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第25章:大胡最大の?ピンチ
これからも為替戦争は続く
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1557年9月下旬
上野国富士見地区
長野政影
(自分がセーブ機能であったことにショックを受けて……いない!
いや意味が分からなかっただけ)
青柳の龍造寺より北の赤城山山麓は殆ど開墾され、今は放牧地となっている。
そこかしこに牛馬とその畜舎、そして刈草を入れておく大きな棟が見える。
ここからは快晴の日には遠くに富士の山が見えるので、富士見と名付けられた。
殿は刈り取られて丈の短くなった草原に大の字になって寝ころび、野分の過ぎ去った後の雲一つない晴天を見上げていた。
「大胡の生死を分ける戦をしたけど、結局引き分けか~。皆に、それこそ日ノ本中に迷惑をかけて前進できなかった。
辛いなぁ。
ごめんなさいと何度言ったか。とりあえず銭出してくれた大胡の皆には大胡札でお返ししたから大胡札普及も含めて、返って全体的にはうまく行ったけど」
最近殿は独り言が多くなられた。
よい傾向なのだろうか。
今までは自分の心の中で考えなされていたことを口にするようになっただけ、周りとの隔たりを縮めてこられたのか。
「この時代。正確な数字が出ないけど相当数の損した人が出たんだろうね。それこそ人生終わらせちゃうような損を。堺のせいだけじゃなくて、僕の……大胡の戦い方のせいで。
儲けた人もいると思うけど資本の集中が進んだね。プチブル増えれば市民層が増えるから資本主義の第一段階なんだけど、置いてけぼりの人どうするんだろ? やっぱり収入の底上げのために各種生産の奨励かなぁ」
某はただ黙って聞いていた。
そういえば最近、あまり髷を弄らなくなってきた。
あの観音様の夜からか?
もういらないと言われたことがいくつかあった。
一つは肉食の事。
拘らないと。
できるだけ大胡で取れたものをよく噛んで食べる。
なるべく小食を心掛けるが体を鍛える時期は肉も食われるとか。
二つ目は某の付けていた日記。
それも書かなくてもよいと。
しかしこれは丁重にお断りした。
これからは某自身の為、そして後世の歴史を学ぶ者のために反省材料として残しておこう。大胡政賢とその家臣が如何様に考え、如何様に生きていたかを伝えるために。
「さあ。那和で反省会議始めよっか。どこが悪かったか、どうすればよかったか、そしてこれからどうすればよいか。ウンっと考えなくちゃね」
と、踏ん張って前へ踏み出した先に、馬のフンがあったようだ。
「くっちゃぁ~」といって、ショックを受けている。
「殿。その糞もあと3年もすれば畑によい肥料となります。今は臭いだけの糞ですが必ずや役に立つ日が来ましょう」
「そうだね。今後の肥やしとはよく言ったもんだね。大胡の息の根止められなかったんだ。
次がある。だから反省大事。ORだよ!」
殿と某は、馬廻りの者数名と共に騎乗して那和へ向かって駆けだした。風が糞の臭いを運んできたのは清々しさを台無しにしたが。
◇ ◇ ◇ ◇
同日
那和城松の間
坂田屋甚八
(義衛門にいい所を持って行かれた経済界のフィクサー(仮))
これから今回の『公界戦争』と名付けられた大騒動の反省会議が始まります。
松の間に入るのは初めてです。
急遽呼び戻された友野屋さんと二人で詳細な資料を作りそれを配布、皆さまと今回の出来事を把握し今後の課題を探し出す会議です。
「まずは皆さん、お疲れ様でした。特に最前線で活躍していた、甚ぱっちゃんと友ちゃん。本当にありがとう! 後藤のお仁王様と同じくらいの活躍!」
滅相もない!
そんな大功を立てたわけではありません。
そのような顔色を見て当の後藤様が大声で仰った。
「そうじゃ!
儂なんかには到底分からんが、此度の戦。負ければ戦場で負けるよりもひどいことになったと聞いたぞ! ありがとうありがとう!」
文字通り手放しでお褒め下さった。
私は照れで膝をくしゃっと掴みながら、下を向いて赤い顔を見られないように下を向く。
友野屋さんが今回の結果を大まかに皆さんに説明いたしました。
「為替取引では大胡札の回収で無理を致しましたので、5万貫文以上の差損が出ました。しかしこれは押されていた商品の先物取引で最後に挽回。
同時並行で進められていた武蔵を中心とした行商人の育成によって、ある程度資本の回収が進みました。
大胡様には収入として入りませんでしたが、新たに多くの行商人が東国商人組合に加入しましたのでここが新たなる収入源となります。
おぷしょん取引では5日間の取引停止後の再開値が大幅に逆に巻き返して、堺側が4万貫文程度の損害で清算してきました。
既に殆どの建玉は清算されました。(注1)
鉄の地金はほぼ大胡にて回収。
しかし金銀の地金は戦の開始時よりも減っております。代わりに銭が増え、現在の交換比率で7万貫文程度の利益となっています。今後地金の価値が増えていくと利益が縮まるかと。
大胡札を再び使う事、慎重にならねば。現在日ノ本中で鉄の不足で値が上がっておりまする故、これを鎮めねばならぬかと」
殿も皆さんも渋い顔を為されています。
「敗戦じゃ」との声があちらこちらから聞こえてきます。
「大分やられちゃったね。大方針は良かったんだけど甘かった所がありすぎ。智円のにーちゃんが司会して始めよう、反省会議!」
そしてそれぞれの分野で見つかった問題点を確認していきました。
1)為替取引は
兌換できる地金を増やしてから行わないと 攻撃を受ける。
2)おぷしょん取引は 毎日取引をするのは危険。
期限が来た時に清算する。
価格を参考にするためだけにする。
3)相場の元情報の収集は 速さが重要。
これを安全に、且つ速さを安定させる必要性。
4)真鍮製の硬貨発行を急ぐ。
5)西国商人の所持している銀を吸収する仕組みを作る。
6)両替座の預金を貸し出しに使えるようにする。
7)通貨供給安定所から各地の両替座に大胡札と硬貨を貸し出す。
その際の金利を決める。
8)高等数学を修めた者への給与と地位の改善。
まだまだ細かなものは出てきたが、大きなものはこの8点でした。
兎に角、元になる兌換できる『皆が持っていて安全』と思うものを大量に保管すること。これが大事です。
今考えられるものは、金銀銅、鉄。これに真鍮を付け加えます。真鍮は棄損が少ない少額硬貨用。鉄は鋳つぶして鍛冶屋が多く使いますね。金銀銅は言うまでもありません。鉄は量を増減できるので流通する量を使って金利操作や生産を促すことが出来ます。
そして殿が大事なことを仰いました。
「これからまた弩弓の時代が来る」と。
皆が不思議に思っていたら、唐国の南部、雲南から連なる地域に生息する水牛。
この角が弩弓の湾曲部に最適との情報を入手したとか。
いつものことながら殿はこのような情報、どこから手に入れるのか?
それはさておき、弩弓の小型化と消耗を押さえることで、隠密裏に素早く情報を伝達できることは嬉しい事です。
もう危険な鳩は使わなくてもよくなりますが、囮として使うという事です。
弩弓の連絡網を探られては一大事です。
今回の事でわかったことの一つ。
大胡札が西国にあまり広がらない要因として2つが考えられました。
まず一つは銀の存在。
銭よりも地金としての価値が高く持ち運びに便利。
二つ目は信用の創造が大事だという事。
三好や大内、大友などが信任した商人が扱う銀は含有量をきちんと統一して扱っているという信用がある。
本当かどうかは別として。
それが出来ない場合は米などの「絶対に使う商品」が銭の代わりとなる。
結局大変複雑な取引が行われ、座に属していない行商人などは馬鹿を見ることになります。
これを改善する為には「強力な勢力が後ろ盾になる」通貨が必要。
大胡札が西国に通用しないのは『信用がない』からだという結論になりました。
偽造については帝と多くの神社の信任を得ていることで防止できておりますが、価値については保証して使用者に安心してもらうことで信用を作ることになります。
「『ばらんすしーと』(注2) なんかわかんないだろうしなぁ。複式簿記分かっていないとね」
『ばらんすしーと』とは、貸借対照表の事です。
貸し借りがどれだけあって、借財どこまで可能かどうかも分かります。
これでその店や大名勢力の経営安定性が分かります。安定している所には貸し付けが安心してできるのですが……。
これが分からないから怖くて貸し出せない。するとその場での決済に現物が必要となるわけです。
その際どうしても大胡札は不安になります。
「やっぱり、天下一統か。それとも毀損しない絶対的質と量の担保となるもの。金銀みたいなね。
これしかないか。のぶにゃがとおさるさんの気持ち、よくわかるわ~。楽市楽座したくなるわけだよ。あれやると富の集中起きるから。
で。地方がすっからかんになる。いい政策に言われるけど長期的には悪手」
「あとはやはり1年での兌換停止という仕組みはやめた方が宜しいかと。
今回の最大の失敗は
『おぷしょん価格にて為替を決める』
という事が原因なのですから。
後々の課題という事で如何でしょうか?
目的である通貨の流通を促すことと、貨幣の退蔵を無くし金持ちの銭離れを早めるという事は分かるのですが……」
今回、堺の攻勢に真っ向から立ち向かった友野屋さんのこの意見は重い。
「じゃあ、1年後に必ず兌換しないといけないとか?
あとは可及的速やかに真鍮製硬貨を作ることかな。あれなら鋳つぶして地金にされないし、偽造しにくいし。それが出来るまでに……
領国多くする?
ヤダナァ侵略戦争。
でもこれだけ堺と敵対したからもう武田なんか完全に仇敵だよね。潰すしかない。でも当分は内政と外交するしかないなぁ。
あと半月でそれぞれの分掌でこれから必要な事まとめて来て。今度は評定を拡大して新人さんの育成を視野に入れようね」
結局は西国の経済規模の巨大さを痛感し、それを支配することの困難さを確認したことで終わった。
「そうだ! 金銀銅、鉄だけじゃなくて宝石もあったじゃん!
作れるやつあるんだよね。それはし・ん・じゅ~。
南蛮に売れる~。
日ノ本じゃあ大した需要ないけど、需要を作っちゃえばいいよね!?」
注1)堺は欲かいてプット買いだけじゃなくコール売りもしていました。そして慣れない故に反対売買を失敗。損害を拡大しましたとさ。
上野国富士見地区
長野政影
(自分がセーブ機能であったことにショックを受けて……いない!
いや意味が分からなかっただけ)
青柳の龍造寺より北の赤城山山麓は殆ど開墾され、今は放牧地となっている。
そこかしこに牛馬とその畜舎、そして刈草を入れておく大きな棟が見える。
ここからは快晴の日には遠くに富士の山が見えるので、富士見と名付けられた。
殿は刈り取られて丈の短くなった草原に大の字になって寝ころび、野分の過ぎ去った後の雲一つない晴天を見上げていた。
「大胡の生死を分ける戦をしたけど、結局引き分けか~。皆に、それこそ日ノ本中に迷惑をかけて前進できなかった。
辛いなぁ。
ごめんなさいと何度言ったか。とりあえず銭出してくれた大胡の皆には大胡札でお返ししたから大胡札普及も含めて、返って全体的にはうまく行ったけど」
最近殿は独り言が多くなられた。
よい傾向なのだろうか。
今までは自分の心の中で考えなされていたことを口にするようになっただけ、周りとの隔たりを縮めてこられたのか。
「この時代。正確な数字が出ないけど相当数の損した人が出たんだろうね。それこそ人生終わらせちゃうような損を。堺のせいだけじゃなくて、僕の……大胡の戦い方のせいで。
儲けた人もいると思うけど資本の集中が進んだね。プチブル増えれば市民層が増えるから資本主義の第一段階なんだけど、置いてけぼりの人どうするんだろ? やっぱり収入の底上げのために各種生産の奨励かなぁ」
某はただ黙って聞いていた。
そういえば最近、あまり髷を弄らなくなってきた。
あの観音様の夜からか?
もういらないと言われたことがいくつかあった。
一つは肉食の事。
拘らないと。
できるだけ大胡で取れたものをよく噛んで食べる。
なるべく小食を心掛けるが体を鍛える時期は肉も食われるとか。
二つ目は某の付けていた日記。
それも書かなくてもよいと。
しかしこれは丁重にお断りした。
これからは某自身の為、そして後世の歴史を学ぶ者のために反省材料として残しておこう。大胡政賢とその家臣が如何様に考え、如何様に生きていたかを伝えるために。
「さあ。那和で反省会議始めよっか。どこが悪かったか、どうすればよかったか、そしてこれからどうすればよいか。ウンっと考えなくちゃね」
と、踏ん張って前へ踏み出した先に、馬のフンがあったようだ。
「くっちゃぁ~」といって、ショックを受けている。
「殿。その糞もあと3年もすれば畑によい肥料となります。今は臭いだけの糞ですが必ずや役に立つ日が来ましょう」
「そうだね。今後の肥やしとはよく言ったもんだね。大胡の息の根止められなかったんだ。
次がある。だから反省大事。ORだよ!」
殿と某は、馬廻りの者数名と共に騎乗して那和へ向かって駆けだした。風が糞の臭いを運んできたのは清々しさを台無しにしたが。
◇ ◇ ◇ ◇
同日
那和城松の間
坂田屋甚八
(義衛門にいい所を持って行かれた経済界のフィクサー(仮))
これから今回の『公界戦争』と名付けられた大騒動の反省会議が始まります。
松の間に入るのは初めてです。
急遽呼び戻された友野屋さんと二人で詳細な資料を作りそれを配布、皆さまと今回の出来事を把握し今後の課題を探し出す会議です。
「まずは皆さん、お疲れ様でした。特に最前線で活躍していた、甚ぱっちゃんと友ちゃん。本当にありがとう! 後藤のお仁王様と同じくらいの活躍!」
滅相もない!
そんな大功を立てたわけではありません。
そのような顔色を見て当の後藤様が大声で仰った。
「そうじゃ!
儂なんかには到底分からんが、此度の戦。負ければ戦場で負けるよりもひどいことになったと聞いたぞ! ありがとうありがとう!」
文字通り手放しでお褒め下さった。
私は照れで膝をくしゃっと掴みながら、下を向いて赤い顔を見られないように下を向く。
友野屋さんが今回の結果を大まかに皆さんに説明いたしました。
「為替取引では大胡札の回収で無理を致しましたので、5万貫文以上の差損が出ました。しかしこれは押されていた商品の先物取引で最後に挽回。
同時並行で進められていた武蔵を中心とした行商人の育成によって、ある程度資本の回収が進みました。
大胡様には収入として入りませんでしたが、新たに多くの行商人が東国商人組合に加入しましたのでここが新たなる収入源となります。
おぷしょん取引では5日間の取引停止後の再開値が大幅に逆に巻き返して、堺側が4万貫文程度の損害で清算してきました。
既に殆どの建玉は清算されました。(注1)
鉄の地金はほぼ大胡にて回収。
しかし金銀の地金は戦の開始時よりも減っております。代わりに銭が増え、現在の交換比率で7万貫文程度の利益となっています。今後地金の価値が増えていくと利益が縮まるかと。
大胡札を再び使う事、慎重にならねば。現在日ノ本中で鉄の不足で値が上がっておりまする故、これを鎮めねばならぬかと」
殿も皆さんも渋い顔を為されています。
「敗戦じゃ」との声があちらこちらから聞こえてきます。
「大分やられちゃったね。大方針は良かったんだけど甘かった所がありすぎ。智円のにーちゃんが司会して始めよう、反省会議!」
そしてそれぞれの分野で見つかった問題点を確認していきました。
1)為替取引は
兌換できる地金を増やしてから行わないと 攻撃を受ける。
2)おぷしょん取引は 毎日取引をするのは危険。
期限が来た時に清算する。
価格を参考にするためだけにする。
3)相場の元情報の収集は 速さが重要。
これを安全に、且つ速さを安定させる必要性。
4)真鍮製の硬貨発行を急ぐ。
5)西国商人の所持している銀を吸収する仕組みを作る。
6)両替座の預金を貸し出しに使えるようにする。
7)通貨供給安定所から各地の両替座に大胡札と硬貨を貸し出す。
その際の金利を決める。
8)高等数学を修めた者への給与と地位の改善。
まだまだ細かなものは出てきたが、大きなものはこの8点でした。
兎に角、元になる兌換できる『皆が持っていて安全』と思うものを大量に保管すること。これが大事です。
今考えられるものは、金銀銅、鉄。これに真鍮を付け加えます。真鍮は棄損が少ない少額硬貨用。鉄は鋳つぶして鍛冶屋が多く使いますね。金銀銅は言うまでもありません。鉄は量を増減できるので流通する量を使って金利操作や生産を促すことが出来ます。
そして殿が大事なことを仰いました。
「これからまた弩弓の時代が来る」と。
皆が不思議に思っていたら、唐国の南部、雲南から連なる地域に生息する水牛。
この角が弩弓の湾曲部に最適との情報を入手したとか。
いつものことながら殿はこのような情報、どこから手に入れるのか?
それはさておき、弩弓の小型化と消耗を押さえることで、隠密裏に素早く情報を伝達できることは嬉しい事です。
もう危険な鳩は使わなくてもよくなりますが、囮として使うという事です。
弩弓の連絡網を探られては一大事です。
今回の事でわかったことの一つ。
大胡札が西国にあまり広がらない要因として2つが考えられました。
まず一つは銀の存在。
銭よりも地金としての価値が高く持ち運びに便利。
二つ目は信用の創造が大事だという事。
三好や大内、大友などが信任した商人が扱う銀は含有量をきちんと統一して扱っているという信用がある。
本当かどうかは別として。
それが出来ない場合は米などの「絶対に使う商品」が銭の代わりとなる。
結局大変複雑な取引が行われ、座に属していない行商人などは馬鹿を見ることになります。
これを改善する為には「強力な勢力が後ろ盾になる」通貨が必要。
大胡札が西国に通用しないのは『信用がない』からだという結論になりました。
偽造については帝と多くの神社の信任を得ていることで防止できておりますが、価値については保証して使用者に安心してもらうことで信用を作ることになります。
「『ばらんすしーと』(注2) なんかわかんないだろうしなぁ。複式簿記分かっていないとね」
『ばらんすしーと』とは、貸借対照表の事です。
貸し借りがどれだけあって、借財どこまで可能かどうかも分かります。
これでその店や大名勢力の経営安定性が分かります。安定している所には貸し付けが安心してできるのですが……。
これが分からないから怖くて貸し出せない。するとその場での決済に現物が必要となるわけです。
その際どうしても大胡札は不安になります。
「やっぱり、天下一統か。それとも毀損しない絶対的質と量の担保となるもの。金銀みたいなね。
これしかないか。のぶにゃがとおさるさんの気持ち、よくわかるわ~。楽市楽座したくなるわけだよ。あれやると富の集中起きるから。
で。地方がすっからかんになる。いい政策に言われるけど長期的には悪手」
「あとはやはり1年での兌換停止という仕組みはやめた方が宜しいかと。
今回の最大の失敗は
『おぷしょん価格にて為替を決める』
という事が原因なのですから。
後々の課題という事で如何でしょうか?
目的である通貨の流通を促すことと、貨幣の退蔵を無くし金持ちの銭離れを早めるという事は分かるのですが……」
今回、堺の攻勢に真っ向から立ち向かった友野屋さんのこの意見は重い。
「じゃあ、1年後に必ず兌換しないといけないとか?
あとは可及的速やかに真鍮製硬貨を作ることかな。あれなら鋳つぶして地金にされないし、偽造しにくいし。それが出来るまでに……
領国多くする?
ヤダナァ侵略戦争。
でもこれだけ堺と敵対したからもう武田なんか完全に仇敵だよね。潰すしかない。でも当分は内政と外交するしかないなぁ。
あと半月でそれぞれの分掌でこれから必要な事まとめて来て。今度は評定を拡大して新人さんの育成を視野に入れようね」
結局は西国の経済規模の巨大さを痛感し、それを支配することの困難さを確認したことで終わった。
「そうだ! 金銀銅、鉄だけじゃなくて宝石もあったじゃん!
作れるやつあるんだよね。それはし・ん・じゅ~。
南蛮に売れる~。
日ノ本じゃあ大した需要ないけど、需要を作っちゃえばいいよね!?」
注1)堺は欲かいてプット買いだけじゃなくコール売りもしていました。そして慣れない故に反対売買を失敗。損害を拡大しましたとさ。
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