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イイモノ
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「やはり…桃希くんとは、別の場所に飛ばされたか。」
自分の側には、沙流 そして喜島がまだ、意識が戻らず
鬼ヶ島の砂浜に横たわっている。
「…25年前の時に来た以来か。自分はもう来ることは無いと思っていたけど。」
二人の意識が戻って、
本来の"ももたろうのお供"としての前世の記憶が覚醒するのは、
時間の問題であるのは、自分が嫌という程よく知っている。
自分が25年前そうだった様に。
「…あの時の青鬼が、木崎であるとすると…。」
「…"ももたろうさん"…俺はっ…!!」
沙流…完全にももたろうの供の猿としての記憶が戻ったか。
「…どぅわぁ!?…乾さんここは??」
「…おはよう、沙流。
ここは鬼ヶ島だ。わかるだろ?
その調子だと、全てを思いだしたんだね?」
「…はい。
やっぱり、そうなんですね。ここが鬼ヶ島…。
"自分は自分で無いのかも"と思って居ましたが、何だか色々納得しました。」
何処と無く晴れやかな顔の沙流を横目に、
遠くの方から、強い鬼の気配を感じていた。
「…何かがこっちへ向かってますね。」
「あぁ。鬼側から、仕掛けて来るつもりかもしれないな。」
少し時間が経つと
「うぅーん。…なんで…アンタがっ…そんなことっ…。」
喜島が唸りはじめた。
恐らく、沙流と同じで
供であった時の記憶が戻って来ているんだろう。
鬼ヶ島で前世の記憶が戻るのは、危険だ。
敵の本拠地で覚醒する事になるのだから。
「…"ももたろうさん"行かないでくださっ…!!」
そういうと、喜島はぱっと、目を覚ました。
どうやら、喜島も記憶が戻ったらしい。
「…おはよう…アンタ達…」
「…思い出したんですね、喜島さん。俺も今さっき、思い出しました。」
「俺が何者であるか、
なんで、鬼と戦う力を持っていたのか。なんで、乾さんと一緒に居たのか。」
「納得はするけど、
"アタシは喜島碧たがら。前世は前世"だし。
ここに居るのはアタシの意思。」
前世を知っても、取り乱す事の無い2人で、助かった。
ここで、受け入れず力を暴走させる馬鹿は、過去の自分だけで構わない。
「…このような者達ならば、王が手を汚す事はあり得ない。」
…何処から来たんだ。この赤鬼は。
「2人とも!気を引き締めてかかれ!」
と、2人に言うと構えの形を取った。
「…王からは、殺すなとの命のみ。
犬、今回は暴走しないのね?」
そういって配下らしき鬼も何処からか、現れた。
「…っ!?お前も25年前の生き残りか!?」
木崎とあの人以外にも、あちら側の生き残りが居たとは…。
「…戦う前に"イイモノ"見せてあげるわ。」
そういって赤鬼は、空中に丸い靄のような物を出した。
「これは、王と貴方達のご主人様が、いる所を映す事の出来る、"イイモノ"よ?」
そう言っている間に靄に映る映像が鮮明になってきた。
「…鬼ってこんなことも出来るのか…。」
「いや。恐らく、"あの男の部下だから"出来る事だろう。」
「…あの男って。アタシ達の前にいたアイツですよね?」
【「…そして、
忌み子とて産まれ、
父に本当の事を教えられず、
母との繋がりを引き裂いた男を師匠と尊敬していた
気分はどうだ??」】
【「色々てんこ盛り過ぎだけど…とりあえず、ムカつく。」】
靄に映る映像では、桃希と木崎が対峙して話している。
「忌み子…望まれずに産まれた子供って、事?…桃希にそんな過去が?」
「…あぁ。桃希くんは、半鬼。言わば、鬼と人間のハーフだ。」
【「…んで、他のみんなはドコヘやったんだよ!?」】
【「あんなヤツらを心配するなんて
…慈悲深いんだな、20代目。
先代の山岡太郎と違って。
さっきいた、アカネ。オレの部下…いや。右腕の鬼に任せてある。」】
【「さっさと、この変な靄の中から出たいんだけど?」】桃希が木崎と喋っていてイライラしているのは、手に取るように、分かる。
【「アカネには、『くれぐれも、殺すな』と命令してあるからな。死んではいないと、思うぞ?
なんせ、鬼は人間の数倍の力を持っているから、今頃どうなっている事やら…。」】
此方が無事であることを、桃希に伝えることが、出来ればいいのだが…。
【「…アカネ。此方の様子を共のヤツらに見せて居るんだろう?」】
と此方に目線を合わせると、
「…はい。アオイ様。それではこの者達を、そちらへ移動させて、宜しいでしょうか?」
【「あぁ。頼むよ、アカネ。」】
そういうと、自分達の前にアカネは靄を出現させた。
自分の側には、沙流 そして喜島がまだ、意識が戻らず
鬼ヶ島の砂浜に横たわっている。
「…25年前の時に来た以来か。自分はもう来ることは無いと思っていたけど。」
二人の意識が戻って、
本来の"ももたろうのお供"としての前世の記憶が覚醒するのは、
時間の問題であるのは、自分が嫌という程よく知っている。
自分が25年前そうだった様に。
「…あの時の青鬼が、木崎であるとすると…。」
「…"ももたろうさん"…俺はっ…!!」
沙流…完全にももたろうの供の猿としての記憶が戻ったか。
「…どぅわぁ!?…乾さんここは??」
「…おはよう、沙流。
ここは鬼ヶ島だ。わかるだろ?
その調子だと、全てを思いだしたんだね?」
「…はい。
やっぱり、そうなんですね。ここが鬼ヶ島…。
"自分は自分で無いのかも"と思って居ましたが、何だか色々納得しました。」
何処と無く晴れやかな顔の沙流を横目に、
遠くの方から、強い鬼の気配を感じていた。
「…何かがこっちへ向かってますね。」
「あぁ。鬼側から、仕掛けて来るつもりかもしれないな。」
少し時間が経つと
「うぅーん。…なんで…アンタがっ…そんなことっ…。」
喜島が唸りはじめた。
恐らく、沙流と同じで
供であった時の記憶が戻って来ているんだろう。
鬼ヶ島で前世の記憶が戻るのは、危険だ。
敵の本拠地で覚醒する事になるのだから。
「…"ももたろうさん"行かないでくださっ…!!」
そういうと、喜島はぱっと、目を覚ました。
どうやら、喜島も記憶が戻ったらしい。
「…おはよう…アンタ達…」
「…思い出したんですね、喜島さん。俺も今さっき、思い出しました。」
「俺が何者であるか、
なんで、鬼と戦う力を持っていたのか。なんで、乾さんと一緒に居たのか。」
「納得はするけど、
"アタシは喜島碧たがら。前世は前世"だし。
ここに居るのはアタシの意思。」
前世を知っても、取り乱す事の無い2人で、助かった。
ここで、受け入れず力を暴走させる馬鹿は、過去の自分だけで構わない。
「…このような者達ならば、王が手を汚す事はあり得ない。」
…何処から来たんだ。この赤鬼は。
「2人とも!気を引き締めてかかれ!」
と、2人に言うと構えの形を取った。
「…王からは、殺すなとの命のみ。
犬、今回は暴走しないのね?」
そういって配下らしき鬼も何処からか、現れた。
「…っ!?お前も25年前の生き残りか!?」
木崎とあの人以外にも、あちら側の生き残りが居たとは…。
「…戦う前に"イイモノ"見せてあげるわ。」
そういって赤鬼は、空中に丸い靄のような物を出した。
「これは、王と貴方達のご主人様が、いる所を映す事の出来る、"イイモノ"よ?」
そう言っている間に靄に映る映像が鮮明になってきた。
「…鬼ってこんなことも出来るのか…。」
「いや。恐らく、"あの男の部下だから"出来る事だろう。」
「…あの男って。アタシ達の前にいたアイツですよね?」
【「…そして、
忌み子とて産まれ、
父に本当の事を教えられず、
母との繋がりを引き裂いた男を師匠と尊敬していた
気分はどうだ??」】
【「色々てんこ盛り過ぎだけど…とりあえず、ムカつく。」】
靄に映る映像では、桃希と木崎が対峙して話している。
「忌み子…望まれずに産まれた子供って、事?…桃希にそんな過去が?」
「…あぁ。桃希くんは、半鬼。言わば、鬼と人間のハーフだ。」
【「…んで、他のみんなはドコヘやったんだよ!?」】
【「あんなヤツらを心配するなんて
…慈悲深いんだな、20代目。
先代の山岡太郎と違って。
さっきいた、アカネ。オレの部下…いや。右腕の鬼に任せてある。」】
【「さっさと、この変な靄の中から出たいんだけど?」】桃希が木崎と喋っていてイライラしているのは、手に取るように、分かる。
【「アカネには、『くれぐれも、殺すな』と命令してあるからな。死んではいないと、思うぞ?
なんせ、鬼は人間の数倍の力を持っているから、今頃どうなっている事やら…。」】
此方が無事であることを、桃希に伝えることが、出来ればいいのだが…。
【「…アカネ。此方の様子を共のヤツらに見せて居るんだろう?」】
と此方に目線を合わせると、
「…はい。アオイ様。それではこの者達を、そちらへ移動させて、宜しいでしょうか?」
【「あぁ。頼むよ、アカネ。」】
そういうと、自分達の前にアカネは靄を出現させた。
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