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過去の話
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入院し絶対安静で頑張っていたが、30週でまた出血が始まり、緊急帝王切開となった。双子はNICUに運ばれ保育器に入ったが無事であった。簡易検査でアルファ女性とオメガ男性の双子と分かった。
柊里は出血が止まらず、どんどん輸血した。出血源と考えられた子宮、卵巣、精巣は全て摘出し、出産後10時間でようやく止血した。合計10L輸血したが、一命をとりとめた。もう出産できなくなったが、2人も子供を生んでくれて、1人はアルファだし十分と静は感謝した。
麻酔から醒めた柊里に双子が生まれたと告げた。保育器に入っているが2人とも元気だと説明した。柊里はアルファもいると知りほっとしていた。出血が止まらず、子宮、卵巣、精巣摘出したのでもう妊娠できないと伝えたが、柊里は笑って「もういいよ。こりごりだ」と言った。
柊里が回復し退院できるようになった。静と桐生夫妻が主治医に呼ばれた。出産時に出血多量で計10L輸血したが、血液型を合わせるのみでバースを合わせることまではできず、大半はベータの輸血であった。子宮、卵巣、精巣全摘した影響もあるかもしれないが、柊里のバースがベータに変わってしまったと説明された。
静は動揺したが、桐生夫妻はむしろ喜んだ。忍は柊里のベッドに戻り、バースがベータになったと嬉しそうに話した。柊里は淡々と「そうか……」と言い、うなじを触った。みんなはっとしてうなじを見たが、静の歯形は綺麗になくなっていた。オメガだから番の証として残るが、ベータとしてはただの傷なので時間が経てば治ってしまう。
柊里がベータになったため静との番届は無効になった。静はアルファ女性で柊里はベータ男性なので、徹と離婚すれば再婚は可能だ。しかし、柊里は16歳。オメガであれば結婚可能だが、アルファ、ベータは18歳まで結婚できなかった。静は結婚は柊里が18歳になったら考えることにして、双子を自分の籍にすることを提案した。柊里はそれに対しては強く反対した。自分はもう子供を持てない。2人とも取り上げないでくれと。相談してアルファの子を静の籍に、オメガの子を桐生夫妻の籍に入れることになった。アルファの女の子を美月、オメガの男の子を蓮と名付けた。
静は柊里と蓮のために、今住んでいる家を建てた。蓮のために遮香室の設備を2階に作った。忍は柊里がベータになったので精神的にさらに回復し子育てを積極的に協力した。
休日には静は美月を連れて親子の時間を持った。また経済的支援もずっと続けた。
柊里が18歳になった時、静からも柊里からも結婚の話は出ず、今の関係がお互いに幸せと感じていた。
蓮が幼稚園に通うようになったら、静は柊里に学問の再開を勧めた。柊里は高卒認定にパスし22歳で名門私立W大学文学部に入学した。出産後から自分でも小説を書き始めており、伊集社の新人賞にも投稿し24歳で小説家デビューした。
柊里の学校に行けなくなった苦い経験から、蓮を私立桜華学園に入学させることに決めた。桜華は家柄を重視されるため、静が保証人になり、多額の寄付をした。
柊里が一息つく。
「今まで隠しててごめんなさい。これが全てです」
美月は深刻な表情で唇を噛みしめていた。蓮は柊里がオメガだったために引きこもりになった話位から涙が止まらなくなり最後の方では号泣していた。話し終わった柊里に抱き着く。
「お父さーん。辛かったねー」
柊里は蓮を抱き締める。
「ごめんな、蓮。静の子供にしておけば、もっといい暮らしができたのにな。でも2人とも取り上げられるのは我慢できなかったんだよ」
「いいよ。僕、すごい幸せだったから。桜華ではお父さんのような危険な目に合わずに楽しくサークル活動できたし。でも確かに桜華には僕みたいなベータ家庭のオメガってあまり聞いたことなくて、何故入学できたのか不思議だったけど、静さん、お母さんが入れてくれたんだね。ありがとう」
静は蓮と柊里の元に寄る。
蓮は柊里から離れて静を抱き締めた。
「僕、勝手にお母さんに捨てられたと思ってたから、そうじゃなくて嬉しい」
柊里が蓮に説明する。
「静はずっと本当の親って言いたがってたんだけど、俺が自分のバースと上手く向き合えてなくて、蓮や美月にどう思われるのか不安で。2人が大きくなってから説明したかったから、静にずっと内緒にしてもらってたんだ」
静は蓮の頭を撫でながら美月に向かう。
「柊里も自分のバースについてずっと悩んでたの。結果的にあなた達に隠して嘘をついていたことになるんだけど許して欲しい」
美月は顔面蒼白で立っている。
「この前、美月さんに会った時、懐かしい感じがしたのは兄弟だったからなんだよね」と蓮が言い、柊里の方へ向く。
「どちらが上なの?」
「蓮が先に生まれたよ」
「じゃ、僕がお兄さん?」
蓮が美月の方へ振り返ると美月が慌てたように「私、帰る」と部屋から出て行ってしまった。
柊里は出血が止まらず、どんどん輸血した。出血源と考えられた子宮、卵巣、精巣は全て摘出し、出産後10時間でようやく止血した。合計10L輸血したが、一命をとりとめた。もう出産できなくなったが、2人も子供を生んでくれて、1人はアルファだし十分と静は感謝した。
麻酔から醒めた柊里に双子が生まれたと告げた。保育器に入っているが2人とも元気だと説明した。柊里はアルファもいると知りほっとしていた。出血が止まらず、子宮、卵巣、精巣摘出したのでもう妊娠できないと伝えたが、柊里は笑って「もういいよ。こりごりだ」と言った。
柊里が回復し退院できるようになった。静と桐生夫妻が主治医に呼ばれた。出産時に出血多量で計10L輸血したが、血液型を合わせるのみでバースを合わせることまではできず、大半はベータの輸血であった。子宮、卵巣、精巣全摘した影響もあるかもしれないが、柊里のバースがベータに変わってしまったと説明された。
静は動揺したが、桐生夫妻はむしろ喜んだ。忍は柊里のベッドに戻り、バースがベータになったと嬉しそうに話した。柊里は淡々と「そうか……」と言い、うなじを触った。みんなはっとしてうなじを見たが、静の歯形は綺麗になくなっていた。オメガだから番の証として残るが、ベータとしてはただの傷なので時間が経てば治ってしまう。
柊里がベータになったため静との番届は無効になった。静はアルファ女性で柊里はベータ男性なので、徹と離婚すれば再婚は可能だ。しかし、柊里は16歳。オメガであれば結婚可能だが、アルファ、ベータは18歳まで結婚できなかった。静は結婚は柊里が18歳になったら考えることにして、双子を自分の籍にすることを提案した。柊里はそれに対しては強く反対した。自分はもう子供を持てない。2人とも取り上げないでくれと。相談してアルファの子を静の籍に、オメガの子を桐生夫妻の籍に入れることになった。アルファの女の子を美月、オメガの男の子を蓮と名付けた。
静は柊里と蓮のために、今住んでいる家を建てた。蓮のために遮香室の設備を2階に作った。忍は柊里がベータになったので精神的にさらに回復し子育てを積極的に協力した。
休日には静は美月を連れて親子の時間を持った。また経済的支援もずっと続けた。
柊里が18歳になった時、静からも柊里からも結婚の話は出ず、今の関係がお互いに幸せと感じていた。
蓮が幼稚園に通うようになったら、静は柊里に学問の再開を勧めた。柊里は高卒認定にパスし22歳で名門私立W大学文学部に入学した。出産後から自分でも小説を書き始めており、伊集社の新人賞にも投稿し24歳で小説家デビューした。
柊里の学校に行けなくなった苦い経験から、蓮を私立桜華学園に入学させることに決めた。桜華は家柄を重視されるため、静が保証人になり、多額の寄付をした。
柊里が一息つく。
「今まで隠しててごめんなさい。これが全てです」
美月は深刻な表情で唇を噛みしめていた。蓮は柊里がオメガだったために引きこもりになった話位から涙が止まらなくなり最後の方では号泣していた。話し終わった柊里に抱き着く。
「お父さーん。辛かったねー」
柊里は蓮を抱き締める。
「ごめんな、蓮。静の子供にしておけば、もっといい暮らしができたのにな。でも2人とも取り上げられるのは我慢できなかったんだよ」
「いいよ。僕、すごい幸せだったから。桜華ではお父さんのような危険な目に合わずに楽しくサークル活動できたし。でも確かに桜華には僕みたいなベータ家庭のオメガってあまり聞いたことなくて、何故入学できたのか不思議だったけど、静さん、お母さんが入れてくれたんだね。ありがとう」
静は蓮と柊里の元に寄る。
蓮は柊里から離れて静を抱き締めた。
「僕、勝手にお母さんに捨てられたと思ってたから、そうじゃなくて嬉しい」
柊里が蓮に説明する。
「静はずっと本当の親って言いたがってたんだけど、俺が自分のバースと上手く向き合えてなくて、蓮や美月にどう思われるのか不安で。2人が大きくなってから説明したかったから、静にずっと内緒にしてもらってたんだ」
静は蓮の頭を撫でながら美月に向かう。
「柊里も自分のバースについてずっと悩んでたの。結果的にあなた達に隠して嘘をついていたことになるんだけど許して欲しい」
美月は顔面蒼白で立っている。
「この前、美月さんに会った時、懐かしい感じがしたのは兄弟だったからなんだよね」と蓮が言い、柊里の方へ向く。
「どちらが上なの?」
「蓮が先に生まれたよ」
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蓮が美月の方へ振り返ると美月が慌てたように「私、帰る」と部屋から出て行ってしまった。
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