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第25章:大胡最大の?ピンチ
おぷしょん売りはコワイ
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1557年9月中旬
山城国京角倉屋
磐梯屋藤兵衛
(行商人の頃を思い出したちょい悪商人)
色を付けて6万貫文というところでしょうか」
此奴! 足元を見やがって!
京の大店で大胡に近い商人は酒の商いでつながりの深い、蔵元である岡本家の本家、この門倉屋吉田宗桂のみ。
現在の状況を打開するための一時凌ぎとして、この男から取り敢えず銭を借りるしかない。
湯ヶ島の金山の5年間の運営権を担保として最低でも10万貫文は借りようとここへ来た。しかし現在見込める産出量の5年分として5万貫文。
それに色を付けるだと?
「ご譲渡いただければ10万貫文程度をお支払いできますが、こればかりは……5年後、湯ヶ島の地が何方の領地になっているかもわかりませぬので」
もう大胡と東国商人組合が潰されると見ているわけだ。
この角倉屋ですらこれだ。
もう京にて銭を貸してくれる商人はいないだろう。
東国商人から銭を借りている時間はない。
和田には組合の出資金が積んであるが、京まで持ってこれねば交換停止を止める手立てにはならん。
約束手形を発行するならばとてつもない金利を支払わねばならないだろう。
年利で30割でも足りるまい。
大胡様に採りたててもらってからずっと忘れていた。
信用を無くすというという事は商売人にとって、死を意味するのだ。
6万貫文を借用することを6万4200貫文まで粘って借財してきた。
次は寺社か。
もしくは中小の土倉。
だがこれまで大胡によって煮え湯を飲まされているものが多い。
臨済宗と浄土宗、あとは法華宗程度か。
望みがあるのは。
ええい!
俺がここで踏ん張らねば、今までの皆の苦労が全て水泡に帰する。
粘りに粘ってやる!
行商人の頃を思い出せ。
蹴り飛ばされ追い出されても足にしがみつき1銭でも多く銭を借りてやる!
◇ ◇ ◇ ◇
公界市
厩橋義衛門
(立身出世が甚だしい大胡の商人たち)
「そうですか。流石は磐梯屋さん。12万貫文以上捻出できましたか。
これで一息付けます」
先程、ここで雇っている孤児の花が、麦湯を持ってきてくれた。
大分冷めてしまったが、それでのどを潤す。
この子たちの為にも負けるわけにはいかない。
磐梯屋さんは角倉屋さんを始め、諸宗派のお寺と京付近にある神社に借財をして廻っていただいた。
これで現在の手持ち21万貫文と合わせて33万貫文。
鉄と交換できる5万貫文以外の5万貫文を
『さあきっとぶれいかあ』
が効いている状態で4日後に全部交換したとしても何とか間に合う。
実際には毎日交換しているので、2日間経過している本日時点で半数以上の大胡札が引き替え出来た。
何とか間に合った。
「市長。問題が。それも大問題です!」
為替取引所の友野屋さんが、真っ青な顔をして市長室へ入ってきた。
手には1枚の紙がぐしゃっと握られている。
「おぷしょん取引ですが、明日の相場が出ました。
1貫文を売る権利が大胡札11円分となっています!
このままいけば3日後の取引再開までには30円くらいにはなるでしょう」
!!
総建玉10万貫文。
その内の何貫文が『あたり』(作者注:インザマネー)になるかはわかりませんが、5日間の取引停止後このまま値下がりが続けば大胡札は元の値の2割近くに安くなります。
殆どが外れでしょう。
そして『元の値の3割になると賭けた人』は莫大な利益を得ることに!
逆に賭けた人たち。その多くは東国商人や各地の土倉を通して寺社や大名。
その人々に大損害を与えてしまう。
勿論、それで破産する人が出れば東国商人の組合が資金を穴埋めに使わねばなりません。
「誰です? 極端な取引注文を出していたのは。2割とか3割とかになるとは、ふつう思いません。そのような注文を出した人は?」
「それが……堺の納屋さんです」
やはり!
彼奴ですか!
「それでその注文を受けた相手の方は?」
「……そのような馬鹿げた注文を受けるものが誰もおらず、おぷしょん取引部門の1人が勝手に大胡様の名義で注文を入れておりました。その者が最近姿を見せず」
やられたか!?
やはり堺に取り込まれていた!
高等数学の流出防止が甘すぎたか。
兎に角、今は対応策を。
必ずや納屋は取引停止が解除されると同時に、その権利を行使してくるだろう。
理論的な事は分からないが10万貫文の追加資金が必要だろう。
しかし、それだけで足りるのか?
大胡の信用が地に落ちる時、東国で出回っている300万円以上の大胡札の取り付け騒ぎが起きかねない。
殿ではないが私は一頻り頭を掻きむしった後、こめかみを右手で押さながら対抗策を考えた。
◇ ◇ ◇ ◇
上野国和田
坂田屋甚八
(大胡に来れて良かったね。武田よりもいいよ)
先程、京の義衛門さんから急便が送られてきた。
あと2日で支払い不能になると。
その止めが『おぷしょん取引』であると聞いて、この部屋の畳の上で転げ廻っている殿。
「ゼエゼエ。このままだと大胡札の取り付け騒ぎ、東国まで波及する。ここは何としてでも止めねば。何かいい方法は。
なにか……」
隣で『みるくほおる』を営んでいる女将が殿へと差し入れとして、人肌に温めた搾りたての牛乳を最近出回り始めた取手付きの茶碗に入れて机に置いていく。
この机も最近出回り始めたものだ。
殿は漸く落ち着いたのか窓際に置いてある椅子へ腰かけ、ありがとうと言いながら牛乳を飲む。
「やはりイライラするときは『かるしうむ』だよね。
搾りたてが飲めるなんてさいこ~」
すこし落ち着かれたようだ。
しかし何か良い案を出さねば結局、またイライラするのであろう。
今度は私も含めて。
「ん~。現状を確認しよう。
兎に角、堺の策略で始まった鉄と大胡札の暴落の直接的原因は、唐国から大量に仕入れてきた鉄と大胡から吸い取ってきた鉄を、一気に大胡の勢力でないところで安価にて売りさばく。
これを堺は銭に交換した。これでも損はしない。だって唐国と同じか少し高く売っているだけだから。それを大胡領以外の大名や商人、住人が仕入れて品川や河越、駿府、勝幡で売りさばく。
大胡領は基本的に大胡札で取引しているから、それを持ち帰る。それを使って西国の商人が江戸や甲府、京などで銭に交換。大胡札を吸収した後、これを鉄に兌換しようとする。
それで大胡札が暴落するわけね」
概ねその流れで現在まで経過している。
だが途中で乱高下もさせているのが厄介だ。庶民が戸惑い、売り買いを混乱させ庶民が一方的に損をしている。
「極悪だよなぁ。昔のへっじふぁんど並み。まだこの仕組みは早すぎたね。次はもうちょっとましな仕組みを考えよう。次があったらだけど」
弱気な事を仰る。
いつも戦は次がないものと思えと仰っているとか。そういう気持ちでというだけで次回の事は先に考えておくそうだが。最悪の事は考えて行動することは現在の銭の戦も同じ。
ただ今回は見通しが甘かった。
堺が上手であった。
やはり殿に比べ商いでは向こうに一日の長がある。
だからこそ私が頑張らねば。
「殿。商いはより多くの富を持っている方が強者。今、概算するに堺の中心人物の納屋は少なくとも9万貫文程度は動かしている筈。そこにどれだけ他の会合衆が乗っているか。
これ以上情勢が悪化すると、利が多いうちに我もと思うものが増えて参りましょう。その何倍もの銭を敵に回すことになります。ここで一気に巻き返しを図らねば」
銭だけでなく多くの鉄を動かして、更には『おぷしょん取引』にまで手を出している。納屋だけならば20万貫文はいかないでしょうが、同心している会合衆の銭まで含めるとその倍。
更には右往左往している庶民の銭まで含めるとさらに倍、80万貫文くらいが現在動いているでしょう。
殿が日頃仰るように
『たった一つの切っ掛け』
があればいい。
何かの突破口を見つけねば。
早くせねば全てが崩壊する!
山城国京角倉屋
磐梯屋藤兵衛
(行商人の頃を思い出したちょい悪商人)
色を付けて6万貫文というところでしょうか」
此奴! 足元を見やがって!
京の大店で大胡に近い商人は酒の商いでつながりの深い、蔵元である岡本家の本家、この門倉屋吉田宗桂のみ。
現在の状況を打開するための一時凌ぎとして、この男から取り敢えず銭を借りるしかない。
湯ヶ島の金山の5年間の運営権を担保として最低でも10万貫文は借りようとここへ来た。しかし現在見込める産出量の5年分として5万貫文。
それに色を付けるだと?
「ご譲渡いただければ10万貫文程度をお支払いできますが、こればかりは……5年後、湯ヶ島の地が何方の領地になっているかもわかりませぬので」
もう大胡と東国商人組合が潰されると見ているわけだ。
この角倉屋ですらこれだ。
もう京にて銭を貸してくれる商人はいないだろう。
東国商人から銭を借りている時間はない。
和田には組合の出資金が積んであるが、京まで持ってこれねば交換停止を止める手立てにはならん。
約束手形を発行するならばとてつもない金利を支払わねばならないだろう。
年利で30割でも足りるまい。
大胡様に採りたててもらってからずっと忘れていた。
信用を無くすというという事は商売人にとって、死を意味するのだ。
6万貫文を借用することを6万4200貫文まで粘って借財してきた。
次は寺社か。
もしくは中小の土倉。
だがこれまで大胡によって煮え湯を飲まされているものが多い。
臨済宗と浄土宗、あとは法華宗程度か。
望みがあるのは。
ええい!
俺がここで踏ん張らねば、今までの皆の苦労が全て水泡に帰する。
粘りに粘ってやる!
行商人の頃を思い出せ。
蹴り飛ばされ追い出されても足にしがみつき1銭でも多く銭を借りてやる!
◇ ◇ ◇ ◇
公界市
厩橋義衛門
(立身出世が甚だしい大胡の商人たち)
「そうですか。流石は磐梯屋さん。12万貫文以上捻出できましたか。
これで一息付けます」
先程、ここで雇っている孤児の花が、麦湯を持ってきてくれた。
大分冷めてしまったが、それでのどを潤す。
この子たちの為にも負けるわけにはいかない。
磐梯屋さんは角倉屋さんを始め、諸宗派のお寺と京付近にある神社に借財をして廻っていただいた。
これで現在の手持ち21万貫文と合わせて33万貫文。
鉄と交換できる5万貫文以外の5万貫文を
『さあきっとぶれいかあ』
が効いている状態で4日後に全部交換したとしても何とか間に合う。
実際には毎日交換しているので、2日間経過している本日時点で半数以上の大胡札が引き替え出来た。
何とか間に合った。
「市長。問題が。それも大問題です!」
為替取引所の友野屋さんが、真っ青な顔をして市長室へ入ってきた。
手には1枚の紙がぐしゃっと握られている。
「おぷしょん取引ですが、明日の相場が出ました。
1貫文を売る権利が大胡札11円分となっています!
このままいけば3日後の取引再開までには30円くらいにはなるでしょう」
!!
総建玉10万貫文。
その内の何貫文が『あたり』(作者注:インザマネー)になるかはわかりませんが、5日間の取引停止後このまま値下がりが続けば大胡札は元の値の2割近くに安くなります。
殆どが外れでしょう。
そして『元の値の3割になると賭けた人』は莫大な利益を得ることに!
逆に賭けた人たち。その多くは東国商人や各地の土倉を通して寺社や大名。
その人々に大損害を与えてしまう。
勿論、それで破産する人が出れば東国商人の組合が資金を穴埋めに使わねばなりません。
「誰です? 極端な取引注文を出していたのは。2割とか3割とかになるとは、ふつう思いません。そのような注文を出した人は?」
「それが……堺の納屋さんです」
やはり!
彼奴ですか!
「それでその注文を受けた相手の方は?」
「……そのような馬鹿げた注文を受けるものが誰もおらず、おぷしょん取引部門の1人が勝手に大胡様の名義で注文を入れておりました。その者が最近姿を見せず」
やられたか!?
やはり堺に取り込まれていた!
高等数学の流出防止が甘すぎたか。
兎に角、今は対応策を。
必ずや納屋は取引停止が解除されると同時に、その権利を行使してくるだろう。
理論的な事は分からないが10万貫文の追加資金が必要だろう。
しかし、それだけで足りるのか?
大胡の信用が地に落ちる時、東国で出回っている300万円以上の大胡札の取り付け騒ぎが起きかねない。
殿ではないが私は一頻り頭を掻きむしった後、こめかみを右手で押さながら対抗策を考えた。
◇ ◇ ◇ ◇
上野国和田
坂田屋甚八
(大胡に来れて良かったね。武田よりもいいよ)
先程、京の義衛門さんから急便が送られてきた。
あと2日で支払い不能になると。
その止めが『おぷしょん取引』であると聞いて、この部屋の畳の上で転げ廻っている殿。
「ゼエゼエ。このままだと大胡札の取り付け騒ぎ、東国まで波及する。ここは何としてでも止めねば。何かいい方法は。
なにか……」
隣で『みるくほおる』を営んでいる女将が殿へと差し入れとして、人肌に温めた搾りたての牛乳を最近出回り始めた取手付きの茶碗に入れて机に置いていく。
この机も最近出回り始めたものだ。
殿は漸く落ち着いたのか窓際に置いてある椅子へ腰かけ、ありがとうと言いながら牛乳を飲む。
「やはりイライラするときは『かるしうむ』だよね。
搾りたてが飲めるなんてさいこ~」
すこし落ち着かれたようだ。
しかし何か良い案を出さねば結局、またイライラするのであろう。
今度は私も含めて。
「ん~。現状を確認しよう。
兎に角、堺の策略で始まった鉄と大胡札の暴落の直接的原因は、唐国から大量に仕入れてきた鉄と大胡から吸い取ってきた鉄を、一気に大胡の勢力でないところで安価にて売りさばく。
これを堺は銭に交換した。これでも損はしない。だって唐国と同じか少し高く売っているだけだから。それを大胡領以外の大名や商人、住人が仕入れて品川や河越、駿府、勝幡で売りさばく。
大胡領は基本的に大胡札で取引しているから、それを持ち帰る。それを使って西国の商人が江戸や甲府、京などで銭に交換。大胡札を吸収した後、これを鉄に兌換しようとする。
それで大胡札が暴落するわけね」
概ねその流れで現在まで経過している。
だが途中で乱高下もさせているのが厄介だ。庶民が戸惑い、売り買いを混乱させ庶民が一方的に損をしている。
「極悪だよなぁ。昔のへっじふぁんど並み。まだこの仕組みは早すぎたね。次はもうちょっとましな仕組みを考えよう。次があったらだけど」
弱気な事を仰る。
いつも戦は次がないものと思えと仰っているとか。そういう気持ちでというだけで次回の事は先に考えておくそうだが。最悪の事は考えて行動することは現在の銭の戦も同じ。
ただ今回は見通しが甘かった。
堺が上手であった。
やはり殿に比べ商いでは向こうに一日の長がある。
だからこそ私が頑張らねば。
「殿。商いはより多くの富を持っている方が強者。今、概算するに堺の中心人物の納屋は少なくとも9万貫文程度は動かしている筈。そこにどれだけ他の会合衆が乗っているか。
これ以上情勢が悪化すると、利が多いうちに我もと思うものが増えて参りましょう。その何倍もの銭を敵に回すことになります。ここで一気に巻き返しを図らねば」
銭だけでなく多くの鉄を動かして、更には『おぷしょん取引』にまで手を出している。納屋だけならば20万貫文はいかないでしょうが、同心している会合衆の銭まで含めるとその倍。
更には右往左往している庶民の銭まで含めるとさらに倍、80万貫文くらいが現在動いているでしょう。
殿が日頃仰るように
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があればいい。
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更に彼は生まれつき身体が弱く、武術も魔導の才もないというハンディキャップを抱えていた。また、日本で得た知識を使った技術革新も、世界を崩壊させる危険な技術として封じられてしまう。
彼の代名詞である“微笑み”も単に苦し紛れの策に対する苦笑に過ぎなかった。
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彼は情報の重要性を誰よりも重視し、巧みに情報を利用した謀略で敵を混乱させ、更に戦場では敵の意表を突く戦術を駆使して勝利に貢献していく……。
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あらすじにある通り、主人公にあるのは日本で得た中途半端な知識のみで、チートに類する卓越した能力はありません。基本的には政略・謀略・軍略といったシリアスな話が主となる予定で、恋愛要素は少なめ、ハーレム要素はもちろんありません。前半は裏方に徹して情報収集や情報操作を行うため、主人公が出てくる戦闘シーンはほとんどありません。
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