遠の朝廷の大王

望月なお

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 茶盤の上に一人分の茶杯と聞香杯、茶托。茶酌と茶海、茶壷、水盂。薬缶に満たした沸きたての湯。茶盤の上で茶壷に湯を入れて温める。その湯を茶海に戻し、またそれを茶杯と聞香杯に移す。茶器を温める間に茶壷には上等の白牡丹を一匙。新たな熱湯を茶海へと高い所から落とし、湯の温度を僅かに下げる。茶海の湯が適温になったら茶壷へと移し、蓋を閉めて心の中でゆっくりと一、二、三、と数える。茶杯と聞高杯を温めるために満たした湯を茶海へ捨て、聞高杯に茶壷から茶を注ぐ。茶托を用意し、茶を満たした聞高杯と茶杯を配し、香気が移った聞高杯から茶杯へと茶を注ぐ。杯は高貴な牡丹柄。山査子餅を横に添えてそれは部屋の奥に座す男へと差し出された。茶を受け取った男はゆったりと優雅な給仕の動作に苛立ちながら茶杯へと手を伸ばし、一口で干す。そのままお茶請けと手を伸ばし、音をたてて噛み砕いた。給仕はもう一度茶海へと熱湯を落としてから、男が飲み干した杯を下げると、二煎目をいれはじめる。
 給仕はこの宮殿中で一番位の高いこの粗野な男を冷静に見遣る。天之原と呼ばれた国を一月で滅ぼした鳧流の民。西の草原を騎馬で行く者たちだ。天之原の首都、枝夛の宮殿には多くの鳧流が流れ込んでいた。部屋の主が目の前の男に変わってから初めて入ったこの部屋は、以前と変わらずに豪奢な執務机、緋毛氈と大振りな玉に飾られた椅子、贅沢に金の入った紫紺の壁紙に飾られている。男はつまらなそうに執務机に積まれた書類の山を眺めやって、給仕へと話しかける。
「お前、いつか逢ったことがあるな」
給仕は目礼してから声を発すること無く、軽く目を伏せ目礼することで「是」と示す。給仕がこの宮殿の主へと直答することは許されていない。
「商人風情が何故ここで儂の給仕をしている」
給仕は仕方が無いとでもいうようにふと笑みを見せて、男の元へと跪く。
「ウバナンダ様にお召しをいただきました。パータラ様におかれましてはお言葉に難儀されておられる様子にて、私に通訳をと」
交わされる言語はこの地方のものとは大きく異なる西方の訛がある。給仕が操るそれはは柔らかく、パータラに不快感を与えない。
「しかし、通訳として私がパータラ様と共に居れば風聞にも関わりましょう。なれば私を給仕としてお傍に置いて下さればと」
パータラが短く問う。
「名は」
「胡、葯子と申します」
給仕の、美しく伏せた瞼と己の故郷よりも遥か遠い西の民の様な金色の髪とをパータラは満足そうに眺めて、肩へと手を置き、書類の山を一瞥してから当り前のように命じる。
「ならばそれを読み上げろ。それから次の休息にはバター茶が馬乳酒を持て。あのような茶は好まぬ」
「畏まりました」
恭しく給仕は立ち上がり、一歩下がると一礼する。それから一番上に積んであった書類を取り上げると異なる言語の書面を見ているのだとは思わぬ程に朗々と読みはじめた。

 ※

 このような場所にいれば、嫌でも遙遠之君と呼ばれた、幼い頃の思い出が甦る。

 この広大な宮殿に、美しく年若い異国の血を持つ母。十八人目の末の王子ともなれば、国を継ぐ必要も無くただこの鳥籠のような宮殿の中でゆるゆるといつまでも暮らしていくのだと漠然と感じていたし、それについて思うことも無く、兄たちを補佐し支えることに疑問を感じたことも無かった。
 自分が西方の血を色濃く受けていることは、母を知らずしても己の容姿が明白に示していて、だからこそ、自分は紛れも無い故郷にあるというのにも関わらず異邦人だった。彫りの深い顔立ちと、全体的に色素が薄い自分に対して、他の者は総じて象牙の肌と、黒い瞳と髪。そして王家の人間はそれを示すかのように黒髪の中に銀糸の部分を一房持つ。これは、この国の初代の王が肖像画に持つからだ。一房染め抜いている者もいれば、はじめからそのように生まれる者もいる。それが、王家の血を持つ者の印になる。他とは異なる自分の容姿で、子供の時分はたいそう嫌がらせにあったし、唯一同じような容姿を持つ亡国の姫であった母は、身一つでこの国に嫁いでから決して故郷の言葉を許されなかった。しかし、明らかに他と違う容姿は自分を否応でも特別だと認識させた。だからこそこの身に宿った疑念を消せずにいたのかもしれない。

 「おはようございます」
朝の挨拶は乳母だけだった。大きな天蓋が付いた寝台は緩く紗が掛かり、柔らかく朝日を遮る。目覚めには卓子に白茶が用意され、自分で自分の身を繕ったことは無かった。朝食を一人でとり、何がそんなに可笑しいのだろうか笑いさざめき、お召し替えをと迫る女官たちに着替えを受ける。そして、回廊を長く歩いて漸く母の部屋へとたどり着く。
「おはようございます。母上」
「おはようございます。遙遠之君」
この国で唯一自分とよく似た容姿を持つ母は、言葉少なく自分を迎え入れる。人前では決して母は多くを話さない。というより話せないのだ。流れるような手つきで用意されるお茶と、侍女が下がるのを待って、母はこの国の言葉では無い言葉で話し出す。歌うように柔らかな異国の言語は私にとって唯一の外の世界。私は幼く、母が故郷の言語を教える意味すら理解をしていなかったが、それでも、母とだけ話せる言語はどこか秘め事めいていて。嬉しくて私は必死で覚えた。共に食事を取ることも、子守唄を唱ってもらうことも無かったけれどもそれでも私は確固とした愛情を母から感じていた。
「そろそろ御勉強の時間でしょう。お戻りなさいな」
母のその振る舞いにはもう、遠い故郷のそれを感じない。十五で遥々西域の国から嫁いだ母は、その直後に祖国を他国に滅ぼされた聞く。それでもたくましく生きていたのだと思う。しかし、そのささやかな幸福も長くは続かなかった。風邪で臥せると母はそのまま寝台から出られなくなり、そのまま眠るように旅立った。今となっては王宮という魔物に母は殺されたのだと思う。私は母の生きている内にそれに気付き労うことはできなかった。私は十歳で今までで一番悲しい別れを経験した。

 母が亡くなって喪が明ける頃、初めて他の血を継ぐ人間と出逢った。その人は、自分ともそして王国の民とも異なった血を色濃く持つ人間だった。素肌に絹の薄物を身に付け、その上には大振りな襟が付いた上着を重ねる。上着は裾が腰程で、その下は細身のズボンで足を包む。服装も大きく異なっていることながら、流暢な言葉で、
「初めまして、遙遠之君。不空と申します」
と言って、男は十歳の自分の足下に跪いた。褐色の肌に掘りの深い顔立ち、黒髪に黒い瞳を持った見知らぬ血を持つ男だった。

 全てが始まったのはきっとそう、あの男と、出逢ってから。

 不空は長く宮殿に留まったかと思うと、一月も二月も顔を見せず忘れた頃にふらりと現れる。父王と何やら密室に籠り、その後に必ず自分に挨拶を欠かさなかった。十八人目の末子である自分に。今思えばその時にはもう、その後に知らされることは決まっていたことだったのかもしれない。

 「ご無沙汰をしております。遙遠之君」
その日も、半年ぶりの不空の訪問だった。
「不空は私のことを忘れてしまったのかと思った」
当て擦りを言うと不空は、知的な笑顔を見せて私と瞳を合わせる。どうやらこれがこの男の癖のようで、何か重要なことを伝える時には必ずこの癖を出した。
「準備に手間取ってしまいました。これからは当分お傍に」
母が亡くなってから私にとって外の世界を見せてくれる唯一の人。それが不空だった。だから、純粋に傍にいてくれるのは嬉しかったし、彼が歩いてきた西域の話を聞くのが好きだった。まるでそれは、自分の血が故郷を恋しがっているかのように、私は彼に話を強請った。

 だから、不空と共に父王の執務室に呼ばれた時も、特別な一言ではなく、いつものようにささやかな勉学の進行具合や誰かに自分の王子を紹介するような用事だと思っていた。豪奢な執務机、緋毛氈と大振りな玉に飾られた椅子、贅沢に金の入った紫紺の壁紙に飾られた部屋は、父王が座することで完成する。どこからとも無く聞こえる、楽師がゆるりと弾く異国の旋律。それに重なってまるで芝居のように、父王は言った。
「お前に名を授けよう。胡、葯子だ。よいな」
反応のない私を気にするふうも無く、父王は続ける。
「沙羅虞那都に赴き、僧の修行をせよ。行きは不空を付けよう」
沙羅虞那都は遙か西方、行者が修行をする町だ。そして、行きの供を不空にということは、帰りは無い。言外に父王が臭わせたことはそういうことだろう。父の低い声が、何度も巡る。そして、昂った感情に震える唇がやっと言葉を紡ぐ。
「何故っ。何故ですか父君。私は、兄君たちのお手伝いをすることすらお許し頂けないのですか。この髪が、この顔立ちがいけないのですか。それなら何故、私が生まれた時に河にでも流してしまわれなかった」
途中でこぼれ落ちた涙が嗚咽を誘って、途切れ途切れになるのも構わずに叫んだ。父の痛みに歪んだ顔が、まるで自分が悪いことをして窘められているような気になって、それが嫌で私は礼もとらずに部屋を出て部屋まで走った。

 不自由無きように、全てが満ちあふれるようにと与えられた日々。それが終わりを告げる日。私はまだ十三を数えたばかりだった。母の血を強く受けた金色の髪は丁寧に梳り結い上げると白銀色に染め抜いたような一房が僅かに目立つ。その一房こそが、母が王の愛を受けた証であり、自分をこの国が生かす全ての理由だった。けれど、こんなに不意に気に入らないものを手放すように父王に出家を言い渡されるとは思ってもいなかった。これからは当分お供に、と目線を通わせた不空の一言が甦ったが、それよりなりよりも、何故か溢れ出して止まらない涙が誰かに見咎められることが嫌で、乳母に叱られることを承知で着替えもせずに寝台に潜り込んだ。
 
 ※

 「何を惚けている、葯子」
久しぶりに逢ったというのに冷たいな、と妙な一言を付け加えて不空が私の隣に座る。落ち合う約束をした宿屋は、簡素だが清潔で当たりだった。不空は出逢って八年は経つというのに、容姿は殆ど変わらない。当時二十七だと言っていたから、今年三十五の男盛りだ。「元々老け顔だったのか」と覚えたての市井の言葉で伝えたのは沙羅虞那都への旅の途中だったか。いつものように知的に微笑んで、私を夕餉に誘わずに一人だけとっていたのを思い出す。あの時は少し落ち込んだ。そんなことを考えていたのが分かったのか、それとも口元に笑みを浮かんだのを見取ったのか、不空は本格的に葯子の目の前に何度か手をかざして振る。
「王子時代にでも戻っていたのか、戻ってきなさい」
そういってもう一度振るから、そのままその手を捕まえて甲に口付ける。
「親愛の印だよ、不空」
「それは光栄なこと」
と言いながら、嫌そうに不空は目の前にあった布巾で手の甲を拭う。いつものことだ。
「残念、西域のご夫人には好評なのに」
「まあ、葯子のその容姿では仕方ない。精々愛想を振りまいて売り上げに貢献しなさい」
私が目深に被ったフードを落として顔が表れるのを見てから不空は答える。同時に長い髪を絡めた翡翠色の髪紐を解き髪をおろす。何度か頭を振ってやっと落ち着く。砂漠を越えるにはただでさえ日除けに気をつけなければならない。特に、色素の薄い私のような肌を持つものには命取りだ。分かってはいるが、あまり好きではない。
「あの頃は不空がこんなに性格の歪んだ人だとは思っていなかったよ」
あの頃ってどの頃だ、と不空が混ぜ返すので私は初めて会った頃だと言う。
「俺も葯子の性格がこんなに捻るとは思わなかった、昔はあんなに可愛かったのに」
もう熱は出さなくなったか、とからかうように不空が言う。もう慣れたよ、と私は軽く答えて広がった髪を再び翡翠色の髪紐で一つにまとめる。その髪紐に目を止めて、不空は言う。
「まだそれを使っているのか」
「ええ、私の元婚約者の君から頂いたものだからね」
私はそう答えて、お湯を頼むために階下に降りたので、不空の、
「意外と一途だな」
という独り言は耳に入らなかった。
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