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信仰 俺の神は羊さん

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 意識が浮上していく。目を開けるとそこは俺の部屋だった。どうやらベットに寝かされている様だ。天井からゆっくりと隣りへと視線を移動していくと、大地が椅子に座り目を瞑って寝ていた。椅子から崩れ落ちそうになるとピクリと動き態勢を戻していた。

 そんな大地に手を伸ばし、膝を叩いた。

「わ!」

 それに驚いたのか大地が目を覚ました。

「海斗! 起きたんだね」

 眠そうに目を擦りながら大地がそう言った。

「俺は、いつまで寝てた!? あきちゃんは? どうなったんだ!?」

「落ち着いて。寝てたと言っても三十分位だよ。あきくんは、大丈夫。立ち直ったよ」

「そうか……」

「海斗はもう少し休んでてよ。俺、他の謎を見てくる。」

 大地が立ち上がった。それを腕を掴みとめた。

「大地、俺もいく!」

「でも……」

 大地は聖司兄さんの一撃を受けた俺の体を気にしてくれているようだが、寝てなんかいられない。

「大丈夫だ。心配いらない」

「分かった。無理しないようにしてくれよ」

「分かってる」

 痛む腹を押さえながらもベットから立ち上がった。
 大地と共に部屋を出て、廊下にある隠し通路へ入る。

 隠し通路内を歩きながら、大地と情報交換した。

 大地はちょくちょく監視室へ兄さん達の動向を探っている様で、偶然聖司兄さんと遭遇した彰を監視室から見たとの事だ。彰は食堂で聖司兄さん襲われたそうだ。媚薬入りの食事を強制的に口移しされ、犯されフェラを誘導されたとのことだった。

 許せない。フェラを盗られた事もだが、彰を追い詰めたことが一番我慢ならない。あの時の彰は相当追い詰めらていた。壊れてしまうんじゃないかって不安になった位だ。

 なんとかして、早く逃してやらなければ。

 大地は一階をもう一度探すと言うことだった為、俺は二階の続きを探すことにした。

 隠し通路から二階の客室に出て、部屋の中を探したが特に何も無かった。

 部屋を出て廊下を歩きながら、考えた。聖司兄さんは何を考えているのだろう。謝りつつも俺の為だと言いながら拳を打ってくる。

 分からない。何がどうなっているんだ。 

 くそ! 分からないことに苛立ちを感じた。

 苛立ちを扉にぶつける様に開けた先にいたのは、音に驚き身体を跳ねさせた彰だった。


 酒の入った棚を前に、こちらを驚きながら見ている彰と目があった。

「あきちゃん」

 なんでここにいるんだ……いや、俺のせいだ。考え事しながらぼんやりと歩いたせいで、行き先を間違えてしまった。彰に申し訳なくて、俯いた。

 ここは見なかった事にして、去るべきだろうか。いや、そう言う訳にはいかない。ここに隠しカメラはある。多分良太兄さんは見ているだろう。あまり逆撫でするのは良くない。彰が壊れてしまわない様に優しく抱くしかない。

 そう思って顔を上げると、彰の唇に目が行った。

 あの可愛い口が聖司兄さんのものを咥えたのか……。

 俺も咥えさせてみたいと邪悪な考えが浮かんだ。そんなことしてはダメだ。無理矢理なんて俺の美学に反する。それに、できれば自ら進んで咥えて欲しいと思った。
 俺は馬鹿だ。そんなことありえないのに……。

 それよりも、ふっくらとした唇とキスがしたい。頬を赤らめて可愛く喘ぐ彰がみたいと思ってしまう程、俺は彰の柔からかな身体と優しい心に溺れてしまった。

 俺は卑怯者だ。彰に手を出さない方が良いのに、良太兄さんの所為にして彰を抱く機会を逃さないようにしている。

 彰、ごめん……。

 それでも彰と体を繋げる事ができるこの機会を俺は逃したくない。結ばれる事のない二人の人生が、少し重なったこの奇跡もすぐに終わりを告げるだろう。

 繋がる筈のない心は諦めるから……それまで、どうか体だけでも繋がる事を許して……。



 彰を襲う為、近づいていく。

 焦った表情で迫ってくる俺から逃げようと走り出した彰の動きを読み、手を伸ばした。俺を避けようとした彰の腕を掴み、グッと引き寄せて背中から抱き込み捕らえた。

「離せ! 海斗……あ、んん」

 暴れて抵抗していた彰が段々と力を抜いていく。なんで、抵抗をやめてしまうのだろうか?
 分からないが好都合と思い、ワンピース越しに彰の陰茎を撫で上げた。可愛い喘ぎ声に興奮してしまう。

「あきちゃん、可愛い」

 いつの間にかスーツ越しでも分かる程、勃ちあがった屹立をぐいぐいと彰の尻に押し当てていた。ワンピース越しに彰の乳頭を探し当て、指先でそっと摘まむ。その間も、彰の緩く勃ち上がってきた陰茎を撫でさする。ワンピースの生地が若干湿ってきた。俺の愛撫で気持ち良さそうにしている彰を見ると嬉しくなる。

「ん、あ、あぁ、いやぁぁ……」

 俺の手を外そうとしているのか、陰茎を撫ぜる俺の手に右手を重ねてきた。そんな行動も可愛くて堪らなくなった。もう、直に触りたい。

 撫でていた手を外し、ワンピースを捲り上げる。可愛い彰の陰茎が顔を出し、ワンピースが擦れたのか彰が体を震わせた。彰の右手に手を重ねて、右手ごと彰の陰茎を撫ぜる。
 愛らしい手と可愛らしい陰茎を同時に触っている俺は罪人だろう。手の平全体で彰の右手を撫でながら、指先で亀頭を刺激する。それから上下に扱いていく。くちゅくちゅと水音が響き、頬を赤らめる彰に劣情を煽られる。

 もっと、もっと気持ち良くなって乱れて……。

「気持ちいいね。あきちゃん」

 そう耳元で囁くと、ふるふると首を横に振りながらも喘ぐ彰は可愛いくて堪らない。

「あ、そん、あ、なぁぁ、ん、ん」

 快楽に飲まれ始めた彰は段々と足に力が入らなくなってきたのか座り込もうとしてきた。流石に立ったままでヤるのは彰に負担が掛かる。座り込んでしまう前にお姫様抱っこで、ソファまで運んだ。

 そっとソファに座らせた。ぐったりとソファの背もたれに寄りかかる彰のその姿を見た俺は、この世に神を見た。

 頬を赤らめながら荒い呼吸を整えようとしている彰。真っ白のワンピースに赤く染まったキメの細かい肌、下がった眉に潤んだ瞳、健気に愛撫を待ち侘びて勃ち上がっている陰茎。綺麗に創造された魅力的な両手足。その姿は、扇情的でもあるが、神々しくも見えた。

 あぁ、俺の神はこの子だと今思えた。

 兄さん達が良く分からない神を信仰すると言うのなら、俺は俺の神を信仰するまでだ。
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