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引けません 多い兄弟

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 大地にお腹を撫ぜられる。その感触に挿れられている大地の屹立が、ここにいると教えられている様に思えた。
 
 「大分、お尻の痛みも治まって様だね。さぁ、今度はあきくんが気持ちよくなろうか」

 振り向いた先にいた大地は、にこにこと笑っていたが、目が笑っていない。やばい、ヤられる。助けを求め海斗を見るが、肩を竦めていた。

「子羊ちゃん。申し訳ないですが海斗と私はノータッチという約束なので、助けられません」

 聖司が本当に困った様な顔をしている。えっ、本当にノータッチなの?

「大地。あの俺、まだ少しお尻痛いんだけど」

「大丈夫、出し入れしないよ。ただ押し込むだけだから」

 待て! それ大丈夫じゃない。

「いやいや! ほら、優しくしてくれるって!」

「言ったね。でもね、無理だよ。こんなに可愛いあきくん見せつけられたら、引くに引けない」

 引こうよ! 誤算だった。海斗へのご奉仕で、大地を煽ってしまう事を計算に入れていなかった。

「あ!」

 ぐっと大地の屹立が俺の最奥を抉る。腰を押し付ける様に、ぐっぐっと抉られていく。
 痛みはない、だがじわじわとした快感が俺を追い詰める。

「あ、あ、ん、くぅ」

 気持ちが良い。海に投げ出された様にふわふわとしてくる感覚に、恐れて何かに縋りたくなる。目の前にある海斗の腹に抱きつき、顔を埋める。
 程よく引き締まっている海斗のお腹は、肌触りが悪い様に見えたがそんな事は無かった。すべすべで頬擦りして居たい程だ。ふわりと香る甘い匂いを吸い込み、安心する。しかし、快感がどんどんとお腹に溜まっていく。

「あきくん、イっていいよ」


 そう言った大地が少しだけ抜き、一気に俺の中へと突き入れてきた。良いところを抉られて、頭の中が真っ白に塗りつぶされた。

「あぁぁあああ!!」

 快感が弾ける。もう、出ないと思った白濁は少量で透明に近かった。
 一気に眠気が襲ってくる。疲れたという体と快楽の許容範囲を超えた頭はもう、眠気に対抗できないほど疲労していたようだ。頭を撫でられる感触とお腹の中に暖かみを感じながら、海斗の膝の上で眠りに落ちていった。


 ここは、何処だろうか。暗い森の中を歩く。散々歩いたのだろうか、体は疲労を感じて、休みたいと言ってくる。
 日が段々と落ちて、もうすぐ夜になってしまう。暗いのは嫌いだ。恐怖が襲ってくる。帰りたい。早く早くと何処へ向かっているのかも分からずに闇雲に走った。それがいけなかったのか、足を踏み外し、急な坂を転げ落ち木にぶつかった。痛い痛いと訴えてくる左足を見ると、折れてしまったのか腫れて動けなかった。泣いても叫んでも森のか誰も来やしない。左足の痛みに耐えられなくなって、意志が飛び飛びに無くなっていく。最後に見えたのは、暗闇に浮かぶ三つの影だった。


 意識が急浮上する。目を開け一番に見えた物は、天蓋だった。周りを見渡すと、どうやら何処かのベットに寝かされている様だ。

 今の夢は、昔の出来事だった。小学校の頃に起こした不注意。母方の祖父母の家の裏の森に迷い込んだ俺は、どうやってだか無事に家に帰って居たんだっけ。なんでだろうか、全てを思い出せない。霧がかかった様にぼやけている。

「あきちゃん。起きたのか?」

 声のする方を見ると、海斗が椅子に座って本を閉じていた。

「何がおこったの?」

「大地にイかされた後、疲れて寝ちゃったんだよ。そこからはアフターして、客室に休ませたんだ」

「そうか」

 上半身を起こす。大分、眠って居たのか頭の中がすっきりしている。体も楽になった。それにアフターしたと言っていた通り、肌やら髪やら綺麗さっぱり、すべすべになっていた。

「お腹すいただろ。軽い物だけど、食べてよ」

 そう言ってテーブルの上に置いてあったお盆を持ってやってくる。

 膝の上に乗せられたお盆の上には、三角おにぎりが三つと漬物、コップ一杯の水が乗せられていた。

「海斗が作ったのか?」

「いや、大地だよ。心配いらない、米と梅とおかかと海苔しか使ってないから。」

「うん。大地は?」

「聖司兄さんと一緒に脱衣所にいるよ」

「そうか」

 正直、寝起きでお腹は空いていない。いや、空いているかも、まだ内臓が起きていない所為で、感じないだけなのかもしれない。
 次に、いつ食事が取れるか分からない。大地の用意した物ならば、大丈夫だろう。おにぎりを手にとり一口頬張る。米に塩が効いていて、海苔と組み合わせが堪らない。美味しい。

「あきちゃんは、旨そうに食うよな」

 そう言った海斗がベットに座ってくる。表情はとても穏やかな笑顔で、胸がきゅんとした。きゅんってなんだよ。そんなんじゃない。頭を振って誤魔化す。

「ゆっくり食ってくれ、鍵が掛かってるから誰もこない」

 海斗は、そう言って持っていた本を広げ読み始めてしまった。どうやら、ゆっくり食べられる様に配慮してくれている様だ。その言葉に甘えて、食事を進めた。

 完食し、水を飲みながら海斗を見る。なんの本を読んでいるんだろうか。

「なぁ、何読んでるんだ?」

「ん? ミステリーだな」

 ミステリーだと! もしかして、この屋敷の問題を考えているのは海斗なのか。

「ここの謎は海斗が考えてるのか?」

「いや、俺じゃない。良太りょうた兄さんと拓也兄さんが考えていた」

 驚いた。てっきり教えられないと言われるかと思っていた。良太兄さんって、まだ兄弟居るのかよ。海斗達は何人兄弟なんだ。

「海斗は六人兄弟なのか?」

「そう。兄が三人、弟が二人。俺は四番目だ。両親は女の子が欲しくて頑張っていたみたいだけど、残念なの事に全て男だった。」

「お父さんとお母さんは今何処に?」

「二人とも死んだよ」

 少し、悲しげに俯く海斗を見て、不謹慎だったと反省した。俺も、ばあちゃんの事を聞かれれば悲しくなるのに。謝らないと。

「ごめん」

「いいんだ。昔の話さ。それより、あきちゃんは? 兄弟いるの?」

 話題を変えられた。これ以上は踏み込むなと言われている様だ。

「俺は一人っ子だよ」

「そうか。あきちゃんみたいな可愛い弟が居たら、俺達も変わったんだろうな」

 何かを含めている言い方が気になるが、聞いても教えてはくれないだろう。

「可愛いくないって!」

「あきちゃんは、可愛いよ。目に入れても痛くない」

 海斗お兄さん。言葉の使い方間違ってますよ。

 海斗の右手が俺の口元に伸びてきた。何かを摘み俺に見せてくる。

「ほら、お弁当付いていますよ」

 そう言って、ご飯粒を海斗自らの口に放り込む。それを見てしまい、俯く。恥ずかしい。なんで、そんな行動ほいほいとやるんだ。

 意を決して、顔を上げ見えた海斗の表情は、愛らしいものが見えて嬉しいという様に、にこにこ笑っていた。気まずくなった俺はまた俯いた。
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