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第21章:北条滅亡?
北条幻庵宗哲
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1556年3月下旬
駿河国今川館南東知源院
北条幻庵
(一皮むけたつもりでいる坊さん)
目の前に少々下膨れをした顔の少年武将がこちらを向いて座っている。
三河の松平衆が主人と仰ぐ若者だ。
現在三河では大規模な内乱が起きている。
今川の厳しい支配に対抗して、多くの国衆が次から次へと蜂起している。
それにもかかわらずこの青年部将、松平次郎三郎元信殿は未だ人質として、この駿府にて留め置かれている。
「竹千代殿。ああそうでしたね、今は元信様でした。8年間もお世話をしておりましたから、ついつい気安く呼んでしまいます。お許しを」
そう謝罪をするのは、この庵の女亭主、於富の方、今は出家して源応尼と名乗ってこの元信殿を育て上げてきた女性だ。
今日は、この源応尼殿の取り計らいにて、松平元信殿と会談をしている。
「元信様は漸く元服、されど三河は動乱の憂き目にあっています。これを一刻も早く治めねば清康様も安心して成仏できませぬ」
源応尼殿は、先の三河衆当主松平清康の事実上の妻であった女性。
元信殿の義理の祖母でもある。
「幻庵殿。某は恥ずかしながら三河の事で手一杯にて、今は相模の事まで構っておられませぬ」
「いえ。此度の話、相模のことではないのです。
今、三河の岡崎城、周りを織田の軍勢に囲まれているとの事。それに呼応するかのように東三河の国衆が蜂起しておりまするな。結局は今川の酷政ではありまするが織田の所為でもある。
もしやそろそろ義元殿は貴方様の初陣を考えているのでは?
岡崎城に向かい、『形だけでも』と」
儂がそう口にするだけで顔色が変わる。
まだ幼いの。先は分からぬがこれでは氏政の奴よりも頼りないか。あ奴と比べられていると知れたらこの若武者も憤慨するじゃろうて。
「その時、岡崎のみならず三河を救い、更にはそこで大名として独り立ちするきっかけを、拙僧勝手ながらお創りし申したが如何に?」
「なぜ北条の者がそのような事、為されるのか? 相模を取り返すための方策の様には見えぬが。ご教授願いたい」
中々、下手に出るのがうまいな。
行く行くは狸に化けるやもしれぬ。
生きておればじゃがな。
「待たれよ。まずは三河の事、話しましょう。
今、密かに美濃に手の者を入れ、一色左京太夫(義龍)様にあの蝮を退治させるきっかけを作る手筈。さすれば織田の手勢、まずは援軍にと三河より引きまするな。
そこを狙い三河の手勢を以って岡崎一帯を回復するのは如何かな?」
儂は茶を啜る振りをして若者の様子を伺う。
どうやら迷って祖母の意見を聞きたそうにしているが、源応尼が
「しっかりしなさい」
という顔を向けている。
雪斎は何を教えていたのだ?
まるで腰が据わっておらぬ。
頭は良さそうじゃが、まるで隙だらけ。
だがこういう奴でも失敗に失敗を重ねて大器晩成して行く奴もいるから、油断はせぬが。
「しかし、三河の者。恥ずかしながら統制が取れておりませぬ。おいそれとは某の命を聞くとは……
また今川が許しますまい。初陣を敗戦で終わらせれば今川の示しがつきませぬ故」
「何。負けなければ宜しい。お味方が少ないのならばそれをかき集めるのも大将たる役目。もしよければこれをお使い為され。
毒にもなりますがな」
そう口に出しつつ、封書を若武者の前に差し出す。
「これは?……!! 本願寺からの檄文? なんと! 一揆ではなく、松平へ合力致せと……」
偽物ではないぞ。
きちんと堺を通じて出させた本物じゃ。
これがあれば2~3万の兵が集まるであろう。
一向宗に傾倒した三河武士の忠誠もうなぎ上りじゃ。
勿論劇薬じゃがな。
後が怖い。
これで松平家は一向宗の言いなりよ。
さて、どのような返事が返ってくるか。
この返事次第で儂ら北条の復興が可能となるであろうて。
◇ ◇ ◇ ◇
1556年4月上旬
上野国那和城政賢居室
長野政影
(なかなか家庭に帰れないブラック職場の住人)
殿が道定殿お手製の湿布をほっぺたに張り付けている。
それも両方に。
先ほど見せていただいたが、見事に赤く色付いた楓が2枚ついていた。
流石は楓様。
名前に違わぬ妙技。
「これで許してもらえるって。
なんだかお母ちゃんからの命令みたい。もういい加減、仲直りしなさいって。
今度おかあちゃんにご挨拶に行かなくっちゃ。かえでちゃんは嫌がっていたけどね。今後の新田領についても仕置しなくっちゃだから」
少々遅れはしたが、先日、尾張の織田殿の妹御のお市の方様が嫁入りされてきた。
家中では相当な悶着があったらしい。
このような遠く、しかも正室ではないから当たり前だ。
しかし信長殿は大胡との同盟に全てを委ねたらしい。
毒喰らわば皿までなのであろう。
やはり思い切った方だ。
殿との共通性がある。
北条殿の妹御、お春の方様も三日後に到着為されて4人が一堂に会した。
今年22になられる楓様。
一回りも歳が離れている2人に対し保護欲を搔き立てられたらしい。
福の言うところの「世話好き女房」の保護対象を増やす作戦は、うまく行くやもしれぬな。
そのけじめとして、今回の往復楓返しであった。
(政影注:名付け親は殿である)
「取り敢えずさ。これで今川挟み撃ち、あんど東海道制海権確保。
あとは義龍のにーちゃんが謀反して完成!
‥‥で、あのとんずら坊主はどしたの?
南蛮の坊さん来たらトンスラを伝授してもらいなさい、笑ってやるから」
(政賢注:あのザビエル頭だよん)
トンスラというものは知らぬが、とんずら坊主とは北条幻庵宗哲の事であろう。
幸綱殿からはまだ何も報告はないが、策謀をしている気配がするとの事、先だって石堂殿の配下が耳打ちをしてきた。
確報ではないが殿の耳に入れてほしいとの事。
「ふむふむ。基本、北条の領地奪還、もしくは元家臣たちの引き入れだと思うけれど、それが目標ならば他の事に手を出しちゃうかな? 問題はあちらさんがどれだけこっちの秘密を握っているかだね~」
「あちちち」と、湿布の張替えをしながら殿が一人ごちる。
殿の仰ることはよくわかる。
越後との同盟。
織田と一色との秘密協約。
織田との同盟。
佐治水軍の取り込み。
富士川沿いの豪族葛山の内応約定。
関白殿の名前を使った里見への仕掛け。
まだまだ数えきれぬ程の仕掛けをしている。
なんと多彩な策略だろう。
その半数は殿の発案ではあるが、最近は皆の意見を取り入れたものが半数を占めるようになった。
葛山の内応は小太郎殿。
関白様の御威光を借りる策は智円殿。
金融経済の罠を現在仕掛け中であるが、これは和田証券取引所の者たちが
発案したことだ。
徐々にであはるが、大胡の首脳陣は殿の手を煩わせずとも軍事内政外交を進められるようになってきている。
よい事ではあるが、一抹の不安を感じるのは気のせいであろうか。
「あっ、そーだ。そろそろ義龍のにーちゃんが謀反るのかなぁ?
何人忍びを送っているかな? できれば大量に。
うひひな人が来るようにね~」
そのうひひ、とはよくわからぬが、忍びを追加派遣するように幸綱殿に申し上げねば。
その時、庭の方から小さな声がした。
忍びであろうから、これでも大きな声なのであろう。
「稲葉山の出浦様より殿へ伝言。先日、長良川で義龍殿と道三殿開戦。道三殿討ち死に。織田様、三河より兵を下げて向かうも間に合わず。
その間を突き、松平の兵が西三河を席巻いたしておりまする。
兵の数およそ3万。
大半が一向宗にて、織田勢敗走中!」
「家康君、早まっちゃった?
不味い手打ったねぇ!
まいったね。また先が読めなくなっちゃったよん」
駿河国今川館南東知源院
北条幻庵
(一皮むけたつもりでいる坊さん)
目の前に少々下膨れをした顔の少年武将がこちらを向いて座っている。
三河の松平衆が主人と仰ぐ若者だ。
現在三河では大規模な内乱が起きている。
今川の厳しい支配に対抗して、多くの国衆が次から次へと蜂起している。
それにもかかわらずこの青年部将、松平次郎三郎元信殿は未だ人質として、この駿府にて留め置かれている。
「竹千代殿。ああそうでしたね、今は元信様でした。8年間もお世話をしておりましたから、ついつい気安く呼んでしまいます。お許しを」
そう謝罪をするのは、この庵の女亭主、於富の方、今は出家して源応尼と名乗ってこの元信殿を育て上げてきた女性だ。
今日は、この源応尼殿の取り計らいにて、松平元信殿と会談をしている。
「元信様は漸く元服、されど三河は動乱の憂き目にあっています。これを一刻も早く治めねば清康様も安心して成仏できませぬ」
源応尼殿は、先の三河衆当主松平清康の事実上の妻であった女性。
元信殿の義理の祖母でもある。
「幻庵殿。某は恥ずかしながら三河の事で手一杯にて、今は相模の事まで構っておられませぬ」
「いえ。此度の話、相模のことではないのです。
今、三河の岡崎城、周りを織田の軍勢に囲まれているとの事。それに呼応するかのように東三河の国衆が蜂起しておりまするな。結局は今川の酷政ではありまするが織田の所為でもある。
もしやそろそろ義元殿は貴方様の初陣を考えているのでは?
岡崎城に向かい、『形だけでも』と」
儂がそう口にするだけで顔色が変わる。
まだ幼いの。先は分からぬがこれでは氏政の奴よりも頼りないか。あ奴と比べられていると知れたらこの若武者も憤慨するじゃろうて。
「その時、岡崎のみならず三河を救い、更にはそこで大名として独り立ちするきっかけを、拙僧勝手ながらお創りし申したが如何に?」
「なぜ北条の者がそのような事、為されるのか? 相模を取り返すための方策の様には見えぬが。ご教授願いたい」
中々、下手に出るのがうまいな。
行く行くは狸に化けるやもしれぬ。
生きておればじゃがな。
「待たれよ。まずは三河の事、話しましょう。
今、密かに美濃に手の者を入れ、一色左京太夫(義龍)様にあの蝮を退治させるきっかけを作る手筈。さすれば織田の手勢、まずは援軍にと三河より引きまするな。
そこを狙い三河の手勢を以って岡崎一帯を回復するのは如何かな?」
儂は茶を啜る振りをして若者の様子を伺う。
どうやら迷って祖母の意見を聞きたそうにしているが、源応尼が
「しっかりしなさい」
という顔を向けている。
雪斎は何を教えていたのだ?
まるで腰が据わっておらぬ。
頭は良さそうじゃが、まるで隙だらけ。
だがこういう奴でも失敗に失敗を重ねて大器晩成して行く奴もいるから、油断はせぬが。
「しかし、三河の者。恥ずかしながら統制が取れておりませぬ。おいそれとは某の命を聞くとは……
また今川が許しますまい。初陣を敗戦で終わらせれば今川の示しがつきませぬ故」
「何。負けなければ宜しい。お味方が少ないのならばそれをかき集めるのも大将たる役目。もしよければこれをお使い為され。
毒にもなりますがな」
そう口に出しつつ、封書を若武者の前に差し出す。
「これは?……!! 本願寺からの檄文? なんと! 一揆ではなく、松平へ合力致せと……」
偽物ではないぞ。
きちんと堺を通じて出させた本物じゃ。
これがあれば2~3万の兵が集まるであろう。
一向宗に傾倒した三河武士の忠誠もうなぎ上りじゃ。
勿論劇薬じゃがな。
後が怖い。
これで松平家は一向宗の言いなりよ。
さて、どのような返事が返ってくるか。
この返事次第で儂ら北条の復興が可能となるであろうて。
◇ ◇ ◇ ◇
1556年4月上旬
上野国那和城政賢居室
長野政影
(なかなか家庭に帰れないブラック職場の住人)
殿が道定殿お手製の湿布をほっぺたに張り付けている。
それも両方に。
先ほど見せていただいたが、見事に赤く色付いた楓が2枚ついていた。
流石は楓様。
名前に違わぬ妙技。
「これで許してもらえるって。
なんだかお母ちゃんからの命令みたい。もういい加減、仲直りしなさいって。
今度おかあちゃんにご挨拶に行かなくっちゃ。かえでちゃんは嫌がっていたけどね。今後の新田領についても仕置しなくっちゃだから」
少々遅れはしたが、先日、尾張の織田殿の妹御のお市の方様が嫁入りされてきた。
家中では相当な悶着があったらしい。
このような遠く、しかも正室ではないから当たり前だ。
しかし信長殿は大胡との同盟に全てを委ねたらしい。
毒喰らわば皿までなのであろう。
やはり思い切った方だ。
殿との共通性がある。
北条殿の妹御、お春の方様も三日後に到着為されて4人が一堂に会した。
今年22になられる楓様。
一回りも歳が離れている2人に対し保護欲を搔き立てられたらしい。
福の言うところの「世話好き女房」の保護対象を増やす作戦は、うまく行くやもしれぬな。
そのけじめとして、今回の往復楓返しであった。
(政影注:名付け親は殿である)
「取り敢えずさ。これで今川挟み撃ち、あんど東海道制海権確保。
あとは義龍のにーちゃんが謀反して完成!
‥‥で、あのとんずら坊主はどしたの?
南蛮の坊さん来たらトンスラを伝授してもらいなさい、笑ってやるから」
(政賢注:あのザビエル頭だよん)
トンスラというものは知らぬが、とんずら坊主とは北条幻庵宗哲の事であろう。
幸綱殿からはまだ何も報告はないが、策謀をしている気配がするとの事、先だって石堂殿の配下が耳打ちをしてきた。
確報ではないが殿の耳に入れてほしいとの事。
「ふむふむ。基本、北条の領地奪還、もしくは元家臣たちの引き入れだと思うけれど、それが目標ならば他の事に手を出しちゃうかな? 問題はあちらさんがどれだけこっちの秘密を握っているかだね~」
「あちちち」と、湿布の張替えをしながら殿が一人ごちる。
殿の仰ることはよくわかる。
越後との同盟。
織田と一色との秘密協約。
織田との同盟。
佐治水軍の取り込み。
富士川沿いの豪族葛山の内応約定。
関白殿の名前を使った里見への仕掛け。
まだまだ数えきれぬ程の仕掛けをしている。
なんと多彩な策略だろう。
その半数は殿の発案ではあるが、最近は皆の意見を取り入れたものが半数を占めるようになった。
葛山の内応は小太郎殿。
関白様の御威光を借りる策は智円殿。
金融経済の罠を現在仕掛け中であるが、これは和田証券取引所の者たちが
発案したことだ。
徐々にであはるが、大胡の首脳陣は殿の手を煩わせずとも軍事内政外交を進められるようになってきている。
よい事ではあるが、一抹の不安を感じるのは気のせいであろうか。
「あっ、そーだ。そろそろ義龍のにーちゃんが謀反るのかなぁ?
何人忍びを送っているかな? できれば大量に。
うひひな人が来るようにね~」
そのうひひ、とはよくわからぬが、忍びを追加派遣するように幸綱殿に申し上げねば。
その時、庭の方から小さな声がした。
忍びであろうから、これでも大きな声なのであろう。
「稲葉山の出浦様より殿へ伝言。先日、長良川で義龍殿と道三殿開戦。道三殿討ち死に。織田様、三河より兵を下げて向かうも間に合わず。
その間を突き、松平の兵が西三河を席巻いたしておりまする。
兵の数およそ3万。
大半が一向宗にて、織田勢敗走中!」
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■■■
あらすじにある通り、主人公にあるのは日本で得た中途半端な知識のみで、チートに類する卓越した能力はありません。基本的には政略・謀略・軍略といったシリアスな話が主となる予定で、恋愛要素は少なめ、ハーレム要素はもちろんありません。前半は裏方に徹して情報収集や情報操作を行うため、主人公が出てくる戦闘シーンはほとんどありません。
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