おしが想像と違います

いつき

文字の大きさ
上 下
6 / 39

閑話・妹が想像の斜め上を行くのですが

しおりを挟む

 僕の妹が明日からノブレス学園に入学する。
今日はお母様と最後のシュギョウなのだそうだ。
なるべく妹との時間を取りたいが。
公爵家の跡取りとして最近忙しい。

 妹は正直賢くは感じられないが、成績はかなり優秀だ。
兄として劣る訳にはいかにので、学園に入学と同時にお父様に付いて仕事の勉強をさせてもらっている。

僕が入学する時はシュギョウなんてなかったので、気になって見に来てみた。

「……」

「そう!あなたは石。あなたは石よ!動かない!叫ばない!呼吸は止めないで、呼吸をする石よ。そう、そのまま道端にたたずむ、気品の有る石。人を不快にさせる石になってはダメよ。追い出されてしまうから。」

「……」

「いいわ。素敵な石になれてる。最後のテストよ。」

 お母様が庶民で流行ってるラブロマンスの本を取り出した。
妹が初めて見た時興奮のしすぎで、鼻から血を出し、我が家では禁止になった代物だ。

「あっ…愛してます、ロミ様。…添い遂げる事が出来ないなら死んでもいいと思うほど。……ど…どうか…私に…同じ気持ちならば…く…く…ち……ず…け……を…くださいませんかぁ…」

 お母様が見てるこっちが恥ずかしくなるような顔で。
真っ赤になりながら、最後は聞こえないぐらい小さな声になりながらも読みあげると。
妹の目がカッと見開いたが。すうっと閉じていった。

「合格ですよく頑張りましたね。」

「はいお母様。ありがとうございました。約束通り、その本はいただいてよろしいのですか?」

「自室に戻るまでがテストですからね。」

「はい!」

 妹はすごい真面目だがお母様はほほを赤らめ潤目で疲れきっている。

 「ティア。」

お母様がビクッと反応して。更に赤く、目をうるうるさせた。

「だ、旦那様。いつからご覧に?」

「ふふっ。はじめからだよ?シルが石なら私は空気になってたと言おうかな?」

「っっ~」

「ティア、私は妬いてしまうよ。愛してるもなかなか言ってくれない君が、他の男のにあんなハレンチな言葉を言うなんて。」

「は、ハレンチ!あれは本の台詞で、読んだだけです。」

「そう、なら私にも読んでくれるかな?名前を私に変えて。ティアは恥ずかしいみたいだから二人っきりで。いいかな?」

お父様、確認をとるようでそっと抱きしめながら。キスを迫るようにしてますよね?キスを避けるお母様…そちらは寝室につながる隠し扉が有ったと思いますよ?

お父様勉強になります…
妹よガン見しすぎで目が赤いぞ。

「よ。読みますから、意地悪はお止めください。」

「ふふ、ティアは最高にかわいいね?じゃあ今からお願いしようか?」

「ふぇ?」

お母様壁に追い込まれて降参しましたが。そこは扉ですよ。
あ~はい。お父様。邪魔はもちろんしませんよ。今日は家族で入学祝を…はい。わかりました。準備してお待ちしてますよ。

お父様とお母様が消えた部屋で。妹はプルプル震えてるのかな?

「兄様一度部屋に戻ります!」

令嬢と思えない早さで消えたね。お母様が見たら…まあいいか。
僕も行こうかな。このまま居るとお父様に怒られそうだ。

「だ、旦那様…愛して…」

「旦那様じゃない名前でしょう?はい、言えるまでキスをするね?恥ずかしくなくなったら言えるかな?」

「あっっふっ。いいますから。いじわるはお止めください…んん~」

あっちょと遅かった!


「お父様素敵過ぎます~!!お母様可愛いすぎです~」

シルが実室で叫んでるね。部屋までって言われてたから我慢したのか。

その後、シルの部屋でシュギョウの内容と理由を聞いてお腹を抱えて笑ったね。
笑った後、腹筋崩壊すればいいって言ってたけど。
シルと過ごした次の日によくなる筋肉痛のことかな?

しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

淡泊早漏王子と嫁き遅れ姫

梅乃なごみ
恋愛
小国の姫・リリィは婚約者の王子が超淡泊で早漏であることに悩んでいた。 それは好きでもない自分を義務感から抱いているからだと気付いたリリィは『超強力な精力剤』を王子に飲ませることに。 飲ませることには成功したものの、思っていたより効果がでてしまって……!? ※この作品は『すなもり共通プロット企画』参加作品であり、提供されたプロットで創作した作品です。 ★他サイトからの転載てす★

だいたい全部、聖女のせい。

荒瀬ヤヒロ
恋愛
「どうして、こんなことに……」 異世界よりやってきた聖女と出会い、王太子は変わってしまった。 いや、王太子の側近の令息達まで、変わってしまったのだ。 すでに彼らには、婚約者である令嬢達の声も届かない。 これはとある王国に降り立った聖女との出会いで見る影もなく変わってしまった男達に苦しめられる少女達の、嘆きの物語。

婚約したら幼馴染から絶縁状が届きました。

黒蜜きな粉
恋愛
婚約が決まった翌日、登校してくると机の上に一通の手紙が置いてあった。 差出人は幼馴染。 手紙には絶縁状と書かれている。 手紙の内容は、婚約することを発表するまで自分に黙っていたから傷ついたというもの。 いや、幼馴染だからって何でもかんでも報告しませんよ。 そもそも幼馴染は親友って、そんなことはないと思うのだけど……? そのうち機嫌を直すだろうと思っていたら、嫌がらせがはじまってしまった。 しかも、婚約者や周囲の友人たちまで巻き込むから大変。 どうやら私の評判を落として婚約を破談にさせたいらしい。

お父さんのお嫁さんに私はなる

色部耀
恋愛
お父さんのお嫁さんになるという約束……。私は今夜それを叶える――。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

【完結】美しい人。

❄️冬は つとめて
恋愛
「あなたが、ウイリアム兄様の婚約者? 」 「わたくし、カミーユと言いますの。ねえ、あなたがウイリアム兄様の婚約者で、間違いないかしら。」 「ねえ、返事は。」 「はい。私、ウイリアム様と婚約しています ナンシー。ナンシー・ヘルシンキ伯爵令嬢です。」 彼女の前に現れたのは、とても美しい人でした。

もしもゲーム通りになってたら?

クラッベ
恋愛
よくある転生もので悪役令嬢はいい子に、ヒロインが逆ハーレム狙いの悪女だったりしますが もし、転生者がヒロインだけで、悪役令嬢がゲーム通りの悪人だったなら? 全てがゲーム通りに進んだとしたら? 果たしてヒロインは幸せになれるのか ※3/15 思いついたのが出来たので、おまけとして追加しました。 ※9/28 また新しく思いつきましたので掲載します。今後も何か思いつきましたら更新しますが、基本的には「完結」とさせていただいてます。9/29も一話更新する予定です。 ※2/8 「パターンその6・おまけ」を更新しました。

処理中です...