遠の朝廷の大王

望月なお

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 ここではもう、私を偽る事に意味はない。鳧流の巡回兵の姿を解き、マントも落とす。如因の髪紐で編み込んで隠した銀の一房を殊更強調するように短い髪を結い上げる。金髪の中に流星のように走る一房は、それだけで私の血を証明するだろう。鈍色の袍に黒の腰紐で細い長刀を固定する。この姿ならばもう、私を私として見間違える者はないだろう。激しい剣劇の音と怒声が聞こえるパータラの執務室の方へ私は急いだ。

 「ほう、漸くの御帰還か」
開け放たれた扉の向こうを確認した途端、ウバナンダはぴたりと私に視線をつける。房の中には剣を構えたウバナンダ、パータラは腹部から夥しい出血がありもう既に事切れているようだった。そして、警戒と私の警護のために鵬乗がじりじりと私の傍に寄る。何か言いたげな視線に私はご免と瞳を伏せる。そしてその足下には、鵬乗の部下が二人事切れていた。残る戦力はウバナンダに対し、鵬乗と私。鵬乗は私を守らねばならない分不利だろうか。
「知っていたの」
不思議と威圧感は感じない。私はかつて言葉を交わした時のまま、そしてもう畏まる必要はないと口調を改めて問う。
「俺が少しも天之原の言葉を理解しないとでも」
その言葉は少し訛ってはいたものの、天之原の民のそれ。
「なんだ、とんだ茶番に付き合わせてしまったようだね」
ああそうか、と私は繋げる。
「あの日、篇丈と私の会話を不粋にも立ち聞いていたのは貴方だったのか」
篇丈が私に、私の血について問いただした日、確かに執務室の扉の外に誰かの気配を感じていた。
「驚いたが、納得もした。それから、せっせと納税を促す書面の改竄に勤しんでいるようだったからな」
「成る程、貴方の方がよっぽどの策士だね」
「この男を殺したいならは、私を調略すれば簡単だったはずだ」
昔からこの男が嫌いでね、と躊躇うことなくウバナンダは言う。それは、紋重が予想したことと同じ。私たちが立てた策はまだ先を歩いていると思いほっとする。
「けれど、それでは貴方もいつか邪魔になるんだ」
私は素直に答える。近付いて来る足音に気を取られていて、私はそちらに気を傾ける。
「それは情の深いことだ。いらなくなってから使い捨てればいいものを」
油断をしていた一瞬を狙って、ウバナンダは私に一足飛びで迫る。何処からか近付いてくる気配に気を取られていたらしい鵬乗も一瞬遅れる。私は腰の刀に手をかける暇もなく目を見開いた時には、目の前にウバナンダの偃月刀が迫っていた。足音ははしたなく高く響き、それは真っすぐに近付いてくる。はっきりと死の予感を感じているというのに、そんなことを気にしている自分がおかしかった。ウバナンダの偃月刀が振り下ろされる瞬間、するりと刀と私との間に入り込んだのは、意外な人物だった。慣性のままに振り下ろされたそれは、私ではなくその人物へと吸い込まれる。
 刀を振り下ろしたことと、思わぬ人物を切ってしまったことで一瞬油断したウバナンダに、今度は鵬乗が果敢に挑む。目の前で二人が刀を合わせて睨合っているのを横目で確認しながら、私の代わりに切られた人物を引き離す。
「篇丈殿」
揺すってはならないと思いながらも、気付けに何度も呼んで頬を軽く叩く。その間にも篇丈の身体は冷や汗が流れ冷たくなっていく。篇丈は肩口を縛って止血しようとする私を拒むように振り払う。
「家臣の傷を手ずから手当をするようなことをしてはいけません」
「そんな場合ではないだろう」
篇丈の袍は、自身の血を含んで見る間に赤く染まっていく。なんとか手当をしようと手を伸ばすが、反対に篇丈に手を取られる。
「貴方が、私の王ならばよかった。如因のことをくれぐれもお願い申し上げます」
うっすらと笑んで、篇丈は言う。まるで遺言のような一言に、私は篇丈を僅かに揺らす。けれど、そのまま目を閉じてしまった篇丈に私は、これ以上できることはない。そして、壁に追い立てられていた鵬乗もそろそろ限界のようだ。篇丈を膝から下ろしてゆっくりと立ち上がる。鈍色の袍が血を含んで重い。けれど、それは私のために今日流れた血の一部だ。私は全てを背負わなければならない。この決着と共に。武術の心得などない。鯉口を切った刀は長めで鞘から抜くにも様にならない。その重さにも違和感があり、この武器を私が恐れていることを知る。鞘に刀身が当たって振動が高い音を立てる。それが引き金になって、一瞬ウバナンダが私に視線を向ける。その隙を鵬乗が見逃すはずもなく間合いに入る。その刀はウバナンダの腕を切り裂いて、ウバナンダは痛みに刀を取り落とす。鵬乗はぴたりと剣先をウバナンダの首元に押しあてて、取り落とした刀を蹴ってウバナンダから遠ざける。鵬乗は冷たい目でウバナンダを見下ろし、ウバナンダはこの状況だというのに気楽に私に話しかける。
「移動して来た鳧流の民を、率いて草原へと戻す人間が必要だと思わないか」
鵬乗が警戒して更に剣先を首元へ近付けるのも気にせず、私に草原に戻ると言う。
「この土地に土着しては、草原の民は生きていけない」
「では何故、この天之原に攻め入った」
聞いたことのないような厳しい声で、鵬乗が問いただす。
「ここでは西から聖者がやってくる、とは言わないようだな」
何、と鵬乗は厳しい声で次を促す。
「西からの侵略者に、我々はそれを理由に土地を明け渡した。愚かなことだ。パータラはああ見えて信心深い」
主を愚ろうするような言に、鵬乗は気に入らないのか目に見えてウバナンダを蔑んでいる。
「俺は反対したのだ。しかし、舵陽があまりにも難なく落ちたのでな」
だが、とウバナンダは続ける。
「兵たちももう戻りたがっている。望む所に住えないことはそのうち大きな不満になる。我等は誇り高き草原の民、所詮は草原以外では生きられないということだ。その男の命とパータラを虐してくれた代価に私は民を連れて天之原を去ろう」
睨付けている鵬乗を横目に私は冷静に考える。それが本当ならば、それは願ってもないことだ。僅かに笑みを浮かべたウバナンダの顔は、油断がならない。けれど、こんな人間を私はもう一人知っている。不空は交渉事でも、不利な時ほど勝ち気に笑む。その時の顔と似ていて、私の決断は鈍る。足下には鵬乗の部下が、篇丈が横たわっている。彼らはもう起き上がらない。彼らに対して私はウバナンダをそのまま返していいものだろうか。だが、それとは反対にウバナンダが率いて帰ってくれなければまた、多く流れ込んだ鳧流の民と天之原の民は長く住処を奪い相争うことになるだろう。それは賢いことではない。鵬乗に確認するように視線を上げる。鵬乗はウバナンダが微動だにしようものなら斬りつけそうな厳しい目で見つめている。
「わかった。鵬乗、彼らを見届けてくれるね」
私の決断に目を伏せて息を付いたのは、ウバナンダの方だった。鵬乗は姿勢を変えずに言葉だけで、
「御意」
と答える。
「なかなか手厳しい」
ウバナンダが私に言って寄越して、私は当り前のように返す。
「商人にとって口約束など、挨拶と変わらない。本当に草原に戻りたいのなら帰ればいい。だがそれは、私の信頼に値するような方法でね」
私は一旦言葉を切る、ゆっくりとウバナンダに近付いて言う。
「私の母はね、君たちの故郷よりも西国の姫だったそうだよ。君たちが次に侵略して来たときは私は手段を選ばないよ」
彼らが信仰的に弱いと言う西国の民を引き合いに出して、あからさまな脅迫を掛ける。虚勢でも何を張ってでも、私は今彼らと一線を引かねばならない。ウバナンダが仕掛けたような笑みを浮かべて、私はなんてことはないように言う。
「覚えておこう。遙遠之君」
ウバナンダは大柄な身体を縮めて礼をとるように畏まる。それを見て、鵬乗が私に頷き返す。

 情勢は決した。

 ※

 篇丈は、あのまま戻らなかった。何故、子供のような年齢の私をして、貴方が私の王ならばよかったなどと言ったのだろう。不空が言う程私の目から見た篇丈は、野心強く王に近しい地位を狙って父を殺したりしたとは思えなかった。そのためか、父殺しの犯人を私は意外と憎んではいないかった。今なら、それが多くの民が殺されれないための理由だったと理解できる。指を躊躇い無く捧げる程に、篇丈は王の忠臣であったはずだ。王の不審故に仮に篇丈が杯に毒を盛って王を虐したとして、それはまるで、王政を天命に問うような行為であったはずだ。その査問の末、王は倒れた。それが篇丈にとっての忠義なのか、それとも、朽ちるしかなくなった国を見限るためであったのか、もうそれすらも篇丈に問うことはできない。篇丈はその功で天之原の民であるのにも関わらず、鳧流側の人間として迎えられた。下級の文官であった者が、思わぬ出世を遂げる。それは、篇丈が少しでも鳧流の言葉を理解した事に起因するのだろう。通訳を持たない彼らに、進んで他民族との話し合いをしようという気はない。勿論、彼らに望めば話し合いの席に着くことは容易いが、私が通訳を勤めた舵陽の例を見ても、それが彼らの何かを抑制するということはなさそうだった。鳧流の民は首領の命が総てだ。ウバナンダがパータラを嫌っていながらも、決してパータラに叛旗を翻すことができなかったように。それでも、鳧流の言葉を理解した篇丈は、何度となく天之原の領地に侵入してくる鳧流に、天之原の領地を主張するために交渉役として立ったはずだ。鳧流側の交渉役として出て来るウバナンダは賢く、そしてそれを理解できるくらい篇丈も賢かった。天之原を踏み散らす程の強い兵力を持った鳧流を、奇しくも鳧流の猛攻にて均衡を崩した天之原が、再び彼らを草原へと押し返すことができない程弱っているのだと篇丈は知っていたのだと思う。多くの民を殺さないために、王がするべきだったのは、忠義の証に指を欲することではなくて、もっと違うことだったはずだった。それを理解できなかった王を、篇丈は指を捧げながら何を思ったのだろう。そしてそれ以上に、王の猶子であったとはいえ、篇丈の娘を鳧流へと嫁すことで事態を収拾しようとした王に、篇丈は絶望したのだろう。篇丈が王殺しを決意したのはその頃ではないかと私は思う。私はもう随分前に妻を亡くしたのにも関わらず、二番目の妻を娶ることなく娘を大切にしてきた篇丈を知っている。猶子になったからとはいえ、それは私が如因を娶れなかったことの代償であって、彼らの父と娘の関係を変えるようなものではなかっただろう。結局、鳧流に嫁すことはなかったものの、後宮に上がった人質同然の娘。そんな状況の中で私ならば何を選ぶだろう。己の保身、一人きりの家族、出世や名誉。離反者が増え続ける宮殿内で、日常が崩れ落ち零れていく。そんなぎりぎりの状況の中で、私とて与えられた祈りさえ全うせず、天之原の大事など知る由もなく諸国を巡っていた。篇丈の罪と私の罪、一体何が違うのだというのだろう。ただ、篇丈は私の父を殺した殺人者だ。けれどもう一つ、私の代わりにウバナンダの剣を受けた命の恩人でもある。何故篇丈は、あの部屋に一人駆け込んできて、何も言わず振り下ろされた剣を私の代わりに受けたのだろう。私がいなくなれば、この王国の血は途絶えたというのに。篇丈は、私の命を自らの命で救うことで、何を守りたかったのだろう。
 臨終の際、譫言のように繰り返した如因のことを思うと胸が苦しくなる。できれば彼女のことは、王とか国とか違うところで、私自身が彼女の身上を助けてあげたいと思う。如因に触れたあの時の気持ちは、子供のころから変わっていない。ただ、私のはこの国にとって既にもう用済であり、何処かへ行ってしまった方が国のためだと思うのだ。かといって、彼女を私の旅に連れていくのは過酷すぎる。小指が腐り落ちる寸前になるまで靴連れを作った最初の旅を思い出す。私が今思い返すならば、懐かしい失敗談だが、私はもう一度同じ旅ができるかと問われれば、即座に私は横に首を振るだろう。私の価値観のほとんどを覆してしまった紗羅虞那都への旅は、やはり厳しく、辛いものだった。子供のころから慣れさせもせず、所々を渡り歩き定住しない生活は郷愁を誘う。芯の通った如因ならば、商人たちの里に馴染み、他の家のように所々を歩く夫を待つ生活もできるかもしれないが、それでも、いつ道中で果てるともしれない私を、商人たちの里で待たせるのもまた、それが如因にとっての幸せになるのか私には分からない。未だ如因は後宮に暮らしている。一度だけの逢瀬。それが私たちにとって何になったのかは分からない。けれど、それが偽りでなかったことだけは確かだった。あれから如因には逢っていない。逢うべきか、逢わずに去るべきか迷っているというのに、それ以上に共に居られる方法はないかと、私は愚かにも考える。

 宮殿内は今、引揚げの準備をする鳧流の一団と鳧流を追い出した側の私たちが同居している不思議な空間だった。一触即発の状況かと思われたが、ウバナンダは采配上手で些細な喧嘩が起こることもなかった。
「葯子、いや遙遠之君と呼んだ方がいいのか」
回廊を歩いていた私を、ウバナンダは呼び止める。
「私は葯子だよ」
反射的に私は返して、ウバナンダとの距離を詰める。鵬乗の手配で彼らの武器は総て押収されていたが、それでも私はウバナンダには適わないと知りながらも、私は特に警戒することもなく近付く。ウバナンダの方も私を身構えさせることもなく、言葉を返す。
「意外と質素な姿をしているのだな」
鈍色の刺繍も何もない袍を纏った私を上から下まで眺めてウバナンダは言う。
「君たち流に言えば、私は何一つ財産を持っていないからね」
総ての財産を身に付ける習慣を持つ鳧流の民に例を取って、私は答える。
「初めて逢った時、私が言った言葉を覚えているか」
ウバナンダは真面目な面差しで私に問う。私は一つ思い当たることがあったが、あえて違う言葉を選ぶ。
「私の髪を綺麗と言ってくれたことかな」
宮殿で通訳をしていた頃とは違い、銀の一房を隠すことなく解き流した髪を手で梳きながら私はウバナンダに視線を向けた。
「そんなことも言ったか。だが、」
言いかけたウバナンダの言葉を私が先に攫う。
「膝を折る姿に違和感を覚える人間は珍しい、かな」
覚えていたのか、とウバナンダが小さく言う。
「私がこの王宮を離れてから、他人から言われる評価のほとんどがそれだったよ。商人には向いていないとね。ならば一体、何になら向いていると言うのだろうね」
言われ慣れたその言葉を、私はあまり好きではない。けれど、紋重も不空でさえもその言葉に、仕方ないと肯定する。そしてウバナンダもまた、それもそうだと頷いた。
「意外と天之原の王なんかが似合いじゃないか」
その服が似合うとでも言うように、ウバナンダがさらりと言う。そして私は、何度も繰り返したこの言葉をもう一度ウバナンダに対して言った。
「私はね、玉座に登るつもりはないんだ」
私自身も、何故この言葉を繰り返しているのか分からない。けれど、私は王家の末子に生まれ、王国の安寧のための祈りを任された身だ。その勤めを私は忘れたことはなく、かつて入道の際に紋重が言ったように何処にあっても私はその祈りを心の中で欠かしたことはなかった。そんなふうに言い切った私に、ウバナンダは曖昧な表情を見せる。
「あと、二、三日でここから我々は引き揚げられるだろう。世話になった」
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