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第13章:氏康君、首もらっちゃうよ♪【北条編佳境】
住民は怖いぞ!
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1553年11月末日戌の刻(午後7時)
桃ノ木川東岸1町掩体壕
官兵衛
(後藤のおっさんの首から上が独立して歩いている存在)
「旦那。飯が来やしたぜ。まだ温かい」
「おう! それは有難し……
ところでそろそろ、この手枷を解いてくれぬか?」
旦那は自分の両腕に嵌められた木で出来た枷を揺すって解けという仕草をする。
まあその気になったら軽く壊してしまう程度のもんだが、殿さんが
「とりあえず今日は《絶対、大人しくしていてね」
と仰り、形ばかりの手枷をさせた。
殿の仰せがあったことを思い出す程度の簡単なものであるけどな。
ここまでしないと敵に突っ込みそうだからな。手枷は自分から言い出したことだから良しとするか。
手枷を外すと目の前に置かれた、さっき中隊長直轄の隊員が笹で小分けにした10人分(!)の夕餉を抱え込んだ。
誰も(怖くて)取らないからゆっくり食いなよ。
「暖かい白飯はやはりうまいのぅ。体力気力が戻る」
いやいや、今日は旦那、動いていないって。
ああそうか、じっとしていたのでそれが気力を奪ったのか。
儘ならぬ人じゃなぁ。
「で、儂の出番はいつになる?」
「まだ確とは決まっていないようですが、明日の最大の山場に突っ込むことは変わらないでしょう。今ここ、南の陣に旦那がいるのは敵に察知されていないでしょうから、すごい衝撃になるんじゃないですかい?」
おう!!
と、大声で気合を入れる旦那。
それ敵に聞こえるって。
夜は音が遠くまで聞こえる。
特に晴れていると普通の声が1町以上届いちまう。
ああ、この旦那、俺がいないとどうなっちまうんだ?
もっとしっかりしてくれよな。
「それにしても敵は今頃、糒でも食うているのかの。
可哀想じゃな。最後の飯くらい旨いもんを食わせてやればよいものを」
それは無理だよ。
野戦で夜食えるのは糒程度。美味いもん食うていると気が緩むし、悠々と炊事などしようものなら即座に付け込まれる。
こちらは正面に鉄線を張り、いつでも射撃できるものを交代で配置、飯を小量ずつ食わせているから可能なのだ。
明日は決戦となる。
そのための飯だと、きちんと意味を分からせて食わせている。
後方の佐竹の旦那の部隊が作ってくれた飯。
頭陀袋で引き摺って来ることになったが、文句は言えんな。
これがなければ、非常食で腰に結わえた袋の乾面皰を食べるしかない。
いくら麦に食い慣れていると言っても、このぱさぱさしたもんは食いたくない。
糒よりも早く溶けて旨いが、野を駆け回ると粉々になる。
まだまだ改良しないとな。
あとで殿さんに旦那を通して伝えよう。たまには旦那に頭を使った勲功を立てさせたいやな。
「旦那。もう寝てください。後は俺が指示出しますから。旦那が起きていると夜襲にならねえ」
「そうだな。単なる嫌がらせ射撃しかせぬのなら儂は要らんか。
では寝るぞ」
旦那は横になると自分で「ねんねんころり」を口ずさむと、最初の一言だけでころりと寝てしまった。
相変わらず寝つきがいいなぁ。
羨ましいくらい単純で……
「いい奴」だなぁ。
俺は、四半刻ごとに一斉射撃、その間も時々単発で射撃をして敵を寝かせない作戦を実行するように指示を始めた。
◇ ◇ ◇ ◇
同日亥の刻(午後10時)
上泉城と大胡城の間・山林地
疋田豊五郎
(剣聖の高弟の筈だが、なんだかレンジャーになっている。五(郎)レンジャー)
全くの暗闇。
山育ちでもなければ、歩くこともままならぬ。それですら、ほぼ手探りでの移動であろう。
某も元は信濃の山間部の生まれ。
山には慣れている。
配下の元抜刀隊、今では斬り込み隊と呼ばれているが、いつでもどこへでも斬り込んでいけるよう常に訓練場所を変えている。
ある時は桑畑、ある時は街中、さらには城の中。
殿におかれては、そのうち海でも行動できるようにと舟の上での戦闘も訓練させるようにとのお達し。
もちろん山・川・森・断崖などを夜間、風雨や雪の際にでも行動できるようにしている。
「れんじゃあ」というそうだ。
合言葉も「れんじゃあ」ね、と言われたが実行はしていない。
この山林には北条の兵、約1800と某の配下50。それにサンカの者が10名、5人一組の斬り込み隊についている。
辺り一帯は何度も駆け抜けた土地だ。この暗闇の中でも迷わず行動できる。サンカが居なくても行けるかもしれぬ。
北条の連中が遠回りしかできないように色々な細工を施し、後ろから上泉守備隊が突出する振りなどして夜間行軍に引きずり込むことに成功した。
「来やしたぜ。旦那方」
サンカのトビの小さな声。
この暗闇では、はんどさいんは見えぬ。
折角、殿に教えていただいたのに使えぬのが残念だ。
北条方は幾つかの松明を持っているが、足元を照らす以外の役には立たない。却ってこちらに居場所を知らせるだけだ。
そろそろ主役の攻撃が始まる。
「それ」に追い立てられ、下山しようとする者を切り伏せる。
ただそれだけだ。
「ぐぎゃあ。ば、バケモンじゃ~」
「う、腕がぁ、俺の腕がああああ」
「やめい! 無闇に太刀を振り回すな!」
「逃げろ~。下だ、明るい野に出るんだ~~」
太田殿の犬、100匹以上が北西から吠え声一つさせず襲撃を開始した。
北条勢が通った沢には微かに犬が嗅げるくらいの僅かな臭いのする泥を撒いておいた。
その臭いを敵として判断、攻撃する。
沢を背にして夜間に吹く南西風の風上から臭ってくるものを目標とするように放したのだ。
そして北条方の兵は
「東西に張られた綱」
に足を引っかけ、某の足元へ転がってくる。
これに刀を突き刺すだけの作業だ。
暗闇で光らぬように太刀の刀身は黒く塗られているが、これでは意味がなさそうだな。5人も斬ると刀身に脂が巻いてくるので、なるべく刺突で止めを刺す。
そこかしこに突き刺してある替えの太刀に持ち替え、さらに人斬りをする。
……このようなことをするために兵法を身に付けたのではないが。
だが、お味方が死なぬのは良いことだ。
◇ ◇ ◇ ◇
明くる日。12月1日辰の刻(午前7時)
大胡城西2町(200m)
笠原信為
(生き残りの伊豆衆を率いていた(過去形))
地獄の夜が明けた。
犬の襲撃により混乱した配下は、南の平地に逃げようとして罠に嵌った。南から聞こえてくる「人に斬られた音」
「叫び声」
「血飛沫が落ち葉にかかる音」
「倒れる音」
「呻き声」
・
・
・
音もなく襲ってくる犬の襲撃は恐怖そのものでしかなかった。
その襲撃から逃れ、南に逃れなかった者が今、儂の周りにいる50名程度の残兵だ。
雑木林が途切れ、大胡の町が見えてくる。
そこには……
5000人は居ようか?
手に手に長柄や長刀を持ち、鉄砲を構える兵、
いや、
「住民」がこちらを睨みつけていた。
中には女子供も多数いる。
「楓様しか勝たん」と書かれた幟も数多ある。
儂らは力尽き、そこに崩れるように座り込んだ。
桃ノ木川東岸1町掩体壕
官兵衛
(後藤のおっさんの首から上が独立して歩いている存在)
「旦那。飯が来やしたぜ。まだ温かい」
「おう! それは有難し……
ところでそろそろ、この手枷を解いてくれぬか?」
旦那は自分の両腕に嵌められた木で出来た枷を揺すって解けという仕草をする。
まあその気になったら軽く壊してしまう程度のもんだが、殿さんが
「とりあえず今日は《絶対、大人しくしていてね」
と仰り、形ばかりの手枷をさせた。
殿の仰せがあったことを思い出す程度の簡単なものであるけどな。
ここまでしないと敵に突っ込みそうだからな。手枷は自分から言い出したことだから良しとするか。
手枷を外すと目の前に置かれた、さっき中隊長直轄の隊員が笹で小分けにした10人分(!)の夕餉を抱え込んだ。
誰も(怖くて)取らないからゆっくり食いなよ。
「暖かい白飯はやはりうまいのぅ。体力気力が戻る」
いやいや、今日は旦那、動いていないって。
ああそうか、じっとしていたのでそれが気力を奪ったのか。
儘ならぬ人じゃなぁ。
「で、儂の出番はいつになる?」
「まだ確とは決まっていないようですが、明日の最大の山場に突っ込むことは変わらないでしょう。今ここ、南の陣に旦那がいるのは敵に察知されていないでしょうから、すごい衝撃になるんじゃないですかい?」
おう!!
と、大声で気合を入れる旦那。
それ敵に聞こえるって。
夜は音が遠くまで聞こえる。
特に晴れていると普通の声が1町以上届いちまう。
ああ、この旦那、俺がいないとどうなっちまうんだ?
もっとしっかりしてくれよな。
「それにしても敵は今頃、糒でも食うているのかの。
可哀想じゃな。最後の飯くらい旨いもんを食わせてやればよいものを」
それは無理だよ。
野戦で夜食えるのは糒程度。美味いもん食うていると気が緩むし、悠々と炊事などしようものなら即座に付け込まれる。
こちらは正面に鉄線を張り、いつでも射撃できるものを交代で配置、飯を小量ずつ食わせているから可能なのだ。
明日は決戦となる。
そのための飯だと、きちんと意味を分からせて食わせている。
後方の佐竹の旦那の部隊が作ってくれた飯。
頭陀袋で引き摺って来ることになったが、文句は言えんな。
これがなければ、非常食で腰に結わえた袋の乾面皰を食べるしかない。
いくら麦に食い慣れていると言っても、このぱさぱさしたもんは食いたくない。
糒よりも早く溶けて旨いが、野を駆け回ると粉々になる。
まだまだ改良しないとな。
あとで殿さんに旦那を通して伝えよう。たまには旦那に頭を使った勲功を立てさせたいやな。
「旦那。もう寝てください。後は俺が指示出しますから。旦那が起きていると夜襲にならねえ」
「そうだな。単なる嫌がらせ射撃しかせぬのなら儂は要らんか。
では寝るぞ」
旦那は横になると自分で「ねんねんころり」を口ずさむと、最初の一言だけでころりと寝てしまった。
相変わらず寝つきがいいなぁ。
羨ましいくらい単純で……
「いい奴」だなぁ。
俺は、四半刻ごとに一斉射撃、その間も時々単発で射撃をして敵を寝かせない作戦を実行するように指示を始めた。
◇ ◇ ◇ ◇
同日亥の刻(午後10時)
上泉城と大胡城の間・山林地
疋田豊五郎
(剣聖の高弟の筈だが、なんだかレンジャーになっている。五(郎)レンジャー)
全くの暗闇。
山育ちでもなければ、歩くこともままならぬ。それですら、ほぼ手探りでの移動であろう。
某も元は信濃の山間部の生まれ。
山には慣れている。
配下の元抜刀隊、今では斬り込み隊と呼ばれているが、いつでもどこへでも斬り込んでいけるよう常に訓練場所を変えている。
ある時は桑畑、ある時は街中、さらには城の中。
殿におかれては、そのうち海でも行動できるようにと舟の上での戦闘も訓練させるようにとのお達し。
もちろん山・川・森・断崖などを夜間、風雨や雪の際にでも行動できるようにしている。
「れんじゃあ」というそうだ。
合言葉も「れんじゃあ」ね、と言われたが実行はしていない。
この山林には北条の兵、約1800と某の配下50。それにサンカの者が10名、5人一組の斬り込み隊についている。
辺り一帯は何度も駆け抜けた土地だ。この暗闇の中でも迷わず行動できる。サンカが居なくても行けるかもしれぬ。
北条の連中が遠回りしかできないように色々な細工を施し、後ろから上泉守備隊が突出する振りなどして夜間行軍に引きずり込むことに成功した。
「来やしたぜ。旦那方」
サンカのトビの小さな声。
この暗闇では、はんどさいんは見えぬ。
折角、殿に教えていただいたのに使えぬのが残念だ。
北条方は幾つかの松明を持っているが、足元を照らす以外の役には立たない。却ってこちらに居場所を知らせるだけだ。
そろそろ主役の攻撃が始まる。
「それ」に追い立てられ、下山しようとする者を切り伏せる。
ただそれだけだ。
「ぐぎゃあ。ば、バケモンじゃ~」
「う、腕がぁ、俺の腕がああああ」
「やめい! 無闇に太刀を振り回すな!」
「逃げろ~。下だ、明るい野に出るんだ~~」
太田殿の犬、100匹以上が北西から吠え声一つさせず襲撃を開始した。
北条勢が通った沢には微かに犬が嗅げるくらいの僅かな臭いのする泥を撒いておいた。
その臭いを敵として判断、攻撃する。
沢を背にして夜間に吹く南西風の風上から臭ってくるものを目標とするように放したのだ。
そして北条方の兵は
「東西に張られた綱」
に足を引っかけ、某の足元へ転がってくる。
これに刀を突き刺すだけの作業だ。
暗闇で光らぬように太刀の刀身は黒く塗られているが、これでは意味がなさそうだな。5人も斬ると刀身に脂が巻いてくるので、なるべく刺突で止めを刺す。
そこかしこに突き刺してある替えの太刀に持ち替え、さらに人斬りをする。
……このようなことをするために兵法を身に付けたのではないが。
だが、お味方が死なぬのは良いことだ。
◇ ◇ ◇ ◇
明くる日。12月1日辰の刻(午前7時)
大胡城西2町(200m)
笠原信為
(生き残りの伊豆衆を率いていた(過去形))
地獄の夜が明けた。
犬の襲撃により混乱した配下は、南の平地に逃げようとして罠に嵌った。南から聞こえてくる「人に斬られた音」
「叫び声」
「血飛沫が落ち葉にかかる音」
「倒れる音」
「呻き声」
・
・
・
音もなく襲ってくる犬の襲撃は恐怖そのものでしかなかった。
その襲撃から逃れ、南に逃れなかった者が今、儂の周りにいる50名程度の残兵だ。
雑木林が途切れ、大胡の町が見えてくる。
そこには……
5000人は居ようか?
手に手に長柄や長刀を持ち、鉄砲を構える兵、
いや、
「住民」がこちらを睨みつけていた。
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更に彼は生まれつき身体が弱く、武術も魔導の才もないというハンディキャップを抱えていた。また、日本で得た知識を使った技術革新も、世界を崩壊させる危険な技術として封じられてしまう。
彼の代名詞である“微笑み”も単に苦し紛れの策に対する苦笑に過ぎなかった。
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彼は情報の重要性を誰よりも重視し、巧みに情報を利用した謀略で敵を混乱させ、更に戦場では敵の意表を突く戦術を駆使して勝利に貢献していく……。
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あらすじにある通り、主人公にあるのは日本で得た中途半端な知識のみで、チートに類する卓越した能力はありません。基本的には政略・謀略・軍略といったシリアスな話が主となる予定で、恋愛要素は少なめ、ハーレム要素はもちろんありません。前半は裏方に徹して情報収集や情報操作を行うため、主人公が出てくる戦闘シーンはほとんどありません。
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