光堕ち

グロッキー

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 唇が離される頃には、すっかり俺の息は乱されていた。荒い息をつく唇の間に、唾液の糸が引く。酸欠にでもなったのか頭がぼうっとする。
 するするとレナードの手が下に伸びてきて、がっしりと尻の肉を掴んで遠慮無くぐにぐにと揉みしだいてくる。硬いばかりの尻など揉んで、何が楽しいのか。だがこの男は楽しいらしい。
「そんなことない。君の体、むちむちしててすごく触り心地いいよ。お尻もぷりぷりしてて、でも筋肉の弾力があってさ、うん、すごく好きだよ」
 頬を赤く緩ませて俺の尻を揉むのに夢中になっている。体をすり寄せられ、いつの間にかぴったり寄り添う形になる。褒めているらしいがなんだかむず痒い。
 レナードに瞳にいたずらっぽい光が宿り、俺の足の間にレナードの太ももが割り込んでくる。そのまま、ぐいぐいと股間を圧迫してきた。
「お、おい」
「君、すごくやらしいよ。……続き、するね」
 キスを交えながら、ごそごそと互いの体をまさぐる。肉を揉む手つき、キスの合間に至近距離から俺を射貫く視線、その全てがねっとりとした気配を孕んでいる。本当にこの男は俺をそういう目で見ているんだ。そんな奴の気配に当てられて、直接的な刺激などないのにじわりと体に熱が生まれてくる。
 思わず、俺は体をもぞもぞと動かした。下ろしたままの腕を、背に導かれて抱き合う。
 じゅるりと舌を吸われてとうとう続々と背筋が震えた。レナードが目だけで笑って、緩く兆した俺の陰茎を押した。擦り付けられる胸板に潰された乳首にも甘い痺れが走る。段々と、この男の言ったとおりになってきている。
「はっ、はぁ。お、おかしい、こんなはずは」
「ね、素直になった方が気持ちいいって言ったろ?手っ取り早く入れて出してが全てじゃないんだ。でも……」
「っ!?」
「そろそろ、こっちも欲しいよな」
 飽きずに尻を撫で回していた指が奥の窄まりに擦り付けられる。もう片方の手で尻肉を割り開き、無理矢理開かされた肛門は急な刺激に縮こまって指の腹に吸い付く。きゅんと快楽を知る腹の奥が疼いた。
 レナードは再びローションを手に取り、体勢はそのまま俺の尻の割れ目から流し込んでくる。
 ひくつく孔をぐりぐりと押し込まれ、ぬめりを帯びた指先がずるりと侵入してくる。しかも、二本も。
 遠慮無い動きで中をぐるりと指先が巡り、思わず回した腕に力がこもる。はぁはぁと熱い吐息が止まらない。
「すごいな、こんなにスムーズに入っちゃうなんて、やっぱり慣れてるんだな。熱くて、柔らかくて、ねっとりしてて、吸い付いてくる。今までたくさん、こんなことされてきたの」
「その言い方はよせ……、あ、っ」
「顔真っ赤だよ。かわいい」
 かわいい。かわいいってなんだ。知る限りでは、その単語は俺みたいのに使うような言葉じゃない。
 レナードは俺をかわいい、かわいいと連呼しては、剣だこでごつごつとした指を出し入れしながらローションをつぎ足し、中を解していった。ぐちゃぐちゃと音をたてて、体内でばらばらと指が動く。粘膜ごと肉をこね回される度に、腰がずくずくと疼き重くなる。マスターに尻を暴かれて気持ちいいのは、薬のおかげだと思っていたのに、それがなくてもこんな風になるなんて知らなかった。
 自分の事を愛らしい存在だとはかけらも思わないが、何度も言われると気にならなくなってくる。この男にはそう見えているか、あるいはそう思い込もうとしている。
「声抑えないで、聞かせてくれ」
「は、や、やめろっ。あぁ、あっ」
 耳の中にまで舌がねじ込まれる。ぴちゃ、と間近で音がした。
 指は中を弄ぶように動いてはいるが、まだ肝心の所には触れてこない。もどかしさに前をレナードの腹に擦り付けると、俺と同じく熱くぬめる感触がある。奴の陰茎も既に十分勃起していて、奴の興奮を伝えてくる。冷静さを保とうとしているように見えて、獰猛な雄の光を隠せてはいない。
「わかる?君がやらしいから、俺もこんなになった」
「わ、わかる。お前のチンポ、すごく、熱い」
「意外だな。そんな言い方するんだ」
 そう言いながらより強く腰を押しつけてくる。互いの腹筋で陰茎が圧迫され、鋭い快感とともにますます先走りを吹いて腹を濡らしていく。同時に尻を抉る指も力が増し、俺はもどかしくて甘い声を上げた。
 正気のはずなのに、なんだか自分が自分でないみたいだ。
「ふ、はぁ。ま、マスターが、そう言えって」
「ふぅん。じゃあこっちは?なんて言うんだ?」
 言いながら、三本に増やした指で浅いところをぐちゃぐちゃとかき回される。
「あっ、あぅ、け、ケツマンコとか、雌穴とか……」
「尻のこと雌穴とか言うんだ。あんまり下品な物言いは好きじゃないが、君みたいな一見ストイックそうな奴が言うと、結構クるな」
 確かに、腹に擦り付けられるレナードの陰茎はこれ以上無いほど大きくなっている。ビクビクと動きさえ感じるほど滾っている。
 これが、俺の中に、入るのか。ゴクリと喉が鳴った。
 それなり以上に立派な陰茎で犯されればどうなるのかくらい、薬を朦朧としていたって覚えている。それを思った瞬間に、尻の中が切なくなった。
 俺は、この男が欲しいのだ。浅ましい獣性に従って、欲望を満たして欲しいのではないか。奴の言うとおり、それを表に出せないだけで。だとしても、ずっとマスターの意思だけのために動いてきたのに、今更いきなり素直になれと言われても難しい話だ。
「い、いつまでこうしているつもりだ」
「ん、あぁ。そうだな」
 レナードは一瞬クスリと笑って、行為を始める前の朗らかな笑顔を見せた。だがそれは、俺の尻が勝手に中の指を食い締めたからだろう。口と全く違う体の動きを笑っているに違いない。
 何を思ったか、レナードがベッドに寝転び、その腰の上に俺が跨がる形にされる。重いのではと思ったが、その心配はなさそうで奴はヘラヘラとしている。俺の中から抜けた指はローションと腸液でてらてらと光っていた。尻の谷間にぴたぴたとレナードの陰茎が当たっている。
 この体勢。俺が入れろということか。
「初めてでこれはどうかと思ったけど、素直になってって、お願いだから。君の気持ちいいところ、教えて欲しい。俺のことイかせなくても良いし、君がイくまでとかも考えなくていい。犯されて、相手の気持ちいいようにされるばっかりだったんだろ?君の自由に、君の気持ちいいように、俺を貪ってみないか」
「俺の、自由……」
 良いところに、好きなだけ。さっき決定的な刺激を与えなかったのはこのためか。どくどくと心臓が高鳴る。
 陰茎を戒められ、良いところも一切触れてもらえずにただ中を締めることだけ要求されて、散々中に出された挙げ句一度も絶頂させて貰えなかったことがある。
 先走り一滴出なくなるまで無理矢理絶頂させられ続けたこともある。
 体格の小さな仲間を犯すよう言われ、前だけの快楽だけで事を済ませたりもした。
 思い返せば、当然のことだが、マスターとの行為に俺の意思が介在することなどなかった。全て、マスターの思いのままだ。
 あの時は、マスターに尽くすだけの自分はそれを全く不満には思わなかったはずが、なぜか今それを思い出す。きっと今の俺がそこにいたら、もう嫌だとか、物足りないとか、やりたくないと思うのだろうか。
 魔術師の女の言うとおり、俺の精神は本当に抑えつけられていたのか。なら、今はそれが変わり始めていると最中なんだろうか。
 膝立ちからがに股で立ち、レナードに股間全体を見せつけるように脚を大きく広げる。興奮に満ちた視線が俺の下半身を舐め回していく。腹に着くほどそそり立った陰茎にも、パンパンに張った玉にも、その奥でひくつく雌穴も、全て。その視線で、ますます体が燃え上がるのを感じる。
 入れるところがよく見えるように、片手で尻たぶを開く。もう片方の手は、自分を貫く剛直に添える。
「すっごい、良い眺め」
「うるさい……。入れるぞ」
 ゆっくり息を吐きながら、腰を落としていく。ひくつく肉の穴が緩く開閉しながら太い肉棒を飲み込んでいく。
 狭いところをゆっくりと、しかし容赦なく押し広げられる感覚。体の中から圧迫される苦しさと、粘膜に直接押し当てられる焼けるような体温。生々しい肉の凹凸を余すところなく感じる。それでも、腰を止める事無く全部を飲み込んだ。飲み込む間にカリ首が前立腺をかすめて、あっという間に俺の陰茎は我慢汁でべとべとになった。
 うぅ、とレナードが余裕のない声を漏らす。もっとも、余裕がないのは俺も同じだ。
「うあぁ、すごい。きっつい、なぁ。熱くて、トロトロで、うねってる。・・・・・・歓迎してくれてる?」
「し、知るかっ。う、動くぞ」
 ゆっくりと腰を上下させて、中の陰茎に奉仕を始める。体勢のせいで自然と力が入り、勝手に中のモノを喰い締めてしまう。だが、男を受け入れて悦ぶ俺の雌穴は、うねってレナードを味わおうとしている。
「あ、あぁ、はぁぁっ……」
 腹筋と尻の肉に力を込めながら、ゆっくりと中に慣らすようにゆっくりとしたストロークで腰を上下させる。カリ首の下まで引き抜いて、閉じた肉を割り開いて尻がレナードの腰に着くまで深々と突き刺す。レナードの呻きとともに、中の陰茎がビクビクと震えた。
 相手が感じているのだとわかると、不思議なことに心の隙間が埋まるような、達成感にも似たものが沸いてくる。好きに使われているだけだったら、こんな感情は沸かないだろう。思えば、マスターが俺を犯した時、あの人がどれだけ感じているのかなんて気にしたことが無かった。
「く、ふうぅ、くあっ、あ、あぁぁっ」
 ずっと刺激を欲して疼いていた中のしこりに、意を決して陰茎を押し当てる。腹を反らして、俺の陰茎の根元のもっと奥の方に、幹の太いところをゴリゴリと押し当てると、燃えるような熱と電撃のような快楽が腰全体に広がる。気持ちいい。息をすると甘い声が勝手に出てくる。
 ピクピクと緊張する俺の腰をレナードが優しく撫でた。
「最初はあんなに仏頂面だったのに、今、すごく気持ちよさそうだ。だらしない顔してる。やっぱり、かわいい」
「あ、あぁっ、お、れ、こんな、ぁっ」
「良いよ、そのまま。はぁ、く、そこが好きなんだな」
 ガクガクと頷くくらいでまともに会話するのは無理だった。腰を一回上下させる度に快楽に頭が支配されていく。
 レナードの陰茎は大きさも然る事ながらここにまで筋肉が通っているのではないかというくらい硬く、中を締めれば締めるほどその存在を強く感じる。そんなモノで一心不乱に中を抉り、自分勝手に快楽を追いかけた。奥の良いところまで肉を割り開いて押しつけるのもたまらなく気持ちいい。
 中でぐちゃぐちゃと俺の腸液とレナードの我慢汁が混じってかき回される音がわかる。粘液の滑りを借りてどんどん動きはスムーズになり、俺の腰の動きも激しさを増す。
「あっ、はっ、あ、あぁっ、ひ、い、イく、あ」
 絶頂が近づき、ガクガクと震える腰を必死で奮い立たせる。気を抜くと気持ちよすぎて腰が砕けそうだ。だが意識を保とうとすると動きが鈍ってしまう。仕方なく、ピストンをやめて、奥まで飲み込んで腰を揺する方法に変える。
 レナードの横に手をついて、小刻みに腰を前後させながら自分の陰茎も乱暴に掴んで雑に擦り上げる。
 初めて自分の好きなだけ快楽を貪る快感に、夢中だった。
「ひ、ひぃっ、あ、あ、あぁ」
 イく、と思った瞬間に不随意に直腸が痙攣して、絶頂の波がやってきた。女のように中を責められて達する絶頂の強さに歯を食いしばっても耐えられなくて、みっともなく精液までも吐き出す。
「あっ、すごっ……イく、で、でるっ」
 一歩遅れてレナードの腹筋が震え、体内に熱が吐き出された。ドロドロとした大量の精液が奥まで勢いよく叩きつけられて、直腸をいっぱいに満たす。飛沫が襞に絡みつく、その熱さにまた身震いする。
 張り詰めていた緊張がほどけて、俺はぐったりとレナードの体の上に崩れ落ちた。開放感は凄かったが、騎乗位で動き続けるのは予想以上に堪えた。内股は長いこと慣れない動きを続けたせいでぷるぷると震えている。
 胸を合わせると、汗でじっとりと湿った肌が吸い付いた。
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