6 / 9
6.発見:焦眉の急
しおりを挟む
「ここはナルデナ公爵邸だわ」
シルアが息を呑んだ。
「少しわかったかもしれません」
シルアが言う。
「ナルデナ公爵家には三人の令息が居て、王位継承権第一位から第三位なのです。このまま国王が世継ぎを成さなければ、長男のカイルが王位に就くのです」
シルアは眉をひそめながら言う。
「でもわからないわ。なぜ女子生徒達が関係するのかしら」
「しっ!」デーティアはシルアを止めた。
「行方不明の生徒の居場所がわかりました。この屋敷の地下です。エリザの部屋の傍」
シルアの顔色が変わる。
「まさか彼女達もエリザと同じ目に!?」
「いいえ」デーティアはシルアの手を握って、自分に見えているものを伝えた。
女子生徒五人は、エリザよりマシな部屋に居たが、魔法で拘束されており意識がなかった。
最初の事件から一か月、最後から半月経つが、健康上は問題がなさそうだ。
「これはおそらく時を止めているのでしょう」
シルアが推察する。
「着衣の乱れもなく、衰弱もしていません。なんのために…」
そこでシルアははっとなった。
「媒介だわ!」
シルアの唇が震える。
「五人を媒介にして何かを…」
ここで考え込んでから遠慮がちに呟く。
「アンダリオが去勢された時の魔法と同じだわ…」
シルアは語った。
宮廷魔導士になるための不妊の儀式には、神殿の無垢な乙女巫女を媒介にしてその力を封じるのだと。
考えられることはひとつだけ。
国王を不妊にして、未来の王位を狙っているのだ。
世継ぎに恵まれなければナルデナ公爵家の長男が王位を継ぐことになる。
「これは明らかな謀反です」
シルアは魔力の素を練り上げて、一羽の白い鳥を出現させた。
「アンダリオ、事は重大です。ナルデナ公爵家に行方不明の娘達が居ます。謀反です。国王の不妊の儀式を行うつもりです。わたくし達はナルデナ公爵を焚きつけて儀式を早めます」
鳥に向かって一気に言うと、鳥は部屋の窓をすり抜けて飛んで行った。
「さあ、わたくし達も行動に出ましょう」
しゃんと姿勢を正したシルアに、デーティアは呆然とした。
行動とは?
「あなたを囮にしてナルデナ公爵を唆して現場を押さえるのです。儀式の準備が整う頃には、王宮から援軍が来ます」
デーティアはまだ呆然としていた。
たったあれだけの伝言でどうして言い切る自信があるのだろう?
師匠に逆らう間もなく、デーティアは学園からナルデナ公爵家の町屋敷へ向かった。
シルアが息を呑んだ。
「少しわかったかもしれません」
シルアが言う。
「ナルデナ公爵家には三人の令息が居て、王位継承権第一位から第三位なのです。このまま国王が世継ぎを成さなければ、長男のカイルが王位に就くのです」
シルアは眉をひそめながら言う。
「でもわからないわ。なぜ女子生徒達が関係するのかしら」
「しっ!」デーティアはシルアを止めた。
「行方不明の生徒の居場所がわかりました。この屋敷の地下です。エリザの部屋の傍」
シルアの顔色が変わる。
「まさか彼女達もエリザと同じ目に!?」
「いいえ」デーティアはシルアの手を握って、自分に見えているものを伝えた。
女子生徒五人は、エリザよりマシな部屋に居たが、魔法で拘束されており意識がなかった。
最初の事件から一か月、最後から半月経つが、健康上は問題がなさそうだ。
「これはおそらく時を止めているのでしょう」
シルアが推察する。
「着衣の乱れもなく、衰弱もしていません。なんのために…」
そこでシルアははっとなった。
「媒介だわ!」
シルアの唇が震える。
「五人を媒介にして何かを…」
ここで考え込んでから遠慮がちに呟く。
「アンダリオが去勢された時の魔法と同じだわ…」
シルアは語った。
宮廷魔導士になるための不妊の儀式には、神殿の無垢な乙女巫女を媒介にしてその力を封じるのだと。
考えられることはひとつだけ。
国王を不妊にして、未来の王位を狙っているのだ。
世継ぎに恵まれなければナルデナ公爵家の長男が王位を継ぐことになる。
「これは明らかな謀反です」
シルアは魔力の素を練り上げて、一羽の白い鳥を出現させた。
「アンダリオ、事は重大です。ナルデナ公爵家に行方不明の娘達が居ます。謀反です。国王の不妊の儀式を行うつもりです。わたくし達はナルデナ公爵を焚きつけて儀式を早めます」
鳥に向かって一気に言うと、鳥は部屋の窓をすり抜けて飛んで行った。
「さあ、わたくし達も行動に出ましょう」
しゃんと姿勢を正したシルアに、デーティアは呆然とした。
行動とは?
「あなたを囮にしてナルデナ公爵を唆して現場を押さえるのです。儀式の準備が整う頃には、王宮から援軍が来ます」
デーティアはまだ呆然としていた。
たったあれだけの伝言でどうして言い切る自信があるのだろう?
師匠に逆らう間もなく、デーティアは学園からナルデナ公爵家の町屋敷へ向かった。
25
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説
召喚された聖女? いえ、商人です
kieiku
ファンタジー
ご依頼は魔物の回収……転送費用がかさみますので、買取でなく引取となりますがよろしいですか?
あとお時間かかりますので、そのぶんの出張費もいただくことになります。
召喚された奴ら、ちょっとおかしくないですか?
ちょい甘党
ファンタジー
日本にある常盤学園と呼ばれるマンモス校。
突如として、その周辺で発生した空間の亀裂に巻き込まれ、世界から姿を消す人々。
気が付くと、そこはアルディアという異世界だった!?
これはアルディアに転移した、変な5人の日常を描いていく物語です。
※「小説家になろう」様との重複投稿になります。
【完結】拾ったおじさんが何やら普通ではありませんでした…
三園 七詩
ファンタジー
カノンは祖母と食堂を切り盛りする普通の女の子…そんなカノンがいつものように店を閉めようとすると…物音が…そこには倒れている人が…拾った人はおじさんだった…それもかなりのイケおじだった!
次の話(グレイ視点)にて完結になります。
お読みいただきありがとうございました。
職種がら目立つの自重してた幕末の人斬りが、異世界行ったらとんでもない事となりました
飼猫タマ
ファンタジー
幕末最強の人斬りが、異世界転移。
令和日本人なら、誰しも知ってる異世界お約束を何も知らなくて、毎度、悪戦苦闘。
しかし、並々ならぬ人斬りスキルで、逆境を力技で捩じ伏せちゃう物語。
『骨から始まる異世界転生』の続き。
クディリエル伯夫人の懺悔
家紋武範
恋愛
私、ジャクソン王太子は婚約者のロレーヌを愛していた。しかし、彼女はその気持ちを利用し、謀反を企んでいたらしい。
私は彼女とその一族を監獄へ送り、結婚の祝福をしてくださる神へ謝罪するため、国教会へと向かった。
そこで、ある婦人の告白を聞いてしまうことになる。
魔女狩り聖女ジャンヌ・ダルク
白崎詩葉
ファンタジー
これは、世界を乱す『魔女』と秩序を守る『聖女』が長く戦い、いくつもの大きな戦争が過ぎた頃の話。
白い炎を操る白の聖女ジャンヌ・ダルクは、日々魔女狩りをこなしていた。
ある日、魔女が住む城に向かう途中に魔獣のブラックドッグに襲撃される中、魔術師のアキセ・リーガンに援助される。
アキセから組まないかと誘われるが、断った瞬間に眠らされる。魔女に売られたと思いきや、助けにきた。
その理由とは・・・
ジャンヌとアキセの最悪な出会いから物語が始まる。
キャッチコピー「聖女は美しく魔女を狩る」
コミカルな「魔女狩り聖女ジャンヌ・ダルク サイドストーリー篇」短編もよろしく
短編でも本編への伏線もありますので、そちらもよろしくお願いします。
小説家になろうでも投稿中
新作『図書館の管理人』 投稿中
【完結】スキルを作って習得!僕の趣味になりました
すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
《ファンタジー小説大賞エントリー作品》 どんなスキル持ちかによって、人生が決まる。生まれ持ったスキルは、12歳過ぎから鑑定で見えるようになる。ロマドは、4度目の15歳の歳の鑑定で、『スキル錬金』という優秀なスキルだと鑑定され……たと思ったが、錬金とつくが熟練度が上がらない!結局、使えないスキルとして一般スキル扱いとなってしまった。
どうやったら熟練度が上がるんだと思っていたところで、熟練度の上げ方を発見!
スキルの扱いを錬金にしてもらおうとするも却下された為、仕方なくあきらめた。だが、ふと「作成条件」という文字が目の前に見えて、その条件を達してみると、新しいスキルをゲットした!
天然ロマドと、タメで先輩のユイジュの突っ込みと、チェトの可愛さ(ロマドの主観)で織りなす、スキルと笑いのアドベンチャー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる