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嵐の前のイチャイチャ
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グランデから仲直りしてくれるとは思ってもいなかった。それもこんなサプライズをしてくれるなんて。口の中に広がる紅茶の優しい香りと甘さに、頬が緩む。
「美味しいですか?」
「おう」
「それは良かったです」
ふわりと笑ったグランデに、胸がときめく。レイルの体の所為だけじゃない。俺自身も嬉しかった。また、こうして一緒に笑い合える事がとても大事だったなんて。
「俺が作ったのより、何倍も美味しい」
「そうですか。それは、大変惜しい事をしました」
俺の答えを聞いたグランデが視線をケーキへと落とした。何か気に触る事を言ってしまったのだろうか。
「ぐら、ルーク。その」
「グレイの作ったケーキは、さぞ美味しいものだったに違いないですね」
「え?」
「私は、なぜか作って貰ったものの方が美味しく感じるのです。それに、これは貴方の作ったのものを真似ただけです」
「そ、そんな事」
「いいえ、そうなんです。また、作って頂けますか? 私の為だけに」
グランデの左手がこちらへと伸びてくる。ゆっくりと近づいてくる手を避けられた筈なのに、俺は避けなかった。口角に触れられる感覚がしたのは、あっという間で、去っていくグランデの指先には白い何かが付着していた。
「あ」
「クリーム、ついていました」
言葉と共にグランデの口の中へと消える指先を見て、顔を伏せた。まるで恋人同士の様な行動に、恥ずかしさが込み上げる。今、顔をあげる訳にはいかない。妙に熱い頬は絶対真っ赤であるに違いない。どうして、こう……イケメンって奴は……。
「分かったから……」
「はい、楽しみにしています」
グランデって、こんなキャラクターだっただろうか。どっちかというと、こういう事をするのは、王子属性のキャラとか騎士キャラだと思うのだが。ライトが席を外していてくれて助かった。そういえば、兵士の人に耳打ちされて、席を立ったライトはどこに行ったのだろう。グランデに聞きたい所だが、今ライトの話をするは良くない気がする。和やかに笑っているグランデの機嫌を損ねる事になりかねない。どうやって話を続けようかとなやんでいると、視界の端に動く何かを見た。
「美味しいですか?」
「おう」
「それは良かったです」
ふわりと笑ったグランデに、胸がときめく。レイルの体の所為だけじゃない。俺自身も嬉しかった。また、こうして一緒に笑い合える事がとても大事だったなんて。
「俺が作ったのより、何倍も美味しい」
「そうですか。それは、大変惜しい事をしました」
俺の答えを聞いたグランデが視線をケーキへと落とした。何か気に触る事を言ってしまったのだろうか。
「ぐら、ルーク。その」
「グレイの作ったケーキは、さぞ美味しいものだったに違いないですね」
「え?」
「私は、なぜか作って貰ったものの方が美味しく感じるのです。それに、これは貴方の作ったのものを真似ただけです」
「そ、そんな事」
「いいえ、そうなんです。また、作って頂けますか? 私の為だけに」
グランデの左手がこちらへと伸びてくる。ゆっくりと近づいてくる手を避けられた筈なのに、俺は避けなかった。口角に触れられる感覚がしたのは、あっという間で、去っていくグランデの指先には白い何かが付着していた。
「あ」
「クリーム、ついていました」
言葉と共にグランデの口の中へと消える指先を見て、顔を伏せた。まるで恋人同士の様な行動に、恥ずかしさが込み上げる。今、顔をあげる訳にはいかない。妙に熱い頬は絶対真っ赤であるに違いない。どうして、こう……イケメンって奴は……。
「分かったから……」
「はい、楽しみにしています」
グランデって、こんなキャラクターだっただろうか。どっちかというと、こういう事をするのは、王子属性のキャラとか騎士キャラだと思うのだが。ライトが席を外していてくれて助かった。そういえば、兵士の人に耳打ちされて、席を立ったライトはどこに行ったのだろう。グランデに聞きたい所だが、今ライトの話をするは良くない気がする。和やかに笑っているグランデの機嫌を損ねる事になりかねない。どうやって話を続けようかとなやんでいると、視界の端に動く何かを見た。
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