーキャパシティの感情の嵐だ。
目が覚めると、お母さんが私を抱きしめながら、名前を呼び続けていた。
その後ろにはジョルクおじさんの姿がある。
…心配かけちゃったな。
「凄く怖い夢を見たの。怖い夢・・・」
また涙が溢れる。
3歳の体は感情のコントロールが効かない。
大声でわんわん泣いてしまった。
声も涙も、止まらない。
神様に会ってきたこと、お父さんの職業とスキルを貰ったこと、悪魔のこと、は、今は言うべきではないと思った。
これ以上心配をかけてしまってはいけない。
お父さん、すごい人だったんだね。
神様が感謝しちゃうほどだったんだね。
私には十分最高のお父さんだったけれど、この世界を救えちゃうほど強い勇者だったんだね。
性格がいいだけでなく、カッコいいだけでなく、強さも優しさもピカ一で。
そりゃ、お母さんが惚れるはずだよ。
私、お父さんとお母さんの子供で良かった。
お父さんのスキルで、お母さんを幸せにして、私も幸せになるよ。
お父さん、安心して天国から見守っていてね。
愛してくれて、ありがとう。
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