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第13章:氏康君、首もらっちゃうよ♪【北条編佳境】
この野戦築城陣地、攻めるのやだなぁ
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1553年11月末日未の刻(午後2時)
桃ノ木川渡し場西岸
大道寺盛昌
(北条家の宿老。政戦両方の得手。河越城を守り抜いた。今回は副官?軍師?)
前方、川の東岸に布陣する大胡勢は2000余りか?
この北条10000に対抗するにはあまりにも寡兵。
しかし、この兵力差を大胡は幾度となく打ち破ってきた。そのたびに驚き、何故か? という問いを皆が口にした。
少ない情報から得られたその実態は……
川越では機動しての攪乱。
松山では偽計と重装備の兵による突撃。
赤石では大量の弩弓使用と騎馬隊による大迂回と那波城調略。
館林では騎馬隊が鉄砲を使い殿軍を崩してから、大将の首級を上げた。
今ではその戦い方が分かってきたが、これだけ多彩だと対応に苦慮する。少なくとも現在の最大脅威は「鉄砲」と「大胡の備え」であろう。
これを阻止して優位に持っていくために用意したものが3つある。
ひとつは「飛砲」。
先ほどはなけなしの火薬と油樽を使って敵を驚かせた。
驚かせることに意味があった。
あれは匆々当たるものではない。
しかし城のような動かぬ敵に対しては強力な武器となる。城と、あとは敵方の「矢盾」に対してだ。
京の応仁の大乱では、加茂川を挟み対陣した東軍と西軍との間では矢合わせにて決着がつかず、飛砲で矢盾を破壊し合っていた。
今回はこの西上野の河原に多い丸石に着目した。
これらをかき集め飛砲にて飛ばし、敵方に印地打ちをする。普通の印地打ちは遠くても20間程度しか飛ばない。
しかしこの飛砲ならば最大で3町は飛ぶ。
一方的に叩けるはずだ。
鉄砲も有効なのは50間(100m)程度までだと分かった。100間(200m)を超えると相当威力が落ちるという。
この鉄砲隊を渡河地点の向こうに狙いを定め、用意した5基の飛砲にて牽制しつつ渡河してしまい、そこへ鉄砲に耐えうる阻塞を作る。
その阻塞は2つ目の「竹束」と「鉄張りの矢盾」で急いで作り上げる。竹束は真竹の程よい太さの物を、大量に取れる春夏に事前に用意しておいた。
鉄張りの矢盾は最近出回り出した大胡製の鉄を買い(出費が馬鹿にならぬ!悔しいぞ)、薄くした板を全面に張り、重要な部分には2重に張った。
重さは30欣(120kg)を超えてしまったが雑兵4名で運べば何とかなる。
この重く嵩張るものは地場の人足を雇い、臣従を誓った和田に手伝わせて後備えと一緒に運ばせた。
そして二つ目の【大胡と同じ装備】。
「3間半の長柄」と「大盾」、「大胡胴」と「大胡笠」。
更には騎馬で機動できる備え。
敵の良いところは見習う。
それが当り前じゃ。
こちらは敵よりも圧倒的に数が多い。
数の勝負に持ち込むには同じ装備をせねばならぬ。鉄砲は銭が無いので諦めた。
その代わり弩弓と投槍を装備した。これで少しでも鉄砲に対抗できるようにした。
「向こうの配備を教えよ。ここからでは見えぬ」
殿は騎乗できないために敵の様子が見えぬ。
儂が教えなければならぬ。これは若輩者には任せられぬ。近くは見えなくなってきたが、遠くならばよく見える。
「大胡勢は旗差し物を立てませぬ。
唯一、後藤の備えだけは常に幟が立てられているので確認できますが、此度はここからでは見えませぬ」
「どこにでも突撃できるように次鋒にでも置いたか」
「左様かと。川に沿って配置している備えは左(北)右(南)に500あまり。
中央(東)にも500あまり。
中央にはここから延びる平坦な道に架かる橋、それと中央奥に高さ2間(4m)余りの物見台がありまする」
どうやら「ここで」決戦をするらしい。
儂らは見事にこの場へ誘き出されたのか。地の利がある敵のこと、仕方のないことだが。こうなると何を仕掛けられているか分からぬ。
「!!
それと左右の備え前に丸い輪のような鉄の縄が置かれています。螺旋のようなものです。此度はあれが阻塞でありましょうな」
館林の時は杭と杭の間を縦横に張り巡らされた鉄の縄があったが、此度の仕組みはさらに扱い難いものであろう。
「その鉄の縄が中央にて途切れておりまする。罠の匂いがぷんぷん致しまするな」
殿が顎を捻り暫し考える。
「左右は松林か何かが広がっているのか?」
「いかにも。そうでござる。
目に見える限りでは松林が続いております」
必ずや那波の時のように鉄の縄で仕掛けがしてあるのであろう。
「(山中)修理亮からの繋ぎは?」
修理亮殿は此度用意された騎馬隊を任されている。
不慣れで捗が行かぬと嘆いていたが、
「それどころではない。御一門衆が心して励んでもらわねば示しがつきませぬぞ!」
と発破をかけておいた。
今は別動隊として桃ノ木川を南下、大回りして大胡とこの渡河地点の間に出る手はずだ。
「まだでござります。しかしそろそろ報告のあった渡河地点に着いた頃。
今しばらくかと」
風魔が1年前に探りを入れた際に見つけた浅瀬。この流れの少ないこの時期は、徒での渡河も可能。
しかし遠すぎて本隊は行けぬと評定にて判断。
騎馬隊にて迂回、大胡の南方に出て陽動、あわよくば敵の後背か側面に横槍をつけることとなった。
「川幅と敵との距離はどうなっておる?」
「川幅はわずか5間(10m)にて。しかし河原が広く20間(40m)ほどありまするか。敵は自然の堤防の上に布陣しておりまする」
「こちらの備えを同じく堤防の上に。25間(50m)まで近づけ。そこまでなら矢盾も持つであろう。その後ろに5基の飛砲を設置せよ」
使い番にそのように指示、走らせる。左右は2町(200m)しかない。
大軍の利が生かせぬ分、大胡の有利じゃな。
回り込めぬ。
しかし一旦向こう岸に渡りさえすれば、そこから数の力で押し込み回り込めるであろう。
桃ノ木川渡し場西岸
大道寺盛昌
(北条家の宿老。政戦両方の得手。河越城を守り抜いた。今回は副官?軍師?)
前方、川の東岸に布陣する大胡勢は2000余りか?
この北条10000に対抗するにはあまりにも寡兵。
しかし、この兵力差を大胡は幾度となく打ち破ってきた。そのたびに驚き、何故か? という問いを皆が口にした。
少ない情報から得られたその実態は……
川越では機動しての攪乱。
松山では偽計と重装備の兵による突撃。
赤石では大量の弩弓使用と騎馬隊による大迂回と那波城調略。
館林では騎馬隊が鉄砲を使い殿軍を崩してから、大将の首級を上げた。
今ではその戦い方が分かってきたが、これだけ多彩だと対応に苦慮する。少なくとも現在の最大脅威は「鉄砲」と「大胡の備え」であろう。
これを阻止して優位に持っていくために用意したものが3つある。
ひとつは「飛砲」。
先ほどはなけなしの火薬と油樽を使って敵を驚かせた。
驚かせることに意味があった。
あれは匆々当たるものではない。
しかし城のような動かぬ敵に対しては強力な武器となる。城と、あとは敵方の「矢盾」に対してだ。
京の応仁の大乱では、加茂川を挟み対陣した東軍と西軍との間では矢合わせにて決着がつかず、飛砲で矢盾を破壊し合っていた。
今回はこの西上野の河原に多い丸石に着目した。
これらをかき集め飛砲にて飛ばし、敵方に印地打ちをする。普通の印地打ちは遠くても20間程度しか飛ばない。
しかしこの飛砲ならば最大で3町は飛ぶ。
一方的に叩けるはずだ。
鉄砲も有効なのは50間(100m)程度までだと分かった。100間(200m)を超えると相当威力が落ちるという。
この鉄砲隊を渡河地点の向こうに狙いを定め、用意した5基の飛砲にて牽制しつつ渡河してしまい、そこへ鉄砲に耐えうる阻塞を作る。
その阻塞は2つ目の「竹束」と「鉄張りの矢盾」で急いで作り上げる。竹束は真竹の程よい太さの物を、大量に取れる春夏に事前に用意しておいた。
鉄張りの矢盾は最近出回り出した大胡製の鉄を買い(出費が馬鹿にならぬ!悔しいぞ)、薄くした板を全面に張り、重要な部分には2重に張った。
重さは30欣(120kg)を超えてしまったが雑兵4名で運べば何とかなる。
この重く嵩張るものは地場の人足を雇い、臣従を誓った和田に手伝わせて後備えと一緒に運ばせた。
そして二つ目の【大胡と同じ装備】。
「3間半の長柄」と「大盾」、「大胡胴」と「大胡笠」。
更には騎馬で機動できる備え。
敵の良いところは見習う。
それが当り前じゃ。
こちらは敵よりも圧倒的に数が多い。
数の勝負に持ち込むには同じ装備をせねばならぬ。鉄砲は銭が無いので諦めた。
その代わり弩弓と投槍を装備した。これで少しでも鉄砲に対抗できるようにした。
「向こうの配備を教えよ。ここからでは見えぬ」
殿は騎乗できないために敵の様子が見えぬ。
儂が教えなければならぬ。これは若輩者には任せられぬ。近くは見えなくなってきたが、遠くならばよく見える。
「大胡勢は旗差し物を立てませぬ。
唯一、後藤の備えだけは常に幟が立てられているので確認できますが、此度はここからでは見えませぬ」
「どこにでも突撃できるように次鋒にでも置いたか」
「左様かと。川に沿って配置している備えは左(北)右(南)に500あまり。
中央(東)にも500あまり。
中央にはここから延びる平坦な道に架かる橋、それと中央奥に高さ2間(4m)余りの物見台がありまする」
どうやら「ここで」決戦をするらしい。
儂らは見事にこの場へ誘き出されたのか。地の利がある敵のこと、仕方のないことだが。こうなると何を仕掛けられているか分からぬ。
「!!
それと左右の備え前に丸い輪のような鉄の縄が置かれています。螺旋のようなものです。此度はあれが阻塞でありましょうな」
館林の時は杭と杭の間を縦横に張り巡らされた鉄の縄があったが、此度の仕組みはさらに扱い難いものであろう。
「その鉄の縄が中央にて途切れておりまする。罠の匂いがぷんぷん致しまするな」
殿が顎を捻り暫し考える。
「左右は松林か何かが広がっているのか?」
「いかにも。そうでござる。
目に見える限りでは松林が続いております」
必ずや那波の時のように鉄の縄で仕掛けがしてあるのであろう。
「(山中)修理亮からの繋ぎは?」
修理亮殿は此度用意された騎馬隊を任されている。
不慣れで捗が行かぬと嘆いていたが、
「それどころではない。御一門衆が心して励んでもらわねば示しがつきませぬぞ!」
と発破をかけておいた。
今は別動隊として桃ノ木川を南下、大回りして大胡とこの渡河地点の間に出る手はずだ。
「まだでござります。しかしそろそろ報告のあった渡河地点に着いた頃。
今しばらくかと」
風魔が1年前に探りを入れた際に見つけた浅瀬。この流れの少ないこの時期は、徒での渡河も可能。
しかし遠すぎて本隊は行けぬと評定にて判断。
騎馬隊にて迂回、大胡の南方に出て陽動、あわよくば敵の後背か側面に横槍をつけることとなった。
「川幅と敵との距離はどうなっておる?」
「川幅はわずか5間(10m)にて。しかし河原が広く20間(40m)ほどありまするか。敵は自然の堤防の上に布陣しておりまする」
「こちらの備えを同じく堤防の上に。25間(50m)まで近づけ。そこまでなら矢盾も持つであろう。その後ろに5基の飛砲を設置せよ」
使い番にそのように指示、走らせる。左右は2町(200m)しかない。
大軍の利が生かせぬ分、大胡の有利じゃな。
回り込めぬ。
しかし一旦向こう岸に渡りさえすれば、そこから数の力で押し込み回り込めるであろう。
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