絶望の白 〜狼の館から脱出せよ〜

番傘と折りたたみ傘

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感電注意 誘拐犯が用意した物を食べてはいけない

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 とりあえず、一階の探索前に二階へと行けるか見る必要がある。今までの奴つらのやり方を考えると、階段に何か謎解きがあるかもしれない。先に把握するのが一番だ。

 案の定、二階へ向かう階段途中に、俺の背丈程にかけて鉄線が張り巡らされていた。トゲなどもない為、この位の鉄線なら俺でも外せそうだと思い手を伸ばした。しかし、ある注意書きを見て固まった。鉄線の中央辺りに【感電注意】と書かれた板が括り付けられていた。伸ばしかけた手を瞬時に引っ込める。

 気付かないで触っていたらと思うと寒気がする。普通、ここまでするか。ふと、左の方を見ると小さな箱があった。近づいてみると、そこにはバッテリーと書かれた箱があった。もしかすると、このバッテリーで通電しているのだろうか。バッテリーの上にはスマホと小さな紙が置いてある。手にとり見る。

【スマホの電源を入れ、表示される問いに答えよ。さすれば、電気は止まり先への道開かれる。間違えると、狼が貴方を食べにやってきます】

 スマホを手に取る。某会社が出している至って普通のスマホだ。スマホの右側にあるボタンを長押しし、電源を入れた。

 某会社のマークが出て、普通であれば時間などのメイン画面が出るはずな所が、真っ白の画面になった。因みに、圏外になっていて電話などは掛けれそうもない。

 真っ白の画面の中、問いが表示される。

【かわいいさおをかめらにおさめよ】

 俺は、スマホを持ったまま固まった。……かわいいさおってなんだ?色々と考えてみる。一つおきに読んでみたり、逆に読んでみたり、漢字やローマ字に変換したり様々な方法を考えてみたがしっくりと来ない。まず、【かめらにおさめよ】これは、普通にスマホのカメラで何かを撮れで合っていると思う。だが、問題は【かわいいさお】だ。なんだろう。思いつかない。とりあえず、スマホを持ったまま一階の探索に向かう事にした。もしかすると、一階にヒントがあるかもしれない。

 エントランスに戻り、左右を見比べる。入ってきた扉と反対にもう一つ扉がある。どちらも廊下に繋がっていそうだが、どちらに進むかだ。これは行ったことのない扉に行くべきだろうか。地下を探ったおかげでこの屋敷の構造は大体分かっている。廊下がカタカナのロの形で一周する形だった。その為、どちらから行っても問題は無いと思われる。よし、行っていない方から探って戻ってこようと決めた。

 行っていない方の扉を開け、廊下へと出た。太陽の光のおかげで明るい廊下は、地下に比べとても綺麗に見えた。ワインカラーの絨毯と紺の壁は地下と変わらないが、様々な絵画が飾られている。ゆっくりと見れないのが残念だ。そんな事よりも、所々にある扉を開けて部屋を探索していく。始めにあった部屋は談話室だった。豪華な応接セットに、書棚とお酒が入っていそうな棚があるだけだ。ざっと見たが鍵は見当たらなかった。次の部屋へと向かう。

 扉をそっと開けたとそこは、食堂だった。
 広い部屋の中央に長いテーブルに鎮座し、その周りに椅子が配置されている。俺は、口の中に湧いてくる唾液を飲み込んだ。テーブルの上には沢山の温かな料理が並んでいたのだ。
 グーっとお腹がなった。誘拐されてから何時間たったのか分からないが、何も食べていない胃は食べ物を欲した。誘われる様に足を進める。周りを見たが誰もいない。椅子を引いて、座った。
 目の前にパンと野菜のスープ、鳥の唐揚げに、ステーキ、葉物のサラダ、山盛りの果物等たくさんあった。少しなら、怒られないだろうか。
 パンを手にとった。まだ焼きたてなのだろうか温かいパンを一口ちぎり、口の中に放り込んだ。ふわふわのパンに頬が落ちるほどの美味しさを感じた。喉を通って胃に落ちて行った。
 次に、鳥の唐揚げを一つに手にとり、齧り付いた。程よく温かい唐揚げは、外がサクサクで中は肉汁たっぷりで、美味しく二口で食べてしまった。

 次の食べ物に手を伸ばそうとした時だ。急に体が熱くなっていくのを感じた。変だ。もしかして、毒でも入っていたのだろうか。身体が熱い、呼吸も荒くなっていく。陰茎が緩く立ち上がりワンピースを押し上げて濡らしてしまう。もしかして、媚薬……。

 その時、食堂の扉が開く音がした。
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