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 木原真希が10周年記念パーティの打ち合わせに桐生宅にやってきた。蓮の『運命に逆らって』のコミカライズ出版の発表の際に3分間動画を流す予定で、関アニの制作が決まったと嬉しい知らせがあった。
「関アニ!!」
 蓮も大好きなアニメ制作会社だったので大興奮だった。
「桐生先生はいつものお店でスーツ誂えますよね」
 真希はスケジュール確認する。
「蓮君も同じ所で誂えます? それとも別な所にします?」
 柊里は蓮を見る。
「同じ所だと蓮は10代だから少し地味かな」
 蓮は「如月瞬さんに相談して瞬さん行きつけのブティック紹介してもらったんですけど」と恐る恐る言う。
 真希のミーハー魂に火がつく。
「Azu先生だけでなく、如月瞬とも知り合いなの!? 是非そこにしましょう」
「あず先輩が海苔巻先生に会ってみたいって言ってて、真希さんよろしければ一緒に行きませんか?」
「生Azu先生!? 絶対行きます!!」

 蓮と真希、如月夫妻で買い物に出かけた。
 番除けのチョーカーを目立たなくしたいと蓮が希望したのでスタンドカラーのスーツをまず着用した。瞬がうーんと唸り「チャイナドレスなら似合うと思うけど、マオカラーのスーツはなんかピンとこないな」とダメ出しした。
 あず先輩も「隠すよりむしろ見せていこうよ」と発言し、真希も同意。チョーカーを隠すのに拘るのを止めた。
 蓮に試着させながらオーナーは瞬に質問する。
「この子は俳優? アイドル? どっちの卵なの?」
 瞬は答える。
「どっちでもなくて漫画家になるそうだよ」
 オーナーは蓮を見つめる。
「勿体ないわね。この子化けそうよ。瞬ちゃん、プロデュースしてあげれば?」
 瞬はにやにやする。
「俺がプロデュースするとしたらアイドルかな? 楽曲提供するからアイドルしてみる?」 
 蓮は目を白黒する。
「そんな、アイドルなんて……無理です」
 オーナーはスーツを見比べて「芸能人だったら、奇抜な方がインパクトあっていいかと思ったけど、文化人ならシックな方がいいわね」
 オーナーと瞬があーだこーだ言いながらスーツを合わせている間、2人に任せて梓と真希はお喋りし始めた。
「Azu先生、お会いできて感激です。Cherry flowerの時からファンでした」
「私も海苔巻き先生の二次創作すごく好きでした。もう書かないんですか?」
「公式の人間になってしまったので二次創作は卒業ですね。私はAzu先生とは違って無から作り出す才能はないんです。でもお手伝いするのはすごく好きで編集の仕事は自分の天職だと思ってます。今度、Azu先生とも是非お仕事させてください」

 スーツが決まったので4人は真希が前もって予約したレストランに移動した。蓮のみがジュースで他の3人は生ビールで乾杯した。
「蓮、綺麗になったよな」と瞬が言う。
「俺、今まで男性オメガは恋愛対象じゃないと思ってたけど、今日の蓮見たら考え変えたわ」
 真希には内緒なので言わないが、如月夫妻は蓮の変化が優斗との恋愛によると察知していた。父の柊里も美形なので二人並んだら、さぞ映えるだろうとパーティが成功することを予感させた。
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