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しおりを挟む宰相の部屋なんて初めて入ったよ。
「初めまして宰相閣下。私は」
「いいよ堅苦しいのは…国賓相手とかで十分だから。すまないけど時間が少ないので要点だけでいいかな?」
「わかりました。お嬢さんに求婚の許しをいただけませんか?」
さすがに驚いたか?いや動じないかさすがですね。
ゆっくりお茶を飲みながら笑ってる?
「うんまずは、求婚の条件だけど。まずはあの子は一人娘だしお婿は取ってもこの地位を譲る事はない。」
あたり前だ宰相閣下が築いた地位と私はなんの関係もない。
「そして、公爵領を納める能力がないと判断すれば公爵の爵位は返納する。」
これはなかなか。爵位返納となれば平民だ、貴族では笑い者だろう。幸い副業が上手くいってるので問題ない。
「そして最後に持参金は特にお金に困ってないので物にしてもらおうと思っている。」
爵位返納していいと言うくらいだから興味はないのだろう。
「私の欲しい物は民の命が救える物。いいかえれば有事の際に国を救える物だ。」
…これはなるほど。婚約者が出来ない訳か。
いや?作らないのか?公爵はもともと今の王弟に当たる。普通家臣に婿養子なり、名ばかりの爵位がもめなくていいが。
この公爵は信用と能力から、王家の領土を分け与える形でたまわっている。
このまま返せば、腐らせていた土地を繁栄させるために預かっていたようなものだ。
むしろそれが有難い。
争いに巻き込まれず彼女とゆっくり生活するのもありだ。
「わかりました。それでは私の商会をお使いください。」
「商会?」
「はい。他国の方につてがあるおかげで、今のとこ順調に商会が育っております。この国のため利益は二の次で商売させていただきます。」
「例えば?」
「塩や小麦の値段をできる限り一定に。薬りが常に買えるように。」
「どうやって?」
「塩の値上がりは他国に左右されやすいですね。高く売れるならそちらで高く。余るようであれば値段を下げる。余らないなら価格をあげたままで売る。こんな感じですね。仕入れるから影響されるなら、自分達で作ればいい」
「ほうだが、塩の製作は大体が国の事業だと思うが?」
「確かにそうですね。ですが、禁止されてるわけではないですよね?小麦は逆ですね。不作豊作などはどうにも出来ない。ではなるべく広く遠くまで、価格が安い時に買い高いところで売るこれを出来ればおおよそ安定した値段にできます。」
「飢饉はどうする?」
「もちろん常に供えて蓄えますね。仕入れてもそのまま売れるわけではないので。一度倉庫集め、販売が決まって売りに運ぶのですから。薬は塩と小麦の方法のどちらもとりますね。」
「なるべく広く遠くはどこまで?」
「今は8か国ですがこのまま行けば大陸全土で…」
「恐ろしいね。君がティアに惚れてくれて良かったよ。」
「条件は満たしましたか?」
「十分だ。許可は出すけど。決めるのはあの子だよ。」
「ありがとうございます。では失礼します。」
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