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第15章:修学旅行の気分?で上洛
いばりんぼさんは嫌われるよ?
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1555年11月中旬
近江国朽木谷御座所
足利義輝(当時は京都追い出されて狭い谷間に閉塞していた)
「まだ祝いの言葉、申して居らなんだの。大胡殿、殿上人になられたとか。帝の憶えが目出度き事、喜ばしい限りじゃ」
この男、つい10年前までは一介の国衆であったとか。1万石にも届かぬ家に入り、10数年で50万石までにのし上がった。更にはあの関東管領を詐称する後北条氏を滅ぼす直前までに追い詰めた。
那波では数千もの人死にを出す戦いをしたという。
それでいて味方の死者は微々たるものだという。
都雀は、やれ鬼の様な角と牙が生えている大男だとか、物の怪の様に髪を振り乱しているなどと噂をしておるが、何のことはない只の若い小男ではないか?
居住まいは大したものだし、目も涼やかである。
それに思慮もあると見た。
これは「使い勝手」が良さそうじゃ。
「は。有難き幸せ。この政賢。
そのお言葉一生の宝にいたしまする」
「ほほ。その調子で帝へ取り成し、気に入られているのかの」
少し嫌味でもいうてやろうと思った。
「滅相もない! 某は真、天下国家の安寧・五穀豊穣を願うもの。
一切私心は御座らぬ。献金もそれがためにて。
そう申し上げたのですが、是非にと言われ官位を頂くことになり申した。他の者が官位を貰えなくなるではないかと言われれば致し方ござらぬ故」
それを誰が信じようか。
あれ程の銭を何が目的で献金するか。もう50000貫文を超えておるとの噂もある。内裏は檜が香る真新しいものとなり、帝から公家への下賜が豊富となったという。宮中は恐れと共に、有難がる声も多い。
「ほう。天下国家か。それにしては戦に明け暮れる坂東を関東管領が治める事を支えずに上野から追い出したとか。私心があると思われても致し方ないの」
この小兵の男は頭に手をやろうとする仕草を途中でやめ、照れたような表情になってから反論する。
「これはしたり。この大胡政賢。領地を持ってから13年。常に関東管領様を助け、お支えしてきたつもりにて。
河越の夜戦から始まり5度の大戦で北条を打ち負かしてきたのは、偏に関東の大乱を収めようとする関東管領様の御為。
結果として広大な領地を持ち少なからぬ兵を養うことになり申したが、これも関東管領という旗印の下、関東に静謐を齎そうとの結果でござる」
また、よう言うのう。
密勅を頂き、独自での行動をし始めた矢先、憲当が呆けたという噂。密勅の問題はその後表に出ておらず、朝廷も知らぬ存ぜぬ。これ以上突っ込むことはできぬ。
「では、此度は関東管領職を欲しての上洛か?
あの職があればその方の領地を拡大、関東の静謐を得るのに大義ができる」
我ながら直な問いじゃが、それが誠に重要な問題じゃ。
「それは全くの誤解でござる。某は関東管領に相応しい器ではございませぬ。そして上杉憲当様は、どうやら長尾景虎様にその職を委譲したいとの御意思をお持ちのご様子。此度はそれを帝と義輝様にお伝えする為の上洛でござりまする」
ほほう。
上杉からの進退伺は出ていたが、故に己が欲のために長尾への委譲を邪魔しに来たと思うたが……
「景虎様は、誠の武士の鑑。毘沙門天の化身との噂に違わぬ果敢にして豪勇。東国の武家を束ねる鎌倉公方様の名代として相応しいお方と心得ておりまする。それをお伝えいたしたく、宮中並びに将軍家の御前に罷り越しました」
ふむ。
何が狙いか?
誠に関東管領の下に付きその差配に従うのか?
景虎との仲は良いとは聞くが、それでは猶更自分を推挙し出し抜こうとするのではないか?
わからぬ。
「関東管領職の儀、某の意はここまでにて。某の欲するところは天下の穏やかなること。
しかし。それを邪魔するものが居りまする。その者を成敗する許可を頂きたく参った次第」
はて。
武田か?
里見か?
今川か?
できうればその者たちと手を結び、あの憎っくき三好を追討する兵を起こしてもらわねば。
「それは誰じゃ?
どうしても倒さねばならぬ相手なのか?
必要なれば将軍家の威光でその者をひれ伏させるか、仲を取り持つこともできるが」
「それは有難き、お言葉。感謝仕切りにございまする。しかしその者共、将軍家を蔑ろにする者共にて。
なかなか…‥」
三好か?
大胡とは全く接点がないはずだが。
「現在、大胡は大名家ではない者と仲が極度に悪うなっておりまする。勿論、周囲の大名家からも疎んじられておりますが。その者は、この天下の戦乱を長引かせるのを望んでおりまする」
「それは何奴じゃ?
そのような悪は、将軍家として放置できぬ。如何様な奴じゃ?」
下座に座る小男は、儂に向かって頭を下げ、野太い声にて唸る様にその名を告げた。
「堺を始め、西国の商人共にございまする」
商人か!
確かに戦の世が続けば武器兵糧が飛ぶように売れる。徳政や災害により損害があろうが、その分儲けが出る価格にて売買するであろう。
「ご存じのことかと思いまするが、堺の商人共は唐国から仕入れた物を非常に高く転売いたします。
そして本願寺やそれに繋がる土倉と収益によって一味同心しております。これらが我が大胡と敵対している諸勢力に銭や武器を融通し、某を潰すように唆しておりまする。
これから大胡はこの戦いへ赴く所存。その際にはもののふとは言えぬ銭にての汚き戦い方になると思いまする。よって関東管領職を汚さぬように己が為に欲することは致しませぬ」
成程、そういうことか。今まで聞いた中ではこれが一番信憑性があるの。
堺と本願寺は細川の後ろ盾にもなっておるが、将軍家とは繋がりがなく、却って将軍家を蔑ろにする結果となっている。
「では、武田や今川との仲を良うしようとは思わぬか」
「お二方は東国の商人を毛嫌いして居ますれば、叶うまいと。東国商人は某を今まで何度となく助けてくれ申した。裏切ること能いませぬ」
これは難しそうじゃ。
さて。
この者を如何様に扱うか。
判断に迷うの。
実際に戦は強いのであろう。それだけでなく、内政外交にも長けておる。
武田今川にも劣らぬと見た。
これを仲たがいさせておくのは誠に惜しい。足利将軍家の為にならぬ。
しかし、本願寺と対立するという事は、三好と一味することと同じ。それだけは許せぬ。三好を討てる者、そちらを優先するべきじゃ。
「武田今川が兵を率いて上洛すると聞けば、大胡は如何いたす?
その後背を突いて天下を伺うかの?
相模を切り取れば坂東は半ば大胡の物となろう。向かうところ敵なしじゃ」
それを成し遂げ、坂東に威を称えれば後北条すらも叶えられなかった東国支配が目の前であろう。
そして大胡が足利の下知に従う限り、幕府再興の夢が叶う。
世の者すべてが
「あの大胡をも平伏す将軍家の御威光よ」と、
見直すであろう。
「恐れながら申し上げます。某にはその様な夢は一切ござりませぬ。降りかかる火の粉は払いまするが」
あくまでも野心は表さぬか。
本当にそうであればよいが……
「しかし西国の商人に対する戦は果敢に行いまする。そのために京の都に市を開きまする。公方様に置かれましては、これに保護を頂ければ幸いにござりまする。
戦で申せば出城でござる。この望み叶いますれば、なお一層忠勤に励みまする」
再び首を垂れる小兵の男。
先の上泉のようなもののふを多く抱えている大胡に手を差し伸べておくのも悪くなかろう。ここは貸を作っておき、10倍にして返してもらおう。
否やは言わせぬ。
近江国朽木谷御座所
足利義輝(当時は京都追い出されて狭い谷間に閉塞していた)
「まだ祝いの言葉、申して居らなんだの。大胡殿、殿上人になられたとか。帝の憶えが目出度き事、喜ばしい限りじゃ」
この男、つい10年前までは一介の国衆であったとか。1万石にも届かぬ家に入り、10数年で50万石までにのし上がった。更にはあの関東管領を詐称する後北条氏を滅ぼす直前までに追い詰めた。
那波では数千もの人死にを出す戦いをしたという。
それでいて味方の死者は微々たるものだという。
都雀は、やれ鬼の様な角と牙が生えている大男だとか、物の怪の様に髪を振り乱しているなどと噂をしておるが、何のことはない只の若い小男ではないか?
居住まいは大したものだし、目も涼やかである。
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「は。有難き幸せ。この政賢。
そのお言葉一生の宝にいたしまする」
「ほほ。その調子で帝へ取り成し、気に入られているのかの」
少し嫌味でもいうてやろうと思った。
「滅相もない! 某は真、天下国家の安寧・五穀豊穣を願うもの。
一切私心は御座らぬ。献金もそれがためにて。
そう申し上げたのですが、是非にと言われ官位を頂くことになり申した。他の者が官位を貰えなくなるではないかと言われれば致し方ござらぬ故」
それを誰が信じようか。
あれ程の銭を何が目的で献金するか。もう50000貫文を超えておるとの噂もある。内裏は檜が香る真新しいものとなり、帝から公家への下賜が豊富となったという。宮中は恐れと共に、有難がる声も多い。
「ほう。天下国家か。それにしては戦に明け暮れる坂東を関東管領が治める事を支えずに上野から追い出したとか。私心があると思われても致し方ないの」
この小兵の男は頭に手をやろうとする仕草を途中でやめ、照れたような表情になってから反論する。
「これはしたり。この大胡政賢。領地を持ってから13年。常に関東管領様を助け、お支えしてきたつもりにて。
河越の夜戦から始まり5度の大戦で北条を打ち負かしてきたのは、偏に関東の大乱を収めようとする関東管領様の御為。
結果として広大な領地を持ち少なからぬ兵を養うことになり申したが、これも関東管領という旗印の下、関東に静謐を齎そうとの結果でござる」
また、よう言うのう。
密勅を頂き、独自での行動をし始めた矢先、憲当が呆けたという噂。密勅の問題はその後表に出ておらず、朝廷も知らぬ存ぜぬ。これ以上突っ込むことはできぬ。
「では、此度は関東管領職を欲しての上洛か?
あの職があればその方の領地を拡大、関東の静謐を得るのに大義ができる」
我ながら直な問いじゃが、それが誠に重要な問題じゃ。
「それは全くの誤解でござる。某は関東管領に相応しい器ではございませぬ。そして上杉憲当様は、どうやら長尾景虎様にその職を委譲したいとの御意思をお持ちのご様子。此度はそれを帝と義輝様にお伝えする為の上洛でござりまする」
ほほう。
上杉からの進退伺は出ていたが、故に己が欲のために長尾への委譲を邪魔しに来たと思うたが……
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ふむ。
何が狙いか?
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わからぬ。
「関東管領職の儀、某の意はここまでにて。某の欲するところは天下の穏やかなること。
しかし。それを邪魔するものが居りまする。その者を成敗する許可を頂きたく参った次第」
はて。
武田か?
里見か?
今川か?
できうればその者たちと手を結び、あの憎っくき三好を追討する兵を起こしてもらわねば。
「それは誰じゃ?
どうしても倒さねばならぬ相手なのか?
必要なれば将軍家の威光でその者をひれ伏させるか、仲を取り持つこともできるが」
「それは有難き、お言葉。感謝仕切りにございまする。しかしその者共、将軍家を蔑ろにする者共にて。
なかなか…‥」
三好か?
大胡とは全く接点がないはずだが。
「現在、大胡は大名家ではない者と仲が極度に悪うなっておりまする。勿論、周囲の大名家からも疎んじられておりますが。その者は、この天下の戦乱を長引かせるのを望んでおりまする」
「それは何奴じゃ?
そのような悪は、将軍家として放置できぬ。如何様な奴じゃ?」
下座に座る小男は、儂に向かって頭を下げ、野太い声にて唸る様にその名を告げた。
「堺を始め、西国の商人共にございまする」
商人か!
確かに戦の世が続けば武器兵糧が飛ぶように売れる。徳政や災害により損害があろうが、その分儲けが出る価格にて売買するであろう。
「ご存じのことかと思いまするが、堺の商人共は唐国から仕入れた物を非常に高く転売いたします。
そして本願寺やそれに繋がる土倉と収益によって一味同心しております。これらが我が大胡と敵対している諸勢力に銭や武器を融通し、某を潰すように唆しておりまする。
これから大胡はこの戦いへ赴く所存。その際にはもののふとは言えぬ銭にての汚き戦い方になると思いまする。よって関東管領職を汚さぬように己が為に欲することは致しませぬ」
成程、そういうことか。今まで聞いた中ではこれが一番信憑性があるの。
堺と本願寺は細川の後ろ盾にもなっておるが、将軍家とは繋がりがなく、却って将軍家を蔑ろにする結果となっている。
「では、武田や今川との仲を良うしようとは思わぬか」
「お二方は東国の商人を毛嫌いして居ますれば、叶うまいと。東国商人は某を今まで何度となく助けてくれ申した。裏切ること能いませぬ」
これは難しそうじゃ。
さて。
この者を如何様に扱うか。
判断に迷うの。
実際に戦は強いのであろう。それだけでなく、内政外交にも長けておる。
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これを仲たがいさせておくのは誠に惜しい。足利将軍家の為にならぬ。
しかし、本願寺と対立するという事は、三好と一味することと同じ。それだけは許せぬ。三好を討てる者、そちらを優先するべきじゃ。
「武田今川が兵を率いて上洛すると聞けば、大胡は如何いたす?
その後背を突いて天下を伺うかの?
相模を切り取れば坂東は半ば大胡の物となろう。向かうところ敵なしじゃ」
それを成し遂げ、坂東に威を称えれば後北条すらも叶えられなかった東国支配が目の前であろう。
そして大胡が足利の下知に従う限り、幕府再興の夢が叶う。
世の者すべてが
「あの大胡をも平伏す将軍家の御威光よ」と、
見直すであろう。
「恐れながら申し上げます。某にはその様な夢は一切ござりませぬ。降りかかる火の粉は払いまするが」
あくまでも野心は表さぬか。
本当にそうであればよいが……
「しかし西国の商人に対する戦は果敢に行いまする。そのために京の都に市を開きまする。公方様に置かれましては、これに保護を頂ければ幸いにござりまする。
戦で申せば出城でござる。この望み叶いますれば、なお一層忠勤に励みまする」
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