210 / 339
第22章:戦国人材コレクションもほどほどで
金柑が光るところ
しおりを挟む
1556年4月上旬
美濃国稲葉山城下の井の口民家
出浦清種
(こいつの息子、正史では武田の三ツ者頭目なんだよねぇ)
次から次へと文が投げ込まれてくる。
時々素ッ破や歩き巫女が辻を歩き、外に出たときすれ違い様、文を手渡される。
もう少し工夫を凝らさねば、情報の集まり具合がこう頻繁だとすぐに見つかってしまう。
まだ一色家の防諜は手薄だからよいようなものだが、完全な敵地の、しかも強勢力下での諜報、例えば畿内三好を相手にした諜報は更なる仕組みの工夫が必要だ。
「あなたぁ、もう休みません?
そろそろ、うふふな刻限よぉ」
女房に扮している桜女が誘って来る。
「そのような事、後じゃ。
して、岩手重虎とかいうガキは確保できたか?」
「ううん。まだ喰っていないわよぉ。うちの若いのが連れまわしているけどね。その内手を出すかもだけどぉ」
どうも此奴ら。
楽しんでいるのか、仕事をしているのか、布教活動をしているのかよくわからん。
とりあえず身柄を確保できているならばよい。殿の最優先指令は遂行できた。
あとは明智という国衆か。此奴は一色にひっ捕らえられそうになっている。
大殿の見通しでは
『落城後、放浪か越前方面へ向かう』
という事だが、それは確かではないらしい。
「明智殿の方の首尾はどうじゃ」
桜女が珍しく、もじもじしつつも真面目に答えた。
「それが、誘引に失敗したわ。
うちのノノウ(一人前の歩き巫女)が誘惑したのだけれど、怒られて追い返されたわ」
男と見れば「誘惑」する。
それで引っかかる方も引っかかる方だが、結構な確率で思い通りになるから得意になって思い通りに動かそうと思ったのだろう。
『身重の妻がいる故、そのような事は致さぬ』と言って断ったらしい。
人として尊敬はするが、固い奴じゃ。
面白くない。
「では居場所は掴めているのであろうな。
大胡の名は出しておらぬな?」
出していれば大失態じゃ。
もう取り返しがつかぬ。
「大まかな場所は分かっている。
大胡の名前? それはないわ。そこまで馬鹿じゃない。
でもこっちはもう手を出せないから素ッ破の方でやって頂戴」
「了解した。明日にでも動く」
これは儂が手ずから調略せねばなるまい。
こういうのは慣れてはおらぬが、幸綱様のように誠意をもって臨めば至誠天に通じるであろう。
「それじゃあ、私たちは別のお仕事を致しましょうね。天に通じるお仕事よ~」
もう此奴らの仕事とはいったい何なのだ?
そう思うものの、儂も天に通じる作業を始めた。
◇ ◇ ◇ ◇
1556年4月上旬
美濃国山中
明智光秀
(まだ禿げてないよ!28歳既婚)
「暑いであろう。水を」
煕子の汗を拭いてやり、竹筒の水を飲ませる。
川の水は危険だが致し方ない。
里に下りれば不審に思われ稲葉山に連れていかれるか、落ち武者として身の回りのものを、はがされて首を獲られる。
なんとしても美濃を出て越前へ向かう。
あそこならば親族もいよう。そこまで辿りついてから、その後の動きを考える。
「そこのお侍。すこしいいかな?
さるお殿様から言伝と文を預かっている。そちらへ近づいてもよろしいか?」
脇の竹藪から声がした。
『竹藪』というものには、何か『恐怖』を感じる。
なぜかは知らぬ。
しかし幼いころからの恐怖だ。
なにか恐ろしいことが起きて植え付けられた記憶かもしれぬ。
腰に付けてあった火種を吹いて起し、肩にかけていた種子島の火鋏に取り付ける。
「おっと、それは必要無いです。
こちらは丸腰。3間以内には近づかない故、ご心配なさらず」
そう言うと言葉の主が竹藪から姿を現した。
樵の姿だが勿論中身は別物。
どこかの草か?
草を働かせている所から、相当な大身の大名か寺社・大店と推察できる。
「ここにその手紙を置きますから、読んでください。儂は離れます故、心配なさらず」
油断は出来ぬ。
だがこの逃避行。何かに縋りたい気持ちもある。
それに機会は自ら手に掴むものだ。
迷っているうちにその機会は過ぎ去ってしまう。
火皿に発火薬があるのを確認し、何時でも火蓋が切れるようにする。
煕子に物陰に隠れるように言い、種子島を構えつつ手紙を取った。
用心深くあたりを見渡してから、手紙を読む。
「去る杭瀬川での救援、とても感謝いたす。その節は急ぎの旅為、大したお礼もできず悔いが残り申した。もしよろしければ大胡にて歓待いたす所存。その鉄砲の腕前、見せていただきたく。
奥方と共にお越しいただけるようお願いいたす。道案内はこの者がいたす故、安心していただきたい。
大胡左中弁政賢」
あの時の大胡殿か!?
なぜこの時期を見計らって?
それを樵に問いただした。
「それは……
申し上げにくいのですが、大殿の外交参与である僧が占星術を嗜み……ゴホン。
様々な事を言い当て大殿へ助言を致しておりまする。その中に明智殿の命運が、この長良川の合戦直後に消えかかると。その時が本当に来るならば、と某に文を託されたのでござる」
少々、樵が言い淀んだが、大胡への誘いというならば受けてもよい。
というよりも是非、自ら仕官を申し出たい。
この山中を越前まで身重の煕子を負ぶうての山越え。
大変な危険を伴う。
どちらの方が安全か?
……『御神籤』でも引きたい気分じゃ。
しかしここは自分で決めねばならぬ。
朝倉へ行っても安全は確保できぬし仕官が出来るとも限らぬ。
ここに押されている花押が本物と判別できればよいのだが。
「大殿から言伝とこれを預かっております。『これを使ってみませぬか?』と」
樵は地面に『それ』をおいてまた退いた。
地面に置かれたそれは……
手筒か?
火鋏がない。
代わりに火打石。それが火蓋がぶつかるか。
それで発火、弾を発射するのか。これは大胡の鉄砲?
隣に油紙に包まれた粉薬。
「流産しないための薬です。柴苓湯と言います。大胡への途中で甲斐に寄り、永田徳本殿を頼るといいです。そこでのお産が一番安全。
宜しかったらどうぞ~」
大胡殿が煕子の身重を知っている?
何故?
という疑問と共に感激の波が押し寄せる。
「煕子。行く先を坂東に変えてもよいか?
どうやら其処が儂らの住処らしい」
煕子からの返事は、
「貴方様の居るところが私の住まい。
貴方様の輝く地が宜しゅうございまする」
自然と涙があふれる。
儂は、樵の方へ振り返り首を縦に振った。
美濃国稲葉山城下の井の口民家
出浦清種
(こいつの息子、正史では武田の三ツ者頭目なんだよねぇ)
次から次へと文が投げ込まれてくる。
時々素ッ破や歩き巫女が辻を歩き、外に出たときすれ違い様、文を手渡される。
もう少し工夫を凝らさねば、情報の集まり具合がこう頻繁だとすぐに見つかってしまう。
まだ一色家の防諜は手薄だからよいようなものだが、完全な敵地の、しかも強勢力下での諜報、例えば畿内三好を相手にした諜報は更なる仕組みの工夫が必要だ。
「あなたぁ、もう休みません?
そろそろ、うふふな刻限よぉ」
女房に扮している桜女が誘って来る。
「そのような事、後じゃ。
して、岩手重虎とかいうガキは確保できたか?」
「ううん。まだ喰っていないわよぉ。うちの若いのが連れまわしているけどね。その内手を出すかもだけどぉ」
どうも此奴ら。
楽しんでいるのか、仕事をしているのか、布教活動をしているのかよくわからん。
とりあえず身柄を確保できているならばよい。殿の最優先指令は遂行できた。
あとは明智という国衆か。此奴は一色にひっ捕らえられそうになっている。
大殿の見通しでは
『落城後、放浪か越前方面へ向かう』
という事だが、それは確かではないらしい。
「明智殿の方の首尾はどうじゃ」
桜女が珍しく、もじもじしつつも真面目に答えた。
「それが、誘引に失敗したわ。
うちのノノウ(一人前の歩き巫女)が誘惑したのだけれど、怒られて追い返されたわ」
男と見れば「誘惑」する。
それで引っかかる方も引っかかる方だが、結構な確率で思い通りになるから得意になって思い通りに動かそうと思ったのだろう。
『身重の妻がいる故、そのような事は致さぬ』と言って断ったらしい。
人として尊敬はするが、固い奴じゃ。
面白くない。
「では居場所は掴めているのであろうな。
大胡の名は出しておらぬな?」
出していれば大失態じゃ。
もう取り返しがつかぬ。
「大まかな場所は分かっている。
大胡の名前? それはないわ。そこまで馬鹿じゃない。
でもこっちはもう手を出せないから素ッ破の方でやって頂戴」
「了解した。明日にでも動く」
これは儂が手ずから調略せねばなるまい。
こういうのは慣れてはおらぬが、幸綱様のように誠意をもって臨めば至誠天に通じるであろう。
「それじゃあ、私たちは別のお仕事を致しましょうね。天に通じるお仕事よ~」
もう此奴らの仕事とはいったい何なのだ?
そう思うものの、儂も天に通じる作業を始めた。
◇ ◇ ◇ ◇
1556年4月上旬
美濃国山中
明智光秀
(まだ禿げてないよ!28歳既婚)
「暑いであろう。水を」
煕子の汗を拭いてやり、竹筒の水を飲ませる。
川の水は危険だが致し方ない。
里に下りれば不審に思われ稲葉山に連れていかれるか、落ち武者として身の回りのものを、はがされて首を獲られる。
なんとしても美濃を出て越前へ向かう。
あそこならば親族もいよう。そこまで辿りついてから、その後の動きを考える。
「そこのお侍。すこしいいかな?
さるお殿様から言伝と文を預かっている。そちらへ近づいてもよろしいか?」
脇の竹藪から声がした。
『竹藪』というものには、何か『恐怖』を感じる。
なぜかは知らぬ。
しかし幼いころからの恐怖だ。
なにか恐ろしいことが起きて植え付けられた記憶かもしれぬ。
腰に付けてあった火種を吹いて起し、肩にかけていた種子島の火鋏に取り付ける。
「おっと、それは必要無いです。
こちらは丸腰。3間以内には近づかない故、ご心配なさらず」
そう言うと言葉の主が竹藪から姿を現した。
樵の姿だが勿論中身は別物。
どこかの草か?
草を働かせている所から、相当な大身の大名か寺社・大店と推察できる。
「ここにその手紙を置きますから、読んでください。儂は離れます故、心配なさらず」
油断は出来ぬ。
だがこの逃避行。何かに縋りたい気持ちもある。
それに機会は自ら手に掴むものだ。
迷っているうちにその機会は過ぎ去ってしまう。
火皿に発火薬があるのを確認し、何時でも火蓋が切れるようにする。
煕子に物陰に隠れるように言い、種子島を構えつつ手紙を取った。
用心深くあたりを見渡してから、手紙を読む。
「去る杭瀬川での救援、とても感謝いたす。その節は急ぎの旅為、大したお礼もできず悔いが残り申した。もしよろしければ大胡にて歓待いたす所存。その鉄砲の腕前、見せていただきたく。
奥方と共にお越しいただけるようお願いいたす。道案内はこの者がいたす故、安心していただきたい。
大胡左中弁政賢」
あの時の大胡殿か!?
なぜこの時期を見計らって?
それを樵に問いただした。
「それは……
申し上げにくいのですが、大殿の外交参与である僧が占星術を嗜み……ゴホン。
様々な事を言い当て大殿へ助言を致しておりまする。その中に明智殿の命運が、この長良川の合戦直後に消えかかると。その時が本当に来るならば、と某に文を託されたのでござる」
少々、樵が言い淀んだが、大胡への誘いというならば受けてもよい。
というよりも是非、自ら仕官を申し出たい。
この山中を越前まで身重の煕子を負ぶうての山越え。
大変な危険を伴う。
どちらの方が安全か?
……『御神籤』でも引きたい気分じゃ。
しかしここは自分で決めねばならぬ。
朝倉へ行っても安全は確保できぬし仕官が出来るとも限らぬ。
ここに押されている花押が本物と判別できればよいのだが。
「大殿から言伝とこれを預かっております。『これを使ってみませぬか?』と」
樵は地面に『それ』をおいてまた退いた。
地面に置かれたそれは……
手筒か?
火鋏がない。
代わりに火打石。それが火蓋がぶつかるか。
それで発火、弾を発射するのか。これは大胡の鉄砲?
隣に油紙に包まれた粉薬。
「流産しないための薬です。柴苓湯と言います。大胡への途中で甲斐に寄り、永田徳本殿を頼るといいです。そこでのお産が一番安全。
宜しかったらどうぞ~」
大胡殿が煕子の身重を知っている?
何故?
という疑問と共に感激の波が押し寄せる。
「煕子。行く先を坂東に変えてもよいか?
どうやら其処が儂らの住処らしい」
煕子からの返事は、
「貴方様の居るところが私の住まい。
貴方様の輝く地が宜しゅうございまする」
自然と涙があふれる。
儂は、樵の方へ振り返り首を縦に振った。
0
お気に入りに追加
67
あなたにおすすめの小説

国虎の楽隠居への野望・十七ヶ国版
カバタ山
ファンタジー
信長以前の戦国時代の畿内。
そこでは「両細川の乱」と呼ばれる、細川京兆家を巡る同族の血で血を洗う争いが続いていた。
勝者は細川 氏綱か? それとも三好 長慶か?
いや、本当の勝者は陸の孤島とも言われる土佐国安芸の地に生を受けた現代からの転生者であった。
史実通りならば土佐の出来人、長宗我部 元親に踏み台とされる武将「安芸 国虎」。
運命に立ち向かわんと足掻いた結果、土佐は勿論西日本を席巻する勢力へと成り上がる。
もう一人の転生者、安田 親信がその偉業を裏から支えていた。
明日にも楽隠居をしたいと借金返済のために商いに精を出す安芸 国虎と、安芸 国虎に天下を取らせたいと暗躍する安田 親信。
結果、多くの人を巻き込み、人生を狂わせ、後へは引けない所へ引き摺られていく。
この話はそんな奇妙なコメディである。
設定はガバガバです。間違って書いている箇所もあるかも知れません。
特に序盤は有名武将は登場しません。
不定期更新。合間に書く作品なので更新は遅いです。

家出したとある辺境夫人の話
あゆみノワ@書籍『完全別居の契約婚〜』
恋愛
『突然ではございますが、私はあなたと離縁し、このお屋敷を去ることにいたしました』
これは、一通の置き手紙からはじまった一組の心通わぬ夫婦のお語。
※ちゃんとハッピーエンドです。ただし、主人公にとっては。
※他サイトでも掲載します。

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

お兄様、冷血貴公子じゃなかったんですか?~7歳から始める第二の聖女人生~
みつまめ つぼみ
ファンタジー
17歳で偽りの聖女として処刑された記憶を持つ7歳の女の子が、今度こそ世界を救うためにエルメーテ公爵家に引き取られて人生をやり直します。
記憶では冷血貴公子と呼ばれていた公爵令息は、義妹である主人公一筋。
そんな義兄に戸惑いながらも甘える日々。
「お兄様? シスコンもほどほどにしてくださいね?」
恋愛ポンコツと冷血貴公子の、コミカルでシリアスな救世物語開幕!

魔法省魔道具研究員クロエ
大森蜜柑
ファンタジー
8歳のクロエは魔物討伐で利き腕を無くした父のために、独学で「自分の意思で動かせる義手」製作に挑む。
その功績から、平民ながら貴族の通う魔法学園に入学し、卒業後は魔法省の魔道具研究所へ。
エリート街道を進むクロエにその邪魔をする人物の登場。
人生を変える大事故の後、クロエは奇跡の生還をとげる。
大好きな人のためにした事は、全て自分の幸せとして返ってくる。健気に頑張るクロエの恋と奇跡の物語りです。
本編終了ですが、おまけ話を気まぐれに追加します。
小説家になろうにも掲載してます。
【完結】サキュバスでもいいの?
月狂 紫乃/月狂 四郎
恋愛
【第18回恋愛小説大賞参加作品】
勇者のもとへハニートラップ要員として送り込まれたサキュバスのメルがイケメン魔王のゾルムディアと勇者アルフォンソ・ツクモの間で揺れる話です。

グライフトゥルム戦記~微笑みの軍師マティアスの救国戦略~
愛山雄町
ファンタジー
エンデラント大陸最古の王国、グライフトゥルム王国の英雄の一人である、マティアス・フォン・ラウシェンバッハは転生者である。
彼は類い稀なる知力と予知能力を持つと言われるほどの先見性から、“知将マティアス”や“千里眼のマティアス”と呼ばれることになる。
彼は大陸最強の軍事国家ゾルダート帝国や狂信的な宗教国家レヒト法国の侵略に対し、優柔不断な国王や獅子身中の虫である大貴族の有形無形の妨害にあいながらも、旧態依然とした王国軍の近代化を図りつつ、敵国に対して謀略を仕掛け、危機的な状況を回避する。
しかし、宿敵である帝国には軍事と政治の天才が生まれ、更に謎の暗殺者集団“夜(ナハト)”や目的のためなら手段を選ばぬ魔導師集団“真理の探究者”など一筋縄ではいかぬ敵たちが次々と現れる。
そんな敵たちとの死闘に際しても、絶対の自信の表れとも言える余裕の笑みを浮かべながら策を献じたことから、“微笑みの軍師”とも呼ばれていた。
しかし、マティアスは日本での記憶を持った一般人に過ぎなかった。彼は情報分析とプレゼンテーション能力こそ、この世界の人間より優れていたものの、軍事に関する知識は小説や映画などから得たレベルのものしか持っていなかった。
更に彼は生まれつき身体が弱く、武術も魔導の才もないというハンディキャップを抱えていた。また、日本で得た知識を使った技術革新も、世界を崩壊させる危険な技術として封じられてしまう。
彼の代名詞である“微笑み”も単に苦し紛れの策に対する苦笑に過ぎなかった。
マティアスは愛する家族や仲間を守るため、大賢者とその配下の凄腕間者集団の力を借りつつ、優秀な友人たちと力を合わせて強大な敵と戦うことを決意する。
彼は情報の重要性を誰よりも重視し、巧みに情報を利用した謀略で敵を混乱させ、更に戦場では敵の意表を突く戦術を駆使して勝利に貢献していく……。
■■■
あらすじにある通り、主人公にあるのは日本で得た中途半端な知識のみで、チートに類する卓越した能力はありません。基本的には政略・謀略・軍略といったシリアスな話が主となる予定で、恋愛要素は少なめ、ハーレム要素はもちろんありません。前半は裏方に徹して情報収集や情報操作を行うため、主人公が出てくる戦闘シーンはほとんどありません。
■■■
小説家になろう、カクヨム、ノベルアップ+でも掲載しております。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる