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 拓哉とは会えてはいるのだが、結婚に向けての家族との顔合わせなどの行事が忙しく、なかなか2人きりにはなれなかった。セックスも結局1回切りとなっていた。
 さやかが時折、細川葵のフェロモンを付けて帰ってくる。友人なので仕方ない。少量のフェロモンなので運命の番でなければ気が付かない程度だ。怜太は気が付くと、さやかがシャワーを浴び終えるまで遠巻きにしている。しかし、さやかはそんな怜太に気が付かない。無邪気な妹として怜太に絡んでくる。
 今日もさやかは葵のフェロモンをまとったまま怜太にまとわりついた。怜太はもやもやした。部屋に戻り拓哉に電話する。
「怜太君、どうしたの?」
「東さん、わがまま言っていい?」
「それは勿論」
「会いたいの。会ってべたべたしたいの。もう東さん不足なの」
「!!!」
「うっとうしい?」
「俺にはご褒美でしかないよ。これから迎えに行く。家にお泊りでいい?」
「嬉しい。待ってる」
 怜太は母の沙雪に事情を説明し、外泊の支度をした。拓哉がレストランはやしの前にタクシーを止め降りてくる。怜太は駆け寄った。拓哉は少し赤くなっていた。怜太はにっこり笑い拓哉のそばに寄る。タクシーに乗って拓哉のマンションに行った。マンションの中に入ってエレベーターに乗った時も怜太はにこにこして何も言わなかった。無言の怜太に拓哉が少し戸惑っているのを感じた。でも、怜太は内なる衝動と戦っていたので口を開くと止まらなくなりそうだった。人目がある外ではそんな訳にはいかないので無言で堪えていた。拓哉がドアの鍵を開け怜太と中に入った。ドアがかちゃりと閉まった瞬間に我慢終了と怜太は拓哉に抱きついた。
「僕、東さんが欲しくて堪らないの」
 拓哉の顔が紅潮する。怜太をそのまま抱き上げ、靴を脱ぎ捨てる。真っすぐベッドルームに向かい、怜太をベッドに落とす。怜太は拓哉を抱き締め、口付ける。ねっとりと舌を絡める。お互いに慌ただしく服を脱がせ合い素肌が触れ合う。
「気持ちいい」
 怜太が甘えた口調になる。拓哉は怜太の体を舐めまわし、怜太が気持ち良くなるようにする。気持ちの良さそうな怜太の顔を見るだけで、簡単に前が昂る。怜太は拓哉の前に手を伸ばしさわさわ撫でる。
「これ欲しいよう」
 怜太が膝を広げ、無防備に拓哉に後孔を見せる。屹立したペニスと後孔から蜜を少し垂らしている。いやらしすぎて拓哉は鼻血が出そうになる。拓哉は急いでゴムをつけ怜太の中に入る。
「あーん。すごい。いい」
 怜太の後孔はぬかるんでいてずぶずぶと入っていく。何度も何度も、怜太は貪欲に拓哉を求めた。

「僕って淫乱かも」
 怜太がぽつんと言う。
「すごく東さんとシたくて堪らなくなるの。ヒートじゃないのに」
 怜太はしょんぼりした表情をしているので拓哉はキスする。
「怜太君は可愛いの天才だね。可愛いだけじゃなくてHも好きなんて。ご褒美でしかないよ」
「本当?」
 怜太は笑顔になる。
「嫌いにならない?」
「むしろ、すごく好き」
「じゃ、またシたくなったらシたいって言っていい?」
「是非、言って下さい」
 拓哉が食い気味に言うと怜太はすっかり笑顔になった。
「でも、東さんも悪いんだよ」
 ぷくっとほっぺたを膨らませる。あざとい可愛さだ。
「僕、初めてなのに、こんなH好きにさせちゃって、東さんが良すぎるせいだと思う」
 葵のフェロモンで煽られていることは内緒にし、拓哉の魅力のせいでシたくなっていることにする。この嘘は2人のための嘘だ。
「早く結婚したくて、2人の時間とれなかったのは悪かったよ」
「僕も早く番になって結婚したいから、それはいいの。でもHもしようね」
 指切りげんまん、と怜太は小指を絡めた。
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