76 / 90
動物園でぼんやりした悩みごとに対する気づきを得る
しおりを挟むあたたかかったり、寒かったり。
そろそろ半袖を出そうかしら、と思えば翌日は、まだ冬物コートをクリーニングに出してしまったら若干心配だよね、と思ったりしている。
今年は、お花見のビッグチャンスを逃してしまった感じもある。
開花の早さはみんなの予想する通りで、街中で目にする桜を楽しむ機会は早々にゲットできたのだけれど、関東では週末の度にお天気が悪くって、青空に満開の桜、みたいな景色を見に行くことは叶わず、あっというまに葉桜のみどりになってしまった。
まだもう少しのあいだ、人出がMAXにならないように、って、自然がそおっと人間を守ってくれているのかしら。
街ゆく人が増え、なにを着たらいいかのヒントをもらったり、久しぶりの大賑わいに気後れしたり。季節的にも、情勢的にも、人が動き出しているのが感じられる、今はそういうときです。
いいね。私も動き出したい。
動き出したいのだけれど……、そんな思いもまた、あたたかかったり寒かったり。
そうしていつも、気持ちばかりが焦っています。
🌸
先日、千葉市動物公園に遊びに行きました。
少しばかりひんやりとした場所なので、開花のタイミングがずれて、もしかしたらお花見もできるかもしれない、という気持ちと、桜は無理でも野外で食べるお弁当ってめちゃめちゃ美味しいよね、という気持ちで、ときどき遊びに行きたくなる、お気に入りの場所へのお出かけです。
千葉市動物公園といえば、レッサーパンダやハシビロコウ。
最近は、フクロテナガザルも人気なのかしら。
今回、大きな声を出して動きまわっているフクロテナガザルを、拍手をもって喜んで観ているお客さんが、たーくさんいました。
そういう光景に出会ったのは初だったので、ちょっと驚いたけれど、観客に乗せられるかのようにポージングをキメるサルくんを見ることができて、ちょっとラッキー。
あれ、ポージングをキメている動物って、案外たくさんいるんじゃない?
園内をぐるぐる歩いていると、そう思う。
なにかをしていても不意に動作を止めて、「シャッターチャンスは今だよ」、「ハイ、撮って!」なんてアフレコができちゃうくらいの間を作ってくれる動物がいっぱいいる!
まあ、たいていは、あー、いま撮ればよかったー、と落胆することになるのだけれど、でもでも、たしかにそういうことがたくさんある。
すごいなぁ。自分で学んだのかしら。
どんなふうに? どのタイミングで?
みーんな自然そのままか、あるいは、好き勝手にしているようにしか見えないのに。
屋外に作られた岩山の上で、巨大なネコちゃんといった体で寝ているライオン。えさやり体験のこどもたちが差し出すニンジンに知らんぷりをきめこむウサギ。今日のゴリラのローラは、元気がないのか、しょんぼり座っている。園内のそこかしこに、傍若無人の人間がポツポツ。
動物園で、そんなみんなのことを見ていたら、なんとなく腑に落ちる感じがした。なにかがわかった、とかではないのだけれど、そっかぁ、という気持ちになった。
ぼんやりとした、なにがどうだってわからない悩みごとに対する気づきを得たような。
自然とそうなのだ。
ただ在る。そのままにしておく。
どうかしようなんて思っても、どうしようもない。
あえて言葉にするならこんな感じが、答えなのか、解決の糸口なのか、わからないのだけれど、ストンと胸に落ちたようでした。
考えすぎるのは悪い癖。
おまけに年々、弱くなっている。
誰だかわからない、いるのかいないのかわからない誰かに遠慮して、結果、なにもできない、なにもしない。
さらにそれらをなんとかできないものかと考えるはずが、すべてはっきりしない、ぼんやりした悩みごととして常に頭のどこかに渦巻かせている。
それがぜんぶ要らないね、って、理由なく納得できたような。
こういう悩みに煩わされるのは今に始まったことではない。
おなじようなことを、なんだかなぁと漠然と悩み、グルグルグルグル、思考は堂々巡り。それを定期的に繰り返している。
だから今回の感じも、もしかしたらもう何度目かの気づきで、腑に落ちたのに忘れてしまったことかもしれない。
そしてまた、こういうことも、どうしようもない。
いいことを言おうなんて、いつのまにか考えてしまって、結局なにもできないこと。時間は作るものだ、ってわかっているのに、時間がないと思ってしまうこと。わくわく観ているアニメの、漫画の、最後が神との闘いや、神の仕業、神と精神、みたいになってしまうことにモヤモヤすること。そういうことがみんな、どうしようもない。
焦る気持ちも、どうしようもない。
どうしようもないから、そのままにしておこう。
そんな気づきと、予想もしなかったスッキリ感を、なぜか動物園でもらいました。
🌸
今日、家の近くではあるけれど、あまり行かない方角にある公園のそばを歩いて、満開の桜に出会いました。
もしかして、そのままにしておこう、と、スッキリ、または開き直ったから、いいことがあったのかも。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説

ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。



「B1・・・」~小さなレオの奮闘記~
フォアグラ肝臓
エッセイ・ノンフィクション
2025年春、高等支援学校を卒業するレオは、小学生並みの知識と能力しかない知的障害者。
何も知らない、何もできないレオの療育手帳には「B1」の判定が・・・
レオは地元のとある企業に有期雇用の契約社員として入社が内定した。
そこで出会う親方。そして同じ知的障害の同僚N。
仕事と友情、そして親方とのかかわりを通じて成長を遂げていく、小さなレオの成長日記。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。


ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる