178 / 339
第19章:激戦!【品川包囲戦】
「こんな時のために作っておきました」
しおりを挟む
1556年1月8日寅の刻(午前4時)
品川湊東側御殿山防壁
揚羽
(優秀な伊賀者下忍)
私の背中の上で音もなくもがいていた体が力を失い、手足をだらんと下へ降ろした。
中に頑丈な縄を仕込んである手ぬぐいを相手の首から外し、手早く人間であったモノを物陰へと運んでいく。
上野の箕輪衆に埋められていた草2名が煙硝置き場の小屋に入り、火薬に入った樽を2つずつ抱えて出てきた。私は指示された導火線と呼ばれる火縄を手に取り、周りに視線を配りながら後を追った。
本来ならばここを爆破したいが、火薬の使い方が分からない。
もし失敗すればこれ以上の潜伏が出来なくなる。
ここ以外にも多数の火薬蔵があるのだ。
それにその役目は他の者の役目だ。
東の防壁を巡回している兵は殺すわけにはいかない。
ここに細工をしたことがばれては元も子もない。
巡回の兵の気を引きその間に「火薬を仕掛ける」。
この2人は1年前から火薬の係となり、それなりに扱いに長けている。
この壁を作る際、人足に法華宗徒に扮した草を紛れ込ませて夜中にこの四角い焼き物(煉瓦というらしい)を外せるように仕掛けをした。
その奥に空洞があり、火薬を詰め込めるようになっているという。
「おにいさん。
ちょっと遊んでおくれ?
銭おくれよ」
私は見回りの兵に物陰から小さな声を掛ける。
「ん!?
何奴!
女子は皆、逃げたはず。
怪しい奴じゃ」
「そんなこと言わないでよ。
もう幾人もの大胡の人と遊んでいるよ。
皆内緒にしてくれた。
飯も銭もくれたよ」
見回りの兵は周りを見回し、それから私へ向かって近寄りつつ話しかけてくる。
もう目が色狂いになっている。
「お、おう。
幾らじゃ?
あまり多くは出せぬぞ」
「いっぱい出さぬというて、前のお客はいっぱい出していたよ。
色々と。
フフフ」
かかった。
そのまま茂みへと誘い込み、体を重ねつつ眠り薬を嗅がせながら「おとす」
(作者注:柔道の絞め技がかかった)。
そのまま良い夢を見て、朝が来てもぐっすりと眠っている所を、見つかりどやされるのであろう。
尤も朝の寒気で冷たくなっていなければだが。
2人の草は作業を終え、そ知らぬふりをして兵の寝所となっている長屋へ帰って行った。
私は警戒が薄いであろう
「北側」へと足音を忍ばせて向かう。
◇ ◇ ◇ ◇
同日同刻
北西側大手門
冬木梨花
(孤独な品川駐屯兵団副官)
「政綱様。今から気を張りつめていると、これからの踏ん張りどころで集中力が切れてしまいます。少しでも仮眠を取ってください」
いらいらとした表情で、大手門上の防壁を東西に行きつ戻りつしている政綱様に
声を掛ける。
気持ちはわかる。
初めての大仕事。
失敗は許されないと思っているのでしょう。
800人の生死を預かれば……
いえ、もう578人ですが、20歳になったばかりの者にとっては重責過ぎる。
馬鹿殿であれば普通に眠っているのでしょうけれど。
「しかし、あの様を見ろよ!
間断なく竹束を持ってきては積み重ねていく。これでは朝には竹束の山がそこら中にできて、大筒ですら敗れぬ陣が出来てしまうぞ」
防壁から外、10間付近に間断なく火矢で明かりを灯しているのだけれど、その近くに暗闇から次から次へと竹束が積み上げられていく。
これでは政綱様の言う通り、明け方からあると思われる総掛かりで苦戦するのは眼に見えている。
「では、進言いたします。
私が冬木兵器方長官に願い出て、優秀な技師長に指示して作らせた狙撃用大型弩弓を使用しましょう。1基しかございませんし、そう何度も使用はできませんが、これにて火矢を放ち、あの竹束を燃やす事が出来ましょう」
義父にはあまり迷惑はかけたくないけれど、申し出たら喜んで願いを聞いてくれた。
「もっと甘えてくれんか? なにか困っていることはないのか。儂も父親らしきことを何かしたいと思うている」
と言ってくださった。
だけれども、お名前を頂いただけでも十分に幸せ。あの一族から抜け出せたこと、一生涯感謝したいと思う。
あの山賊のような国衆の集団、村上一族で異色の者であった父は策を弄する卑怯者として放逐された。
名誉を挽回するために立て籠った砥石城にて策を用いて武田勢を撃退。
しかしその際に、流れ矢に当たり絶命してしまった。
泣き続けている私を矢沢様が上野に連れて来て下さった。
そしてあの苗字とお別れできた。
もう信濃へは帰らぬ。
かかわらない。
闇夜のような国へ帰ること、考えたくもない。
「あれか。あれなら届くと思うが火矢は使えるのか?
相当矢が重くなるだろう」
「はい。射程が短くなりますが火矢に油を仕込ませる程度は出来ます。この季節の乾いた竹ならば燃え上がりましょう。ただし10射以上は厳しいかと。
素材が持ちません」
真田の里からついて来たという真田一族の中で手先が器用で工夫が得意な者を技師長として採用して以来、様々な兵器が完成した。
これもその一つだ。
「火薬は詰められるのか? 敵の目の前で弾けさせれば士気も下がるだろう」
「そこまではまだ。導火線の工夫が出来ていないとのこと」
この政綱様。
矢沢様の甥ですが似て非なる方。
矢沢様よりも勇猛果敢で配下に慕われる才がある。
あとは柔軟な発想と臨機応変な対応力ですね。
これは経験を積まないと難しい。
あとは周りの者の意見をどう聞いて扱うか。
今は側近が私だけしかいないけれど、これから多くの部下を持つでしょう。
その時にその人たちを使いこなせるかで、武将としての真価が問われるでしょうね。
「よしっ!
その手で行こう。
竹束を一掃したら寝るとするか。
冬木殿、助かる。
これからも助言、頼む」
……うまく成長する人なのでしょう。
幸綱様の御子なのですから。
その後、弩弓から放たれる火矢にて、全ての竹束の山が燃えて消えていった。
品川湊東側御殿山防壁
揚羽
(優秀な伊賀者下忍)
私の背中の上で音もなくもがいていた体が力を失い、手足をだらんと下へ降ろした。
中に頑丈な縄を仕込んである手ぬぐいを相手の首から外し、手早く人間であったモノを物陰へと運んでいく。
上野の箕輪衆に埋められていた草2名が煙硝置き場の小屋に入り、火薬に入った樽を2つずつ抱えて出てきた。私は指示された導火線と呼ばれる火縄を手に取り、周りに視線を配りながら後を追った。
本来ならばここを爆破したいが、火薬の使い方が分からない。
もし失敗すればこれ以上の潜伏が出来なくなる。
ここ以外にも多数の火薬蔵があるのだ。
それにその役目は他の者の役目だ。
東の防壁を巡回している兵は殺すわけにはいかない。
ここに細工をしたことがばれては元も子もない。
巡回の兵の気を引きその間に「火薬を仕掛ける」。
この2人は1年前から火薬の係となり、それなりに扱いに長けている。
この壁を作る際、人足に法華宗徒に扮した草を紛れ込ませて夜中にこの四角い焼き物(煉瓦というらしい)を外せるように仕掛けをした。
その奥に空洞があり、火薬を詰め込めるようになっているという。
「おにいさん。
ちょっと遊んでおくれ?
銭おくれよ」
私は見回りの兵に物陰から小さな声を掛ける。
「ん!?
何奴!
女子は皆、逃げたはず。
怪しい奴じゃ」
「そんなこと言わないでよ。
もう幾人もの大胡の人と遊んでいるよ。
皆内緒にしてくれた。
飯も銭もくれたよ」
見回りの兵は周りを見回し、それから私へ向かって近寄りつつ話しかけてくる。
もう目が色狂いになっている。
「お、おう。
幾らじゃ?
あまり多くは出せぬぞ」
「いっぱい出さぬというて、前のお客はいっぱい出していたよ。
色々と。
フフフ」
かかった。
そのまま茂みへと誘い込み、体を重ねつつ眠り薬を嗅がせながら「おとす」
(作者注:柔道の絞め技がかかった)。
そのまま良い夢を見て、朝が来てもぐっすりと眠っている所を、見つかりどやされるのであろう。
尤も朝の寒気で冷たくなっていなければだが。
2人の草は作業を終え、そ知らぬふりをして兵の寝所となっている長屋へ帰って行った。
私は警戒が薄いであろう
「北側」へと足音を忍ばせて向かう。
◇ ◇ ◇ ◇
同日同刻
北西側大手門
冬木梨花
(孤独な品川駐屯兵団副官)
「政綱様。今から気を張りつめていると、これからの踏ん張りどころで集中力が切れてしまいます。少しでも仮眠を取ってください」
いらいらとした表情で、大手門上の防壁を東西に行きつ戻りつしている政綱様に
声を掛ける。
気持ちはわかる。
初めての大仕事。
失敗は許されないと思っているのでしょう。
800人の生死を預かれば……
いえ、もう578人ですが、20歳になったばかりの者にとっては重責過ぎる。
馬鹿殿であれば普通に眠っているのでしょうけれど。
「しかし、あの様を見ろよ!
間断なく竹束を持ってきては積み重ねていく。これでは朝には竹束の山がそこら中にできて、大筒ですら敗れぬ陣が出来てしまうぞ」
防壁から外、10間付近に間断なく火矢で明かりを灯しているのだけれど、その近くに暗闇から次から次へと竹束が積み上げられていく。
これでは政綱様の言う通り、明け方からあると思われる総掛かりで苦戦するのは眼に見えている。
「では、進言いたします。
私が冬木兵器方長官に願い出て、優秀な技師長に指示して作らせた狙撃用大型弩弓を使用しましょう。1基しかございませんし、そう何度も使用はできませんが、これにて火矢を放ち、あの竹束を燃やす事が出来ましょう」
義父にはあまり迷惑はかけたくないけれど、申し出たら喜んで願いを聞いてくれた。
「もっと甘えてくれんか? なにか困っていることはないのか。儂も父親らしきことを何かしたいと思うている」
と言ってくださった。
だけれども、お名前を頂いただけでも十分に幸せ。あの一族から抜け出せたこと、一生涯感謝したいと思う。
あの山賊のような国衆の集団、村上一族で異色の者であった父は策を弄する卑怯者として放逐された。
名誉を挽回するために立て籠った砥石城にて策を用いて武田勢を撃退。
しかしその際に、流れ矢に当たり絶命してしまった。
泣き続けている私を矢沢様が上野に連れて来て下さった。
そしてあの苗字とお別れできた。
もう信濃へは帰らぬ。
かかわらない。
闇夜のような国へ帰ること、考えたくもない。
「あれか。あれなら届くと思うが火矢は使えるのか?
相当矢が重くなるだろう」
「はい。射程が短くなりますが火矢に油を仕込ませる程度は出来ます。この季節の乾いた竹ならば燃え上がりましょう。ただし10射以上は厳しいかと。
素材が持ちません」
真田の里からついて来たという真田一族の中で手先が器用で工夫が得意な者を技師長として採用して以来、様々な兵器が完成した。
これもその一つだ。
「火薬は詰められるのか? 敵の目の前で弾けさせれば士気も下がるだろう」
「そこまではまだ。導火線の工夫が出来ていないとのこと」
この政綱様。
矢沢様の甥ですが似て非なる方。
矢沢様よりも勇猛果敢で配下に慕われる才がある。
あとは柔軟な発想と臨機応変な対応力ですね。
これは経験を積まないと難しい。
あとは周りの者の意見をどう聞いて扱うか。
今は側近が私だけしかいないけれど、これから多くの部下を持つでしょう。
その時にその人たちを使いこなせるかで、武将としての真価が問われるでしょうね。
「よしっ!
その手で行こう。
竹束を一掃したら寝るとするか。
冬木殿、助かる。
これからも助言、頼む」
……うまく成長する人なのでしょう。
幸綱様の御子なのですから。
その後、弩弓から放たれる火矢にて、全ての竹束の山が燃えて消えていった。
0
お気に入りに追加
67
あなたにおすすめの小説

国虎の楽隠居への野望・十七ヶ国版
カバタ山
ファンタジー
信長以前の戦国時代の畿内。
そこでは「両細川の乱」と呼ばれる、細川京兆家を巡る同族の血で血を洗う争いが続いていた。
勝者は細川 氏綱か? それとも三好 長慶か?
いや、本当の勝者は陸の孤島とも言われる土佐国安芸の地に生を受けた現代からの転生者であった。
史実通りならば土佐の出来人、長宗我部 元親に踏み台とされる武将「安芸 国虎」。
運命に立ち向かわんと足掻いた結果、土佐は勿論西日本を席巻する勢力へと成り上がる。
もう一人の転生者、安田 親信がその偉業を裏から支えていた。
明日にも楽隠居をしたいと借金返済のために商いに精を出す安芸 国虎と、安芸 国虎に天下を取らせたいと暗躍する安田 親信。
結果、多くの人を巻き込み、人生を狂わせ、後へは引けない所へ引き摺られていく。
この話はそんな奇妙なコメディである。
設定はガバガバです。間違って書いている箇所もあるかも知れません。
特に序盤は有名武将は登場しません。
不定期更新。合間に書く作品なので更新は遅いです。

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

お兄様、冷血貴公子じゃなかったんですか?~7歳から始める第二の聖女人生~
みつまめ つぼみ
ファンタジー
17歳で偽りの聖女として処刑された記憶を持つ7歳の女の子が、今度こそ世界を救うためにエルメーテ公爵家に引き取られて人生をやり直します。
記憶では冷血貴公子と呼ばれていた公爵令息は、義妹である主人公一筋。
そんな義兄に戸惑いながらも甘える日々。
「お兄様? シスコンもほどほどにしてくださいね?」
恋愛ポンコツと冷血貴公子の、コミカルでシリアスな救世物語開幕!
【完結】サキュバスでもいいの?
月狂 紫乃/月狂 四郎
恋愛
【第18回恋愛小説大賞参加作品】
勇者のもとへハニートラップ要員として送り込まれたサキュバスのメルがイケメン魔王のゾルムディアと勇者アルフォンソ・ツクモの間で揺れる話です。

【完結】そして、誰もいなくなった
杜野秋人
ファンタジー
「そなたは私の妻として、侯爵夫人として相応しくない!よって婚約を破棄する!」
愛する令嬢を傍らに声高にそう叫ぶ婚約者イグナシオに伯爵家令嬢セリアは誤解だと訴えるが、イグナシオは聞く耳を持たない。それどころか明らかに犯してもいない罪を挙げられ糾弾され、彼女は思わず彼に手を伸ばして取り縋ろうとした。
「触るな!」
だがその手をイグナシオは大きく振り払った。振り払われよろめいたセリアは、受け身も取れないまま仰向けに倒れ、頭を打って昏倒した。
「突き飛ばしたぞ」
「彼が手を上げた」
「誰か衛兵を呼べ!」
騒然となるパーティー会場。すぐさま会場警護の騎士たちに取り囲まれ、彼は「違うんだ、話を聞いてくれ!」と叫びながら愛人の令嬢とともに連行されていった。
そして倒れたセリアもすぐさま人が集められ運び出されていった。
そして誰もいなくなった。
彼女と彼と愛人と、果たして誰が悪かったのか。
これはとある悲しい、婚約破棄の物語である。
◆小説家になろう様でも公開しています。話数の関係上あちらの方が進みが早いです。
3/27、なろう版完結。あちらは全8話です。
3/30、小説家になろうヒューマンドラマランキング日間1位になりました!
4/1、完結しました。全14話。

グライフトゥルム戦記~微笑みの軍師マティアスの救国戦略~
愛山雄町
ファンタジー
エンデラント大陸最古の王国、グライフトゥルム王国の英雄の一人である、マティアス・フォン・ラウシェンバッハは転生者である。
彼は類い稀なる知力と予知能力を持つと言われるほどの先見性から、“知将マティアス”や“千里眼のマティアス”と呼ばれることになる。
彼は大陸最強の軍事国家ゾルダート帝国や狂信的な宗教国家レヒト法国の侵略に対し、優柔不断な国王や獅子身中の虫である大貴族の有形無形の妨害にあいながらも、旧態依然とした王国軍の近代化を図りつつ、敵国に対して謀略を仕掛け、危機的な状況を回避する。
しかし、宿敵である帝国には軍事と政治の天才が生まれ、更に謎の暗殺者集団“夜(ナハト)”や目的のためなら手段を選ばぬ魔導師集団“真理の探究者”など一筋縄ではいかぬ敵たちが次々と現れる。
そんな敵たちとの死闘に際しても、絶対の自信の表れとも言える余裕の笑みを浮かべながら策を献じたことから、“微笑みの軍師”とも呼ばれていた。
しかし、マティアスは日本での記憶を持った一般人に過ぎなかった。彼は情報分析とプレゼンテーション能力こそ、この世界の人間より優れていたものの、軍事に関する知識は小説や映画などから得たレベルのものしか持っていなかった。
更に彼は生まれつき身体が弱く、武術も魔導の才もないというハンディキャップを抱えていた。また、日本で得た知識を使った技術革新も、世界を崩壊させる危険な技術として封じられてしまう。
彼の代名詞である“微笑み”も単に苦し紛れの策に対する苦笑に過ぎなかった。
マティアスは愛する家族や仲間を守るため、大賢者とその配下の凄腕間者集団の力を借りつつ、優秀な友人たちと力を合わせて強大な敵と戦うことを決意する。
彼は情報の重要性を誰よりも重視し、巧みに情報を利用した謀略で敵を混乱させ、更に戦場では敵の意表を突く戦術を駆使して勝利に貢献していく……。
■■■
あらすじにある通り、主人公にあるのは日本で得た中途半端な知識のみで、チートに類する卓越した能力はありません。基本的には政略・謀略・軍略といったシリアスな話が主となる予定で、恋愛要素は少なめ、ハーレム要素はもちろんありません。前半は裏方に徹して情報収集や情報操作を行うため、主人公が出てくる戦闘シーンはほとんどありません。
■■■
小説家になろう、カクヨム、ノベルアップ+でも掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる