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- side ベルク -
しおりを挟む「メリーアンを捕まえて別邸に連れて行くのだ!」
ベルクはこの後のことを考えて、嫌らしい笑みを浮かべ続けている。
ベルクの兵士達も、おこぼれに与れるかもしれないと下卑た笑みを浮かべている。
中には異常な幼女趣味の性癖を持つ者もいた。
メリーアンとアリアは誰から見ても美形の母子だった。
初めてメリーアンを見たベルクはその美しさに惹かれ、自分の嫁にしたいと思った。
メリーアンが結婚していて子供がいると知ると、夫であるクラークスと子を殺し、自分の妾にしようと画策した。
クラークスは優秀なSランクに近いAランク冒険者だった。
何度刺客を送ってもなかなか死なないクラークスに業を煮やして、金に汚いことで有名なSランク冒険者で、性格は悪いが召喚術のランクが高いダミーという冒険者のパーティーに、とんでもない金額を成功報酬として提示して、クラークス殺害を依頼した。
ダミーが召喚した魔物による、自作自演の被害を食い止めるため、領主名義でクラークスのパーティーに指名依頼が入った。
ベルクが偽造した、領主名義の依頼書だった。
討伐に向かったクラークスのパーティーは全滅した。
召喚したSランクの魔物だけではクラークス達を殺しきれず、ダミーは悪魔と契約してその力まで借りて、やっとクラークス達殺害の依頼を達成した。
禁忌の悪魔との契約に手を出すほど、成功報酬はとんでもない金額だった。
邪魔なクラークスを殺しても、メリーアンはベルクに靡かなかった。
それどころか、隣国のSランク冒険者ジョルクがメリーアンのまわりをうろつき始め、手が出せなかった。
家にもメリーアンとその子供にも、何故か物理的に近づけなかった。
イライラが募る中、メリーアンを監視させていた者から報告があった。
- 娘のアリアの職業とスキルがまったく鑑定できなかったらしい -
チャンスだ!
鑑定できなかったということは、人ではないということだ。
あの子供は悪魔だ。
悪魔を殺して、メリーアンを悪魔を産んだ罪で投獄して、一生俺が可愛がってやろう。
兵舎でだらけ切っていた兵士達を連れ、メリーアンを捕獲し子供を殺すために急いでメリーアンの家に向かったが、そこはもぬけの殻だった。
「逃げやがったな!すぐに国境を封鎖して捕まえろ!あのバラスチアン帝国の冒険者が連れ出したに違いない!捕まえて殺せ!!」
ベルクが喚き散らしている頃、ジョルクは何事もなく無事に出国し、アリアは透明化してジョルクと手を繋いで歩いていた。
検問所が見えないところまで来ると、街道から森に入り、透明化を解く。
「こっちの方が安全かなって思って。せっかく変化の魔法をかけてくれたのに、なんか、ごめんね?」
コテリと首を傾げて、上目遣いでジョルクおじさんを見上げる。
「本当に頼りになり過ぎだ。俺の良い男ぶりが・・・」
十分良い男だけど、お母さんの前でその台詞言わない方が良いと思うよ?
ベルクはこの後のことを考えて、嫌らしい笑みを浮かべ続けている。
ベルクの兵士達も、おこぼれに与れるかもしれないと下卑た笑みを浮かべている。
中には異常な幼女趣味の性癖を持つ者もいた。
メリーアンとアリアは誰から見ても美形の母子だった。
初めてメリーアンを見たベルクはその美しさに惹かれ、自分の嫁にしたいと思った。
メリーアンが結婚していて子供がいると知ると、夫であるクラークスと子を殺し、自分の妾にしようと画策した。
クラークスは優秀なSランクに近いAランク冒険者だった。
何度刺客を送ってもなかなか死なないクラークスに業を煮やして、金に汚いことで有名なSランク冒険者で、性格は悪いが召喚術のランクが高いダミーという冒険者のパーティーに、とんでもない金額を成功報酬として提示して、クラークス殺害を依頼した。
ダミーが召喚した魔物による、自作自演の被害を食い止めるため、領主名義でクラークスのパーティーに指名依頼が入った。
ベルクが偽造した、領主名義の依頼書だった。
討伐に向かったクラークスのパーティーは全滅した。
召喚したSランクの魔物だけではクラークス達を殺しきれず、ダミーは悪魔と契約してその力まで借りて、やっとクラークス達殺害の依頼を達成した。
禁忌の悪魔との契約に手を出すほど、成功報酬はとんでもない金額だった。
邪魔なクラークスを殺しても、メリーアンはベルクに靡かなかった。
それどころか、隣国のSランク冒険者ジョルクがメリーアンのまわりをうろつき始め、手が出せなかった。
家にもメリーアンとその子供にも、何故か物理的に近づけなかった。
イライラが募る中、メリーアンを監視させていた者から報告があった。
- 娘のアリアの職業とスキルがまったく鑑定できなかったらしい -
チャンスだ!
鑑定できなかったということは、人ではないということだ。
あの子供は悪魔だ。
悪魔を殺して、メリーアンを悪魔を産んだ罪で投獄して、一生俺が可愛がってやろう。
兵舎でだらけ切っていた兵士達を連れ、メリーアンを捕獲し子供を殺すために急いでメリーアンの家に向かったが、そこはもぬけの殻だった。
「逃げやがったな!すぐに国境を封鎖して捕まえろ!あのバラスチアン帝国の冒険者が連れ出したに違いない!捕まえて殺せ!!」
ベルクが喚き散らしている頃、ジョルクは何事もなく無事に出国し、アリアは透明化してジョルクと手を繋いで歩いていた。
検問所が見えないところまで来ると、街道から森に入り、透明化を解く。
「こっちの方が安全かなって思って。せっかく変化の魔法をかけてくれたのに、なんか、ごめんね?」
コテリと首を傾げて、上目遣いでジョルクおじさんを見上げる。
「本当に頼りになり過ぎだ。俺の良い男ぶりが・・・」
十分良い男だけど、お母さんの前でその台詞言わない方が良いと思うよ?
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