10 / 20
特殊サンプル【異世界に転生する対象が知人同士である場合】
『危機感知』身近に迫る危険を事前に察知することが可能になるスキル
しおりを挟む
「お主は現実の世界で死んでしまったのだ。しかしその若さで命を失うのはあまりに惜し……」
「こ、ここは!? どこだここは! 安全なのか? や、奴はいないか……?」
男はキョロキョロと周囲を見回した。顔面が蒼白になっている。まるで怯えた小動物のようなその男は、整った顔立ちを恐怖で歪めていた。
白く光り輝きながら空中に浮いていた老人が、その様子を訝しんだ。
「よくわからないが、ここは安全だ。ここは魂が集う場所。死したお主の魂が、輪廻転生の理に従い、ここにやってき……」
「ちょっと待て! 魂が集う、ってことは……死んだ人間は必ずここにやってくるのか? もしかして……や、奴もくるのか!?」
二度も台詞の途中で声を荒げた男に対して、白く光る老人はだいぶイラついた様子だった。
最初のときよりややぶっきらぼうな口調で男の質問に答える。
「奴、とは誰か私にはわからぬ。だが、その者が死したならば、いずれ此方へとたどり着くだろう。さあ、お主には異世界へ転生する権利がある。もし転生を望むのならば、欲しい転生スキルを……」
「や、奴が来るだって!? それは困る! 転生って言ったよな? は、早く転生させてくれ! 頼む!」
わざとやってるんじゃないか? と三度も台詞を遮られた白い老人はすでに怒りの表情だったが、男は気づいている様子はない。老人に掴みかからんばかりの勢いで急かしてくる。
「もう何でもいい! 早く転生させてくれ! ここにいたら奴に追いつかれるかもしれないんだ! 頼む、早くしてくれ!」
「……わかった。じゃあこの中から好きな転生スキルをえら……」
白い老人が広げたリストをろくに見ないで一つのスキルを指さす。そして光を漏らしながら開いていく扉を見て、ろくに確認もせずその光の奥へ飛び込んでいった。何とも忙しない、と白い老人は愚痴をはく。
「……せめて挨拶くらいしていけよ」
そうして白い老人は忙しない男を忘れる事にして、次の転生希望者を迎え入れた。
次の転生希望者は女性だった。黒くて長い髪が綺麗な美しい女性だった。今度の転生希望者は落ち着いていたので、白い老人は安堵のため息をついた。いつもの台詞を言う。
「お主は現実の世界で死んでしまったのだ。しかしその若さで命を失うのはあまりに惜しい。お主に異世界への転生するけん……」
「ねぇ、ちょっと聞きたいんだけど。私が死んでしまったってことは知ってるの。ここって、死んだ人が来る場所なの?」
お前もか、と心の中で毒づく。だが女性は気にした様子もなくこちらを伺っている。なんとなくその視線に粘っこい物を感じて、背筋がゾクリとする。白い老人は慌てて答える。
「そうだ。ここは魂が集う場所。死した者の魂が、輪廻転生の理に従い、ここにや……」
「ねぇ、死んだ人が来るってことは、私の前に男の人来なかった? 私と同じくらいの年齢で、結構格好いい人」
当たり前のように台詞を遮ってくる女性に、白い老人は苛立ちを込めてため息をつく。ただその女性は白い老人の様子などお構いなしにペラペラと男性の特徴を話していた。
目元に泣きボクロがあり、髪の毛は真ん中わけだけど旋毛が二つある。車関係の大手企業に勤務していて性格は温厚誠実。他に実家の家族構成や好きな食べ物なんかを教えられた。そんな詳細なことを嬉しそうに語られたって知るわけもないが、容姿の情報だけでなんとなく直前に来た男のことではないかと想像ついた。
なので、長々続く男の経歴やら趣味やらの説明を遮って答えてやる。
「ああ、確かに直前に来た者だな。彼はすでに異世界に転生して行った。もしお主も異世界への転生を望むのなら、転生スキルを……」
「私も、彼と同じ異世界とやらに転生させてちょうだい」
先ほどの男といい、人の話を最後まで聞かない地域の人間なのだろうか。白く光る老人はすでに諦めの境地だった。感情を殺して機械的に答える。
「わかった。では転生スキルを選ぶといい。このリストの中から好きなスキルを……」
「……待って、彼もこの中のスキルとやらを選んだの? 何を選んだか教えてくれない?」
白い老人は小さい声で「苛立ったら負けだ、苛立ったら負けだ」と呟いていた。女が「早く教えろ」と鋭くこちらを睨んできている。はあぁっ、と盛大にため息をついて、男の選んだスキルについて教えてやる。別に守秘義務はない。
「……この『危機感知』というスキルだ。効果は、身に迫る危険を直前に感知することができ……」
「わかったわ、ありがとう。じゃあ私はこの『転移転送』というスキルにするわね」
白い老人ははやく立ち去ってほしい気持ちでいっぱいだったので、「わかった、じゃあスキルを授けるからあっちの扉に」と手早く伝えることべきことを伝える。女はもう一度「ありがとう、色々助かったわ」と最後だけ素直に感謝を述べて光る扉へと消えていった。
一人取り残された白い老人はその背を見送ったあと、痛む頭を抑えて呟いた。
「……今日はなんか疲れた……もう寝よ」
…………
そこには以前転生した整った顔立ちの男がいた。目の前には白く光る老人。珍しく空を飛んでいない。白く光る老人が労わるような口調で男に声をかけた。
「その、大変でしたね。転生した後も、いろいろと……」
「……ああ、うん。そうだね」
男は完全に憔悴しているようだった。立つこともできずに項垂れている。彼の異世界での生活を知っている白い老人は、完全に彼に同情していた。まるで己がことのように悲しそうな表情をしている。
白い老人は、本来しなくてもい謝罪をした。
「その、すまんね。君も気付いているだろうけど、あの後、その、あの女の人が来て、君が行った転生先と同じ場所への転生を希望したんだ……ごめん、あんなことになるなんて、その、思わなくて……」
「……ははは、別にいいですよ。そういうお仕事みたいですしね。仕方ないですよ、そう、仕方なかったんだ……ははは……うっ、ううっ……」
男はそういうと泣き崩れていった。よほど怖かったのだろう。白い老人はその気持ちがとてもよく分かった。画面越しに見ていたはずなのに白い老人の背筋は何度も凍りつき、鳥肌が立っていたほどだった。同じ男として同情を禁じ得ない。
結論を言ってしまえば、女は男のストーカーだった。しかも、かなり悪質な。
その行動は常軌を逸していた。はっきり言って異常だった。男は両腕で自分を抱えながら、己が転生した後の生活について淡々と語る。
「最初のうちは……そう平和だったんだ……モンスターとか盗賊とかいて怖かったけど、『危機感知』スキルのおかげで逃げるのは簡単だった……それに今思えば、モンスターに追われてる間の方がよっぽど安全だったんだ……あいつが、あいつに見つかったときから、俺の地獄は始まったんだ……くそ、あの時あの村にさえ行かなければ、まだ良かったのに!」
男は震える体を一生懸命抑えようとしているようだった。白い老人はその痛々しい姿に思わず涙した。
「あいつは……相変わらず俺の後をつけてきた。ふと気づくとあいつが後ろにいた。でも最初のうちは何もしなかったんだ……最初のうちは俺の『危機感知』が発動するから、すぐ逃げられたし、たぶん逃げられるくらいなら見ていた方がマシだって思ったんだろうな。あの女も必要以上に近づいてこなかった。だからまだ良かった、精神が磨り減るだけで実害はないんだから……問題は『危機感知』が反応しなくなってからだ……」
男の歯ぎしりが聞こえる。確かにあの時は怖かっただろう。見ていた白い老人も心臓が止まるほど驚いた。男の背後にあの女がいたにもかかわらず、『危機感知』が反応してなかったからだ。
「あいつ……俺のスキルが発動しなくなるのを待っていやがったんだ。俺があいつが近づいてくることを"危機"に感じなくなるくらい、姿だけを見せて、それ以外何もしないで、ただ待っていたんだ……それで気付いたら……俺は暗い部屋に閉じ込められて……その後は……もう嫌だ、思い出したくない!」
その後の事は口にしたくない気持ちはわかる。あれは、確かに酷かった。あの女は『転移転送』スキルを存分に使って男に色々なことをしていた。例えばろくでもない物を送りつけたりとか、男の排泄物を自分の手元に取り寄せ処分したりとか。他にも言えないような狂気じみたことを喜々として行っていた。最初のうちは物珍しがって見ていた白い老人だったが、気付いたら寒気が酷くて様子を見ることができなくなっていたほどだった。
しかも監禁場所は『転移転送』スキルがないと行くのも帰るのも難しいとんでもない場所だった。逃避と救助の芽を潰すという念を入りようである。女の執念の恐ろしさを垣間見て、白い老人は恐怖でその日は眠れなかった。
しかし男は隙を見て女から逃げ出すことができた。自殺、という手段を使って。
肩を落とし、泣きじゃくる男の肩を白い老人がポンポンと叩く。そして彼に救いの言葉をかけた。
「君の不幸は理解している。とても、辛かったな。しかもその原因を作ったのは私だ。だから君にもう一度だけチャンスをやろうと思う。本来は異世界で死した者の魂は転生させないのだが、今回ばかりは特別だ。もう一度転生させてやろう。そして、君を脅かすあの女を同じ世界に転生させないことを誓おう」
「そ、それは本当か! ありがたい! 頼む、もうあいつのいる世界は嫌だ! あいつがいない世界ならどんな厳しいところでも構わない! 頼む、逃がしてくれ!」
「わかった」
そう言って白い老人は厳かに男の頭に手を翳す。先程までの恐怖の涙と、今は感謝の涙でせっかく整っていた顔が酷いことになっている。そして白い老人は男を再度転生させた。
次は、できるだけ不幸にならないようにと願いながら……。
「こ、ここは!? どこだここは! 安全なのか? や、奴はいないか……?」
男はキョロキョロと周囲を見回した。顔面が蒼白になっている。まるで怯えた小動物のようなその男は、整った顔立ちを恐怖で歪めていた。
白く光り輝きながら空中に浮いていた老人が、その様子を訝しんだ。
「よくわからないが、ここは安全だ。ここは魂が集う場所。死したお主の魂が、輪廻転生の理に従い、ここにやってき……」
「ちょっと待て! 魂が集う、ってことは……死んだ人間は必ずここにやってくるのか? もしかして……や、奴もくるのか!?」
二度も台詞の途中で声を荒げた男に対して、白く光る老人はだいぶイラついた様子だった。
最初のときよりややぶっきらぼうな口調で男の質問に答える。
「奴、とは誰か私にはわからぬ。だが、その者が死したならば、いずれ此方へとたどり着くだろう。さあ、お主には異世界へ転生する権利がある。もし転生を望むのならば、欲しい転生スキルを……」
「や、奴が来るだって!? それは困る! 転生って言ったよな? は、早く転生させてくれ! 頼む!」
わざとやってるんじゃないか? と三度も台詞を遮られた白い老人はすでに怒りの表情だったが、男は気づいている様子はない。老人に掴みかからんばかりの勢いで急かしてくる。
「もう何でもいい! 早く転生させてくれ! ここにいたら奴に追いつかれるかもしれないんだ! 頼む、早くしてくれ!」
「……わかった。じゃあこの中から好きな転生スキルをえら……」
白い老人が広げたリストをろくに見ないで一つのスキルを指さす。そして光を漏らしながら開いていく扉を見て、ろくに確認もせずその光の奥へ飛び込んでいった。何とも忙しない、と白い老人は愚痴をはく。
「……せめて挨拶くらいしていけよ」
そうして白い老人は忙しない男を忘れる事にして、次の転生希望者を迎え入れた。
次の転生希望者は女性だった。黒くて長い髪が綺麗な美しい女性だった。今度の転生希望者は落ち着いていたので、白い老人は安堵のため息をついた。いつもの台詞を言う。
「お主は現実の世界で死んでしまったのだ。しかしその若さで命を失うのはあまりに惜しい。お主に異世界への転生するけん……」
「ねぇ、ちょっと聞きたいんだけど。私が死んでしまったってことは知ってるの。ここって、死んだ人が来る場所なの?」
お前もか、と心の中で毒づく。だが女性は気にした様子もなくこちらを伺っている。なんとなくその視線に粘っこい物を感じて、背筋がゾクリとする。白い老人は慌てて答える。
「そうだ。ここは魂が集う場所。死した者の魂が、輪廻転生の理に従い、ここにや……」
「ねぇ、死んだ人が来るってことは、私の前に男の人来なかった? 私と同じくらいの年齢で、結構格好いい人」
当たり前のように台詞を遮ってくる女性に、白い老人は苛立ちを込めてため息をつく。ただその女性は白い老人の様子などお構いなしにペラペラと男性の特徴を話していた。
目元に泣きボクロがあり、髪の毛は真ん中わけだけど旋毛が二つある。車関係の大手企業に勤務していて性格は温厚誠実。他に実家の家族構成や好きな食べ物なんかを教えられた。そんな詳細なことを嬉しそうに語られたって知るわけもないが、容姿の情報だけでなんとなく直前に来た男のことではないかと想像ついた。
なので、長々続く男の経歴やら趣味やらの説明を遮って答えてやる。
「ああ、確かに直前に来た者だな。彼はすでに異世界に転生して行った。もしお主も異世界への転生を望むのなら、転生スキルを……」
「私も、彼と同じ異世界とやらに転生させてちょうだい」
先ほどの男といい、人の話を最後まで聞かない地域の人間なのだろうか。白く光る老人はすでに諦めの境地だった。感情を殺して機械的に答える。
「わかった。では転生スキルを選ぶといい。このリストの中から好きなスキルを……」
「……待って、彼もこの中のスキルとやらを選んだの? 何を選んだか教えてくれない?」
白い老人は小さい声で「苛立ったら負けだ、苛立ったら負けだ」と呟いていた。女が「早く教えろ」と鋭くこちらを睨んできている。はあぁっ、と盛大にため息をついて、男の選んだスキルについて教えてやる。別に守秘義務はない。
「……この『危機感知』というスキルだ。効果は、身に迫る危険を直前に感知することができ……」
「わかったわ、ありがとう。じゃあ私はこの『転移転送』というスキルにするわね」
白い老人ははやく立ち去ってほしい気持ちでいっぱいだったので、「わかった、じゃあスキルを授けるからあっちの扉に」と手早く伝えることべきことを伝える。女はもう一度「ありがとう、色々助かったわ」と最後だけ素直に感謝を述べて光る扉へと消えていった。
一人取り残された白い老人はその背を見送ったあと、痛む頭を抑えて呟いた。
「……今日はなんか疲れた……もう寝よ」
…………
そこには以前転生した整った顔立ちの男がいた。目の前には白く光る老人。珍しく空を飛んでいない。白く光る老人が労わるような口調で男に声をかけた。
「その、大変でしたね。転生した後も、いろいろと……」
「……ああ、うん。そうだね」
男は完全に憔悴しているようだった。立つこともできずに項垂れている。彼の異世界での生活を知っている白い老人は、完全に彼に同情していた。まるで己がことのように悲しそうな表情をしている。
白い老人は、本来しなくてもい謝罪をした。
「その、すまんね。君も気付いているだろうけど、あの後、その、あの女の人が来て、君が行った転生先と同じ場所への転生を希望したんだ……ごめん、あんなことになるなんて、その、思わなくて……」
「……ははは、別にいいですよ。そういうお仕事みたいですしね。仕方ないですよ、そう、仕方なかったんだ……ははは……うっ、ううっ……」
男はそういうと泣き崩れていった。よほど怖かったのだろう。白い老人はその気持ちがとてもよく分かった。画面越しに見ていたはずなのに白い老人の背筋は何度も凍りつき、鳥肌が立っていたほどだった。同じ男として同情を禁じ得ない。
結論を言ってしまえば、女は男のストーカーだった。しかも、かなり悪質な。
その行動は常軌を逸していた。はっきり言って異常だった。男は両腕で自分を抱えながら、己が転生した後の生活について淡々と語る。
「最初のうちは……そう平和だったんだ……モンスターとか盗賊とかいて怖かったけど、『危機感知』スキルのおかげで逃げるのは簡単だった……それに今思えば、モンスターに追われてる間の方がよっぽど安全だったんだ……あいつが、あいつに見つかったときから、俺の地獄は始まったんだ……くそ、あの時あの村にさえ行かなければ、まだ良かったのに!」
男は震える体を一生懸命抑えようとしているようだった。白い老人はその痛々しい姿に思わず涙した。
「あいつは……相変わらず俺の後をつけてきた。ふと気づくとあいつが後ろにいた。でも最初のうちは何もしなかったんだ……最初のうちは俺の『危機感知』が発動するから、すぐ逃げられたし、たぶん逃げられるくらいなら見ていた方がマシだって思ったんだろうな。あの女も必要以上に近づいてこなかった。だからまだ良かった、精神が磨り減るだけで実害はないんだから……問題は『危機感知』が反応しなくなってからだ……」
男の歯ぎしりが聞こえる。確かにあの時は怖かっただろう。見ていた白い老人も心臓が止まるほど驚いた。男の背後にあの女がいたにもかかわらず、『危機感知』が反応してなかったからだ。
「あいつ……俺のスキルが発動しなくなるのを待っていやがったんだ。俺があいつが近づいてくることを"危機"に感じなくなるくらい、姿だけを見せて、それ以外何もしないで、ただ待っていたんだ……それで気付いたら……俺は暗い部屋に閉じ込められて……その後は……もう嫌だ、思い出したくない!」
その後の事は口にしたくない気持ちはわかる。あれは、確かに酷かった。あの女は『転移転送』スキルを存分に使って男に色々なことをしていた。例えばろくでもない物を送りつけたりとか、男の排泄物を自分の手元に取り寄せ処分したりとか。他にも言えないような狂気じみたことを喜々として行っていた。最初のうちは物珍しがって見ていた白い老人だったが、気付いたら寒気が酷くて様子を見ることができなくなっていたほどだった。
しかも監禁場所は『転移転送』スキルがないと行くのも帰るのも難しいとんでもない場所だった。逃避と救助の芽を潰すという念を入りようである。女の執念の恐ろしさを垣間見て、白い老人は恐怖でその日は眠れなかった。
しかし男は隙を見て女から逃げ出すことができた。自殺、という手段を使って。
肩を落とし、泣きじゃくる男の肩を白い老人がポンポンと叩く。そして彼に救いの言葉をかけた。
「君の不幸は理解している。とても、辛かったな。しかもその原因を作ったのは私だ。だから君にもう一度だけチャンスをやろうと思う。本来は異世界で死した者の魂は転生させないのだが、今回ばかりは特別だ。もう一度転生させてやろう。そして、君を脅かすあの女を同じ世界に転生させないことを誓おう」
「そ、それは本当か! ありがたい! 頼む、もうあいつのいる世界は嫌だ! あいつがいない世界ならどんな厳しいところでも構わない! 頼む、逃がしてくれ!」
「わかった」
そう言って白い老人は厳かに男の頭に手を翳す。先程までの恐怖の涙と、今は感謝の涙でせっかく整っていた顔が酷いことになっている。そして白い老人は男を再度転生させた。
次は、できるだけ不幸にならないようにと願いながら……。
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
俺の娘、チョロインじゃん!
ちゃんこ
ファンタジー
俺、そこそこイケてる男爵(32) 可愛い俺の娘はヒロイン……あれ?
乙女ゲーム? 悪役令嬢? ざまぁ? 何、この情報……?
男爵令嬢が王太子と婚約なんて、あり得なくね?
アホな俺の娘が高位貴族令息たちと仲良しこよしなんて、あり得なくね?
ざまぁされること必至じゃね?
でも、学園入学は来年だ。まだ間に合う。そうだ、隣国に移住しよう……問題ないな、うん!
「おのれぇぇ! 公爵令嬢たる我が娘を断罪するとは! 許さぬぞーっ!」
余裕ぶっこいてたら、おヒゲが素敵な公爵(41)が突進してきた!
え? え? 公爵もゲーム情報キャッチしたの? ぎゃぁぁぁ!
【ヒロインの父親】vs.【悪役令嬢の父親】の戦いが始まる?
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
美醜逆転世界でお姫様は超絶美形な従者に目を付ける
朝比奈
恋愛
ある世界に『ティーラン』と言う、まだ、歴史の浅い小さな王国がありました。『ティーラン王国』には、王子様とお姫様がいました。
お姫様の名前はアリス・ラメ・ティーラン
絶世の美女を母に持つ、母親にの美しいお姫様でした。彼女は小国の姫でありながら多くの国の王子様や貴族様から求婚を受けていました。けれども、彼女は20歳になった今、婚約者もいない。浮いた話一つ無い、お姫様でした。
「ねぇ、ルイ。 私と駆け落ちしましょう?」
「えっ!? ええぇぇえええ!!!」
この話はそんなお姫様と従者である─ ルイ・ブリースの恋のお話。
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる