死にゲーの世界のキャラに憑依したと思ったら、BL版の世界でした。 ～最悪領主になりきろうとしたが、日本人気質の所為でばれそうです～

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グランデ・エトワールの視点『望まぬ食事』

「休憩しろ」

　マルバールから言われ、強引にレイル様の部屋から追い出された。そう言われても、仕方がない。毒殺未遂事件から、丸一日ずっと付き添っていたのだ。私は、毒殺されそうになった人を置いて、食事に行ける程図太い性格ではない。

「追い出されちまったな」

　そう言いながら、ちびちびとスープを啜る男。ライトもその一人だった。追い出され、仕方がなく食堂で食事をする。二人して、レイル様のベッド近くに居座り続けた結果がこうだ。

「仕方がありませんね。私達、あれから軽く三食抜いてますから」

　そう言いながら、パンを齧る。久しぶりの食事なのに、味気ない。本当ならば、レイル様と一緒に朝食をしている筈なのに。何が悲しくて、ライトと食事を摂らないといけないのだろう。

「先生だって、そうだろ」

「彼は、きちんと栄養剤や軽食を摂取していました」

「そ、そうなのか」

「はい」

「……なぁ」

　こんがりと焼けた肉をフォークで突きながら、こちらを見てくる男を睨みつける。食べ物を粗末にするその行動に少し苛立ちを覚えながらも、耳を傾ける。

「何ですか？」

「約束ってなんだ？」

　何を言ってきたのかと思ったが、レイル様に語りかけていた言葉をこの男は覚えていたようだ。何故だろうか、ライトに何でレイル様とした約束の内容を話さなければならないと思ったのは。

「……私がレイル様と何を約束したっていいじゃないですか」

そうだ。何故言わなければならない。ライトがレイル様と付き合っている訳ではないのに。

「それはそうだが……別に教えてくれたっていいじゃないか」

いつもなら「減るもんじゃないだろ」と笑いながら言いそうなのに、相当堪えているらしい。遠巻きにレイル様の護衛をしているライトからすれば、今回の事は悔しかったのだろう。それは、私も同じ事だが……。

「……ただ、食事を共にしようと約束しただけです」

「そうか……」

少し俯いたライト。その言葉と行動の意味するものはなんだ。

「さぁ、さっさと食って。戻ろうぜ」

　さっきまでの表情を隠す様に、笑ってみせるライトに何を感じたのかよく分からない。この感情を何と言うのだろう。少し痛む胸をそっと撫でた。