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水の謎 お腹が空いた
しおりを挟む二階の応接室へと出た。ここは以前と特に変わりはなさそうだ。そう思ったのだが、重厚感のあるテーブルに上に見た事のないものを見つけた。
小さな宝箱だった。近づいてみると、箱には何かをはめ込む窪みがあり、形は瓢箪の様な形だ。箱のそばに小さな紙が置いてあった。
【箱に嵌めよ。双子の宝。さすれば、次の道開ける。】
双子の宝……何だそれ? 全く分かりやすい謎を考えろよ! 相手は高校生だろ。分かるかこんな問題!
取り敢えず、何かを嵌めろってことだな。それらしき物を見つけたら、ここに持ってこよう。
次の部屋へと向かう。客室だが、家族用の少し広めの部屋だ。部屋に入ると、ベットの上に何かあるのに気が付いた。それはパネルだった。A4サイズのパネルに文字が書かれている。
次の暗号の謎を解け、すれば隣の宝はお前のものだ。
【水る水水しま水と水ろ】と書かれていた。さらに、所々の水の下に↑2、↑2、↓2、↑5、↓1と記されている。
【水 る 水 水 し ま 水 と 水 ろ】
↑2 ↑2 ↓2 ↑5 ↓1
隣の宝……さっきの部屋にあった宝箱か。それなら謎を解かなければならない。頭を捻って考えた。
くそ、分かるか! こんなヒント無しの意地悪問題!
落ち着け……ヒントもなしに彰がこれを解けるとは思えない。何とかして解かなければ……。
何で、水の下に矢印と数字なんだ。と言うことは、水を何とかするのではないだろうか。
上にあげる……下にさげる……。あげると水は……気体か? さげると固体?
だとしても、数字は何だ? 文字数か? いや、1や2はまだいいが、5はどちらにしても当てはまらない。
気体と固体が違うとしたら、水蒸気と氷だろうか。いや、それでも↑5や↓2が当てはまらな……。
ひらがなか!
なるほど、すいじょうきとこおりか。と言う事は答えは【いるいをしまうところ】でクローゼットか!
クローゼットに向かい観音開きの扉を開け、中を漁ったが何もない。
性格の悪い兄さん達だ。絶対に何かある。そう思い、クローゼットの中の床板に指を這わせた時、ふと指先に違和感を覚えた。
僅かな段差がある。ゆっくりと段差に沿って探っていくと、指を掛ける窪みが見つかった。窪みに指を入れて床板を持ち上げると、中には双子の像があった。
やはりあったな。双子の像はそのままにして、ヒントを残して行くことにした。絶望しかないこの屋敷の中で、少しでも彰が明るくなれる様にそう願って。
ボールペンを念の為、持ち歩いていて良かった。
問題のパネルの裏に、走り書きでヒントを書き記した。
【ヒントだ、水は変わる。熱が上がれば何になる。日本人の基本はひらがなだろ。】
これで、彰は分かるだろうか。いや、彰を信じよう。この謎を解いて隣の部屋の宝箱を開けた時、彰は少しでも喜んでくれるだろうか。
喜ぶ彼を思い浮かべて頬が緩んでしまったのは言うまでもない。
パネルを元に戻して、客室を出た時。
ぐうぅぅと腹が鳴った。ここに来てから何も口にしていないし、休憩もなしに動いていた為疲れてきた。
取り敢えず、調理室に行って腹に何か入れよう。
そうだ……彰もお腹空いていないだろうか。俺だって空腹なのに彰はもっと空腹な筈だ。何か作って食べさせよう。
彰は何かが好きなのだろうか。基本的に何でも作れるが、得意な料理は和食だ。煮物とかの仕込みとかしておこうかなぁ。
彰が美味しいって言って笑ってくれたら……絶対天国にイケる!
よし! そうと決まったら調理室へ行こう!
気持ちが高揚し、ついついスキップしてしまった。
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