ひらたい日々

ちょこ

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来訪者

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遠くで蝉の声がする、お昼時のことだ。
窓際のテーブルでパソコンを前にする私のところに、今日は思わぬ来訪者があった。

急に鳴き声を近くに感じる。
なんだろう、と、カーテンをめくってみると、遠く、たぶん、少し先の公園かどこかで鳴いていると思っていた蝉が、窓の外の手すりに留まり、鳴いていた。
ジジジジジジジ……ミーンミンミンミーン
頭が痛くなるくらいにうるさい。


こんなに至近距離で、鳴いている蝉をみることなんて次はもうないような気がして、観察してみた。
上から見ると、まったく動いていないように見えるのだけれど、ほんの少し下からみると胴体が細かく動いている。その間、羽は若干開かれているようだ。

へーっと思うものの、うるささに耐えきれず、窓をコンコンっとたたいてみた。蝉はびくりともしない。
それならば、と、ちょっと強めに、ゴンゴンとたたいてみた。それでも、まったくへっちゃらと言わんばかりに蝉は鳴き続ける。
仕方ないか。
諦めて、めくっていたカーテンをパラッともどしたら、ジジっといって蝉は飛び去ってしまった。


あの眼は案外、しっかり見えているらしい。

夏休みの宿題として、なにか書けそうな、体験だった。


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