1 / 3
1.形は生めども心は生まぬ
しおりを挟む
ラバナン王国の王都から馬車で約一日の距離になるリャドの町は、さほど大きくない上に深い森に臨んでいるにも関わらず、活気に溢れていた。王都の一歩手前という地の利のため、東から王都へ向かう商人や旅人の休憩地になっているからだ。
町を出て森へ入って約一時間ほど進んだところに魔女の家がある。
この魔女は百年近くここに住んでいたが、ずっと姿が変わらない。十代後半の美しい娘の姿だが当然百歳を超えている。
たいていの魔女は黒や灰色などの暗い色のフード付きマントを纏うが、この魔女デーティアは表地が深紅で裏地が黒のフード付きマントを纏い、黒い服を着ている。
デーティアは母親がエルフ、父親が人間のハーフ・エルフだった。
母親に似ているのは背の高さ、猫のような吊り気味の緑の瞳。父親譲りの渦巻くような赤い髪と人間の耳。
両親から受け継いだ魔力は強く魔力量も多い。宮廷魔導士全員が束になっても敵わない。
こんな力の強い魔女をなぜ宮廷魔導士に据えるべく王宮が動かないかというと、知らないからではない。逆に知られ過ぎて、王宮からは手が出せないのだ。
デーティアは現国王の祖父の姉なのだ。
公にされてはいないものの、王家と重臣たちには周知の事実だ。過去数回の王家の危機に、デーティアはそれを回避する一助となって活躍したのだから。
現国王の父親の醜聞事件の時は、現国王の命をも救った。現国王の妃探しでも活躍したし、近年は王太子の息子ジルリアを救った。
ジルリアの魂が猫の中に封じ込められた事件から、毎年デーティアの家では春と夏の時期に客が来るようになった。
春には子供が三人、夏には母親と子供3人が三週間ほど訪れる。
母親のシャーリー、長男のジル、双子の姉妹アンジーとフラニーだ。
シャーリーは弟の曾孫の嫁と言っているが、実はこの国の王太子妃シャロンなのだ。
ジルはシャロンの息子のジルリア、双子は娘のアンジェリーナとフランシーヌだ。
最初の夏は、母親が双子を産んだ後の静養のためにジルだけが来た。
元々デーティアの家には寝室は一つしかなかった。ジルだけならば一緒に眠ればいい。
しかしジルが帰った後、シャロンから「来年はわたくしもアンジェリーナとフランシーヌを伴ってぜひ行きたい」との要望があった。
父親の王太子フィリップは先の事件から、心身と魔法の鍛錬を課されているため、数年は避暑のための旅行ができないのだ。
それに加えて、双子を産む前にデーティアの家で過ごした日々が楽しかったらしい。
あの時は妊娠中のシャロンに寝室を明け渡して、デーティアとジルは一階の、臨時救護のために用意したベッドを二台入れた部屋で寝ていた。
しかし、ジルに加えてシャロンと双子が来るとあれば、ベッドも部屋も足りない。
そこで家を増築した。
今までの間取りは一階には広いデッキの奥にドア、客を迎え簡単な調合ができる竈付きの部屋、その奥に念のための患者が休むことができるベッドが二台ある部屋、東側に広めの薬の調合室とキッチン、家の裏手はパントリーと浴室、2階は書庫と自分の寝室と広いバルコニー、それに屋根部屋。
増築は北側だ。
一階は東に新しく食事をする場所を広く取ったキッチン、パントリーと浴室を広げ、西側に道具置き場を増設した。
二階は増築した部分を書庫と小さな寝室にして、書庫だった東の部屋を二部屋の寝室にした。
翌年、ここではシャーリーと名乗るシャロンがジルと双子を連れて来た。
シャロンをシャーリー、ジルリアをジルと呼ぶように、アンジェリーナはアンジー、フランシーヌはフラニーと呼ぶことになった。
ジルは昼間はデーティアの守りが届く森や庭で遊び回った。シャーリーはベリー摘みをしたり、デーティアからお菓子作りや料理を習ったりした。
アンジーとフラニーは傍で、デーティアの大きくて白くて毛の長い飼い猫のジルに守られて遊んでいた。
アンジェリーナとフランシーヌは外見はよく似ていても、性格はほぼ正反対だった。
両方赤みがかった金色の髪にロイヤル・パープルの瞳だ。よく見ればアンジーの方が赤みが強い。
アンジーは静かで無口、普段から自分の好みは言わないが芯のしっかりした子供だ。
フラニーはよく動き回りよく喋り、我儘で活発で快活だ。
遊び疲れたジルがアンジーとフラニーと一緒に、開け放したドアから見えるデッキの長椅子で昼寝をしている時だった。
「ここに押し掛けたのはご相談したいことがあったのです」
少し緊張した面持ちでシャリーが切り出した。
「フラニーのことなのです」
デーティアは黙って、薔薇の花びら入りの紅茶を淹れてすすめた。
「フラニーの背中に"王の剣"の痣があるのです」
「ダンドリオン侯爵家の直系によく出るあの痣かい?」
「はい、生まれた時からはっきりと赤く」
「大きいジルリアにもあるよ。フィリパの曾孫だから出てもおかしくないだろうね」
シャーリーは手をぎゅっと握り合わせた。
「女の子ですのに」
「男とか女なんか関係ないよ。それにまだまだ小さい。様子を見るんだね」
シャーリーはデッキの方を見て言った。
「"王の剣"故に気性が激しいのでしょうか?」
確かにフラニーは癇癪持ちだ。まだ1歳なのに自己主張が強い。
「あたしはダンドリオン侯爵家と関係ないけど、ひどい癇癪持ちだよ。気性が激しいのは父方の家系の方も原因だと思うけどね」
デーティアはシャーリーの肩を優しく撫でた。
「まあ、様子を見ようじゃないか。悪いことは矯めて、いいことは伸ばしていこうじゃないかね」
そしてことさら皮肉な調子でデーティアは言った。
「ご覧よ。このあたしの家に、クッキーの壺とドーナツの壺があるんだよ。すっかり孫に夢中な婆じゃないか」
そう言って笑った。
部屋の隅には二つの壺が置いてある。青い方はクッキーが黄色い方はドーナツでいっぱいになっている。
「今じゃあ、町の子供達も喜んで親についてきて、苦い薬でもこのクッキーやドーナツのために飲むんだよ」
「おばあさまのお菓子はおいしいですもの」
二人は笑い合った。
「とにかく、世も人も変わっていくものだよ。起ってもいないことをぐずぐず考えてもしかたなさね」
右手をひらひらさせながら、にやっと笑って見せる。
「フラニーが手に負えなくなったら、あたしがお尻を叩いてあげるよ。なんたってあたしはあの子の父親の両頬を張り倒したんだよ」
子供を起こさないようにくすくす笑い合う。
以来、夏には母親と子供達四人が避暑に訪れ、春の社交シーズンには三人の子供たちがあずけられる。
世話係や子守をつけるという申し出は断った。
部屋の問題ではなく、これ以上は面倒だったのだ。
子供は加護を与えて結界内から出ないようにすればいいと思っていた。しかし子供達はほとんどの時間をデーティアに纏わりついて過ごした。
アンジーとフラニーが5歳になった年に、二人からデーティアとおそろいの赤いフードが欲しいと強請られた。
「それはできないね」
「どうして?」
アンジーが聞く。
「ほしいのよ」
フラニーが言い募る。
「昔からね、赤いフードの可愛い女の子は危ない目に遭うんだよ。二人には違う色で作ってあげようね。来年の春までお待ち」
デーティアが甘やかすとジルも強請った。
「私もおばあさまと同じ何かが欲しいです」
「ジルは来年から魔法の扱いを教えるよ。課題を終えるごとにご褒美をあげようね」
ジルはぱっと顔を輝かせた。
あーあ。あたしも焼きが回ったね。子供がこんなに可愛いなんて。
子供を産まなくても産めなくても、可愛いもんだね。
翌年の春、アンジーとフラニーがデーティアの家に訪れるとさっそくフードが渡された。
「春の風と陽射しで肌が荒れないように、あんたたちもそろそろ気を付けないとね」
そう言って、アンジーにはクリーム色の、フラニーには淡い若草色のフード付きケープを贈った。どちらも縁に手の込んだ刺繍が刺してある。
「そろそろあんた達も淑女教育に身を入れる頃だよ。これもあげようね」
それぞれに森にある蔓で編んだ籠を渡す。
「これは髪に着ける油」と茶色のガラスの瓶。
「肌艶をよくする薔薇水」と陶器の瓶。
「日焼けを防ぐ軟膏。服で隠れないところに薄く塗るんだよ」大人の掌におさまるほどの大きさの、彩色された可愛い貝殻の入れ物。
「そしてこれは針箱。今年からしっかり刺繍を教えるよ」籠の半分を占める木の箱。蓋と側面には花が彫られている。アンジーにはヒナギク、フラニーにはスイカズラだ。
デーティアは決して二人を同じように扱わなかった。
この家で過ごす服はデーティアが縫ったもので、それぞれに違う色とデザインの服を与えた。
共有はさせず、個人の持ち物の区別をはっきりさせた。
「自尊心と尊厳は大切にしないとね」とデーティアは言った。
同じ親から産まれた双子。外見は両親や姉妹同士似ていても、中味は別物だからね。
母親は体を産んだけれど、中身まではどうなるかわからないものさ。
町を出て森へ入って約一時間ほど進んだところに魔女の家がある。
この魔女は百年近くここに住んでいたが、ずっと姿が変わらない。十代後半の美しい娘の姿だが当然百歳を超えている。
たいていの魔女は黒や灰色などの暗い色のフード付きマントを纏うが、この魔女デーティアは表地が深紅で裏地が黒のフード付きマントを纏い、黒い服を着ている。
デーティアは母親がエルフ、父親が人間のハーフ・エルフだった。
母親に似ているのは背の高さ、猫のような吊り気味の緑の瞳。父親譲りの渦巻くような赤い髪と人間の耳。
両親から受け継いだ魔力は強く魔力量も多い。宮廷魔導士全員が束になっても敵わない。
こんな力の強い魔女をなぜ宮廷魔導士に据えるべく王宮が動かないかというと、知らないからではない。逆に知られ過ぎて、王宮からは手が出せないのだ。
デーティアは現国王の祖父の姉なのだ。
公にされてはいないものの、王家と重臣たちには周知の事実だ。過去数回の王家の危機に、デーティアはそれを回避する一助となって活躍したのだから。
現国王の父親の醜聞事件の時は、現国王の命をも救った。現国王の妃探しでも活躍したし、近年は王太子の息子ジルリアを救った。
ジルリアの魂が猫の中に封じ込められた事件から、毎年デーティアの家では春と夏の時期に客が来るようになった。
春には子供が三人、夏には母親と子供3人が三週間ほど訪れる。
母親のシャーリー、長男のジル、双子の姉妹アンジーとフラニーだ。
シャーリーは弟の曾孫の嫁と言っているが、実はこの国の王太子妃シャロンなのだ。
ジルはシャロンの息子のジルリア、双子は娘のアンジェリーナとフランシーヌだ。
最初の夏は、母親が双子を産んだ後の静養のためにジルだけが来た。
元々デーティアの家には寝室は一つしかなかった。ジルだけならば一緒に眠ればいい。
しかしジルが帰った後、シャロンから「来年はわたくしもアンジェリーナとフランシーヌを伴ってぜひ行きたい」との要望があった。
父親の王太子フィリップは先の事件から、心身と魔法の鍛錬を課されているため、数年は避暑のための旅行ができないのだ。
それに加えて、双子を産む前にデーティアの家で過ごした日々が楽しかったらしい。
あの時は妊娠中のシャロンに寝室を明け渡して、デーティアとジルは一階の、臨時救護のために用意したベッドを二台入れた部屋で寝ていた。
しかし、ジルに加えてシャロンと双子が来るとあれば、ベッドも部屋も足りない。
そこで家を増築した。
今までの間取りは一階には広いデッキの奥にドア、客を迎え簡単な調合ができる竈付きの部屋、その奥に念のための患者が休むことができるベッドが二台ある部屋、東側に広めの薬の調合室とキッチン、家の裏手はパントリーと浴室、2階は書庫と自分の寝室と広いバルコニー、それに屋根部屋。
増築は北側だ。
一階は東に新しく食事をする場所を広く取ったキッチン、パントリーと浴室を広げ、西側に道具置き場を増設した。
二階は増築した部分を書庫と小さな寝室にして、書庫だった東の部屋を二部屋の寝室にした。
翌年、ここではシャーリーと名乗るシャロンがジルと双子を連れて来た。
シャロンをシャーリー、ジルリアをジルと呼ぶように、アンジェリーナはアンジー、フランシーヌはフラニーと呼ぶことになった。
ジルは昼間はデーティアの守りが届く森や庭で遊び回った。シャーリーはベリー摘みをしたり、デーティアからお菓子作りや料理を習ったりした。
アンジーとフラニーは傍で、デーティアの大きくて白くて毛の長い飼い猫のジルに守られて遊んでいた。
アンジェリーナとフランシーヌは外見はよく似ていても、性格はほぼ正反対だった。
両方赤みがかった金色の髪にロイヤル・パープルの瞳だ。よく見ればアンジーの方が赤みが強い。
アンジーは静かで無口、普段から自分の好みは言わないが芯のしっかりした子供だ。
フラニーはよく動き回りよく喋り、我儘で活発で快活だ。
遊び疲れたジルがアンジーとフラニーと一緒に、開け放したドアから見えるデッキの長椅子で昼寝をしている時だった。
「ここに押し掛けたのはご相談したいことがあったのです」
少し緊張した面持ちでシャリーが切り出した。
「フラニーのことなのです」
デーティアは黙って、薔薇の花びら入りの紅茶を淹れてすすめた。
「フラニーの背中に"王の剣"の痣があるのです」
「ダンドリオン侯爵家の直系によく出るあの痣かい?」
「はい、生まれた時からはっきりと赤く」
「大きいジルリアにもあるよ。フィリパの曾孫だから出てもおかしくないだろうね」
シャーリーは手をぎゅっと握り合わせた。
「女の子ですのに」
「男とか女なんか関係ないよ。それにまだまだ小さい。様子を見るんだね」
シャーリーはデッキの方を見て言った。
「"王の剣"故に気性が激しいのでしょうか?」
確かにフラニーは癇癪持ちだ。まだ1歳なのに自己主張が強い。
「あたしはダンドリオン侯爵家と関係ないけど、ひどい癇癪持ちだよ。気性が激しいのは父方の家系の方も原因だと思うけどね」
デーティアはシャーリーの肩を優しく撫でた。
「まあ、様子を見ようじゃないか。悪いことは矯めて、いいことは伸ばしていこうじゃないかね」
そしてことさら皮肉な調子でデーティアは言った。
「ご覧よ。このあたしの家に、クッキーの壺とドーナツの壺があるんだよ。すっかり孫に夢中な婆じゃないか」
そう言って笑った。
部屋の隅には二つの壺が置いてある。青い方はクッキーが黄色い方はドーナツでいっぱいになっている。
「今じゃあ、町の子供達も喜んで親についてきて、苦い薬でもこのクッキーやドーナツのために飲むんだよ」
「おばあさまのお菓子はおいしいですもの」
二人は笑い合った。
「とにかく、世も人も変わっていくものだよ。起ってもいないことをぐずぐず考えてもしかたなさね」
右手をひらひらさせながら、にやっと笑って見せる。
「フラニーが手に負えなくなったら、あたしがお尻を叩いてあげるよ。なんたってあたしはあの子の父親の両頬を張り倒したんだよ」
子供を起こさないようにくすくす笑い合う。
以来、夏には母親と子供達四人が避暑に訪れ、春の社交シーズンには三人の子供たちがあずけられる。
世話係や子守をつけるという申し出は断った。
部屋の問題ではなく、これ以上は面倒だったのだ。
子供は加護を与えて結界内から出ないようにすればいいと思っていた。しかし子供達はほとんどの時間をデーティアに纏わりついて過ごした。
アンジーとフラニーが5歳になった年に、二人からデーティアとおそろいの赤いフードが欲しいと強請られた。
「それはできないね」
「どうして?」
アンジーが聞く。
「ほしいのよ」
フラニーが言い募る。
「昔からね、赤いフードの可愛い女の子は危ない目に遭うんだよ。二人には違う色で作ってあげようね。来年の春までお待ち」
デーティアが甘やかすとジルも強請った。
「私もおばあさまと同じ何かが欲しいです」
「ジルは来年から魔法の扱いを教えるよ。課題を終えるごとにご褒美をあげようね」
ジルはぱっと顔を輝かせた。
あーあ。あたしも焼きが回ったね。子供がこんなに可愛いなんて。
子供を産まなくても産めなくても、可愛いもんだね。
翌年の春、アンジーとフラニーがデーティアの家に訪れるとさっそくフードが渡された。
「春の風と陽射しで肌が荒れないように、あんたたちもそろそろ気を付けないとね」
そう言って、アンジーにはクリーム色の、フラニーには淡い若草色のフード付きケープを贈った。どちらも縁に手の込んだ刺繍が刺してある。
「そろそろあんた達も淑女教育に身を入れる頃だよ。これもあげようね」
それぞれに森にある蔓で編んだ籠を渡す。
「これは髪に着ける油」と茶色のガラスの瓶。
「肌艶をよくする薔薇水」と陶器の瓶。
「日焼けを防ぐ軟膏。服で隠れないところに薄く塗るんだよ」大人の掌におさまるほどの大きさの、彩色された可愛い貝殻の入れ物。
「そしてこれは針箱。今年からしっかり刺繍を教えるよ」籠の半分を占める木の箱。蓋と側面には花が彫られている。アンジーにはヒナギク、フラニーにはスイカズラだ。
デーティアは決して二人を同じように扱わなかった。
この家で過ごす服はデーティアが縫ったもので、それぞれに違う色とデザインの服を与えた。
共有はさせず、個人の持ち物の区別をはっきりさせた。
「自尊心と尊厳は大切にしないとね」とデーティアは言った。
同じ親から産まれた双子。外見は両親や姉妹同士似ていても、中味は別物だからね。
母親は体を産んだけれど、中身まではどうなるかわからないものさ。
30
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説

わがままひよこ姫≪赤の魔女は恋をしない5≫
チャイムン
ファンタジー
ハーフ・エルフの魔女デーティアの元に来る子供達も大きくなった。
王太子妃シャロンの心配は尽きず、今度は末娘のベアトリスの問題が持ち上がる。
ベアトリスは赤毛と共に王家の自由を求める性質が強く、「魔女になりたい」と言い出し始めた。
そこでシャロンとデーティアは荒療治を計画する。
全四話

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

デーティアと白い猫≪赤の魔女は恋をしない3≫
チャイムン
ファンタジー
魔女デーティアは町の食堂青い雌鶏亭の大女将ハンナの死後、彼女が可愛がっていた猫をひきとった
最初は青い雌鶏亭の内々の騒ぎをおさめるためだったが、実はその猫は現国王縁の猫だった
王室にも50年あまり前が思い出されるお騒ぎが起こっていたのだ
12話完結

王妃そっちのけの王様は二人目の側室を娶る
家紋武範
恋愛
王妃は自分の人生を憂いていた。国王が王子の時代、彼が六歳、自分は五歳で婚約したものの、顔合わせする度に喧嘩。
しかし王妃はひそかに彼を愛していたのだ。
仲が最悪のまま二人は結婚し、結婚生活が始まるが当然国王は王妃の部屋に来ることはない。
そればかりか国王は側室を持ち、さらに二人目の側室を王宮に迎え入れたのだった。

【完結】引きこもり令嬢は迷い込んできた猫達を愛でることにしました
かな
恋愛
乙女ゲームのモブですらない公爵令嬢に転生してしまった主人公は訳あって絶賛引きこもり中!
そんな主人公の生活はとある2匹の猫を保護したことによって一変してしまい……?
可愛い猫達を可愛がっていたら、とんでもないことに巻き込まれてしまった主人公の無自覚無双の幕開けです!
そしていつのまにか溺愛ルートにまで突入していて……!?
イケメンからの溺愛なんて、元引きこもりの私には刺激が強すぎます!!
毎日17時と19時に更新します。
全12話完結+番外編
「小説家になろう」でも掲載しています。

【完結】隣国の王子の下に嫁いだ姫と幸せになる方法
光城 朱純
ファンタジー
王女が幼い頃から護衛騎士として仕えていたアイシュタルト。
王女への想いは既に護衛騎士のあるべきものを越え、王女の結婚すら素直に祝福が出来ない。
姫を忘れることのできないアイシュタルトは思いもよらぬ命令を受け、我慢できずに国を飛び出した。
姫が嫁いだ国とはまた別の国で生きていこうと決めたアイシュタルトが出会ったのは初めての友人。彼との出会いが、城の中という狭い世界で生きてきたアイシュタルトに、たくさんの感情を与える。
彼との旅は楽しくとも、気にかかるのは姫のこと。姫が嫁いだ国の噂はどれも不穏なものばかり。
姫は幸せに暮らしているのか。
もしそうでなければ、この手に奪い返してしまうかもしれない。
姫を忘れるための旅が、姫を救う旅へと姿を変えていく。
魔法も知識もないただの護衛騎士が、その気持ちを貫いていくーー
表紙はAI様に作成していただきました。

職業『お飾りの妻』は自由に過ごしたい
LinK.
恋愛
勝手に決められた婚約者との初めての顔合わせ。
相手に契約だと言われ、もう後がないサマンサは愛のない形だけの契約結婚に同意した。
何事にも従順に従って生きてきたサマンサ。
相手の求める通りに動く彼女は、都合のいいお飾りの妻だった。
契約中は立派な妻を演じましょう。必要ない時は自由に過ごしても良いですよね?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる