22 / 76
実に半年ぶりの映画
しおりを挟む映画館に映画を観に行く。
最近はそんなあたりまえだと思っていたことができなくなっていた。
いつでも行けると思っていたのに、行けないとなって、映画館のない暮らしは、ちょっと淋しいと知った。
映画館を特別な場所だと思ったことなど、なかったのだけれど。
先日、12月にスターウォーズを観に行って以来、実に半年ぶりに映画館へ足を運んだ。
座席の間隔をあけて売られているチケットや、あっちにもこっちにも設置されている消毒薬、売り場にはビニールカーテンが施され、待合スペースは一席ごとについたてが設置されていた。
物々しい雰囲気の映画館にもビックリしたけれど、以前だったら異様だと思うそんな光景に、「ちゃんと配慮してもらっている」と、安全を感じる自分に驚いた。
そんなこんなで、本来ならば3月に公開予定だった、「ドクタードリトル」を観てきた。
ドリトル先生。
小学生の頃、スッコケ三人組のシリーズとともに人気の本で、私も好んで読んだはずなのだけれど、いざどんな内容だったっけと思い出そうとすると思い出せない。ううむと考え、出てきたのは、動物の言葉が話せるお医者さんが動物の治療をするために旅をする、そういうストーリーだったと思う、程度のことだった。
どうしてこう、読んだ本の内容って飛んで行ってしまうんだろう。大好きで何度も読み返している本の結末がどんなだったか、主人公は生きていた、ハッピーエンドだった、くらいしか覚えていないことがあって愕然とすることすらある。
人は忘れていく生き物なのだ。そんなことを常に実感する。
ドリトル先生のこともたくさん忘れてしまっていたけれど、映画、「ドクタードリトル」はおもしろかった。冒険も、動物たちとの関係も、鼻の奥がじんとするような場面も、胸がぐわっと熱くなるような場面も、引き込まれて観た。
もう一度観たいくらい。もう一度、小説を読み返したいくらい。
まだまだ十分注意しなければいけない状態だけれど、映画館は安全にベストを尽くし、開館してくれている。名作の上映に加え、延期になっていた新作の公開も少しずつ始まっている。
できればまたすぐ出かけたい。実に半年ぶりの映画に、思うことはいっぱいだ。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
体育座りでスカートを汚してしまったあの日々
yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。
機織姫
ワルシャワ
ホラー
栃木県日光市にある鬼怒沼にある伝説にこんな話がありました。そこで、とある美しい姫が現れてカタンコトンと音を鳴らす。声をかけるとその姫は一変し沼の中へ誘うという恐ろしい話。一人の少年もまた誘われそうになり、どうにか命からがら助かったというが。その話はもはや忘れ去られてしまうほど時を超えた現代で起きた怖いお話。はじまりはじまり
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる