216 / 339
第23章:桶狭間の戦闘状況が全然正史と違う【桶狭間の戦い】
ちゃんと極楽に着いたかな・・・
しおりを挟む
1556年6月11日寅の刻(午前3時)
尾張国那古野城
織田信長
(ちょっとだけ忍びを雇う気になっている)
大胡の素ッ破(忍びという呼び名は気に入らぬが、儂が雇えば『信長の忍び』か。それは悪い気はせぬ。今度伊賀者でも雇うか)の知らせでは、2刻程前に松平勢3000が大高城に兵糧を運び込んだという。
40000を超える兵を食わせる兵糧だ。
生半可な量ではなかろう。
相当苦労した筈。
ようやる。
昨夜まで重臣どもは
「籠城して今川の背後を大胡に襲ってもらうのが常道」
「鳴海城を落としその狭隘地にて防ぐべし」
などと他愛もない意見ばかり言うておったが、あ奴ら本当に勝つ気があるのか?
那古野城で籠城とか言う戯けも居る始末。
この戦、普通にやれば勝てる。
その「普通」が解からぬ奴ばかりじゃ。
解るのは松風とあの上泉と言ったか、真面目そうな参謀。
あとは鉄砲隊を指揮する大胡是政という奴程度だな。
早い話が、義元の首を取ればよいだけじゃろう?
ならば隙を伺う、もしくは『作る』。
これが要諦じゃ。
そしてそこに如何に素早く襲い掛かるか。
松風の言葉だと「電撃戦」じゃな。
敵は『分進合撃』という愚かなことをやっている。
まあ、この三河と尾張との境は小さな丘が散在する狭隘な道しかない。
分進合撃をするしかないのだが。
その進路を誘導、もしくは事前に察知し、機会を掴むこと。
たったそれだけでよい。
既に地の利はこちらにある。
人の和は今回、馬廻りの者を中心で行く。
重臣どもの中には今川に通じている者も幾人かいると見ている。
そうでない者も儂を軽く見ている者が多い。
この際だから、圧倒的な力を見せつけることで口を塞がせ、忠誠を高める必要がある。
重臣どもが既成の考えに囚われている事は逆に有難い。
大軍を一気に屠ることで松風のような威信を手に入れる事、できよう。
見世物を開く要領じゃ。
儂が衝撃的に檜舞台に立つ。
それが此度の戦での勝利よ。
大軍と言っても、たかが20000ではないか。
その内3~5000は小荷駄だ。
朝比奈の3000は星崎城へ向かっているとの知らせもある。
鎌倉街道を西進して鳴海城に向かう3000。
これを差し引けば8000程度。
これが狭隘な地をうろうろする。
たとえ義元の本陣が4000いたとしても、鎌倉街道のような幅の広い道ではない。義元自身の馬廻りも長蛇の列となっていよう。
それを丘の上から横撃する。
そのための場所と機会を計る。
目の前に広げられている地図。
大胡の手によって測量されたものだ。
距離や丘の高さまで表されている。
主な場所の坂の緩急まで分かるようになっている。
なんという技術だ。
……大胡とはなるべく戦わぬようにしよう。
この技術を手に入れるまでは……
「申し上げます! 大胡殿より伝令。一向宗の夜襲が開始されました!」
きたか!
遂にこの時が!
東海一の弓取りと言われた今川義元の首、儂が取る!
「具足!
湯漬けじゃ!
法螺貝を鳴らせ!
出陣ぞ!」
松風の奴は
「出陣の時は幸若舞踊ってね~♪」
とか言っていたが、そんなことはやらん!
勝てる戦に臨むのに
「何が人間50年」じゃ。
疾風の如く走り、道を切り開くのみ。
いざ。参らん!
◇ ◇ ◇ ◇
同日同刻
旧鷲巣砦前方塹壕
大胡是政
(サラマンダー大隊指揮官! ……パロディではない。最大火力集団だからです)
俺の隊だけ大した戦歴がないからな。
ここで一丁でかい戦をしたいと思っていたら、10倍の敵を撃ち放題とか殿は大盤振る舞いしてくれるぜ。
問題は火薬があまりないことだ。
南蛮船から強奪する作戦は中止となった。博多の神屋を通して天竺(注1)から硝石が手に入りそうだという事だ。
だが今回の戦には間に合わなかった。
第2大隊の兵3500に4000丁の鉄砲を持たせているが、威力の高い4匁弾どころか3匁弾すら使えない。
なるべく練習用の2匁弾を撃てとか瀬川の野郎から注文が来ている。
それならば半分の火薬で済むからな。
鉄砲の半分は2匁筒を持ってきた。
それでも練習用2匁筒2000丁で60000発分程度しかない。
1丁に付き30発だな。
普通に考えたら、敵の「兵40000」に付き60000発だったら勝てないだろう。
だがこっちも伊達(注2)に右頬を腫らしているわけじゃねえ。15間(30m)程度ならば、ほぼ確実に「人に」当てられる。
それも全員がだ。
そして……
北条の奴らを蜂の巣にするために、練りに練ってきた中核の隊員600人は、10間(20m)内ならば「顔面に」当てられる!
篝火を頼りの夜戦となってもな。
だから今回は塹壕の前に設置された鉄条網は、10間の位置で集中的に射撃が出来るような形になっている。
いわゆる迷路だ。
止まるかこちらへ近づく時に真っ直ぐ向かって来る。
その時どうしてもこちらへ向けて顔をあげねばならぬように作られているのだ。
通路になる場所は縦に鉄線を張ることで体を横向きにせねばならなくなり、どうしてもいずれかの鉄砲の方向へ顔が向く。
そこを狙い撃つのだ。
既に敵は目の前20間を切っている。
俺は総員3500人命令を下した。
まあ、撃つのは300人だが。
「全射撃員。
火蓋を切れ。15間になったら、予定通り各個射撃。
外すなよ。火薬がもったいねえ!」
◇ ◇ ◇ ◇
同日同刻
大高城東3町
松平元康
(小狸。14歳。右手が疼きそうな状況)
「一向宗の前進が止まっておりまする。
我が松平の備えも大高川を渡り敵の左翼を突くべきかと」
(酒井)忠次が進言してくる。
先程から西方では大胡の灯した篝火の中、一向宗が突撃していくが前に進むどころか鉄砲によりどんどん討ち取られていく。
先頭を進む者から倒れていく。
普通の備えならば、士気の崩壊が始まっている程の被害だろう。
雪斎先生にはこのような城攻めの際は士気が衰えた際すぐに引き、次の備えを繰り出すように言われた。
そのような常識が通用しないのが一向宗だと忠次が言う。
三河の松平の家臣にも多くの一向宗徒がいる。
この者の士気は高いがこの鉄砲の前に出しても討ち取られるだけではないのか?
そう忠次に言うと、少し言い淀んだのち
「この状況では引けませぬ。
家臣の士気に影響します。
そして忠誠心にも」
と言われた。
この原因は一向宗を動かす誘いに乗ったからだ。
大軍を率いて尾張に侵攻すれば一気に三河を取り戻せると思った。
忠次には反対されたが押し通したのがいけなかったのか?
「朝比奈様より使いが。前進して敵の東より横撃せよとのこと」
こうなっては仕方ない。
先鋒は一向宗を信仰している家臣に任せよう。
士気は高い。
そして……
ここで勢力を削っておけば、後々三河を統一支配が容易となる。
これは忠次にも言えぬな。
心にしまっておこう。
「夏目吉信、内藤清長を先手として前進。
大高川を渡る」
大胡の鉄砲の音を消すような鬨の声が、大高川の向こうへと発せられた。
尾張国那古野城
織田信長
(ちょっとだけ忍びを雇う気になっている)
大胡の素ッ破(忍びという呼び名は気に入らぬが、儂が雇えば『信長の忍び』か。それは悪い気はせぬ。今度伊賀者でも雇うか)の知らせでは、2刻程前に松平勢3000が大高城に兵糧を運び込んだという。
40000を超える兵を食わせる兵糧だ。
生半可な量ではなかろう。
相当苦労した筈。
ようやる。
昨夜まで重臣どもは
「籠城して今川の背後を大胡に襲ってもらうのが常道」
「鳴海城を落としその狭隘地にて防ぐべし」
などと他愛もない意見ばかり言うておったが、あ奴ら本当に勝つ気があるのか?
那古野城で籠城とか言う戯けも居る始末。
この戦、普通にやれば勝てる。
その「普通」が解からぬ奴ばかりじゃ。
解るのは松風とあの上泉と言ったか、真面目そうな参謀。
あとは鉄砲隊を指揮する大胡是政という奴程度だな。
早い話が、義元の首を取ればよいだけじゃろう?
ならば隙を伺う、もしくは『作る』。
これが要諦じゃ。
そしてそこに如何に素早く襲い掛かるか。
松風の言葉だと「電撃戦」じゃな。
敵は『分進合撃』という愚かなことをやっている。
まあ、この三河と尾張との境は小さな丘が散在する狭隘な道しかない。
分進合撃をするしかないのだが。
その進路を誘導、もしくは事前に察知し、機会を掴むこと。
たったそれだけでよい。
既に地の利はこちらにある。
人の和は今回、馬廻りの者を中心で行く。
重臣どもの中には今川に通じている者も幾人かいると見ている。
そうでない者も儂を軽く見ている者が多い。
この際だから、圧倒的な力を見せつけることで口を塞がせ、忠誠を高める必要がある。
重臣どもが既成の考えに囚われている事は逆に有難い。
大軍を一気に屠ることで松風のような威信を手に入れる事、できよう。
見世物を開く要領じゃ。
儂が衝撃的に檜舞台に立つ。
それが此度の戦での勝利よ。
大軍と言っても、たかが20000ではないか。
その内3~5000は小荷駄だ。
朝比奈の3000は星崎城へ向かっているとの知らせもある。
鎌倉街道を西進して鳴海城に向かう3000。
これを差し引けば8000程度。
これが狭隘な地をうろうろする。
たとえ義元の本陣が4000いたとしても、鎌倉街道のような幅の広い道ではない。義元自身の馬廻りも長蛇の列となっていよう。
それを丘の上から横撃する。
そのための場所と機会を計る。
目の前に広げられている地図。
大胡の手によって測量されたものだ。
距離や丘の高さまで表されている。
主な場所の坂の緩急まで分かるようになっている。
なんという技術だ。
……大胡とはなるべく戦わぬようにしよう。
この技術を手に入れるまでは……
「申し上げます! 大胡殿より伝令。一向宗の夜襲が開始されました!」
きたか!
遂にこの時が!
東海一の弓取りと言われた今川義元の首、儂が取る!
「具足!
湯漬けじゃ!
法螺貝を鳴らせ!
出陣ぞ!」
松風の奴は
「出陣の時は幸若舞踊ってね~♪」
とか言っていたが、そんなことはやらん!
勝てる戦に臨むのに
「何が人間50年」じゃ。
疾風の如く走り、道を切り開くのみ。
いざ。参らん!
◇ ◇ ◇ ◇
同日同刻
旧鷲巣砦前方塹壕
大胡是政
(サラマンダー大隊指揮官! ……パロディではない。最大火力集団だからです)
俺の隊だけ大した戦歴がないからな。
ここで一丁でかい戦をしたいと思っていたら、10倍の敵を撃ち放題とか殿は大盤振る舞いしてくれるぜ。
問題は火薬があまりないことだ。
南蛮船から強奪する作戦は中止となった。博多の神屋を通して天竺(注1)から硝石が手に入りそうだという事だ。
だが今回の戦には間に合わなかった。
第2大隊の兵3500に4000丁の鉄砲を持たせているが、威力の高い4匁弾どころか3匁弾すら使えない。
なるべく練習用の2匁弾を撃てとか瀬川の野郎から注文が来ている。
それならば半分の火薬で済むからな。
鉄砲の半分は2匁筒を持ってきた。
それでも練習用2匁筒2000丁で60000発分程度しかない。
1丁に付き30発だな。
普通に考えたら、敵の「兵40000」に付き60000発だったら勝てないだろう。
だがこっちも伊達(注2)に右頬を腫らしているわけじゃねえ。15間(30m)程度ならば、ほぼ確実に「人に」当てられる。
それも全員がだ。
そして……
北条の奴らを蜂の巣にするために、練りに練ってきた中核の隊員600人は、10間(20m)内ならば「顔面に」当てられる!
篝火を頼りの夜戦となってもな。
だから今回は塹壕の前に設置された鉄条網は、10間の位置で集中的に射撃が出来るような形になっている。
いわゆる迷路だ。
止まるかこちらへ近づく時に真っ直ぐ向かって来る。
その時どうしてもこちらへ向けて顔をあげねばならぬように作られているのだ。
通路になる場所は縦に鉄線を張ることで体を横向きにせねばならなくなり、どうしてもいずれかの鉄砲の方向へ顔が向く。
そこを狙い撃つのだ。
既に敵は目の前20間を切っている。
俺は総員3500人命令を下した。
まあ、撃つのは300人だが。
「全射撃員。
火蓋を切れ。15間になったら、予定通り各個射撃。
外すなよ。火薬がもったいねえ!」
◇ ◇ ◇ ◇
同日同刻
大高城東3町
松平元康
(小狸。14歳。右手が疼きそうな状況)
「一向宗の前進が止まっておりまする。
我が松平の備えも大高川を渡り敵の左翼を突くべきかと」
(酒井)忠次が進言してくる。
先程から西方では大胡の灯した篝火の中、一向宗が突撃していくが前に進むどころか鉄砲によりどんどん討ち取られていく。
先頭を進む者から倒れていく。
普通の備えならば、士気の崩壊が始まっている程の被害だろう。
雪斎先生にはこのような城攻めの際は士気が衰えた際すぐに引き、次の備えを繰り出すように言われた。
そのような常識が通用しないのが一向宗だと忠次が言う。
三河の松平の家臣にも多くの一向宗徒がいる。
この者の士気は高いがこの鉄砲の前に出しても討ち取られるだけではないのか?
そう忠次に言うと、少し言い淀んだのち
「この状況では引けませぬ。
家臣の士気に影響します。
そして忠誠心にも」
と言われた。
この原因は一向宗を動かす誘いに乗ったからだ。
大軍を率いて尾張に侵攻すれば一気に三河を取り戻せると思った。
忠次には反対されたが押し通したのがいけなかったのか?
「朝比奈様より使いが。前進して敵の東より横撃せよとのこと」
こうなっては仕方ない。
先鋒は一向宗を信仰している家臣に任せよう。
士気は高い。
そして……
ここで勢力を削っておけば、後々三河を統一支配が容易となる。
これは忠次にも言えぬな。
心にしまっておこう。
「夏目吉信、内藤清長を先手として前進。
大高川を渡る」
大胡の鉄砲の音を消すような鬨の声が、大高川の向こうへと発せられた。
0
お気に入りに追加
67
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
国虎の楽隠居への野望・十七ヶ国版
カバタ山
ファンタジー
信長以前の戦国時代の畿内。
そこでは「両細川の乱」と呼ばれる、細川京兆家を巡る同族の血で血を洗う争いが続いていた。
勝者は細川 氏綱か? それとも三好 長慶か?
いや、本当の勝者は陸の孤島とも言われる土佐国安芸の地に生を受けた現代からの転生者であった。
史実通りならば土佐の出来人、長宗我部 元親に踏み台とされる武将「安芸 国虎」。
運命に立ち向かわんと足掻いた結果、土佐は勿論西日本を席巻する勢力へと成り上がる。
もう一人の転生者、安田 親信がその偉業を裏から支えていた。
明日にも楽隠居をしたいと借金返済のために商いに精を出す安芸 国虎と、安芸 国虎に天下を取らせたいと暗躍する安田 親信。
結果、多くの人を巻き込み、人生を狂わせ、後へは引けない所へ引き摺られていく。
この話はそんな奇妙なコメディである。
設定はガバガバです。間違って書いている箇所もあるかも知れません。
特に序盤は有名武将は登場しません。
不定期更新。合間に書く作品なので更新は遅いです。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
お兄様、冷血貴公子じゃなかったんですか?~7歳から始める第二の聖女人生~
みつまめ つぼみ
ファンタジー
17歳で偽りの聖女として処刑された記憶を持つ7歳の女の子が、今度こそ世界を救うためにエルメーテ公爵家に引き取られて人生をやり直します。
記憶では冷血貴公子と呼ばれていた公爵令息は、義妹である主人公一筋。
そんな義兄に戸惑いながらも甘える日々。
「お兄様? シスコンもほどほどにしてくださいね?」
恋愛ポンコツと冷血貴公子の、コミカルでシリアスな救世物語開幕!
【完結】サキュバスでもいいの?
月狂 紫乃/月狂 四郎
恋愛
【第18回恋愛小説大賞参加作品】
勇者のもとへハニートラップ要員として送り込まれたサキュバスのメルがイケメン魔王のゾルムディアと勇者アルフォンソ・ツクモの間で揺れる話です。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【完結】そして、誰もいなくなった
杜野秋人
ファンタジー
「そなたは私の妻として、侯爵夫人として相応しくない!よって婚約を破棄する!」
愛する令嬢を傍らに声高にそう叫ぶ婚約者イグナシオに伯爵家令嬢セリアは誤解だと訴えるが、イグナシオは聞く耳を持たない。それどころか明らかに犯してもいない罪を挙げられ糾弾され、彼女は思わず彼に手を伸ばして取り縋ろうとした。
「触るな!」
だがその手をイグナシオは大きく振り払った。振り払われよろめいたセリアは、受け身も取れないまま仰向けに倒れ、頭を打って昏倒した。
「突き飛ばしたぞ」
「彼が手を上げた」
「誰か衛兵を呼べ!」
騒然となるパーティー会場。すぐさま会場警護の騎士たちに取り囲まれ、彼は「違うんだ、話を聞いてくれ!」と叫びながら愛人の令嬢とともに連行されていった。
そして倒れたセリアもすぐさま人が集められ運び出されていった。
そして誰もいなくなった。
彼女と彼と愛人と、果たして誰が悪かったのか。
これはとある悲しい、婚約破棄の物語である。
◆小説家になろう様でも公開しています。話数の関係上あちらの方が進みが早いです。
3/27、なろう版完結。あちらは全8話です。
3/30、小説家になろうヒューマンドラマランキング日間1位になりました!
4/1、完結しました。全14話。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
グライフトゥルム戦記~微笑みの軍師マティアスの救国戦略~
愛山雄町
ファンタジー
エンデラント大陸最古の王国、グライフトゥルム王国の英雄の一人である、マティアス・フォン・ラウシェンバッハは転生者である。
彼は類い稀なる知力と予知能力を持つと言われるほどの先見性から、“知将マティアス”や“千里眼のマティアス”と呼ばれることになる。
彼は大陸最強の軍事国家ゾルダート帝国や狂信的な宗教国家レヒト法国の侵略に対し、優柔不断な国王や獅子身中の虫である大貴族の有形無形の妨害にあいながらも、旧態依然とした王国軍の近代化を図りつつ、敵国に対して謀略を仕掛け、危機的な状況を回避する。
しかし、宿敵である帝国には軍事と政治の天才が生まれ、更に謎の暗殺者集団“夜(ナハト)”や目的のためなら手段を選ばぬ魔導師集団“真理の探究者”など一筋縄ではいかぬ敵たちが次々と現れる。
そんな敵たちとの死闘に際しても、絶対の自信の表れとも言える余裕の笑みを浮かべながら策を献じたことから、“微笑みの軍師”とも呼ばれていた。
しかし、マティアスは日本での記憶を持った一般人に過ぎなかった。彼は情報分析とプレゼンテーション能力こそ、この世界の人間より優れていたものの、軍事に関する知識は小説や映画などから得たレベルのものしか持っていなかった。
更に彼は生まれつき身体が弱く、武術も魔導の才もないというハンディキャップを抱えていた。また、日本で得た知識を使った技術革新も、世界を崩壊させる危険な技術として封じられてしまう。
彼の代名詞である“微笑み”も単に苦し紛れの策に対する苦笑に過ぎなかった。
マティアスは愛する家族や仲間を守るため、大賢者とその配下の凄腕間者集団の力を借りつつ、優秀な友人たちと力を合わせて強大な敵と戦うことを決意する。
彼は情報の重要性を誰よりも重視し、巧みに情報を利用した謀略で敵を混乱させ、更に戦場では敵の意表を突く戦術を駆使して勝利に貢献していく……。
■■■
あらすじにある通り、主人公にあるのは日本で得た中途半端な知識のみで、チートに類する卓越した能力はありません。基本的には政略・謀略・軍略といったシリアスな話が主となる予定で、恋愛要素は少なめ、ハーレム要素はもちろんありません。前半は裏方に徹して情報収集や情報操作を行うため、主人公が出てくる戦闘シーンはほとんどありません。
■■■
小説家になろう、カクヨム、ノベルアップ+でも掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる