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第14章:後始末
所期の目標達成したけど
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1554年4月下旬
上野国厩橋城
上杉景信
(越後の有力国衆)
関東管領上杉憲当様の護衛のためにこの厩橋城へ来た。
兵は僅か100しか連れてこれなかった。
蔵田屋を始め、多くの商人が謎の証文を基に、(私には全く分からぬ)長尾家に多額の借財があるとして、その返納を迫ったのだ。
景虎様はその証文を破り捨てようとして、重臣たちに止められた。
幸い2~3人の重臣がその場にいたため事なきを得たが、もし破り捨てたことが世間に知れたら、越後長尾の信用が地に堕ちる事、徳政の比では無かろうとのことだった。
商人からの借財や米の取引は非常に困難となり、信濃・坂東への出兵すら困難となると諭された景虎様は、今回の越山を諦め、私にその任を託した。
そのため護衛の兵は数を抑えねばならなくなった。流石に兵100では景虎様の名折れだ。大胡殿に書状を送り管領殿の受け入れを頼んで、ご自身は無理に動かぬことを選択していただいた。
そして今。
なんと関白様に謁見している。
初めからこんなことが分かっていようものなら、景虎様自らが来るべきであった!
大胡政賢殿も左中弁になられて、その関白様のお傍に控えている。
関白様に次いで最も上座に座っている。
関東管領様よりも上座だ!
既に不穏な空気がこの大広間に流れている。
憲当様の額に「ピキリ」と音を立てて、血管が浮かんだ。
「兵部少輔殿。
賢くも帝に置かれては、この坂東の地にて起こる混乱で悩み苦しむ無垢の百姓をお哀れみになり、大胡左中弁殿を補佐し兵部少輔殿にこの地に安寧と繁栄を齎すよう、密かに勅命を発せられましておじゃりまする。
今後忠勤に励まれるがよかろう」
なんと、密勅とな!?
幕府、足利義輝様はご存じなのか?
幕府を差し置いて兵部の者に勅など、聞いたこともない!
しかも大胡左中弁の補佐をせよと!
うううむ。
そういうことか。
これはあくまでも、「民の安寧と繁栄を司れ」という密勅か。
だから武官ではなく太政官の行政を司る左中弁を通しての密勅ということか。
それを以って太政官の左中弁の指揮を兵部少輔が受けよと!
これは辛辣。
関東管領殿の面子を潰しにきている。
よく、日和見を旨とする朝廷は権威としてのみ存在することにより生き残ってきた。そのような角の立つ勅を出したものよ。
だから密勅なのか。
公然の秘密。
漏らせば大逆。
憲当殿、これは詰んだか?
まさか今まで家臣であった、しかも12年前まで1万石にも満たなんだ国衆の風下に立てるか?
しかし席を蹴る無礼など出来まい。
「憲当殿。手を携え、この坂東の地に安寧を齎し帝の宸襟を安らかに致しましょうぞ」
政賢殿の顔が、明らかに嘲笑っている。
2間もない二人の間に、稲光が見えた気がする。
「こ……この儂が……
お主の風下だと?
手を取るだと!?
お前が差し出す手など、死んでも取らぬ!
お主はこの世の者ではなかろう!?
物の怪じゃ!
いや、えいあいのえぬぴいしいではないのか!?
元々、このようなるうるは最初から承知しておらんわ!
お主はだれじゃ?
俺がお前に何をした?
もしや俺が強盗した時にいた小僧か?
このげえむになぜ俺を……!!」
何かを言おうとしていた憲当様は、泡を吹きながら脇差の鯉口を切り、2間の距離を詰めて政賢殿に振り下ろす!
しかし政賢殿の背後から腕を伸ばしてきた大男の側仕えに受け止められ、そのまま脇差を取り上げられた。
その時、憲当様の右手首がボキボキッという、嫌な音を立てて不気味な形に折れ曲がった。
悲鳴を上げ転げまわる関東管領殿。
それを見て悦に入る大胡政賢。
知る限りにおいて、ここまでの憎悪を大胡殿が憲当様に抱く理由が見当たらない。
「何という無体を為さる? 兵部少輔殿!
殿上ではないが、官位の上の者に刃傷沙汰などもっての外。これは帝だけでなく義輝殿にもお伝えして、裁可を頂かねばならぬ所業でおじゃりまするぞ!!」
これは拙い。
このままでは、関東管領職すら危うくなるやもしれぬ。
それよりも噂は万里を駆け巡る。
もう誰もこの男に付き従う者など居るまい。
大胡殿は河越の戦からずっと、関東管領に奉公をしてきた。
見事な勲功じゃ。
この上野国を北条から守ったばかりではなく、上杉家の仇敵北条そのものを今、滅亡寸前にまで追いやっている。
その忠臣にこのような無体を働くとは。
景虎様すら、見放すのではないか?
「お待ちくだされ、関白殿下。幸いにして某は傷を負った訳ではございませぬ。少しばかり心に傷を負い申したが。
しかしこれでは帝の勅とは言え、このまま手を携えて、という訳には行かなくなり申した。どこぞへ退転なされて隠居でも為され、余生を安寧にお過ごしになるのがよろしいかと存じまする。
関東管領の職はどなたか威のある方が継ぎ、その御方と勅に従うのが正道かと」
激痛で畳の上を転げまわっている男の耳には、今の言葉は聞こえぬであろう。
「憲当、いやたんなる強盗犯罪者。貴様に殺された俺の家族3人。お前の命と引き換えにこの異世界で父さん母さん姉さんをよみがえらせるゲームだったんだよ。
付き合ってくれてありがとう。
おまえは時のかなたで永遠に牢獄につながれているんだな。俺はこの異世界で遂に仇討ちができた!」
大胡殿が何を言っているのか、ここにいるもの全員が理解できていないであろう。
大胡殿が自分の目の前にて右手で不可思議な仕草をすると、突然関東管領殿の動きが止まり大の字になって寝転がったかと思うと、すっと起き上がり頭を傾げ、
「ここは何処じゃ?
何が起きた?
……儂は?
何をしていた?」
まるで憑き物が落ちたような表情で周囲を見渡した。
手の傷はどうしたのだ?
全く気にしていないようだ。
「あなたは、よく頑張りました。
もう役目は終わりました。
ゆっくりお休みください。
ご苦労様でした。
ありがとう」
大胡殿が、なにか別の者に投げかけるような口調で、優しい言葉を掛けている。
ここにいる皆が私と同じように困惑しているのが見て取れた。
いったい何が起きたのか?
その後、呆けたような憲当様を越後へお連れするために、私は三国の峠を越えることとなった。
関白殿下が「そうなされ」と仰られ、越後で仏門に入ることに同意したのであった。
さて、此度の事。
どのように景虎様に報告いたそうか。
旅の途中、頭が休まることはなさそうであった。
◇ ◇ ◇ ◇
1554年5月上旬
厩橋城から大胡城へ至る高速道桃ノ木橋
長野政影
(政賢のセーブ機能)
殿が桃ノ木川に架かる橋の上で水面を見ている。
橋の欄干に両肘を付き、たまにぶつぶつと小さく独り言を言っていらっしゃる。
あの厩橋城での上杉憲当様が起こした刃傷沙汰の後、大胡へ帰ったその晩から殿は3日寝込んだ。
きっと気を張り詰めていたに違いない。
以前から内輪では宣言されていた「関東管領を追い出す」という大仕事をやり遂げたのだ。
それはそれは疲れたに違いない。
しかし、寝込んでいる最中。いつものうなされるような寝言が聞こえなかった。
まるで死んだようにぐっすり眠っておられた。息をしているか心配で、何度も枕元へ寄って確認したほどだ。
3日間の間、楓様と某、福の3人で面倒を見させていただいた。
しかし此度に限って
「ありがとう。やっと切りがついて落ち着いてきたよ。生まれた目的は果たせた。少し休むね。これからはずっと一緒だよ」
と、はっきりと返事をなされていた。
「政影くん。言っても分かんないと思うけど、第1キャンペーンが終了したので、次はもっと大変になるよ。
僕としてはこれでもう十分満足したので、ここで出家イベでエンドロールでもいいんだけど、20年以上みんなと遊んじゃうとねぇ。
ずいずいずっころばしの世界だね。運営に呼ばれても行きっこなしだよね。このまま遊ぶっきゃないよね。
でも今までの世界線が全く変わっちゃったから、シナリオの先が見通せなくなっちゃったんだよ。完全に異世界。
これからは皆の力が必要です。僕、これからはどんどん失敗すると思う。みんな手伝ってくれるかなぁ」
半分も殿の仰ることが全く理解できなかったが、最後の部分だけは分かった。
「殿の行くところ、皆がついていき申す。皆が手助けいたすでしょう。これまでもそうであり申した。これからもそうでありましょうぞ」
それを聞くと殿はにっこりと笑い、
「ありがと」
と言うと共に、再び川面に目を落とした。
「そう言えば、ここから僕たち2人の冒険は始まったんだよね。
そして冒険の第2幕もここから始めるよ」
それを聞いた某は殿と同じ水面に視線を向け、この場所で殿を庇って死んだ今は亡き父上に、殿が齢20にして30万石の大名になったことを心中で報告したのだった。
◇ ◇ ◇ ◇
2006年6月6日:月刊ゲーム雑誌アスゲーモバイル
【大募集! αテスター10名】
「今月発表された国民的歴史SLG、政賢の野望:桃ノ木川の奇跡。
このシリーズはスピンオフ作品が多数発売されていますが、今回は本格的アドベンチャーゲームです。
発表フェスにおいてチーフプロデューサーは、もしこのゲームが好評を得た場合、3年前に開発されたワールドジェネレータ技術を試用し、異世界探訪のできるシステムを開発する予定との発表をしました。
そのための技術開発をクラタグループと連携して行う考えであると発表。
まだシナリオは桃ノ木川における道忠討ち死にから、北条氏康を敗死させたのちに上杉管領家を没落越後への追放までの第1キャンペーンのみですが、これから続々とシナリオが追加されていく予定。
今回クローズドαテストが終わり、オープンαテスターの募集中です……」
第1部:北条編完
上野国厩橋城
上杉景信
(越後の有力国衆)
関東管領上杉憲当様の護衛のためにこの厩橋城へ来た。
兵は僅か100しか連れてこれなかった。
蔵田屋を始め、多くの商人が謎の証文を基に、(私には全く分からぬ)長尾家に多額の借財があるとして、その返納を迫ったのだ。
景虎様はその証文を破り捨てようとして、重臣たちに止められた。
幸い2~3人の重臣がその場にいたため事なきを得たが、もし破り捨てたことが世間に知れたら、越後長尾の信用が地に堕ちる事、徳政の比では無かろうとのことだった。
商人からの借財や米の取引は非常に困難となり、信濃・坂東への出兵すら困難となると諭された景虎様は、今回の越山を諦め、私にその任を託した。
そのため護衛の兵は数を抑えねばならなくなった。流石に兵100では景虎様の名折れだ。大胡殿に書状を送り管領殿の受け入れを頼んで、ご自身は無理に動かぬことを選択していただいた。
そして今。
なんと関白様に謁見している。
初めからこんなことが分かっていようものなら、景虎様自らが来るべきであった!
大胡政賢殿も左中弁になられて、その関白様のお傍に控えている。
関白様に次いで最も上座に座っている。
関東管領様よりも上座だ!
既に不穏な空気がこの大広間に流れている。
憲当様の額に「ピキリ」と音を立てて、血管が浮かんだ。
「兵部少輔殿。
賢くも帝に置かれては、この坂東の地にて起こる混乱で悩み苦しむ無垢の百姓をお哀れみになり、大胡左中弁殿を補佐し兵部少輔殿にこの地に安寧と繁栄を齎すよう、密かに勅命を発せられましておじゃりまする。
今後忠勤に励まれるがよかろう」
なんと、密勅とな!?
幕府、足利義輝様はご存じなのか?
幕府を差し置いて兵部の者に勅など、聞いたこともない!
しかも大胡左中弁の補佐をせよと!
うううむ。
そういうことか。
これはあくまでも、「民の安寧と繁栄を司れ」という密勅か。
だから武官ではなく太政官の行政を司る左中弁を通しての密勅ということか。
それを以って太政官の左中弁の指揮を兵部少輔が受けよと!
これは辛辣。
関東管領殿の面子を潰しにきている。
よく、日和見を旨とする朝廷は権威としてのみ存在することにより生き残ってきた。そのような角の立つ勅を出したものよ。
だから密勅なのか。
公然の秘密。
漏らせば大逆。
憲当殿、これは詰んだか?
まさか今まで家臣であった、しかも12年前まで1万石にも満たなんだ国衆の風下に立てるか?
しかし席を蹴る無礼など出来まい。
「憲当殿。手を携え、この坂東の地に安寧を齎し帝の宸襟を安らかに致しましょうぞ」
政賢殿の顔が、明らかに嘲笑っている。
2間もない二人の間に、稲光が見えた気がする。
「こ……この儂が……
お主の風下だと?
手を取るだと!?
お前が差し出す手など、死んでも取らぬ!
お主はこの世の者ではなかろう!?
物の怪じゃ!
いや、えいあいのえぬぴいしいではないのか!?
元々、このようなるうるは最初から承知しておらんわ!
お主はだれじゃ?
俺がお前に何をした?
もしや俺が強盗した時にいた小僧か?
このげえむになぜ俺を……!!」
何かを言おうとしていた憲当様は、泡を吹きながら脇差の鯉口を切り、2間の距離を詰めて政賢殿に振り下ろす!
しかし政賢殿の背後から腕を伸ばしてきた大男の側仕えに受け止められ、そのまま脇差を取り上げられた。
その時、憲当様の右手首がボキボキッという、嫌な音を立てて不気味な形に折れ曲がった。
悲鳴を上げ転げまわる関東管領殿。
それを見て悦に入る大胡政賢。
知る限りにおいて、ここまでの憎悪を大胡殿が憲当様に抱く理由が見当たらない。
「何という無体を為さる? 兵部少輔殿!
殿上ではないが、官位の上の者に刃傷沙汰などもっての外。これは帝だけでなく義輝殿にもお伝えして、裁可を頂かねばならぬ所業でおじゃりまするぞ!!」
これは拙い。
このままでは、関東管領職すら危うくなるやもしれぬ。
それよりも噂は万里を駆け巡る。
もう誰もこの男に付き従う者など居るまい。
大胡殿は河越の戦からずっと、関東管領に奉公をしてきた。
見事な勲功じゃ。
この上野国を北条から守ったばかりではなく、上杉家の仇敵北条そのものを今、滅亡寸前にまで追いやっている。
その忠臣にこのような無体を働くとは。
景虎様すら、見放すのではないか?
「お待ちくだされ、関白殿下。幸いにして某は傷を負った訳ではございませぬ。少しばかり心に傷を負い申したが。
しかしこれでは帝の勅とは言え、このまま手を携えて、という訳には行かなくなり申した。どこぞへ退転なされて隠居でも為され、余生を安寧にお過ごしになるのがよろしいかと存じまする。
関東管領の職はどなたか威のある方が継ぎ、その御方と勅に従うのが正道かと」
激痛で畳の上を転げまわっている男の耳には、今の言葉は聞こえぬであろう。
「憲当、いやたんなる強盗犯罪者。貴様に殺された俺の家族3人。お前の命と引き換えにこの異世界で父さん母さん姉さんをよみがえらせるゲームだったんだよ。
付き合ってくれてありがとう。
おまえは時のかなたで永遠に牢獄につながれているんだな。俺はこの異世界で遂に仇討ちができた!」
大胡殿が何を言っているのか、ここにいるもの全員が理解できていないであろう。
大胡殿が自分の目の前にて右手で不可思議な仕草をすると、突然関東管領殿の動きが止まり大の字になって寝転がったかと思うと、すっと起き上がり頭を傾げ、
「ここは何処じゃ?
何が起きた?
……儂は?
何をしていた?」
まるで憑き物が落ちたような表情で周囲を見渡した。
手の傷はどうしたのだ?
全く気にしていないようだ。
「あなたは、よく頑張りました。
もう役目は終わりました。
ゆっくりお休みください。
ご苦労様でした。
ありがとう」
大胡殿が、なにか別の者に投げかけるような口調で、優しい言葉を掛けている。
ここにいる皆が私と同じように困惑しているのが見て取れた。
いったい何が起きたのか?
その後、呆けたような憲当様を越後へお連れするために、私は三国の峠を越えることとなった。
関白殿下が「そうなされ」と仰られ、越後で仏門に入ることに同意したのであった。
さて、此度の事。
どのように景虎様に報告いたそうか。
旅の途中、頭が休まることはなさそうであった。
◇ ◇ ◇ ◇
1554年5月上旬
厩橋城から大胡城へ至る高速道桃ノ木橋
長野政影
(政賢のセーブ機能)
殿が桃ノ木川に架かる橋の上で水面を見ている。
橋の欄干に両肘を付き、たまにぶつぶつと小さく独り言を言っていらっしゃる。
あの厩橋城での上杉憲当様が起こした刃傷沙汰の後、大胡へ帰ったその晩から殿は3日寝込んだ。
きっと気を張り詰めていたに違いない。
以前から内輪では宣言されていた「関東管領を追い出す」という大仕事をやり遂げたのだ。
それはそれは疲れたに違いない。
しかし、寝込んでいる最中。いつものうなされるような寝言が聞こえなかった。
まるで死んだようにぐっすり眠っておられた。息をしているか心配で、何度も枕元へ寄って確認したほどだ。
3日間の間、楓様と某、福の3人で面倒を見させていただいた。
しかし此度に限って
「ありがとう。やっと切りがついて落ち着いてきたよ。生まれた目的は果たせた。少し休むね。これからはずっと一緒だよ」
と、はっきりと返事をなされていた。
「政影くん。言っても分かんないと思うけど、第1キャンペーンが終了したので、次はもっと大変になるよ。
僕としてはこれでもう十分満足したので、ここで出家イベでエンドロールでもいいんだけど、20年以上みんなと遊んじゃうとねぇ。
ずいずいずっころばしの世界だね。運営に呼ばれても行きっこなしだよね。このまま遊ぶっきゃないよね。
でも今までの世界線が全く変わっちゃったから、シナリオの先が見通せなくなっちゃったんだよ。完全に異世界。
これからは皆の力が必要です。僕、これからはどんどん失敗すると思う。みんな手伝ってくれるかなぁ」
半分も殿の仰ることが全く理解できなかったが、最後の部分だけは分かった。
「殿の行くところ、皆がついていき申す。皆が手助けいたすでしょう。これまでもそうであり申した。これからもそうでありましょうぞ」
それを聞くと殿はにっこりと笑い、
「ありがと」
と言うと共に、再び川面に目を落とした。
「そう言えば、ここから僕たち2人の冒険は始まったんだよね。
そして冒険の第2幕もここから始めるよ」
それを聞いた某は殿と同じ水面に視線を向け、この場所で殿を庇って死んだ今は亡き父上に、殿が齢20にして30万石の大名になったことを心中で報告したのだった。
◇ ◇ ◇ ◇
2006年6月6日:月刊ゲーム雑誌アスゲーモバイル
【大募集! αテスター10名】
「今月発表された国民的歴史SLG、政賢の野望:桃ノ木川の奇跡。
このシリーズはスピンオフ作品が多数発売されていますが、今回は本格的アドベンチャーゲームです。
発表フェスにおいてチーフプロデューサーは、もしこのゲームが好評を得た場合、3年前に開発されたワールドジェネレータ技術を試用し、異世界探訪のできるシステムを開発する予定との発表をしました。
そのための技術開発をクラタグループと連携して行う考えであると発表。
まだシナリオは桃ノ木川における道忠討ち死にから、北条氏康を敗死させたのちに上杉管領家を没落越後への追放までの第1キャンペーンのみですが、これから続々とシナリオが追加されていく予定。
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