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第27章:戦略方針決定
遅滞運動はしのっち任せたよ~
しおりを挟む「まずは~。どらごん……じゃない、龍の封じ込めだよね。それともこれを最初に叩く?」
殿が口火を切る。
ここには最前線指揮官の内、遠方、駿河・伊豆におられる滝川殿と前田殿。
それに原殿は参加していない。
那和まで早馬を飛ばしても3日は掛かる。それではもしもの時には対応できぬ。
よって
第1旅団長:後藤殿
第2旅団長:大胡是政殿。
第3旅団長:太田殿。
第4旅団長:東雲殿。
品川支隊長:真田政輝殿。
沼田兵団長:矢沢殿。
滝山兵団長:明智殿。
碓井兵団長:長野政業殿。
大胡水軍長官:伊丹殿。
ここに参加できなかった指揮官は他にも
佐野方面兵団長
江戸方面兵団長
がいるが致し方ない。
「あ~、では東雲殿。第4旅団をもって忍城北方面にて上杉軍の遅滞行動でよろしいか?」
東雲殿がご自慢の付け髭をしごきながら立ち上がる。
あの髭は後藤殿に引っ張られなければ付いていると豪語されているが本当なのだろうか?
たしか55号と申していたが。
相当研究成されたのか。
「暫し待たれよ。まずは何処の敵を最初に撃破することが前提なのだ? それによって遅滞運動の方策が変わりまする。当たり前のことでござるが」
失礼仕ると殿に礼をとり、背後に掛けてある地図を指し示しながら続けた。
「結局のところ、宇都宮、佐竹は攻城戦で素早い侵攻は出来申さぬ。里見は水軍次第。上陸した軍勢は品川支隊が受け持つしかござらぬ。駿河は滝川殿の部隊と原殿にお任せするしかない。
沼田も矢沢殿。
滝山は明智殿。
すると碓井に侵攻する武田?
これを要塞地帯にて防いでいる間に上杉の本隊を撃破するしか方策はござらぬが、それでも某の竜騎兵が遅滞運動をしても宜しいのか?」
尤もな疑問だ。
これには某が応えねば……
口を出す前に殿が答えを返す。
「ああ、しのっち。ちょっとね、僕が気になっているのはドラゴンもとい、越後の龍が未だ関宿にいる事なんだ。もう西進してもいい頃でしょ?
何故しないの?
何か理由がある筈。これ探らないと本隊出せない。
最も恐れるのは上杉軍と対陣したまま膠着状態になること。そこを駿河なり碓井なりを攻められたら目も当てられない。海戦の結果次第でも変わるし」
それを聞いた東雲殿が少々声を荒げて発言した。
「殿。お言葉を返す事、お許しを。先手を取ること。これすなわち兵学の基本。
敵の出鼻をくじく。そして内線作戦。
現状の包囲を食い破るには受け身になってしまわれては後がございませぬ」
納得のいく説明だ。
それに対しての殿の答えは、明快だ。
「うん。敵の一方を叩いてから、もう一方を叩く。先に叩くのは武田。なぜならば武田はもう銭がない。
先手を打ってくる。そこを叩くの。そのために準備をしておけば先手を取れる。だから本隊は迷っているように見せて隙を作る。
機動がすべてだよん」
それではいったいどこで決戦をするのか?
皆が殿の次の言葉を待った。
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