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第35章:東部戦線
【桐生・1】正義の怒りをぶつけよ
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1559年5月6日
上野国桐生南
幕部駿河
(敵:また変なの出てきちゃったよ、際限ない)
「宜しかったのですか? お宝を生み出す街を燃やすなどと」
桐生北部に立ち上る黒煙の柱を見つつ、古くから続く幕部家に仕える譜代家臣が私に問うてきた。
我が幕部家は新田義貞公に付き従い各地を転戦。
その後零落するも新田の北に領地を回復した。
しかしそこを元から所有していた桐生氏と抗争が絶えず、金山の横瀬氏に頼ってしばしば後詰をしていただいた。
その後由良成繁に仕えるが先代の父が亡くなった際に、あの由良に領地を取り上げられ、私をかわいがってくれた姉上も由良の家臣の側女として虜囚となってしまった。
それを間に入って取りなしてくれたのが赤井であった。
大嫌いだという叔母である由良成繁の正室の耳に、それを入れるようにした。
由良は正室に頭が上がらない。
姉上のことで相当な癇癪を起されたと噂に聞く。
その後大胡の領地となったが私は自分の無力さに気が付いた。
何もできない自分を変えようと大胡の研究学園町・華蔵寺の士官学校で学んだ。
あの由良成繫に復讐したい。
その一心だった。
だがあの男はあっけなく死んでしまった。
そんな時に赤井に声を掛けられ『連邦』の一員となった。
自分の居場所が欲しかった。
ただそれだけだ。
故郷の薮塚は既に幕部を受け入れてくれなかった。
「だったら自分で自分の街を作ればよいではないか」と赤井に言われた。
今はそれが目的だ。
その自分の居場所にこの桐生が欲しい。
南にある薮塚からいつも眩しく見えていた桐生。
大胡の所領となって益々栄えていった。
ここを手に入れるためには少しばかり無理をしなくてはならない。
このままだと宇都宮に取られてしまう。
私には勲功が必要だ。
そのためには町を焼くことも辞さぬ。
「よし。煙は十分すぎるくらい上がったな。消える前に後退。阿左美沼まで退くぞ」
これも戦術的な後退だが。
◇ ◇ ◇ ◇
1559年5月6日
上野国桐生北
広沢忠順
(味方:元西桐生の土豪。現在桐生北の柄杓山城守備隊長)
数百もの女子供が火災を逃れて桐生の街から桐生川沿いに逃げて来る。
その向こうには真っ赤な炎と共に黒煙が至る所から上がっている。
半数の女子供は西の桐生ヶ丘に避難した。
大事な機織り機や型紙を輸送中の者が襲われ、体を張って時間を稼いだ男たちは丸腰のまま暴行されたらしい。
命が危ぶまれる。
我らが守備している桐生北部にある柄杓山城には1000の後備兵を編制中だ。それ以外の男たちの多くが街中で時間を稼いでいた。
さぞや後備兵は気がせいているに違いない。
あの城からは桐生の街が見渡せるから。
その後備兵。武装は貧弱だ。
長柄200。
手槍200。
弩弓200。
矢も少ない。
問題の訓練であるが1年に20日もできていない。
桐生は機織りの街だ。
その専門職に後備の訓練をさせるのは効率的ではないと判断したからだ。
それが今、つけとなって跳ね返ってきている。
今、掌握している正規兵450は敵1000程度ならば排除は可能。
索敵兵の話だと500程度の兵が火をつけて廻っているという。
これを排除するために桐生の街並み、すぐ北まで出陣して来た。
宇都宮勢は桐生北西約1里にある、正規兵150が籠る小さいが堅城である高津戸城を囲んでいる。
2500程の兵がいるというが峻険な岩山の上に在る堅城を落とすのには時間が掛かるだろう。その間にこの500を蹴散らし後方を撹乱する。
好きなようにはさせん。
この大胡の力、見せてくれる!
大胡の民に仇名す輩に正義の鉄拳をお見舞いしてくれる。
「小隊ごとに路地を進め。
俺は中央の通りを制圧する。
火縄と火薬に注意。いいか。
体を燃やさず、闘志を燃やせ!」
冗談が通じないほど皆怒り狂っている。
俺もそうなんだから仕方あるまい。
俺は2個小隊200を率いて大通りを南下する。
人っ子一人いなくなった町の中央を南南西に降る道を慎重に進んでいく。
……燃えているのは北部だけか。
南風に乗って煙は北へ流れていく。
敵は……大通りから見た限りでは南方へ向かい、渡良瀬川を渡るつもりらしい。
木と絹生地の焼ける臭いが充満する北街から南に移動する。
「索敵兵。予定通り12班出動。
二段索敵。敵を見つけたら直ぐに引き返せ。後方の班が敵を追尾。何かあったら煙弾をすぐに発射できるように」
既に南方の茶臼山にある砦は落とされた。
この辺りは全て一望のもとにある要地だ。来年には要害の地に変える予定だったが間に合わなかった。敵はこちらを視界に入れての行動。
気を付けねば。
この桐生から南西には新田金山と赤石城へ通じる大事な街道がある。
ここを通っていく敵がいればこの付近に配備されている800の兵で後方を脅かす計画だ。それが今実行に移される。
「敵兵500。渡良瀬川の桐生大橋を渡り阿左美沼付近へ行軍中。
千鳥足の陣型」
千鳥足か。下手に手は出せん。
しかしあの阿左美沼南の狭い谷を抜けるのには長蛇の列になろう。
そこを仕掛けるか。
高津戸城から後詰の側撃が危険だ。それさえなければ銃撃だけで殿軍に相当な被害を与えられて、こちらも無傷だ。
「高津戸からの信号はあるか?」
「ありません。手旗は遠くて確認できませんが先程の索敵兵の話では信号も手旗も確認できなかったと」
索敵兵が見たのはせいぜい15分から30分。
不確定だが高津戸城からは煙弾は上がっていない。
大丈夫だろう。
動きはない筈。
「筈」ばかりではあるがこれが「戦場の霧」というものか。
できる限りのことはした。動くしかない。
「桐生大橋を渡り次第、各小隊縦列にて桑畑を避け行軍。敵に付かず離れず後方2町の距離を保ち前進する。捜索班先行せよ」
しかし、動き出しまもなく前方で悲鳴が上がる。
捜索兵のものだ。
「桑畑に隠れて敵の弩弓兵! 一撃して逃げていきます!」
銃撃しようとしたが桑の生い茂る季節。
葉っぱが視界を遮る。
宇都宮は桑畑の事も知っているのか?
それとも練度が異様に高い?
これは気を付けねば。
怒りを鎮め冷静にならねばやられる。
俺は全隊に伝令を飛ばした。
◇ ◇ ◇ ◇
「正義の怒りをぶつけよ」
おなじみのあのセリフ?
これ以上は著作権侵害(^▽^;)
「大胡好戦指数」
既に何度も出て来ている作中ゲーム。
新作のモチーフになります。
裏設定ゲームを作品にするとは思ってもみなかったw
「幕部駿河」
どちらの意味に取ったとしてもパロディだなぁ。
漫画の神様(手塚治虫)もパロディしていたんだからご勘弁。
この人の思考は、とっても頓珍漢。
やはりいいとこの坊やか。
「連邦」
どうもこれの存在がキーになっているようです。
この作品終末。連邦の「邦」は国=集落とお考え下さい。
「機織り機と型紙」
機織りの技術がどこまで進んでいるかは不明。
「飛び杼」位は使っていそう。
飛び杼とは機織りの際に横糸を通す「杼」というものを左右に折り返して飛ばし、横糸を素早く織り込むもの。
型紙は果たして「ジャカート式」まで行っているのか?
これは産業革命期で本当に革命的な変化をもたらした技術。
模様をつけるのにアナログからデジタルに。
模様を覚えさせるためにキーパンチを使います。
この型紙のことだったらもう燃えたら涙が止まらない。
元のデザインが残っていればいいけどね。
製品=織物を燃やすより遥かに極悪。
「後備兵の質」
作品の都合上で桐生は後備兵制度がほとんど機能していなかったことにしました。
理由か書いてある通り。
そしてそれ以外の旧大胡領の後備兵も前話で書かれていた通り、装備と練度不足に悩まされます。
連戦すれば疲弊するのが当たり前。
優秀なのは正規兵として引き抜かれる。
「茶臼山砦」
実在しません。
が、ここって超重要地点じゃないですか?
ということで砦と連絡所になっています。
「千鳥足の陣形」
こんな感じの後退時の陣形です。
備えが交互に引いていきます。
_
_
_
_
_
「弩弓での奇襲」
ここで奇襲をされる側に回る大胡。
これは既定路線。
いつかはこうなる運命。
問題は大胡・上野出身の兵が敵に回っている事でアンブッシュが効果的になっている事。
上野国桐生南
幕部駿河
(敵:また変なの出てきちゃったよ、際限ない)
「宜しかったのですか? お宝を生み出す街を燃やすなどと」
桐生北部に立ち上る黒煙の柱を見つつ、古くから続く幕部家に仕える譜代家臣が私に問うてきた。
我が幕部家は新田義貞公に付き従い各地を転戦。
その後零落するも新田の北に領地を回復した。
しかしそこを元から所有していた桐生氏と抗争が絶えず、金山の横瀬氏に頼ってしばしば後詰をしていただいた。
その後由良成繁に仕えるが先代の父が亡くなった際に、あの由良に領地を取り上げられ、私をかわいがってくれた姉上も由良の家臣の側女として虜囚となってしまった。
それを間に入って取りなしてくれたのが赤井であった。
大嫌いだという叔母である由良成繁の正室の耳に、それを入れるようにした。
由良は正室に頭が上がらない。
姉上のことで相当な癇癪を起されたと噂に聞く。
その後大胡の領地となったが私は自分の無力さに気が付いた。
何もできない自分を変えようと大胡の研究学園町・華蔵寺の士官学校で学んだ。
あの由良成繫に復讐したい。
その一心だった。
だがあの男はあっけなく死んでしまった。
そんな時に赤井に声を掛けられ『連邦』の一員となった。
自分の居場所が欲しかった。
ただそれだけだ。
故郷の薮塚は既に幕部を受け入れてくれなかった。
「だったら自分で自分の街を作ればよいではないか」と赤井に言われた。
今はそれが目的だ。
その自分の居場所にこの桐生が欲しい。
南にある薮塚からいつも眩しく見えていた桐生。
大胡の所領となって益々栄えていった。
ここを手に入れるためには少しばかり無理をしなくてはならない。
このままだと宇都宮に取られてしまう。
私には勲功が必要だ。
そのためには町を焼くことも辞さぬ。
「よし。煙は十分すぎるくらい上がったな。消える前に後退。阿左美沼まで退くぞ」
これも戦術的な後退だが。
◇ ◇ ◇ ◇
1559年5月6日
上野国桐生北
広沢忠順
(味方:元西桐生の土豪。現在桐生北の柄杓山城守備隊長)
数百もの女子供が火災を逃れて桐生の街から桐生川沿いに逃げて来る。
その向こうには真っ赤な炎と共に黒煙が至る所から上がっている。
半数の女子供は西の桐生ヶ丘に避難した。
大事な機織り機や型紙を輸送中の者が襲われ、体を張って時間を稼いだ男たちは丸腰のまま暴行されたらしい。
命が危ぶまれる。
我らが守備している桐生北部にある柄杓山城には1000の後備兵を編制中だ。それ以外の男たちの多くが街中で時間を稼いでいた。
さぞや後備兵は気がせいているに違いない。
あの城からは桐生の街が見渡せるから。
その後備兵。武装は貧弱だ。
長柄200。
手槍200。
弩弓200。
矢も少ない。
問題の訓練であるが1年に20日もできていない。
桐生は機織りの街だ。
その専門職に後備の訓練をさせるのは効率的ではないと判断したからだ。
それが今、つけとなって跳ね返ってきている。
今、掌握している正規兵450は敵1000程度ならば排除は可能。
索敵兵の話だと500程度の兵が火をつけて廻っているという。
これを排除するために桐生の街並み、すぐ北まで出陣して来た。
宇都宮勢は桐生北西約1里にある、正規兵150が籠る小さいが堅城である高津戸城を囲んでいる。
2500程の兵がいるというが峻険な岩山の上に在る堅城を落とすのには時間が掛かるだろう。その間にこの500を蹴散らし後方を撹乱する。
好きなようにはさせん。
この大胡の力、見せてくれる!
大胡の民に仇名す輩に正義の鉄拳をお見舞いしてくれる。
「小隊ごとに路地を進め。
俺は中央の通りを制圧する。
火縄と火薬に注意。いいか。
体を燃やさず、闘志を燃やせ!」
冗談が通じないほど皆怒り狂っている。
俺もそうなんだから仕方あるまい。
俺は2個小隊200を率いて大通りを南下する。
人っ子一人いなくなった町の中央を南南西に降る道を慎重に進んでいく。
……燃えているのは北部だけか。
南風に乗って煙は北へ流れていく。
敵は……大通りから見た限りでは南方へ向かい、渡良瀬川を渡るつもりらしい。
木と絹生地の焼ける臭いが充満する北街から南に移動する。
「索敵兵。予定通り12班出動。
二段索敵。敵を見つけたら直ぐに引き返せ。後方の班が敵を追尾。何かあったら煙弾をすぐに発射できるように」
既に南方の茶臼山にある砦は落とされた。
この辺りは全て一望のもとにある要地だ。来年には要害の地に変える予定だったが間に合わなかった。敵はこちらを視界に入れての行動。
気を付けねば。
この桐生から南西には新田金山と赤石城へ通じる大事な街道がある。
ここを通っていく敵がいればこの付近に配備されている800の兵で後方を脅かす計画だ。それが今実行に移される。
「敵兵500。渡良瀬川の桐生大橋を渡り阿左美沼付近へ行軍中。
千鳥足の陣型」
千鳥足か。下手に手は出せん。
しかしあの阿左美沼南の狭い谷を抜けるのには長蛇の列になろう。
そこを仕掛けるか。
高津戸城から後詰の側撃が危険だ。それさえなければ銃撃だけで殿軍に相当な被害を与えられて、こちらも無傷だ。
「高津戸からの信号はあるか?」
「ありません。手旗は遠くて確認できませんが先程の索敵兵の話では信号も手旗も確認できなかったと」
索敵兵が見たのはせいぜい15分から30分。
不確定だが高津戸城からは煙弾は上がっていない。
大丈夫だろう。
動きはない筈。
「筈」ばかりではあるがこれが「戦場の霧」というものか。
できる限りのことはした。動くしかない。
「桐生大橋を渡り次第、各小隊縦列にて桑畑を避け行軍。敵に付かず離れず後方2町の距離を保ち前進する。捜索班先行せよ」
しかし、動き出しまもなく前方で悲鳴が上がる。
捜索兵のものだ。
「桑畑に隠れて敵の弩弓兵! 一撃して逃げていきます!」
銃撃しようとしたが桑の生い茂る季節。
葉っぱが視界を遮る。
宇都宮は桑畑の事も知っているのか?
それとも練度が異様に高い?
これは気を付けねば。
怒りを鎮め冷静にならねばやられる。
俺は全隊に伝令を飛ばした。
◇ ◇ ◇ ◇
「正義の怒りをぶつけよ」
おなじみのあのセリフ?
これ以上は著作権侵害(^▽^;)
「大胡好戦指数」
既に何度も出て来ている作中ゲーム。
新作のモチーフになります。
裏設定ゲームを作品にするとは思ってもみなかったw
「幕部駿河」
どちらの意味に取ったとしてもパロディだなぁ。
漫画の神様(手塚治虫)もパロディしていたんだからご勘弁。
この人の思考は、とっても頓珍漢。
やはりいいとこの坊やか。
「連邦」
どうもこれの存在がキーになっているようです。
この作品終末。連邦の「邦」は国=集落とお考え下さい。
「機織り機と型紙」
機織りの技術がどこまで進んでいるかは不明。
「飛び杼」位は使っていそう。
飛び杼とは機織りの際に横糸を通す「杼」というものを左右に折り返して飛ばし、横糸を素早く織り込むもの。
型紙は果たして「ジャカート式」まで行っているのか?
これは産業革命期で本当に革命的な変化をもたらした技術。
模様をつけるのにアナログからデジタルに。
模様を覚えさせるためにキーパンチを使います。
この型紙のことだったらもう燃えたら涙が止まらない。
元のデザインが残っていればいいけどね。
製品=織物を燃やすより遥かに極悪。
「後備兵の質」
作品の都合上で桐生は後備兵制度がほとんど機能していなかったことにしました。
理由か書いてある通り。
そしてそれ以外の旧大胡領の後備兵も前話で書かれていた通り、装備と練度不足に悩まされます。
連戦すれば疲弊するのが当たり前。
優秀なのは正規兵として引き抜かれる。
「茶臼山砦」
実在しません。
が、ここって超重要地点じゃないですか?
ということで砦と連絡所になっています。
「千鳥足の陣形」
こんな感じの後退時の陣形です。
備えが交互に引いていきます。
_
_
_
_
_
「弩弓での奇襲」
ここで奇襲をされる側に回る大胡。
これは既定路線。
いつかはこうなる運命。
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そんな敵たちとの死闘に際しても、絶対の自信の表れとも言える余裕の笑みを浮かべながら策を献じたことから、“微笑みの軍師”とも呼ばれていた。
しかし、マティアスは日本での記憶を持った一般人に過ぎなかった。彼は情報分析とプレゼンテーション能力こそ、この世界の人間より優れていたものの、軍事に関する知識は小説や映画などから得たレベルのものしか持っていなかった。
更に彼は生まれつき身体が弱く、武術も魔導の才もないというハンディキャップを抱えていた。また、日本で得た知識を使った技術革新も、世界を崩壊させる危険な技術として封じられてしまう。
彼の代名詞である“微笑み”も単に苦し紛れの策に対する苦笑に過ぎなかった。
マティアスは愛する家族や仲間を守るため、大賢者とその配下の凄腕間者集団の力を借りつつ、優秀な友人たちと力を合わせて強大な敵と戦うことを決意する。
彼は情報の重要性を誰よりも重視し、巧みに情報を利用した謀略で敵を混乱させ、更に戦場では敵の意表を突く戦術を駆使して勝利に貢献していく……。
■■■
あらすじにある通り、主人公にあるのは日本で得た中途半端な知識のみで、チートに類する卓越した能力はありません。基本的には政略・謀略・軍略といったシリアスな話が主となる予定で、恋愛要素は少なめ、ハーレム要素はもちろんありません。前半は裏方に徹して情報収集や情報操作を行うため、主人公が出てくる戦闘シーンはほとんどありません。
■■■
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