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芽木村が壊滅的な被害を受けてから、
数週間。
はじめて鬼がやって来てから、1ヶ月ほど経っていた。
相変わらず村は、復旧を進めている。
沙流に乾 そして、喜島の3人は
年寄りの多い限界集落だからもあるが、
乾以外は生まれ故郷なので、だれともなく自然と復旧作業を手伝っていた。
そんなある日
オレは、疑問に思っていたことを
オレの家に集まった3人とオヤジに聞いてみた。
「…なぁ。なんで楯築神社の周りに被害が無いんだろうな?」
「確かに。桃希の言う通り、
楯築神社の周りだけ、被害が無いんだよね。」
喜島とオレが話して居ると
「…あぁ。神社だから神力か何かの力が働いて居るんだろうね。」
「…そうですね。なんか、あそこら辺だけ空気が違う気がしますもん。」
なんだろう。この沙流と乾の煮え切らない感じの答え方。
「んで…オヤジはどー思う?」
「…確か、鬼についての文献が有ったと思うぞ。楯築神社に。」
オヤジ、やっぱり何か隠してるな。
「オヤジ、オレに隠してることあるだろ?」
「…さぁな。まぁ、楯築神社で木崎に鬼について聞いてみろ。」
そう言ってオヤジは、自分の部屋に戻ってしまった。
「…桃希くん。今すぐ、行くつもりなんだろ?楯築神社。」
「…あぁ。あそこまで言われて、行かない訳には、いかないだろ?」
「…分かりました。そう言う人ですよね。桃希さんは。」
「…みんなが行くなら、アタシも行くよ。アンタ達じゃ、もしまた鬼が現れても、遠くから攻撃できないからね。」
「何だかんだ言って、お前らも気になるんだろ?」
そう軽口をたたきながら、出かける準備を始めた。
乾 沙流 喜島 とオレは師匠の居る
楯築神社に続く山道を登って
楯築神社へ到着した。
「よく来たね、桃希。それに、沙流くん、喜島ちゃん 久しぶり。」
「「どうも、お久しぶりです。」」
沙流と喜島が師匠に挨拶をした。
「こちらの方が、乾くんかな? 沙流の師匠だよね?」
「…はい。乾忠といいます。」と、深々と乾はお辞儀をした。
「…そんなに、かしこまらないでいいよ。オレは、木崎葵ここ楯築神社の住職と、桃希の剣術指南なんかをしている。宜しくね。」そう言うと、乾と師匠は握手をした。
なんだか、その瞬間だけ空気がピリッとした気がしたのは、気のせいだろう…。
「…ところで、皆でなんの様だ? オレと手合わせにでも来たのか?」
「…いや。鬼に関する文献がココに有るんじゃないかって、来てみたんですけど…。」
「その文献を見たところで、どうするんだ?」
「解らないですけど、とりあえず…芽木で起こっている事が、少しでも解れば…って。」
「…原因が解った所で、
解決策が解った所で
それを止めるつもりか?自分に出来ない事でも。」
「…それは、解んないです。オヤジが何か隠してるのも気になるし、オヤジが鬼の文献について知っていたのも、不思議なんです。」
「…解った。じゃあ、残っている分の文献は持ってきてあげるから、皆で稽古場の中で待っていなさい。」
「ありがとうございます。」
オレ達は、そう言って稽古場で待っていると
師匠が沢山の古びた本や巻物を持って道場に入ってきた。
「読める様な代物は、少ないし読めた所で切れている物もあるからな。」
そう言って、師匠はオレ達の目の前に
本や巻物を置いて行くと
「桃希。オレは、これから街に出るから稽古場の戸締まりはいつも通り宜しく。」
「この本とかは、どうします??」
「稽古場の隅にでも置いて置いてかまわないよ。…じゃあな。」と、師匠は出ていってしまった。
そこから、オレ達は
巻物やら古びた本やらを手分けして探って、鬼について書かれた本を読んでいったけれど、
一向に読める代物は出てこなかった。
その時、一番下にあった古い本が目に止まった。
それを引っ張り出すと、所々破けてはいるけれど、しっかりと読み取れる代物だった。
そこには、芽木村で伝わる桃太郎の昔話も書かれていたけど、
その前に、ある文章が書かれていた。
【 時ハ明治、コノ芽木ニ伝ワル桃太郎トイフ、男ノ話ガ今、御伽話トナロウトシテイル。
ソノ為、我ラハコノ書物ニ
本当ノ桃太郎ノ話ヲ書キ記シ、後ノ人々ニ伝エルコトトスル。
ソノ昔、芽木ノ村ニハ鬼門トイフ人ナラザレシ者ガ我ラノ世界ヘ来ル為ノ門ガ多クアッタ。
芽木ニ居タ人々ハ、人ナラザレシ者達ニハ逆ラワヌ様、日々ヲ過ゴシテイタガ
アル時、村ノ人々ニ悪事ヲ働ク者ガオリ、ソノ者達を退治スル決意ヲシタ男コソ、桃太郎トイフ男デアル。
桃太郎ハ、最モ強イ力ヲ放チ人ナラザレシ者達ガヤッテ来ル 楯築ノ地ニ狙イヲ定メ、ソノ者ヲ多ク統ベル鬼トイフ者達ヲ倒シテイッタ。
ソノ姿ハ供ノ 犬 猿 雉 ノ三匹ト共ニ『神ノ様デアッタ』トイフ村人モ現レタホドデアッタ。
ソシテ、鬼達ヲ退治シ桃太郎ハ、自ラノ命ヲ使イ、ソノ者ヲ封印シタ。
ソノ功績ヲ称エラレ、桃太郎ハ】
この文章の先は、破られ跡が有るだけで続きは、読めなかった。
一つ解ったことは、
桃太郎の昔話は本当に有ったこと
そして、
楯築神社には、鬼門という異次元と繋がっている。
それだけは、確実に解った。
数週間。
はじめて鬼がやって来てから、1ヶ月ほど経っていた。
相変わらず村は、復旧を進めている。
沙流に乾 そして、喜島の3人は
年寄りの多い限界集落だからもあるが、
乾以外は生まれ故郷なので、だれともなく自然と復旧作業を手伝っていた。
そんなある日
オレは、疑問に思っていたことを
オレの家に集まった3人とオヤジに聞いてみた。
「…なぁ。なんで楯築神社の周りに被害が無いんだろうな?」
「確かに。桃希の言う通り、
楯築神社の周りだけ、被害が無いんだよね。」
喜島とオレが話して居ると
「…あぁ。神社だから神力か何かの力が働いて居るんだろうね。」
「…そうですね。なんか、あそこら辺だけ空気が違う気がしますもん。」
なんだろう。この沙流と乾の煮え切らない感じの答え方。
「んで…オヤジはどー思う?」
「…確か、鬼についての文献が有ったと思うぞ。楯築神社に。」
オヤジ、やっぱり何か隠してるな。
「オヤジ、オレに隠してることあるだろ?」
「…さぁな。まぁ、楯築神社で木崎に鬼について聞いてみろ。」
そう言ってオヤジは、自分の部屋に戻ってしまった。
「…桃希くん。今すぐ、行くつもりなんだろ?楯築神社。」
「…あぁ。あそこまで言われて、行かない訳には、いかないだろ?」
「…分かりました。そう言う人ですよね。桃希さんは。」
「…みんなが行くなら、アタシも行くよ。アンタ達じゃ、もしまた鬼が現れても、遠くから攻撃できないからね。」
「何だかんだ言って、お前らも気になるんだろ?」
そう軽口をたたきながら、出かける準備を始めた。
乾 沙流 喜島 とオレは師匠の居る
楯築神社に続く山道を登って
楯築神社へ到着した。
「よく来たね、桃希。それに、沙流くん、喜島ちゃん 久しぶり。」
「「どうも、お久しぶりです。」」
沙流と喜島が師匠に挨拶をした。
「こちらの方が、乾くんかな? 沙流の師匠だよね?」
「…はい。乾忠といいます。」と、深々と乾はお辞儀をした。
「…そんなに、かしこまらないでいいよ。オレは、木崎葵ここ楯築神社の住職と、桃希の剣術指南なんかをしている。宜しくね。」そう言うと、乾と師匠は握手をした。
なんだか、その瞬間だけ空気がピリッとした気がしたのは、気のせいだろう…。
「…ところで、皆でなんの様だ? オレと手合わせにでも来たのか?」
「…いや。鬼に関する文献がココに有るんじゃないかって、来てみたんですけど…。」
「その文献を見たところで、どうするんだ?」
「解らないですけど、とりあえず…芽木で起こっている事が、少しでも解れば…って。」
「…原因が解った所で、
解決策が解った所で
それを止めるつもりか?自分に出来ない事でも。」
「…それは、解んないです。オヤジが何か隠してるのも気になるし、オヤジが鬼の文献について知っていたのも、不思議なんです。」
「…解った。じゃあ、残っている分の文献は持ってきてあげるから、皆で稽古場の中で待っていなさい。」
「ありがとうございます。」
オレ達は、そう言って稽古場で待っていると
師匠が沢山の古びた本や巻物を持って道場に入ってきた。
「読める様な代物は、少ないし読めた所で切れている物もあるからな。」
そう言って、師匠はオレ達の目の前に
本や巻物を置いて行くと
「桃希。オレは、これから街に出るから稽古場の戸締まりはいつも通り宜しく。」
「この本とかは、どうします??」
「稽古場の隅にでも置いて置いてかまわないよ。…じゃあな。」と、師匠は出ていってしまった。
そこから、オレ達は
巻物やら古びた本やらを手分けして探って、鬼について書かれた本を読んでいったけれど、
一向に読める代物は出てこなかった。
その時、一番下にあった古い本が目に止まった。
それを引っ張り出すと、所々破けてはいるけれど、しっかりと読み取れる代物だった。
そこには、芽木村で伝わる桃太郎の昔話も書かれていたけど、
その前に、ある文章が書かれていた。
【 時ハ明治、コノ芽木ニ伝ワル桃太郎トイフ、男ノ話ガ今、御伽話トナロウトシテイル。
ソノ為、我ラハコノ書物ニ
本当ノ桃太郎ノ話ヲ書キ記シ、後ノ人々ニ伝エルコトトスル。
ソノ昔、芽木ノ村ニハ鬼門トイフ人ナラザレシ者ガ我ラノ世界ヘ来ル為ノ門ガ多クアッタ。
芽木ニ居タ人々ハ、人ナラザレシ者達ニハ逆ラワヌ様、日々ヲ過ゴシテイタガ
アル時、村ノ人々ニ悪事ヲ働ク者ガオリ、ソノ者達を退治スル決意ヲシタ男コソ、桃太郎トイフ男デアル。
桃太郎ハ、最モ強イ力ヲ放チ人ナラザレシ者達ガヤッテ来ル 楯築ノ地ニ狙イヲ定メ、ソノ者ヲ多ク統ベル鬼トイフ者達ヲ倒シテイッタ。
ソノ姿ハ供ノ 犬 猿 雉 ノ三匹ト共ニ『神ノ様デアッタ』トイフ村人モ現レタホドデアッタ。
ソシテ、鬼達ヲ退治シ桃太郎ハ、自ラノ命ヲ使イ、ソノ者ヲ封印シタ。
ソノ功績ヲ称エラレ、桃太郎ハ】
この文章の先は、破られ跡が有るだけで続きは、読めなかった。
一つ解ったことは、
桃太郎の昔話は本当に有ったこと
そして、
楯築神社には、鬼門という異次元と繋がっている。
それだけは、確実に解った。
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