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第31章:沼田の惨劇
鉄砲対弩弓
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1559年5月上旬
上野国名胡桃城
上杉景信
(あの関東管領を連れて帰った人です)
「よく見えるのう。沼田盆地が一望の元じゃ。それにあの沼田城の動きも筒抜けじゃ」
先に落とした名胡桃城の櫓が臨時に再建された。
大して壊れておらなかったからそう時間はかからなかったが、ここからの景色が重要だ。
敵の動きがよく見える。
「しかし敵の主力は沼田に引っ込んだままじゃな。出城がいくつかあるがこれを落としたら後詰に出てくるか? それを叩くとかせんのか? 宇佐美(定満)殿」
上杉一の猛者と自他ともに認める柿崎(景家)殿が此度の別動隊を任されている宇佐美殿へ提案ともつかぬ主張をする。
勇猛ではあるが好戦的で困る。
これを止めることができるのは御本庄様と宇佐美殿くらいか。
「それもよい手ではあるが。堅実にまずは優先的に近場の出城を落としましょうぞ。あそこに見える天狗岩城と鏡山城、三峰城。これが取れれば盆地の北半分が勢力圏になりましょう」
宇佐美殿は指揮杖にて3方向を指し示した。
確かにあの3つの城が邪魔だ。特にあの三峰城が危険に思える。
そこから長く連なる河岸の崖による自然の防壁が役に立たん。
あそこを取らねば沼田までの道が開けん。
敵を迎え撃つにもあそこが最適。
「では、至急あの3つの砦……城としては小さきあの場所を押さえましょうぞ。沼田への道が開ける」
この方は吠えないが顔がいかつくなる。
全身から闘気がみなぎる。
それが皆に伝わるため圧倒される。
戦ではこれに大声が加わるのだ。
敵に回したくはないな。
「では明後日までに攻め口を確認、我攻めで一気に参りましょうぞ。そのための軍議を一刻後に」
昨日、御本城様よりの知らせを軒猿が持って来た。
「遅い」と。
武田は既に関東に入ったとの事。
御本城様は大胡と一戦交えたらしい。
結果は定かではないが、まさか負けはいたすまい。
此度の包囲戦。何処が遅れても支障が出る。
我らは早々にここ沼田を抜き南下。
大胡の中枢部を脅かさねば。
さすれば大胡も多方面で敵と相対することになろう。少しでもこちらに兵を引きつけ御本城様の侵攻をお助けすることが大事。
略奪できなかった兵糧を早々に手に入れ前へ進むのだ。
◇ ◇ ◇ ◇
1559年5月上旬
沼田盆地天狗岩城西
上杉景信
(おぼっちゃまくん)
鬱蒼と茂る林が続く斜面。
山毛欅や杤の木が生茂る全く道のない斜面を、下生えを刈り取りながら進む。
一昨日。
軍議でそれぞれの目標が決まった。
柿崎殿が鏡山城を尾根伝いに攻略。私が一番近い天狗岩城。そしてその東の三峰城を色部殿の軍勢が攻める事となった。
昨日は攻略箇所を見つけるために費やしたが、全くこれと言った道がない。
どうやってあんな山頂に資材を運んだのだ?
木材は切ればよい。
縄もそれほど重くはない。
だが水は要るであろう。
兵糧も。
それらを運ぶ道がないのだ。
斜面が急すぎる。
故に頑丈な樹に綱を通してそれを頼りに上っていく。
これは体力を絞られてしまう。
罠に気を付けねば。
上から何か落ちてくればたまったものではない。
しかし岩などは運べぬ筈。
精々降ってくるとすれば丸太であろうが、このような樹が密生している所では効果が薄れよう。
あとは足元に気を付け……
「上杉様! 尾根伝いにやはり道が! 半間程の幅があります!」
やはりこちらが攻め口で良かろう。他は殆ど上がれぬ。
ここに陣取れば敵も逃げられまい。
「よし。剛の者を先頭に盾を使いつつ前進。
足元に注意じゃ」
私はこれ以上進まない方が良いであろう。
一隊を率いる部将がこれ以上前へ進むのは良くない。
ましてや私は上杉一族だ。御本城様とはと直接の血のつながりはないが越後長尾では有数の家柄。
私が若いながら、当主だ。ここで手柄を焦ってはならぬ。
……きっと柿崎殿は先陣を切って突っ込むのであろうが。
「城より石礫多数。盾を持たぬものに被害。あっ、その後無数の矢が!
ウグッ……」
前方を行く物頭の肩に矢が刺さる。
短い。弩弓か。
石礫で盾を上に向けさせてから矢を射たか。
「鉄砲隊はまだか?」
「はっ。今暫し。鉄砲を持っての登坂。時間が掛かりまする」
鉄砲が来るまでは待機を命じる。
あの矢盾の列。
その向こうにどれだけの弩弓があるのか?
100以上の矢が一斉に飛んできた。100名程度は籠れそうな城だが砦程度のもの。100名すべてが弓兵か?
大胡は何をするか分からぬ。
油断はせぬ。
弩弓が届かぬであろう80間(160m)まで退き、そこで鉄砲隊を待つ。
ここも坂か。高さでこちらが不利。それでも鉄砲ならば50間程度で乱射すれば、その援護で突入できよう。普通の矢盾ならば貫通する。
「遅くなり申した。鉄砲隊100。直ぐに戦えまする」
鉄砲足軽を束ねる足軽頭が汗を拭き拭き報告する。
休ませてから狙いを付けた射撃をしてほしいが、既に日没が近い。
攻めあぐねてはいけない。
南の方では鏡山城が落ちたらしい。煙が上がっている。東の三峰城は喚声しか聞こえぬ。攻めあぐねているのか?
「射撃用意!
放て~い!」
一斉射撃ではない、狙いを澄ましての射撃にて矢盾を一つ一つ貫通させる。
なにせ道が狭いのだ。これで隠れているであろう多くの大胡兵を倒したはず。
「突撃~~!!」
剛の者を集めた先手が突っ込むが、大胡の矢盾を蹴飛ばした後呆然としている。
そして皆……
まるで将棋の駒が倒れるようにこちらへ倒れてきた。
全身針の山であった。
こちらまで飛んできた矢を確認する。
弩弓の矢ではある。
が、その先端は普通の征矢とは全く違っていた。
鋭く尖り、まるで裁縫の針のようである。
そして矢羽根がなぜか螺旋状(注)をしている。
これが80間離れていた私の近くまで飛んできて、馬廻りの者の甲冑すら貫いた。
皆が恐れおののいた。
鉄砲の当たる近さではない。
勿論前にいた鉄砲足軽にも被害が出ている。
そして見えたのだ。
剛の者が踏み倒し、蹴散らした矢盾の向こうに多数の弩弓が据え付けられているのを。その数、およそ10余り。
その1つ1つの弩弓が付けられた山のような器械。
この1つが今、放たれたのか?
つまりまだ9回は連射できる?
そして躊躇している間にも先の弩弓の矢が補充されていく。
80間まで下がって矢盾の間から鉄砲で撃ち返すか?
ここからでは相当な高さの違いがある。
撃ちあげる鉄砲はどれだけの威力があるのか?
あちらの弩弓は今までとは違う。80間でも易々と甲冑を射貫く。
多分高低差が影響しているのであろうがこの矢羽根と鏃に仕掛けがあるのか?
これは夜襲でもするしかあるまい。
私は西に沈む夕日を見た。
この紅が越後の兵の胸に
咲くのは見たくはない……
上野国名胡桃城
上杉景信
(あの関東管領を連れて帰った人です)
「よく見えるのう。沼田盆地が一望の元じゃ。それにあの沼田城の動きも筒抜けじゃ」
先に落とした名胡桃城の櫓が臨時に再建された。
大して壊れておらなかったからそう時間はかからなかったが、ここからの景色が重要だ。
敵の動きがよく見える。
「しかし敵の主力は沼田に引っ込んだままじゃな。出城がいくつかあるがこれを落としたら後詰に出てくるか? それを叩くとかせんのか? 宇佐美(定満)殿」
上杉一の猛者と自他ともに認める柿崎(景家)殿が此度の別動隊を任されている宇佐美殿へ提案ともつかぬ主張をする。
勇猛ではあるが好戦的で困る。
これを止めることができるのは御本庄様と宇佐美殿くらいか。
「それもよい手ではあるが。堅実にまずは優先的に近場の出城を落としましょうぞ。あそこに見える天狗岩城と鏡山城、三峰城。これが取れれば盆地の北半分が勢力圏になりましょう」
宇佐美殿は指揮杖にて3方向を指し示した。
確かにあの3つの城が邪魔だ。特にあの三峰城が危険に思える。
そこから長く連なる河岸の崖による自然の防壁が役に立たん。
あそこを取らねば沼田までの道が開けん。
敵を迎え撃つにもあそこが最適。
「では、至急あの3つの砦……城としては小さきあの場所を押さえましょうぞ。沼田への道が開ける」
この方は吠えないが顔がいかつくなる。
全身から闘気がみなぎる。
それが皆に伝わるため圧倒される。
戦ではこれに大声が加わるのだ。
敵に回したくはないな。
「では明後日までに攻め口を確認、我攻めで一気に参りましょうぞ。そのための軍議を一刻後に」
昨日、御本城様よりの知らせを軒猿が持って来た。
「遅い」と。
武田は既に関東に入ったとの事。
御本城様は大胡と一戦交えたらしい。
結果は定かではないが、まさか負けはいたすまい。
此度の包囲戦。何処が遅れても支障が出る。
我らは早々にここ沼田を抜き南下。
大胡の中枢部を脅かさねば。
さすれば大胡も多方面で敵と相対することになろう。少しでもこちらに兵を引きつけ御本城様の侵攻をお助けすることが大事。
略奪できなかった兵糧を早々に手に入れ前へ進むのだ。
◇ ◇ ◇ ◇
1559年5月上旬
沼田盆地天狗岩城西
上杉景信
(おぼっちゃまくん)
鬱蒼と茂る林が続く斜面。
山毛欅や杤の木が生茂る全く道のない斜面を、下生えを刈り取りながら進む。
一昨日。
軍議でそれぞれの目標が決まった。
柿崎殿が鏡山城を尾根伝いに攻略。私が一番近い天狗岩城。そしてその東の三峰城を色部殿の軍勢が攻める事となった。
昨日は攻略箇所を見つけるために費やしたが、全くこれと言った道がない。
どうやってあんな山頂に資材を運んだのだ?
木材は切ればよい。
縄もそれほど重くはない。
だが水は要るであろう。
兵糧も。
それらを運ぶ道がないのだ。
斜面が急すぎる。
故に頑丈な樹に綱を通してそれを頼りに上っていく。
これは体力を絞られてしまう。
罠に気を付けねば。
上から何か落ちてくればたまったものではない。
しかし岩などは運べぬ筈。
精々降ってくるとすれば丸太であろうが、このような樹が密生している所では効果が薄れよう。
あとは足元に気を付け……
「上杉様! 尾根伝いにやはり道が! 半間程の幅があります!」
やはりこちらが攻め口で良かろう。他は殆ど上がれぬ。
ここに陣取れば敵も逃げられまい。
「よし。剛の者を先頭に盾を使いつつ前進。
足元に注意じゃ」
私はこれ以上進まない方が良いであろう。
一隊を率いる部将がこれ以上前へ進むのは良くない。
ましてや私は上杉一族だ。御本城様とはと直接の血のつながりはないが越後長尾では有数の家柄。
私が若いながら、当主だ。ここで手柄を焦ってはならぬ。
……きっと柿崎殿は先陣を切って突っ込むのであろうが。
「城より石礫多数。盾を持たぬものに被害。あっ、その後無数の矢が!
ウグッ……」
前方を行く物頭の肩に矢が刺さる。
短い。弩弓か。
石礫で盾を上に向けさせてから矢を射たか。
「鉄砲隊はまだか?」
「はっ。今暫し。鉄砲を持っての登坂。時間が掛かりまする」
鉄砲が来るまでは待機を命じる。
あの矢盾の列。
その向こうにどれだけの弩弓があるのか?
100以上の矢が一斉に飛んできた。100名程度は籠れそうな城だが砦程度のもの。100名すべてが弓兵か?
大胡は何をするか分からぬ。
油断はせぬ。
弩弓が届かぬであろう80間(160m)まで退き、そこで鉄砲隊を待つ。
ここも坂か。高さでこちらが不利。それでも鉄砲ならば50間程度で乱射すれば、その援護で突入できよう。普通の矢盾ならば貫通する。
「遅くなり申した。鉄砲隊100。直ぐに戦えまする」
鉄砲足軽を束ねる足軽頭が汗を拭き拭き報告する。
休ませてから狙いを付けた射撃をしてほしいが、既に日没が近い。
攻めあぐねてはいけない。
南の方では鏡山城が落ちたらしい。煙が上がっている。東の三峰城は喚声しか聞こえぬ。攻めあぐねているのか?
「射撃用意!
放て~い!」
一斉射撃ではない、狙いを澄ましての射撃にて矢盾を一つ一つ貫通させる。
なにせ道が狭いのだ。これで隠れているであろう多くの大胡兵を倒したはず。
「突撃~~!!」
剛の者を集めた先手が突っ込むが、大胡の矢盾を蹴飛ばした後呆然としている。
そして皆……
まるで将棋の駒が倒れるようにこちらへ倒れてきた。
全身針の山であった。
こちらまで飛んできた矢を確認する。
弩弓の矢ではある。
が、その先端は普通の征矢とは全く違っていた。
鋭く尖り、まるで裁縫の針のようである。
そして矢羽根がなぜか螺旋状(注)をしている。
これが80間離れていた私の近くまで飛んできて、馬廻りの者の甲冑すら貫いた。
皆が恐れおののいた。
鉄砲の当たる近さではない。
勿論前にいた鉄砲足軽にも被害が出ている。
そして見えたのだ。
剛の者が踏み倒し、蹴散らした矢盾の向こうに多数の弩弓が据え付けられているのを。その数、およそ10余り。
その1つ1つの弩弓が付けられた山のような器械。
この1つが今、放たれたのか?
つまりまだ9回は連射できる?
そして躊躇している間にも先の弩弓の矢が補充されていく。
80間まで下がって矢盾の間から鉄砲で撃ち返すか?
ここからでは相当な高さの違いがある。
撃ちあげる鉄砲はどれだけの威力があるのか?
あちらの弩弓は今までとは違う。80間でも易々と甲冑を射貫く。
多分高低差が影響しているのであろうがこの矢羽根と鏃に仕掛けがあるのか?
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