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002.禿十二将 禿如月(はげきさらぎ)
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禿十二将の一人、禿如月(はげきさらぎ)
生家は禿国内で商いを営む『禿尾(はげお)屋』であり、領主の禿家とは古くから取引があったという。
彼は十五歳の頃に士官し、禿家の家臣となった。
商家の出身ということで商業の知識が豊富であった事から特に商業を奨励し、禿城下町の発展に大きく貢献した。
また、内政事業に深く携わるなど禿家を支える人物にまで出世した。
彼のトレードマークとも言えるのが奇妙な造形の被り物である。
彼はこれを『如月のしるし』と呼び、愛用していたという。
ある時、一人の家臣がそんな彼に対して素朴な質問をした。
『禿如月様、何故にその被り物を常に着用なされているのでございますか?』
すると禿如月はこう答えた。
『これは如月のしるしと申してな、被ると我の頭が冴えて次々と名案が浮かんでくるのじゃ。』
『はぁ……頭が冴える……にございますか……』
彼いわく被るだけで頭がすっきりし、色々なアイデアが浮かぶという。
そうした何とも言えぬ抽象的な回答にその家臣は困惑していた。
すると一人の少年が彼らの間に割って入り、声を掛ける。
『禿如月殿、その被り物は実に良き造形にござるな。何だか被ると頭が良くなりそうじゃな。』
その少年は、彼らの主君 禿成雄(はげ なりかつ)の嫡男 禿成益(はげ なります)であった。
まだ元服して間もなかった事もあり、無邪気な表情をしている。
『これはこれは、成益様。拙者の如月のしるしをお褒め頂き、誠に有難き事にございます。』
成益による褒言葉を賜った禿如月が恐縮しながらそう答えていた。
『それにしてもこの如月のしるしの良さを分かって頂けるとは、流石にございますな。』
家臣たちは誰一人として彼の如月のしるしの良さを理解出来ていなかったという。
そんな中で成益ただ一人だけが興味を示してくれたという事もあり、禿如月は天にも昇る気持ちであった。
後にこの被り物は『禿如月の知恵のしるし』と呼ばれ、現代では彼にあやかって同じ造形のものを受験生が被って合格祈願を行う姿が見られる。
生家は禿国内で商いを営む『禿尾(はげお)屋』であり、領主の禿家とは古くから取引があったという。
彼は十五歳の頃に士官し、禿家の家臣となった。
商家の出身ということで商業の知識が豊富であった事から特に商業を奨励し、禿城下町の発展に大きく貢献した。
また、内政事業に深く携わるなど禿家を支える人物にまで出世した。
彼のトレードマークとも言えるのが奇妙な造形の被り物である。
彼はこれを『如月のしるし』と呼び、愛用していたという。
ある時、一人の家臣がそんな彼に対して素朴な質問をした。
『禿如月様、何故にその被り物を常に着用なされているのでございますか?』
すると禿如月はこう答えた。
『これは如月のしるしと申してな、被ると我の頭が冴えて次々と名案が浮かんでくるのじゃ。』
『はぁ……頭が冴える……にございますか……』
彼いわく被るだけで頭がすっきりし、色々なアイデアが浮かぶという。
そうした何とも言えぬ抽象的な回答にその家臣は困惑していた。
すると一人の少年が彼らの間に割って入り、声を掛ける。
『禿如月殿、その被り物は実に良き造形にござるな。何だか被ると頭が良くなりそうじゃな。』
その少年は、彼らの主君 禿成雄(はげ なりかつ)の嫡男 禿成益(はげ なります)であった。
まだ元服して間もなかった事もあり、無邪気な表情をしている。
『これはこれは、成益様。拙者の如月のしるしをお褒め頂き、誠に有難き事にございます。』
成益による褒言葉を賜った禿如月が恐縮しながらそう答えていた。
『それにしてもこの如月のしるしの良さを分かって頂けるとは、流石にございますな。』
家臣たちは誰一人として彼の如月のしるしの良さを理解出来ていなかったという。
そんな中で成益ただ一人だけが興味を示してくれたという事もあり、禿如月は天にも昇る気持ちであった。
後にこの被り物は『禿如月の知恵のしるし』と呼ばれ、現代では彼にあやかって同じ造形のものを受験生が被って合格祈願を行う姿が見られる。
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