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第15章:修学旅行の気分?で上洛
越中富山にはやっぱり薬産業を
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1555年10月中旬
越後国糸魚川翡翠海岸
蘭
(公園育ちの元捨て子。現代でアーチェリーやったら化け物か、と言われる筈の浅黒い肌と明るい色の髪の毛の娘(15歳))
殿さまが足元に転がっている石を拾っては眺め、捨ててからまた別の石を拾い、光に翳している。
そして、偶に
「いいのが見つかった~」と、
私に手渡すので腰に付けた籠に大事にしまう。
ここの海岸は「ヒスイ」という宝石が見つかるようだ。私は一目見て、この深緑、時には薄い緑、萌黄色に変わる石が好きになった。
「女の子たち。自分でも拾ってね~。帰ったらお友達にプレ……あげようね。きっと大喜びするよ。
なんたって幸運と愛を運ぶっていうから。
思い人さんにも~、僕もかえでちゃんに♪ えへへ」
人の好き好きかと思うけど、綺麗なものが嫌いな女はいないと思う。
男の人は……お酒のほうがいいのでしょうね。
まったく!
お酒の好きな女子もいるけどね。
「ここ糸魚川はね。この翡翠が取れるから数千年も前から超裕福だったんだ。翡翠を加工して唐国まで売っていたんだよ。でもその代わりお米作ると土地がないけどね。
上野と反対だね。上野の方が大変かな?
開墾してもお米取れない年は大飢饉」
難しい話は分からないけど、飢饉は怖い。
多くの人が死ぬ。
そして戦が起きて、さらに多くの人が死ぬ。
「勿論、ここも雪が多くて大変だとか、戦に巻き込まれるとかはあるけどね。こうして宝石拾って生活できればいいんだけどね。
人間、どうしても欲が出て鉱山なんか作って掘り出すんだよね。すると途端に生活が苦しくなる。鉱山の仕事って大変で農作業より体に悪いんだよ。儲かるけどね。
裕福になろうとして逆に幸せではなくなる。
なんとかなんないかなぁ」
隣で周囲を警戒している詩歌に殿は顔を向け、話しかける。
「詩ちゃんの養父さんの楽絽さんは、もうすぐご隠居さんになるよね。前に腰が痛いって言っていた。
絵を描く仕事は好きだから続けたいと言っていたけど、前みたいにたくさん仕事をこなせない。絵描きさんと違って、お百姓さんや大工さんなどの職人さんは体を壊せば食べていけない。だから後進の若い人に技を教える場を作ったけど、これも大胡だからできたんだよね。
他ではそんな余裕はない。この翡翠ももっと加工して遠国で売れるようにすれば、まだまだ楽に暮らせるのになぁ」
それを殿さまはしようとしているんだね。だから戦で人を殺す。早く終わらせたいのでしょね。人を殺さなくてもよい世の中。
……その時、私はどのように生きているのだろう?
いや、この厳しい戦の中で生きているとも思えない。たくさんの人の恨みがこの体に染みついているだろうから。
せめて他の公園の子に生きて幸せになってほしい。
そう思うのだった。
◇ ◇ ◇ ◇
1555年10月中旬
越中国横瀬湊
磐梯屋藤兵衛
(ちょい悪商人)
「藤兵衛ちゃんさあ。
この湊、よく使う?」
政賢様が横瀬の湊を見通せる川岸の堤防に登って、腰に両手を当てながら胸をそらせて言われた。
なんだか、悔しそうな声色だな。
「はい。日本海を回る際には必ず通ります。東は直江津、西は能登の輪島湊。ここを繋いでいるのが横瀬の湊ですから」
「景虎にゃんに直江津使わせてもらえるようになったけど、こっちの湊の方があれが採れて都合がいいんだよね~」
あれとは何でありましょう?
と聞くと薬草だと教えてくれた。
「この富山城周辺は色々な薬草を入手できる絶好の立地条件なんだよ。高山に生える物から低地湿地に生える薬草類。そして唐国から本草を仕入れてくるにも都合がよくてさ。ついでに堺も通らない。博多を通らなければいけそうな気がするんだ」
殿に利用……ではなく、ご協力していただいている山科言継様が日ノ本各地で入手できる薬種を集めてきてくださったお陰で、ここが一番薬を調合するのに都合がよいという結論となったようだ。
儂は薬など何処でも作れると思っているが、できる限り安く作るには商人の手を通さないに越したことはない。
地場で採れるものが多く、取れないものは船での輸送がよいとなると考えたか。
少し危険だろうが小分けにすればいいだろう。
「無い物ねだりをしても仕方がないか~。
もっと建設的なこと考えよっと」
「すっぱい葡萄、この葡萄はきっとまだ酸っぱいぞ。だから他の人にあげちゃうんだ」
と自分に言い聞かせるように独り言を呟きながら馬に跨る殿。
「殿。やっと馬に乗れるようになり良かったですな」
俺が言うと、照れるような怒ったような顔で此方を向き呟いていた。
「やっと足が届くようになったんだよなぁ、鐙に。しっかりと馬の胴を足で挟めるようになったので、馬が怯えなくなったのかな。だからあざ笑うような鳴き声を上げなくなった。頭も齧らなくなったし」
どうも変なんだよな。
殿さんは今年で21。なぜか今年に入り背が伸び始めた。
去年までは5尺もなかった上背が、今は5尺1寸はあるようだ。ちょっと遅いんでないのか? 発育が。
最近肉を食い始めたそうな。そのせいか?
まあ、このお方は普通の者とは、頭も胆も違うのだから、何でもありか。
「あとね、越後の直江津で船作るから、この辺りの材木も見繕って持って行っちゃって。大きな木はあまり必要ないからさ。色々な形の木を持って行って乾燥させておいてね。1年後には鋸や鉋を揃えるから、皆で船大工を目指そ! 造船スキル上げはお金がいっぱい必要だぁ」
「大航海時代~♪」と、またぶつくさ言っている。
わけわかんねえな、昔からだが。
とりあえず、この殿さんについていれば金儲けはできそうだ。
日ノ本一の豪商に成りあがってやるぜ。
越後国糸魚川翡翠海岸
蘭
(公園育ちの元捨て子。現代でアーチェリーやったら化け物か、と言われる筈の浅黒い肌と明るい色の髪の毛の娘(15歳))
殿さまが足元に転がっている石を拾っては眺め、捨ててからまた別の石を拾い、光に翳している。
そして、偶に
「いいのが見つかった~」と、
私に手渡すので腰に付けた籠に大事にしまう。
ここの海岸は「ヒスイ」という宝石が見つかるようだ。私は一目見て、この深緑、時には薄い緑、萌黄色に変わる石が好きになった。
「女の子たち。自分でも拾ってね~。帰ったらお友達にプレ……あげようね。きっと大喜びするよ。
なんたって幸運と愛を運ぶっていうから。
思い人さんにも~、僕もかえでちゃんに♪ えへへ」
人の好き好きかと思うけど、綺麗なものが嫌いな女はいないと思う。
男の人は……お酒のほうがいいのでしょうね。
まったく!
お酒の好きな女子もいるけどね。
「ここ糸魚川はね。この翡翠が取れるから数千年も前から超裕福だったんだ。翡翠を加工して唐国まで売っていたんだよ。でもその代わりお米作ると土地がないけどね。
上野と反対だね。上野の方が大変かな?
開墾してもお米取れない年は大飢饉」
難しい話は分からないけど、飢饉は怖い。
多くの人が死ぬ。
そして戦が起きて、さらに多くの人が死ぬ。
「勿論、ここも雪が多くて大変だとか、戦に巻き込まれるとかはあるけどね。こうして宝石拾って生活できればいいんだけどね。
人間、どうしても欲が出て鉱山なんか作って掘り出すんだよね。すると途端に生活が苦しくなる。鉱山の仕事って大変で農作業より体に悪いんだよ。儲かるけどね。
裕福になろうとして逆に幸せではなくなる。
なんとかなんないかなぁ」
隣で周囲を警戒している詩歌に殿は顔を向け、話しかける。
「詩ちゃんの養父さんの楽絽さんは、もうすぐご隠居さんになるよね。前に腰が痛いって言っていた。
絵を描く仕事は好きだから続けたいと言っていたけど、前みたいにたくさん仕事をこなせない。絵描きさんと違って、お百姓さんや大工さんなどの職人さんは体を壊せば食べていけない。だから後進の若い人に技を教える場を作ったけど、これも大胡だからできたんだよね。
他ではそんな余裕はない。この翡翠ももっと加工して遠国で売れるようにすれば、まだまだ楽に暮らせるのになぁ」
それを殿さまはしようとしているんだね。だから戦で人を殺す。早く終わらせたいのでしょね。人を殺さなくてもよい世の中。
……その時、私はどのように生きているのだろう?
いや、この厳しい戦の中で生きているとも思えない。たくさんの人の恨みがこの体に染みついているだろうから。
せめて他の公園の子に生きて幸せになってほしい。
そう思うのだった。
◇ ◇ ◇ ◇
1555年10月中旬
越中国横瀬湊
磐梯屋藤兵衛
(ちょい悪商人)
「藤兵衛ちゃんさあ。
この湊、よく使う?」
政賢様が横瀬の湊を見通せる川岸の堤防に登って、腰に両手を当てながら胸をそらせて言われた。
なんだか、悔しそうな声色だな。
「はい。日本海を回る際には必ず通ります。東は直江津、西は能登の輪島湊。ここを繋いでいるのが横瀬の湊ですから」
「景虎にゃんに直江津使わせてもらえるようになったけど、こっちの湊の方があれが採れて都合がいいんだよね~」
あれとは何でありましょう?
と聞くと薬草だと教えてくれた。
「この富山城周辺は色々な薬草を入手できる絶好の立地条件なんだよ。高山に生える物から低地湿地に生える薬草類。そして唐国から本草を仕入れてくるにも都合がよくてさ。ついでに堺も通らない。博多を通らなければいけそうな気がするんだ」
殿に利用……ではなく、ご協力していただいている山科言継様が日ノ本各地で入手できる薬種を集めてきてくださったお陰で、ここが一番薬を調合するのに都合がよいという結論となったようだ。
儂は薬など何処でも作れると思っているが、できる限り安く作るには商人の手を通さないに越したことはない。
地場で採れるものが多く、取れないものは船での輸送がよいとなると考えたか。
少し危険だろうが小分けにすればいいだろう。
「無い物ねだりをしても仕方がないか~。
もっと建設的なこと考えよっと」
「すっぱい葡萄、この葡萄はきっとまだ酸っぱいぞ。だから他の人にあげちゃうんだ」
と自分に言い聞かせるように独り言を呟きながら馬に跨る殿。
「殿。やっと馬に乗れるようになり良かったですな」
俺が言うと、照れるような怒ったような顔で此方を向き呟いていた。
「やっと足が届くようになったんだよなぁ、鐙に。しっかりと馬の胴を足で挟めるようになったので、馬が怯えなくなったのかな。だからあざ笑うような鳴き声を上げなくなった。頭も齧らなくなったし」
どうも変なんだよな。
殿さんは今年で21。なぜか今年に入り背が伸び始めた。
去年までは5尺もなかった上背が、今は5尺1寸はあるようだ。ちょっと遅いんでないのか? 発育が。
最近肉を食い始めたそうな。そのせいか?
まあ、このお方は普通の者とは、頭も胆も違うのだから、何でもありか。
「あとね、越後の直江津で船作るから、この辺りの材木も見繕って持って行っちゃって。大きな木はあまり必要ないからさ。色々な形の木を持って行って乾燥させておいてね。1年後には鋸や鉋を揃えるから、皆で船大工を目指そ! 造船スキル上げはお金がいっぱい必要だぁ」
「大航海時代~♪」と、またぶつくさ言っている。
わけわかんねえな、昔からだが。
とりあえず、この殿さんについていれば金儲けはできそうだ。
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あらすじにある通り、主人公にあるのは日本で得た中途半端な知識のみで、チートに類する卓越した能力はありません。基本的には政略・謀略・軍略といったシリアスな話が主となる予定で、恋愛要素は少なめ、ハーレム要素はもちろんありません。前半は裏方に徹して情報収集や情報操作を行うため、主人公が出てくる戦闘シーンはほとんどありません。
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