ひらたい日々

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動物園でぼんやりした悩みごとに対する気づきを得る

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あたたかかったり、寒かったり。
そろそろ半袖を出そうかしら、と思えば翌日は、まだ冬物コートをクリーニングに出してしまったら若干心配だよね、と思ったりしている。

今年は、お花見のビッグチャンスを逃してしまった感じもある。
開花の早さはみんなの予想する通りで、街中で目にする桜を楽しむ機会は早々にゲットできたのだけれど、関東では週末の度にお天気が悪くって、青空に満開の桜、みたいな景色を見に行くことは叶わず、あっというまに葉桜のみどりになってしまった。
まだもう少しのあいだ、人出がMAXにならないように、って、自然がそおっと人間を守ってくれているのかしら。

街ゆく人が増え、なにを着たらいいかのヒントをもらったり、久しぶりの大賑わいに気後れしたり。季節的にも、情勢的にも、人が動き出しているのが感じられる、今はそういうときです。

いいね。私も動き出したい。

動き出したいのだけれど……、そんな思いもまた、あたたかかったり寒かったり。
そうしていつも、気持ちばかりが焦っています。



🌸



先日、千葉市動物公園に遊びに行きました。
少しばかりひんやりとした場所なので、開花のタイミングがずれて、もしかしたらお花見もできるかもしれない、という気持ちと、桜は無理でも野外で食べるお弁当ってめちゃめちゃ美味しいよね、という気持ちで、ときどき遊びに行きたくなる、お気に入りの場所へのお出かけです。

千葉市動物公園といえば、レッサーパンダやハシビロコウ。
最近は、フクロテナガザルも人気なのかしら。
今回、大きな声を出して動きまわっているフクロテナガザルを、拍手をもって喜んで観ているお客さんが、たーくさんいました。
そういう光景に出会ったのは初だったので、ちょっと驚いたけれど、観客に乗せられるかのようにポージングをキメるサルくんを見ることができて、ちょっとラッキー。

あれ、ポージングをキメている動物って、案外たくさんいるんじゃない?
園内をぐるぐる歩いていると、そう思う。
なにかをしていても不意に動作を止めて、「シャッターチャンスは今だよ」、「ハイ、撮って!」なんてアフレコができちゃうくらいの間を作ってくれる動物がいっぱいいる!
まあ、たいていは、あー、いま撮ればよかったー、と落胆することになるのだけれど、でもでも、たしかにそういうことがたくさんある。

すごいなぁ。自分で学んだのかしら。
どんなふうに? どのタイミングで?
みーんな自然そのままか、あるいは、好き勝手にしているようにしか見えないのに。

屋外に作られた岩山の上で、巨大なネコちゃんといった体で寝ているライオン。えさやり体験のこどもたちが差し出すニンジンに知らんぷりをきめこむウサギ。今日のゴリラのローラは、元気がないのか、しょんぼり座っている。園内のそこかしこに、傍若無人の人間がポツポツ。

動物園で、そんなみんなのことを見ていたら、なんとなく腑に落ちる感じがした。なにかがわかった、とかではないのだけれど、そっかぁ、という気持ちになった。
ぼんやりとした、なにがどうだってわからない悩みごとに対する気づきを得たような。



自然とそうなのだ。
ただ在る。そのままにしておく。
どうかしようなんて思っても、どうしようもない。



あえて言葉にするならこんな感じが、答えなのか、解決の糸口なのか、わからないのだけれど、ストンと胸に落ちたようでした。



考えすぎるのは悪い癖。
おまけに年々、弱くなっている。
誰だかわからない、いるのかいないのかわからない誰かに遠慮して、結果、なにもできない、なにもしない。
さらにそれらをなんとかできないものかと考えるはずが、すべてはっきりしない、ぼんやりした悩みごととして常に頭のどこかに渦巻かせている。
それがぜんぶ要らないね、って、理由なく納得できたような。

こういう悩みに煩わされるのは今に始まったことではない。
おなじようなことを、なんだかなぁと漠然と悩み、グルグルグルグル、思考は堂々巡り。それを定期的に繰り返している。
だから今回の感じも、もしかしたらもう何度目かの気づきで、腑に落ちたのに忘れてしまったことかもしれない。
そしてまた、こういうことも、どうしようもない。

いいことを言おうなんて、いつのまにか考えてしまって、結局なにもできないこと。時間は作るものだ、ってわかっているのに、時間がないと思ってしまうこと。わくわく観ているアニメの、漫画の、最後が神との闘いや、神の仕業、神と精神、みたいになってしまうことにモヤモヤすること。そういうことがみんな、どうしようもない。

焦る気持ちも、どうしようもない。
どうしようもないから、そのままにしておこう。

そんな気づきと、予想もしなかったスッキリ感を、なぜか動物園でもらいました。



🌸

今日、家の近くではあるけれど、あまり行かない方角にある公園のそばを歩いて、満開の桜に出会いました。
もしかして、そのままにしておこう、と、スッキリ、または開き直ったから、いいことがあったのかも。


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