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第15章:修学旅行の気分?で上洛
死亡ではなく誕生フラグでした
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1555年9月下旬
上野国名和城
楓
(みんな大好きらしい。一応ヒロイン)
「……っぱ! ‥‥っぱ! ばぁああ~」
政賢さまが松風をあやしています。私の両の腕でそっと抱いている政賢さまのお子、松風。
「やっぱ、ここは僕と同じ幼名でしょ!」
と言われて、松風と名付けられた大事な大胡家の跡取り……
何よりも私と愛おしい方との宝であり、絆でもあります。
殿が仰られたように、北条との1年前の戦、その2か月後には懐妊したと絹と福に言われました。
その後8月で無事生まれ、今この笑顔を見ることができました。
でも5才までは安心できませぬ。
福と絹が
「子はちょっとしたことで亡くなる」
と脅すようなことを言います。
でもその目は真剣で、私も心して育てねばと心を新たにしています。嬉しさに浸ってばかりではいけませぬ。
「かえでちゃん、本当にいいの?
乳母をつけなくて。
大変だって聞くよ。
一日中、松風を世話してないとだよ」
何処で聞かれたのでしょうか。
姫として育てられた私に、子育てはそんなに簡単ではないとおっしゃられている?
「はい。覚悟しておりまする。
殿が毎日毎晩、戦っておりますのに私だけ安穏としては居られませぬ。
女子の戦は子育て。それに戦友? 参謀?
もおります」
私は隣に控えている絹と福を見た。
「そっか。
じゃ、一緒に頑張って生きていこうね。大胡の家を守んなきゃだね。なんか急に大人になった気がするよ、うん」
私も、生みの苦しみを経て、やっと大人になった気がします。母というものは、なんと幸せな者なのでしょうか。きっと、ずっとは続かない幸せばかりの時。
ですが、その時松風が傍にいてくれれば、政賢さまがお傍に……
「ごめんね。
まだ松風が生まれて1か月も経たないのに、出かけなくちゃで。今を置いて上洛出来そうにないんだよ」
政賢さまは今や50万石の大大名になられました。そうそうお傍にいられないのは覚悟せねば。
「ご家老ちゃんの水薬飲ませて、お仁王ちゃんとこの「娘軍団」みたいに元気いっぱいに育てようね。
あと、京土産は何がいいかな?
なんか欲しいものある?
福と絹も~」
「殿の御無事の御帰還が何よりもの土産にございまする」
私がそうお伝えすると、政賢さまはにこりと笑われ、
「そうだね」
と、私の肩をお抱きになりました。
「今年中に帰ってくるよ。それまでに松風、どのくらい大きくなってどのくらい可愛くなっているか、楽しみだなぁ」
政賢さまは松風を軽くあやしてから立ち上がり
「じゃ、行ってくるね。大胡の民、みんなを守んなくちゃ」
ここ1年で少し大きくなった政賢さまは手をひらひらさせながら部屋を出ようとして、障子に穴をあけてしまい頭を掻きながら縁側を渡って行かれました。
◇ ◇ ◇ ◇
同日1刻後
楓居室
福
(謎の乳母)
楓様の代わりに絹さんが松風様を抱っこしている。
楓様は産後の体に体力をという殿さまの提案で、中庭に運動器具というものを作ってそこで体を伸ばしたり変な格好をしたりして汗を掻いている。
「ぴらてぃす」と言うそうだけど、変な格好だよ。
いつ見ても。
「楓様ぁ。
あまり無理するのんじゃあねえよ。やり過ぎは返って毒だなぁ」
ちょっと目を離すと足腰が立たなくなるまで頑張っちゃう性格はお母様譲りなのだというけど、いったいどんな人なん?
気になるけど会うのは怖い気もするなぁ。
「大丈夫ですよ。まだまだ余裕はあります。
でもこのくらいにしておきますね。そうしないと福が気が気でないでしょう」
ちゃんと周りの者が心配しているのを考えていなさるのは素敵な方だなぁ。つくづく殿さんのお嫁に来て下さってありがたいなぁ。
汗を拭いて着替えを手伝う。
大分肉が引き締まって来たなぁ。
私もするかなぁ。
でももう歳だし。
無理はしないで置くべ。
「政賢様、北条との戦に勝ってお子様も生まれて大分変りましたね。大層お優しくなりました。以前は子供子供しておりましたが」
絹さんが仰ることは分かるけんど、そうじゃあないんだなぁ。
元々優しかったし繊細な心をもって居たんさ。
でもそれを出すことはできなかったよ。
殿さんなりに精いっぱいだったんだよ。
本当に頼りになって心を許せたのは多分私と、途中からは政影様だけだったんじゃねえのかな。
でもおっきな戦で沢山の仲間と共に生死を潜り抜けてきた。
だから心を許せるようになって来たんじゃねえの?
他の事は分かんねえけんど、大胡の人には前から優しい。
大胡へ引っ越してくる人にも優しい。
……でも、
お侍さんには厳しいんだというなぁ。
「のぶれすおぶりいじゅ、を果たさない者は許さない!」とか、怖い顔で言っていたのを見たよ。
「一旦、日ノ本を壊さなければならない」と政影様に言っているのも聞いた。
政賢様、怖い顔をしていてもその裏には繊細な心を持っているんだから、あまり無理しないでよぁ。
壊れちゃうよ、心が。
「福。貴方から見て、政賢様はどのように変わられましたか?」
楓様が私に聞いて来た。
「情が深く成られましたねぇ。戦で多くの仲間が出来たと喜んでいるのではねえですか。
でも‥‥」
「でも?」
「いっぱい人を殺めていっぱい心が傷ついていると思いますよぉ。
だから‥‥」
楓様は松風様の顔を見てから私たち2人の顔を見やり、そして頭を下げた。
「これからも殿、政賢様を支えていってくださいね。せめて奥では心が休めるように、精いっぱいの事を致しましょう」
勿論だよぅ。
子供のころは私一人だったけんど、今は3人もいる。殿さんの心を3倍穏やかに癒して差し上げる事、できると思うんだよ。
殿さん、幸せじゃなぁ。
仲間がこんなにいっぱいできて。
上野国名和城
楓
(みんな大好きらしい。一応ヒロイン)
「……っぱ! ‥‥っぱ! ばぁああ~」
政賢さまが松風をあやしています。私の両の腕でそっと抱いている政賢さまのお子、松風。
「やっぱ、ここは僕と同じ幼名でしょ!」
と言われて、松風と名付けられた大事な大胡家の跡取り……
何よりも私と愛おしい方との宝であり、絆でもあります。
殿が仰られたように、北条との1年前の戦、その2か月後には懐妊したと絹と福に言われました。
その後8月で無事生まれ、今この笑顔を見ることができました。
でも5才までは安心できませぬ。
福と絹が
「子はちょっとしたことで亡くなる」
と脅すようなことを言います。
でもその目は真剣で、私も心して育てねばと心を新たにしています。嬉しさに浸ってばかりではいけませぬ。
「かえでちゃん、本当にいいの?
乳母をつけなくて。
大変だって聞くよ。
一日中、松風を世話してないとだよ」
何処で聞かれたのでしょうか。
姫として育てられた私に、子育てはそんなに簡単ではないとおっしゃられている?
「はい。覚悟しておりまする。
殿が毎日毎晩、戦っておりますのに私だけ安穏としては居られませぬ。
女子の戦は子育て。それに戦友? 参謀?
もおります」
私は隣に控えている絹と福を見た。
「そっか。
じゃ、一緒に頑張って生きていこうね。大胡の家を守んなきゃだね。なんか急に大人になった気がするよ、うん」
私も、生みの苦しみを経て、やっと大人になった気がします。母というものは、なんと幸せな者なのでしょうか。きっと、ずっとは続かない幸せばかりの時。
ですが、その時松風が傍にいてくれれば、政賢さまがお傍に……
「ごめんね。
まだ松風が生まれて1か月も経たないのに、出かけなくちゃで。今を置いて上洛出来そうにないんだよ」
政賢さまは今や50万石の大大名になられました。そうそうお傍にいられないのは覚悟せねば。
「ご家老ちゃんの水薬飲ませて、お仁王ちゃんとこの「娘軍団」みたいに元気いっぱいに育てようね。
あと、京土産は何がいいかな?
なんか欲しいものある?
福と絹も~」
「殿の御無事の御帰還が何よりもの土産にございまする」
私がそうお伝えすると、政賢さまはにこりと笑われ、
「そうだね」
と、私の肩をお抱きになりました。
「今年中に帰ってくるよ。それまでに松風、どのくらい大きくなってどのくらい可愛くなっているか、楽しみだなぁ」
政賢さまは松風を軽くあやしてから立ち上がり
「じゃ、行ってくるね。大胡の民、みんなを守んなくちゃ」
ここ1年で少し大きくなった政賢さまは手をひらひらさせながら部屋を出ようとして、障子に穴をあけてしまい頭を掻きながら縁側を渡って行かれました。
◇ ◇ ◇ ◇
同日1刻後
楓居室
福
(謎の乳母)
楓様の代わりに絹さんが松風様を抱っこしている。
楓様は産後の体に体力をという殿さまの提案で、中庭に運動器具というものを作ってそこで体を伸ばしたり変な格好をしたりして汗を掻いている。
「ぴらてぃす」と言うそうだけど、変な格好だよ。
いつ見ても。
「楓様ぁ。
あまり無理するのんじゃあねえよ。やり過ぎは返って毒だなぁ」
ちょっと目を離すと足腰が立たなくなるまで頑張っちゃう性格はお母様譲りなのだというけど、いったいどんな人なん?
気になるけど会うのは怖い気もするなぁ。
「大丈夫ですよ。まだまだ余裕はあります。
でもこのくらいにしておきますね。そうしないと福が気が気でないでしょう」
ちゃんと周りの者が心配しているのを考えていなさるのは素敵な方だなぁ。つくづく殿さんのお嫁に来て下さってありがたいなぁ。
汗を拭いて着替えを手伝う。
大分肉が引き締まって来たなぁ。
私もするかなぁ。
でももう歳だし。
無理はしないで置くべ。
「政賢様、北条との戦に勝ってお子様も生まれて大分変りましたね。大層お優しくなりました。以前は子供子供しておりましたが」
絹さんが仰ることは分かるけんど、そうじゃあないんだなぁ。
元々優しかったし繊細な心をもって居たんさ。
でもそれを出すことはできなかったよ。
殿さんなりに精いっぱいだったんだよ。
本当に頼りになって心を許せたのは多分私と、途中からは政影様だけだったんじゃねえのかな。
でもおっきな戦で沢山の仲間と共に生死を潜り抜けてきた。
だから心を許せるようになって来たんじゃねえの?
他の事は分かんねえけんど、大胡の人には前から優しい。
大胡へ引っ越してくる人にも優しい。
……でも、
お侍さんには厳しいんだというなぁ。
「のぶれすおぶりいじゅ、を果たさない者は許さない!」とか、怖い顔で言っていたのを見たよ。
「一旦、日ノ本を壊さなければならない」と政影様に言っているのも聞いた。
政賢様、怖い顔をしていてもその裏には繊細な心を持っているんだから、あまり無理しないでよぁ。
壊れちゃうよ、心が。
「福。貴方から見て、政賢様はどのように変わられましたか?」
楓様が私に聞いて来た。
「情が深く成られましたねぇ。戦で多くの仲間が出来たと喜んでいるのではねえですか。
でも‥‥」
「でも?」
「いっぱい人を殺めていっぱい心が傷ついていると思いますよぉ。
だから‥‥」
楓様は松風様の顔を見てから私たち2人の顔を見やり、そして頭を下げた。
「これからも殿、政賢様を支えていってくださいね。せめて奥では心が休めるように、精いっぱいの事を致しましょう」
勿論だよぅ。
子供のころは私一人だったけんど、今は3人もいる。殿さんの心を3倍穏やかに癒して差し上げる事、できると思うんだよ。
殿さん、幸せじゃなぁ。
仲間がこんなにいっぱいできて。
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