首取り物語~北条・武田・上杉の草刈り場でざまぁする~リアルな戦場好き必見!

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第13章:氏康君、首もらっちゃうよ♪【北条編佳境】

魂のぶつかり合い、今始まる

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 1553年12月1日午の刻(正午)
 太田隊戦闘現場
 太田資政
(もふもふが好きで大胡に来た人。第3中隊長)


 なに? 
 疲れた振りをせよと? 
 これはまた無茶なことを。

 この糞忙しい時に目の前の敵に集中している兵に演技をせよってか??
 しかし、後退するにはそれしか無いのは確かじゃな。

 何かないか、良い方法は? 
 兵がやる気を失くすこと……

 いや、演技なら出来るか??
 次の列にだけ「疲れた振りをせよ」と耳打ちする。

 だめじゃ、そこまで行けぬ。
 後ろの兵が邪魔だ。伝言しようものなら、伝言が伝わる頃には違う言葉になっている。

 !!

 何も疲れた振りでなくてもいいじゃねえか? 目的は、気づかれないように後退することだ。

 よし!

「最後列に伝言。
 5間下がれ。その後順繰りに列ごとに後退。最前列は崩れてもよい」

 要は「本当に崩れさせ」それを余裕のある距離にて備え、崩れた兵が駆け込んでくることを予告しておけばよいのだ。

 その間に後退した連中に疲れさせる演技の命令を行き渡らせる。

 これでいけるんじゃね?
 まあ、これでいっちょやってみるか。駄目でも結局後退するし、本当に崩れてもその後の計画には対して差はねえ。

 問題はどれだけ手負いを減らせるかだ。

 2年も付き合っていると可愛くなるぜ。
 犬も兵もよぅ!
 これ終わったら、わしゃわしゃしてやるぜ。

 ◇ ◇ ◇ ◇

 同日未の刻(午後1時)
 後藤隊後方
 後藤透徹
(呂布みたいな猪武者)


 待ちきれねぇ。
 昨日から、全く暴れてねぇんだから体が鈍る。思いっきり、この喧騒に浸かって体の奥に眠る獰猛なモノを解き放ちたい!

「旦那。そろそろです」

 官兵衛には感謝している。
 この獰猛なモノを解放することで、一番、敵に打撃を与えることの出来る時期を見計らってくれる。
 儂がそれを見計らえればいいんじゃが、この疼きを抑えるのに必死でそれどころじゃないんじゃ。

 最近、官兵衛に自分で潮時を見計らえるように練習してくれと言われるようになった。そんなことは官兵衛がいれば大丈夫じゃろうと言うと、笑って「ありがとう」と言われた。

 儂は官兵衛の指図が大好きじゃ。
 間違ったことは殆どないし、なんだか心地よい。
 大船に乗った気持ちとはこのことか?

「旦那の発進に備えて、鉄砲用意! 
 二連弾装填したか?」

「鉄砲は使えないんじゃなかったのか?」

「いえいえ。旦那の前進に合わせるとしたら、風が弱くなった時に火蓋を切って一斉射撃できます。その後に旦那が飛び出して下せえ」

 わかったぞ。

 高々40丁位の兵ならば集中して配置出来て、一度くらいは一斉射撃が可能なのか。

 横1列ではなくて2列か。前列が膝立ちで射撃、後列が立射。合計80発の弾丸が飛んで、前の敵兵に穴を開ける。

 いいぞ、いける!

 今回は太田の奴が退いたことで出来る儂の隊との隙間に、敵の精兵が突っ込んできた時、これの出鼻を挫いてそのまま押し込んでいくことになる。


「来た!
 敵の数、200以上500未満。
 全て手槍。
 ばらばらで突っ込んでくる!」

「火蓋を切る用意! 
 まだまだ、まだまだ」

 なかなか風が収まらない。
 こちらの斬り込み隊100の後ろにいる鉄砲隊が使えるのと使えないのとでは、兵の損耗が段違いだ。

 20間
 15間
 10間
 5間
 ・
 ・
 ・


「今だ!  斬り込み隊、伏せぃ!!」

 一斉に儂らがひざまずくとともに、頭のすぐ上を弾丸が飛んでいく。

 そして……

「野郎ども!! 
 野獣の時間だ!!!! 
 吠えろ! 
 敵を食いちぎれぇい!!!!」

 この世とも思えぬ快感を覚えつつ、儂は吠えた!
 さあ、これから氏康の首を掴むまでは止まらぬ!!!!

 ◇ ◇ ◇ ◇

 同日同刻
 是政隊後方
 佐竹義厚
(おっかなびっくり重戦車している大胡のビットマン)


 赤い左肩に触ってみる。
 何だか落ち着いてくるなぁ。殿さんのおまじないか?
 皆に触ってみるように促すと、やはり皆も落ち着くと言い合った。

 まあ、何でもいいさ。
 戦場に出る時は何のおまじないでも欲しいやな。
 それで安心できればいいのさ。

 後藤隊の方で鉄砲の射撃音が聞こえた。よくこの強風の中で射撃が出来るもんだなぁ。あの官兵衛さんが方法を考えたのか?

 教えてくれればいいのに、とも思ったけんど、ありゃ今思いついたんじゃろ?

 頭がよう廻るなあ。殿さんみたいじゃ。

「よし。みんな。
 前から敵の兵が来そうだから、来たら前進な。槍落とすんじゃあねえぞう」

 今回は盾を左手に持ち、右手には1間半の手槍を脇に掻い込んでいる。
 別にこれでどうするわけでもねえ。
 単なる脅しだと殿さんが言っておった。

 相手は今回、長柄ではなく手槍を持った士分らしい。
 必ず、手槍で足を突いてくると殿さんの見立てじゃ。

 じゃから、それを出来にくくすることと、一回でも多く敵に手槍を振り回させること。

 振り回したせいで出来た敵の隙を衝いて素早く近づいて胴田貫でぶっ叩く。

 全員一斉にやっちまったら、すぐにやられちまうよ。

 だから今回は号令係りの役目は重要だ。
 俺は無理じゃと言ったんだが
「これ決定事項。練習してね♪」
 と言われちまった。

 それからというもの輜重の方の訓練は黒鍬衆として雇ったもんに任せて、殆ど鉄人隊の訓練になっちまった。

 もう本番だが、上手く行くかなぁ。


 来た!
 敵の士分が突撃してきた。
 儂ら200人は鋒矢の陣とかいうのに近い「くの字」に隊形を整え、回り込まれないように注意しながら前進を始めた。

「そりゃ! 鬨の声じゃあああ」

「うおおおおおおお。
 首獲るぞおおおお。
 貴様ら大胡を舐めたらあかんぜぇ~~~~!!!!」

 さあ、激突じゃ。

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