74 / 97
1
最後
しおりを挟む
頬を叩かれる感覚で快楽に染まった頭が段々と霧が晴れていく様に覚醒していく。
「ブレイド様。ほら、貴方は罪深いと思いませんか」
何が罪深いというか。俺が何をしたというのか。犯されただけだ。何も悪い事なんてしてない。それなのに、何故か見たくないと思う。見てはいけない。見てはならないと誰かが言ってくるのに、霧がかっていた視界が晴れていく。
「健気に従ってくれる者へ、何という仕打ちだ」
晴れた視界に映ったものは、とても残酷だった。
「ら、ライト……」
ライトの髪、顔には、俺の吐き出した白濁が付着していた。ライトを汚した。俺の所為だ。俺のせい……。
「レイル様……」
ライトの瞳が陰っている。綺麗だった青い瞳が台無しだ。こんなにも悪い事をしてしまったんだ。謝らなければ。ライトは俺の所為でこんな事になったんだから。ごめんなさいと謝らなければならない。
「ライト、ごめぐぅぅ!」
「レイル様ぁあああああ!!!!!」
腹の奥で熱いものが広がるのを感じると共に、激痛が俺を襲う。痛みを訴える場所を見下ろすと、赤黒い切先が俺の胸から突き出ていた。
「謝ってんじゃねーぜぇ!」
傷の男のものと剣が俺の体から抜かれた瞬間、溢れ出ていく命と白濁。支えを失った俺は崩れ落ちた。痛い痛いイタイイタイ、いたい……どこが痛いのだ。胸なのかそれとも、心なのか。どんどんと体から命が溢れ出ていく。熱かった体は段々と凍えそうな程さむくなっていった。
「レイル様! レイル様ぁあああ!!」
俺に血と白濁に汚れたライトが、ゆっくりと右手を伸ばしてくるのがぼやけた視界に映る。どうしてもライトの表情がぼやけて見えない。厄介な俺がいなくなって嬉しく思って笑っているのか。それとも、悲しんでいてくれているのかライトの顔が最後に見たかった。
「心配するな。お前も一緒だからよ」
ぼんやりとした傷の男の陰がライトに向かっていく。やめてくれ! ライトは何もしていない。殺される理由なんてないのに、ただ俺と一緒に居ただけなのに。いや、それが罪だというのか。それだけだというのに。
やめろと叫びたかった。それなのに、溢れるのは声じゃなくて、血と嗚咽だけだ。
「レイル様。お守りできず、申し訳」
ライトの伸びていた右手が赤黒く染まった絨毯に落ちるのを見たのが、俺の記憶の最後だった。
ライトに謝れなかった。それだけが、心にいつまでも張り付いて、苦しい。後悔してもしきれない。白い世界にただただ浮かぶ俺は、ライトに謝り続ける。ごめんなさい、ごめんなさいと、許してくれるその人はもう居ないのに。
「ブレイド様。ほら、貴方は罪深いと思いませんか」
何が罪深いというか。俺が何をしたというのか。犯されただけだ。何も悪い事なんてしてない。それなのに、何故か見たくないと思う。見てはいけない。見てはならないと誰かが言ってくるのに、霧がかっていた視界が晴れていく。
「健気に従ってくれる者へ、何という仕打ちだ」
晴れた視界に映ったものは、とても残酷だった。
「ら、ライト……」
ライトの髪、顔には、俺の吐き出した白濁が付着していた。ライトを汚した。俺の所為だ。俺のせい……。
「レイル様……」
ライトの瞳が陰っている。綺麗だった青い瞳が台無しだ。こんなにも悪い事をしてしまったんだ。謝らなければ。ライトは俺の所為でこんな事になったんだから。ごめんなさいと謝らなければならない。
「ライト、ごめぐぅぅ!」
「レイル様ぁあああああ!!!!!」
腹の奥で熱いものが広がるのを感じると共に、激痛が俺を襲う。痛みを訴える場所を見下ろすと、赤黒い切先が俺の胸から突き出ていた。
「謝ってんじゃねーぜぇ!」
傷の男のものと剣が俺の体から抜かれた瞬間、溢れ出ていく命と白濁。支えを失った俺は崩れ落ちた。痛い痛いイタイイタイ、いたい……どこが痛いのだ。胸なのかそれとも、心なのか。どんどんと体から命が溢れ出ていく。熱かった体は段々と凍えそうな程さむくなっていった。
「レイル様! レイル様ぁあああ!!」
俺に血と白濁に汚れたライトが、ゆっくりと右手を伸ばしてくるのがぼやけた視界に映る。どうしてもライトの表情がぼやけて見えない。厄介な俺がいなくなって嬉しく思って笑っているのか。それとも、悲しんでいてくれているのかライトの顔が最後に見たかった。
「心配するな。お前も一緒だからよ」
ぼんやりとした傷の男の陰がライトに向かっていく。やめてくれ! ライトは何もしていない。殺される理由なんてないのに、ただ俺と一緒に居ただけなのに。いや、それが罪だというのか。それだけだというのに。
やめろと叫びたかった。それなのに、溢れるのは声じゃなくて、血と嗚咽だけだ。
「レイル様。お守りできず、申し訳」
ライトの伸びていた右手が赤黒く染まった絨毯に落ちるのを見たのが、俺の記憶の最後だった。
ライトに謝れなかった。それだけが、心にいつまでも張り付いて、苦しい。後悔してもしきれない。白い世界にただただ浮かぶ俺は、ライトに謝り続ける。ごめんなさい、ごめんなさいと、許してくれるその人はもう居ないのに。
50
お気に入りに追加
355
あなたにおすすめの小説
異世界転生先でアホのふりしてたら執着された俺の話
深山恐竜
BL
俺はよくあるBL魔法学園ゲームの世界に異世界転生したらしい。よりにもよって、役どころは作中最悪の悪役令息だ。何重にも張られた没落エンドフラグをへし折る日々……なんてまっぴらごめんなので、前世のスキル(引きこもり)を最大限活用して平和を勝ち取る! ……はずだったのだが、どういうわけか俺の従者が「坊ちゃんの足すべすべ~」なんて言い出して!?

美少年に転生したらヤンデレ婚約者が出来ました
SEKISUI
BL
ブラック企業に勤めていたOLが寝てそのまま永眠したら美少年に転生していた
見た目は勝ち組
中身は社畜
斜めな思考の持ち主
なのでもう働くのは嫌なので怠惰に生きようと思う
そんな主人公はやばい公爵令息に目を付けられて翻弄される
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。
不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?
カタナヅキ
ファンタジー
現実世界で普通の高校生として過ごしていた「白崎レナ」は謎の空間の亀裂に飲み込まれ、狭間の世界と呼ばれる空間に移動していた。彼はそこで世界の「管理者」と名乗る女性と出会い、彼女と何時でも交信できる能力を授かり、異世界に転生される。
次に彼が意識を取り戻した時には見知らぬ女性と男性が激しく口論しており、会話の内容から自分達から誕生した赤子は呪われた子供であり、王位を継ぐ権利はないと男性が怒鳴り散らしている事を知る。そして子供というのが自分自身である事にレナは気付き、彼は母親と供に追い出された。
時は流れ、成長したレナは自分がこの世界では不遇職として扱われている「支援魔術師」と「錬金術師」の職業を習得している事が判明し、更に彼は一般的には扱われていないスキルばかり習得してしまう。多くの人間から見下され、実の姉弟からも馬鹿にされてしまうが、彼は決して挫けずに自分の能力を信じて生き抜く――
――後にレナは自分の得た職業とスキルの真の力を「世界の管理者」を名乗る女性のアイリスに伝えられ、自分を見下していた人間から逆に見上げられる立場になる事を彼は知らない。
※タイトルを変更しました。(旧題:不遇職に役立たずスキルと馬鹿にされましたが、実際はそれほど悪くはありません)。書籍化に伴い、一部の話を取り下げました。また、近い内に大幅な取り下げが行われます。
※11月22日に第一巻が発売されます!!また、書籍版では主人公の名前が「レナ」→「レイト」に変更しています。
男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。
カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。
今年のメインイベントは受験、
あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。
だがそんな彼は飛行機が苦手だった。
電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?!
あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな?
急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。
さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?!
変なレアスキルや神具、
八百万(やおよろず)の神の加護。
レアチート盛りだくさん?!
半ばあたりシリアス
後半ざまぁ。
訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前
お腹がすいた時に食べたい食べ物など
思いついた名前とかをもじり、
なんとか、名前決めてます。
***
お名前使用してもいいよ💕っていう
心優しい方、教えて下さい🥺
悪役には使わないようにします、たぶん。
ちょっとオネェだったり、
アレ…だったりする程度です😁
すでに、使用オッケーしてくださった心優しい
皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる