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持ち帰りは少数派
しおりを挟む先日、運転免許の更新をしてきた。
正門前で整理券が配られ、1時間ちょっと後に戻ってきて並びなさい、という免許センターのシステムにびっくりし、周辺地域一体に出現している立ち地蔵、座り地蔵の数にびっくりし、幸いにも空いていた木陰のベンチで持参した本を読んでいたら、あっという間に時間になってしまって大慌て。
心も身体も慌ただしい時間を過ごした。
そして、びっくりと言えば、今回一番びっくりしたのは、講習を終え、新しい免許が交付されたときだった。
講義室で順番に名前を呼ばれて交付される、という形式もちょっとびっくりだったけれど、まあ、これは昨今の現状ではときどきある事態だから、そんなものか、と思う程度。問題は、そのときに、である。
「古い免許証は回収になります。持って帰りたい場合は、新しい免許の受け取りと同時に申し出てください」
アナウンスがあり、これはまた時間がかかりそうだ、なんて思っていたら、予想外に発声する人はなく、どんどんと列が進んでいく。
30人くらいが去ったところでやっと、
「持ち帰ります」
小さな声が聞こえた。
見れば、40代後半から50代くらいだと思われる女性が、内緒話を伝えるような恰好で話していた。
そしてその後はまた、無言の配布が続く。
そうこうしているうちに私の順番が来て、「持ち帰ります!」と伝えた私の声も、小さかったかもしれない。沈黙を破るのは、ちょっと勇気が必要で、遠慮がちに言ってしまったなぁ、と自分でも思う。
ふと、さきほど、先に持ち帰りを宣言した女性と目が合った。
交付を待つ人とは別に、脇に並ばされていた彼女もきっと、私とおなじことを思っただろう。
持ち帰りたい人はこんなに少ないの?
もしかして持ち帰らないものなの? と。
結局、100人以上は居たはずのうち、古い免許証を持ち帰りたいと申し出た人は10人にも満たなかった。
知らなかったよ。持ち帰りが、ここまで少数派だなんて。
持ち帰ったからどうだ、ということはないけれど、持ち帰りができると知った生涯2度目の免許更新からずっと、私は持ち帰りを希望している。
家に戻って確認したら、古い免許証は3枚目となった。一番最初の免許と、なぜか途中1枚が無い。10年前の免許証は、どこにいってしまったのか。。。
まあ、それはそれとして。。。
持ち帰りをした、私を含めた10人にも満たない人たちは、全員、40代から50代といった風体の男女だった。若い人も、もう少し年上の方も、居なかった。これは偶然か。はたまた、年代的ななにかと収集性と、関係があるのか。。。
今回がたまたまこうだったのか。
それともこういうものなのか。
これまでの交付方法では、他の人がどうしているか知る由はなかったから、わからない。
でもとても興味深い。
持ち帰りは少数派なのだろうか。
たぶん、そうなのだろうな。
だとしたらどうして?
持ち帰ったからどうだ、ということはないからかなぁ。
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