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奪われる自分
しおりを挟むそこは客室だった。ふわふわのベットに寝かされ、男が覆いかぶさってくる。
男は俺が着ているワンピースを胸元までめくり上げた。
「真っ白な肌がピンク色に染まって、そそられるよ」
胸の飾りを指弾かれ、押し潰される。胸なんて感じた事なんてなかったのに、くにくにと弄られ、食いしばる唇から時折甘い声が漏れてしまう。
「ん、ん、あぁ! いやぁぁだ!」
片方の胸を指で弄られ、もう片方を舌で舐められる。男がこちらを見ながらニヤニヤと笑い、飾りを舌で弾く。歯で飾りを甘く挟み舌で愛撫されてお腹に快楽が溜まっていく。
「あぁぁ、うんん。ふぁ!」
ちゅっと吸われて、腰が跳ねる。吸われながら、もう片方の飾りを弾かれる。
もう、頭の中は快楽でいっぱいだ。イキたい。出したい。
「イキたいんだね。あきちゃんのここ濡れ濡れだ」
そう言われ自身を見ると、陰茎は立ち上がり蜜を溢していた。
「良いよ。イかせてあげる」
その言葉が俺の耳に入り頭で理解する前に、男は行動に移していた。
陰茎にまた生暖かい刺激を受ける。
裏筋を舐め上げられ、咥え込み啜られる。亀頭を責められ、竿を手で梳かれて一気に快楽を叩き込まれた。
「ん、ほら、ん。イキなよ」
「いやぁ! んん……。しゃ、べるなぁぁぁ、ふぁぁ。だめ、んっんっ、いあぁぁぁ!」
俺は我慢出来ず白濁を吐き出した。
生殺しをされ続けたせいか、絶頂の余韻が長く続いた。頭の中が真っ白で何も考えられない。脱力して手足を動かすのも億劫だ。
「一杯出たねぇ」
男は口から白濁を右手に吐き出し、脱力して抵抗できない俺の左足を男の左肩にかけた。男の前に全てを曝け出した格好にされてしまう。白濁を潤滑として指に絡め、俺の後孔に指を一本差し入れてきた。
異物感とピリッとした痛みが襲う。
「いっ、たぁ……抜け……」
「ダメ~、これからが良いだから」
段々とぐちゅぐちゅとした粘着質な音が響いていく。男の指が何かを探す様に蠢く。ある所を掠めた時、びりびりとした快感が頭を貫く。
「いっ、んん!」
びくびくと身体反らせ快楽を逃がそうとした。だが、男は俺を上半身だけで押さえ込み快楽を逃せない様にしてきた。お腹に快楽が溜まっていく。
「ここ、好きなんだぁ」
耳元で囁き耳殻を甘噛みしながら、くいくいと指を曲げ、その場所を攻め立ててくる。
「やっ、あっ! めてー、あぁん、んっんっ、ふあぁぁ!」
指が三本まで増えた頃には、ぐりぐりと前立腺を刺激され何度も絶頂した身体は痙攣し、頭の中はぐずぐずとした快楽が支配していた。指が突如抜かれ、中がきゅんと寂しげに疼いた。そんな体を無視し、俺はほっとした。やっと終わったと、だがそれも束の間、硬く熱いものをあてがわれた。快楽でぼやけていた頭に一気に恐怖が蘇り、逃げようとした。
「こらこら、ダメだ。気持ち良いから逃げないんだよ」
男に頭を撫でられ宥められる。腰を掴まれ元の位置に戻された。逃げられない様に、俺の両足の間に自らの体を置き、片手で俺の両手を頭上で押さえ込む。顔が近づく、ギラギラとした瞳は獲物を狩る肉食獣の様だった。男は、こう耳元で囁いた。
「いただきます」
ぐぶっと後孔に男の屹立が差し込まれる。みちみちと押し広げ、中へ中へと進んでいく。痛みに叫ぼうと開いた唇に男の唇が重なり口腔を貪られる。
「んんんん!!」
男は俺の中を傷つけない様にする為か、ゆっくりと腰を進めてくる。苦痛で暴れようとしたが、男は全身で俺を押さえ付け身動きを取れない様にした。キスで痛みを誤魔化す様に優しく口腔を愛撫された。お腹の奥にトンっと衝撃を受け気付かされた。とうとう男の屹立を根元まで飲み込んでしまった。
「ふー。入ったよ。あきちゃんの初めて、ご馳走様」
男はさっきまでのギラギラとした表情を引っ込め、幸せそうに笑った。入れて満足したならさっさと抜け。
「くっ、抜いて……。ああ!」
男が腰を押し付け、奥をぐっぐっと突き上げられる。その度にじわじわとした快感に呑み込まれる。
「ダメ。俺まだだしね」
反論させないためか、また唇を奪われる。
「んっ、んっ、んんー!!」
喘ぎが男の口腔へと消えていく。
「中、暖かくて気持ちいい。あきちゃんも気持ち良くて堪らないでしょ」
入り口まで亀頭を残しゆっくりと引き抜かれ、また一気に奥まで挿入される。緩急のある動きで翻弄される。自らの口からあがる甘い声とくちゅくちゅと響く水音に聴覚を犯され、お腹の中から湧き上がる快楽に頭がおかしくなっていく。
男が腰の使い方を変え、俺の弱い場所を擦り上げた。
「あぁぁぁぁ!!」
強い快楽に頭が真っ白になり、陰茎から白濁を吐き出した。
俺がイクのと同時に、男の熱いものを注がれる。全て出しを終えた男のものが名残惜しそうに俺の中をかき混ぜる。残念そうに男のものは抜けて行った。何度もイかされた身体はすぐには動かせなかった。
行為が終われば、どこからともなく持ってきた替えのワンピースを渡された。
「これ着替えとタオルね。水差しとコップは、机に置いておくよ。名残惜しいけど、あきちゃんを犯したら一度報告に戻らないと行けないから。それじゃまた後で捕まえに行くから大人しく捕まってね」
男はニコニコと笑い、スキップしそうな様子で部屋から出て行くかと思いきや、此方を振り向いた。
「あっ俺、海斗って言うんだ。よろしくね! あきちゃん」
海斗は部屋を出て行った。
静かになった部屋。ベットから起き上がると後孔から白濁が伝う感じがして、気持ち悪い。水差しでタオル濡らし身体を拭い、唾液と汗、白濁に汚れた服から綺麗な服に着替えた。
「捕まれば、犯されるってことかよ」
犯されていた時、他人の様に自分を見ていた。嫌がる俺の身体を宥めながら押さえつけて襲ってきた海斗。その男にろくに抵抗出来ず甘い声をあげ快楽に流される俺。ふと、両手の平を見ると濡れていた。ぽたぽたと手のひらに雫が落ち続けている。
「あぁ、そうか……」
俺は泣いているのか。今更、心に恐怖と悲しみが染み込んでくる。怖かった、痛かった、苦しかった。快楽に溺れる自分が自分でない様で辛かった。泣いてる暇なんて無いんだ。
あいつはまた捕まえにくると言っていた。早く逃げなければ、こぼれ落ちる涙を乱暴に拭い立ち上がった。
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