絶望の白 〜狼の館から脱出せよ〜

番傘と折りたたみ傘

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仕掛けられていた計画 第四と第五の狼

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 一気に身体が浮遊感に襲われる。視界が高い。あれ? 俺、拓也の肩に担がわれている様だ。

「計画通りに行く」

「分かってる」

 計画? 段々と壁から離れていく。拓也が向かう先、この先は。一気に理性が戻ってくる。この先には行きたくない!!

「やだ!!」

 暴れても関係なしに拓也が進んでいく。俺の悲鳴に気付いた海斗と大地が此方に向かってこようとするが、それを防ぐ様に良太と聖司が動く。

「どけ!!」

「遅い! 早く儀式をしろ!!」

 計画。仕組まれていたのか。良太と聖司が、海斗と大地を封じている間に、拓也と幸平が俺を贄に儀式をする。

 完璧だ。俺だけでは、拓也と幸平に抵抗しても無意味に終わる。それでも、簡単に贄にされてたまるか。俺は、この世界に居たいんだ!

「離せ!!」

「大丈夫だよ。少し気持ちいい事するだけだから」

 にこにこと笑う幸平の顔をぶっ飛ばしてやりたいと思ったのは何度目だろうか。

「すぐに終わる」

 すぐに終わってたまるかと、拓也の背中に拳を叩きつける。
 そんな抵抗も虚しく、簡易の寝台に押さえつけられる。拓也に両手を押さえつけられ、幸平に枷を嵌められる。両手が左右の枷によって自由を失う。両足も枷を嵌めれて動けない。
 一生懸命に両手足を動かして、枷を外そうとしたがびくともしない。

「ダメだ。抵抗したら、皮膚が剥がれてしまう。この枷の内側は何も貼られていないから、痛い事になる」

 拓也が苦しそうに表情を歪めて、枷が嵌められた俺の両手の動きを封じてくる。

「それなら、外してくれ。俺はこの世界に、海斗と大地の側に居たいんだ」

「ごめんな。もう少しだから、我慢してくれ」

 拓也に唇を封じられる。歯を食いしばって中への侵入を防いでいたのに、下半身からの快感で緩んでしまった。その隙を逃すまいと拓也の舌に口腔を舐られる。上顎を舌先でちろちろと擽られる。気持ち良くて、快感に従順な身体が抵抗をやめてしまう。心は嫌だと言っているのに、身体が裏切る。舌が絡み合う感覚に酔いしれてしまう。

「ん、んん、んん!」

 陰茎に滑りを帯びた何かが這う。びりびりとした快感が背筋を通り理性を貫く。根本からゆっくりと焦らす様に裏筋を通り亀頭へと向かう。やっと離れたと思った瞬間に、温かなものに包まれた。裏筋を刺激しながら、扱く動きに支配される。
 快感に埋め尽くされた理性は、考えるのを放棄してしまった。イきたい。それだけが、全てになってしまう。

 段々と早く陰茎を上下に扱かれ、口腔を舐られた俺は崩壊してしまった。
 イかされた頭はぼんやりとしていた。名残惜しいという様に軽いキスが唇と亀頭に落とされた。離れていく二人を見つめる。拓也にキスされ、幸平にフェラされた。幸平の喉元が上下に動く。飲まれた、最悪だ。くそ、あんな苦いもの何で皆んなして飲むんだよ。

 恥ずかしくて、顔を隠したいのに拘束されていてはどうしようもない。
 拓也がスラックスのポケットから、何かを取り出した。それを俺に見せつける様に、前に出す。良太が持っていた小瓶だ。それを見て一気に恐怖が襲ってくる。

「お願いだ! やめてくれ!」

 居たいんだ。海斗と大地がいるこの世界に。彼方の世界なんか行きたくない。自由にならない両手を乱暴に引っ張る。痛みが、まだ俺がこの世界にいるんだって教えてくれる。

「すまない」

 小瓶の蓋を拓也が親指で弾き飛ばす。その行為が、絶望へのカウントダウンになるなんて知らなかった。ゆっくりと拓也の手が小瓶を逆さまにしていく。中身がゆっくりと瓶の口へと向かう。

「海斗! 大地!」

 彼方の世界に連れて行かれてしまう前に愛しい二人へ言いたい。

「愛してるよ」

 そう言葉を口にしたと同時に、小瓶から液体がこぼれ落ちていった。

 あぁ、最後位は二人の姿を見たかった。顔が見たかった。優しく微笑んでくれるその表情が好きだったのに。その温かく撫でてくれる手が大好きだったのに。
 俺の願いは良太と聖司の邪魔で叶わない。泣きたいのは俺なのに、何で拓也と幸平が泣きそうなんだ。
 溢れ落ちる涙より先に、小瓶の中身が床を濡らした。
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