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深い甘美
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その為、今回はどんなことを言って、吸血する気かと疑っている。
「今日、夜の時間を、私にくれませんか」
「え?」
グランデ……まさか、また、壊れてしまったんじゃないだろうか。しかし、漆黒の瞳は輝いたままだ。
「どういう」
グランデに手を掴まれて、グッと引っ張られる。何が起こったのかわからなかった。理解した時、ドンと顔の両隣で衝撃を感じた。玄関近くの茂みに連れ込まれ、壁ドンってヤツをされている様だ。グランデの顔を見上げて後悔した。グランデのその表情は、とても扇情的だった。獲物を喰らおうとする獣。頬が紅く、潤んだ漆黒の瞳、唇を濡らす舌。ドキドキする鼓動がうるさい。
「いえ……もう、夜まで待てません」
「まっ」
待ってくれなんて言えなかった。顎先をそっと持ち上げられて、グランデに唇を奪われた。喋ろうとしていた為、そのままグランデの舌が俺の口腔内に入ってくる。
逃れようと、両手をグランデの胸に当て押やろうとしても無理だった。頑丈な体はびくともせず、逆にグランデがもっと距離を詰めてきた所為で、壁とグランデの体に挟まれて抵抗できなくなった。
グランデの舌が、俺の上顎や頬の内側をなぞり、舌同士を絡ませてくる。深いキスが、こんなにも気持ちの良いものだったなんて知らなかった。くちゅくちゅと響く水音に耳を犯され、恥ずかしくて頬があつい。グランデとのキスが甘くて、気持ちが良くて俺からやめられなくなっていく。求められる舌の動きに自分から合わせていく。俺の動きにグランデが優しくリードしてくれている様に感じた。
グランデの両手がいつの間にか俺の服の中に入り込み、体を弄ってきた。右手が背中、脇腹、胸から、腹、下腹とどんどん下がっていく。左手が背中、腰、臀部に触れてきた。やわやわと揉まれて、期待がお腹に溜まってくる。だめだ、これ以上は……。やっと自由になった両手で、グランデの両手を掴んだ。このまま流されてたまるか。
グランデの唇が、舌が、離れていく。透明の糸が互いの唇を繋ぐ。キスの名残が恥ずかしくて視線を逸らす。それでも、一瞬だけグランデの唇を見て、キスの気持ちよさを思い出してしまう。熱くて甘美で気持ちいい人の体温と感触。また欲しいと思ってしまった。ダメだ。やめなければと、グランデに訴えようとして視線を合わせて後悔した。お見通しだと言わんばかりに見つめられていた。グランデの舌がゆっくりと上唇を舐める様子を見て、恥ずかしくて、また視線を逸らした。
「どうして、止めるんです?」
「これ以上は、俺……その」
「大丈夫です。悪い様にはしません」
グランデに顎先を摘まれ、視線を合わせられる。その顔はずるい。俺が断れない様に、寂しそうな顔をするなんて。
「そ、それなら、優しくしてくれ」
「大事にします」
寂しそうだったグランデの表情が変わり、とても嬉しそうに笑った。
告白だってまだなのに、付き合ってもいないのに。初めてなのに、こんなことしてもいいのかなと、自問自答しつつも覚悟を決めて目を閉じた。
「今日、夜の時間を、私にくれませんか」
「え?」
グランデ……まさか、また、壊れてしまったんじゃないだろうか。しかし、漆黒の瞳は輝いたままだ。
「どういう」
グランデに手を掴まれて、グッと引っ張られる。何が起こったのかわからなかった。理解した時、ドンと顔の両隣で衝撃を感じた。玄関近くの茂みに連れ込まれ、壁ドンってヤツをされている様だ。グランデの顔を見上げて後悔した。グランデのその表情は、とても扇情的だった。獲物を喰らおうとする獣。頬が紅く、潤んだ漆黒の瞳、唇を濡らす舌。ドキドキする鼓動がうるさい。
「いえ……もう、夜まで待てません」
「まっ」
待ってくれなんて言えなかった。顎先をそっと持ち上げられて、グランデに唇を奪われた。喋ろうとしていた為、そのままグランデの舌が俺の口腔内に入ってくる。
逃れようと、両手をグランデの胸に当て押やろうとしても無理だった。頑丈な体はびくともせず、逆にグランデがもっと距離を詰めてきた所為で、壁とグランデの体に挟まれて抵抗できなくなった。
グランデの舌が、俺の上顎や頬の内側をなぞり、舌同士を絡ませてくる。深いキスが、こんなにも気持ちの良いものだったなんて知らなかった。くちゅくちゅと響く水音に耳を犯され、恥ずかしくて頬があつい。グランデとのキスが甘くて、気持ちが良くて俺からやめられなくなっていく。求められる舌の動きに自分から合わせていく。俺の動きにグランデが優しくリードしてくれている様に感じた。
グランデの両手がいつの間にか俺の服の中に入り込み、体を弄ってきた。右手が背中、脇腹、胸から、腹、下腹とどんどん下がっていく。左手が背中、腰、臀部に触れてきた。やわやわと揉まれて、期待がお腹に溜まってくる。だめだ、これ以上は……。やっと自由になった両手で、グランデの両手を掴んだ。このまま流されてたまるか。
グランデの唇が、舌が、離れていく。透明の糸が互いの唇を繋ぐ。キスの名残が恥ずかしくて視線を逸らす。それでも、一瞬だけグランデの唇を見て、キスの気持ちよさを思い出してしまう。熱くて甘美で気持ちいい人の体温と感触。また欲しいと思ってしまった。ダメだ。やめなければと、グランデに訴えようとして視線を合わせて後悔した。お見通しだと言わんばかりに見つめられていた。グランデの舌がゆっくりと上唇を舐める様子を見て、恥ずかしくて、また視線を逸らした。
「どうして、止めるんです?」
「これ以上は、俺……その」
「大丈夫です。悪い様にはしません」
グランデに顎先を摘まれ、視線を合わせられる。その顔はずるい。俺が断れない様に、寂しそうな顔をするなんて。
「そ、それなら、優しくしてくれ」
「大事にします」
寂しそうだったグランデの表情が変わり、とても嬉しそうに笑った。
告白だってまだなのに、付き合ってもいないのに。初めてなのに、こんなことしてもいいのかなと、自問自答しつつも覚悟を決めて目を閉じた。
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