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第13章:氏康君、首もらっちゃうよ♪【北条編佳境】
極悪!直接支援射撃(残虐シーン注意)
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1553年11月下旬
那波城北方陣地
内藤康行
(北条最精鋭の小田原衆を引きいる武将)
配下の津久井衆が騒めいている。
先ほど長綱様から、まさかの「乱取り」の許可が下りたからだ。この那波城を落とした後に、大胡の領地に対して乱取りをしてよいとのこと。
事前の評定では大胡を支配下に治め、そこを支配することによりその豊かな産業から上がる収入を、武蔵などの疲弊しきった領国の内政に充てる予定だと聞いたのだが、方針が変わったのか?
その評定の中心にいたはずの長綱様よりの、まさかの乱取り許可だ。
何が起きた?
それほど早くこの城を落とさねばならなくなったのか?
昔からの北条武者である相模の者ですらこれだ。東に配置されている下総や武蔵の兵は、今頃狂喜しているであろう。
既に勇んで前進を始めた備えもある。もう前進の法螺貝が吹かれる頃合いだ。
確認している間はない。
一当てするだけだ。
……しかし、
一当てするだけで終わるだろうか?
法螺貝と共に前進を始める。
仕寄り道具を担ぎ、徐々に前進する。
太刀だけ装備した足軽が、2人がかりで竹束を移動させている。
その後ろに数名の足軽。
弓を装備した者。
手槍を持った者が付き従う。
城の堀から2町離れたところからは、何もない平坦で微かな緩い上り坂。
これでは竹束がない限り、鉄砲で撃ってくださいと言っているようなものだ。
堀から1町の距離に、松山や那波で大胡が使用した
「逆茂木」
という阻塞物が設置されている。
しかし、今回は対策をしてきた。
辿り着いた足軽が訓練した手順にて鉈で素早く破壊を始めた。
破壊を始めると守備兵が、城の土塁に開けられた窓から鉄砲を撃ち始めた。
1~2名の足軽に当たったようだが、圧倒的な火力はない。せいぜい20丁という所か。
物見の報告では弓もほとんど装備されていないと聞いたが、やはり少しは隠されていたか。
しかし、たった20丁では殆どこちらの行動を防げないだろう。
念には念を入れて竹束に隠れて前進する。
その手薄さに気付いたか、東の備えが歓声と共に突進していくのが見えた。
まずい。
もし、もしもだ。
敵が隠れているようなこと、万が一にでもあったら……
だが、もう東側の国衆は抑えることが出来ないだろう。
このまま全軍総掛かりするしかない。
それが一番安全だ。儂はそう決断し、我が備えに指示を出そうとした。
その瞬間。
城が『爆発』した!!!!
◇ ◇ ◇ ◇
同日同刻
那波城東側壁内
真田政綱
(正史では信綱。幸綱の嫡男。表裏比興の者のお兄さん)
17にして、遂に初陣だ。
館林の戦ではここ那波で留守居であった。折角その前年、元服して殿の「政」の一字を頂いた諱、
「政綱」
となったからには一人前の働きをお見せしなければと思ったのだが。
大胡の殿はわずか齢12で初陣を果たした。その際には大将として北条の大軍の後方を横断し、松山では数倍の敵を打ち払った。
それを親父に言うと
「殿とお前じゃ器が違う。同じ武将にはならんでもよい。お前の長所を育てよ」
と言われた。
そりゃあ、俺は頭の切れには自信がないさ。たまに親父や東雲様に戦の策や調略のコツなどを聞くが、あまり身についていないようだ。
しかし上泉様の剣と槍の稽古は面白い。上泉様からもよく褒められる。後藤様にはぶっ飛ばされるだけだが。
是政様には鉄砲の扱い方を教わるが、これもまた面白い。
これからは剣や槍だけでは戦は出来ない時代になってきているのを実感できる。
そして今。
目の前に弓刀鎗のみで仕寄ってくる敵がいる。
竹束で鉄砲を防いでいるが、今からこれを撃退する。
この那波城は殿の発案を親父が心血を注いで考えた縄張りを実現した城だ。
10年以上前から華蔵寺の施設で工夫がされ続けている測量技術を生かし、縄張りが正確に実現されている。
設計図は天から見下ろしたような地図が描かれており、その形は陰陽道に使われる六芒星のような形だ。
この形にすると銃撃の死角が全くなくなる。
もしも、万を超す大軍が我攻めをして来ても3000程度の鉄砲隊があれば、大損害を与えて撤退させることができるであろう。
現在この城には2000の常備兵と500の後備兵がいる。
鉄砲は6000以上。
途切れなく銃撃ができる。
そして……
この城の最大の攻撃力。城の頂点3か所を中心に48基の巨大な鉄の塊が配備されている。
4欣(16kg=36ポンド砲)の丸玉を2町飛ばせる大筒だ。
寸胴な筒状の鉄の塊が二枚の分厚い樫の板の上で、前後に動けるように固定されている。殿が「かろねいどほう」と呼んで、上に乗って燥いでいた大筒だ。
いままで使用していた(大胡しか使っていないが)普通の大筒とは違い、距離はそう飛ばない代わりに大きな玉を飛ばせる。
城の周りに作られた斜面も手伝い勢いを削がれず転がって行き、すごい勢いで敵兵を薙ぎ倒す。
これが堀と土塁の出入り口、虎口の前に来た敵兵を射角に捕らえる場所に、それらが設置されているのだ。
それの火蓋が切られ、眼の色を変えて突撃してくる敵に発砲した!!
轟音と共に火炎と黒煙を吐き出し、無数の鉄砲用3匁丸玉が飛ぶ。
第1射、12門。
100名近くの北条方の兵が「あの世へ突撃」していった。
他の生き残りは茫然としている。
そこへ更に各方面500丁の鉄砲射撃が連続して行われる。
既にほとんどの敵兵が有効射程1町の内まで前進していた。
虐殺が始まった。
◇ ◇ ◇ ◇
北部正面
矢野孫右衛門
(真田一族の足軽大将)
東側で砲撃が始まると同時に、大筒への発砲を指示する。大音響とともに3匁の丸玉が雲蚊のように一斉に飛んでいく。
しかし、北条の兵は竹束に身を隠しており、大きな損害は与えられない。
「次! 例の奴じゃ! 装填急げ!!」
鉄砲が連続射撃をしている間に装填を急がせる。
敵は竹束を15間(30m)程度まで近づけていた。
急いで後退しようとしている。
「装填完了しましたっ!」
「よしっ! 竹束を狙って各個射撃!!」
慎重に狙いを定めた大筒が火を噴く。
今度は3匁玉ではない。
あれはもう仕舞じゃ。
今度は薄い鉄の筒で束ねられた100匁の丸玉24個がばらけて一斉に飛ぶ。
これが一つの竹束を襲った。
所々で血が舞った。
悲鳴も出さずに吹き飛ぶ兵たち。
竹束を放り出して逃げ出す兵に向けて鉄砲が狙い撃ち、できる限りの連射が追い打ちをかける。
堀から2町までの坂。
この「冥土坂」で人の山を築いた俺たちは鬼か夜叉か、将又南方を守る鬼神、増長天の使いなのか??
那波城北方陣地
内藤康行
(北条最精鋭の小田原衆を引きいる武将)
配下の津久井衆が騒めいている。
先ほど長綱様から、まさかの「乱取り」の許可が下りたからだ。この那波城を落とした後に、大胡の領地に対して乱取りをしてよいとのこと。
事前の評定では大胡を支配下に治め、そこを支配することによりその豊かな産業から上がる収入を、武蔵などの疲弊しきった領国の内政に充てる予定だと聞いたのだが、方針が変わったのか?
その評定の中心にいたはずの長綱様よりの、まさかの乱取り許可だ。
何が起きた?
それほど早くこの城を落とさねばならなくなったのか?
昔からの北条武者である相模の者ですらこれだ。東に配置されている下総や武蔵の兵は、今頃狂喜しているであろう。
既に勇んで前進を始めた備えもある。もう前進の法螺貝が吹かれる頃合いだ。
確認している間はない。
一当てするだけだ。
……しかし、
一当てするだけで終わるだろうか?
法螺貝と共に前進を始める。
仕寄り道具を担ぎ、徐々に前進する。
太刀だけ装備した足軽が、2人がかりで竹束を移動させている。
その後ろに数名の足軽。
弓を装備した者。
手槍を持った者が付き従う。
城の堀から2町離れたところからは、何もない平坦で微かな緩い上り坂。
これでは竹束がない限り、鉄砲で撃ってくださいと言っているようなものだ。
堀から1町の距離に、松山や那波で大胡が使用した
「逆茂木」
という阻塞物が設置されている。
しかし、今回は対策をしてきた。
辿り着いた足軽が訓練した手順にて鉈で素早く破壊を始めた。
破壊を始めると守備兵が、城の土塁に開けられた窓から鉄砲を撃ち始めた。
1~2名の足軽に当たったようだが、圧倒的な火力はない。せいぜい20丁という所か。
物見の報告では弓もほとんど装備されていないと聞いたが、やはり少しは隠されていたか。
しかし、たった20丁では殆どこちらの行動を防げないだろう。
念には念を入れて竹束に隠れて前進する。
その手薄さに気付いたか、東の備えが歓声と共に突進していくのが見えた。
まずい。
もし、もしもだ。
敵が隠れているようなこと、万が一にでもあったら……
だが、もう東側の国衆は抑えることが出来ないだろう。
このまま全軍総掛かりするしかない。
それが一番安全だ。儂はそう決断し、我が備えに指示を出そうとした。
その瞬間。
城が『爆発』した!!!!
◇ ◇ ◇ ◇
同日同刻
那波城東側壁内
真田政綱
(正史では信綱。幸綱の嫡男。表裏比興の者のお兄さん)
17にして、遂に初陣だ。
館林の戦ではここ那波で留守居であった。折角その前年、元服して殿の「政」の一字を頂いた諱、
「政綱」
となったからには一人前の働きをお見せしなければと思ったのだが。
大胡の殿はわずか齢12で初陣を果たした。その際には大将として北条の大軍の後方を横断し、松山では数倍の敵を打ち払った。
それを親父に言うと
「殿とお前じゃ器が違う。同じ武将にはならんでもよい。お前の長所を育てよ」
と言われた。
そりゃあ、俺は頭の切れには自信がないさ。たまに親父や東雲様に戦の策や調略のコツなどを聞くが、あまり身についていないようだ。
しかし上泉様の剣と槍の稽古は面白い。上泉様からもよく褒められる。後藤様にはぶっ飛ばされるだけだが。
是政様には鉄砲の扱い方を教わるが、これもまた面白い。
これからは剣や槍だけでは戦は出来ない時代になってきているのを実感できる。
そして今。
目の前に弓刀鎗のみで仕寄ってくる敵がいる。
竹束で鉄砲を防いでいるが、今からこれを撃退する。
この那波城は殿の発案を親父が心血を注いで考えた縄張りを実現した城だ。
10年以上前から華蔵寺の施設で工夫がされ続けている測量技術を生かし、縄張りが正確に実現されている。
設計図は天から見下ろしたような地図が描かれており、その形は陰陽道に使われる六芒星のような形だ。
この形にすると銃撃の死角が全くなくなる。
もしも、万を超す大軍が我攻めをして来ても3000程度の鉄砲隊があれば、大損害を与えて撤退させることができるであろう。
現在この城には2000の常備兵と500の後備兵がいる。
鉄砲は6000以上。
途切れなく銃撃ができる。
そして……
この城の最大の攻撃力。城の頂点3か所を中心に48基の巨大な鉄の塊が配備されている。
4欣(16kg=36ポンド砲)の丸玉を2町飛ばせる大筒だ。
寸胴な筒状の鉄の塊が二枚の分厚い樫の板の上で、前後に動けるように固定されている。殿が「かろねいどほう」と呼んで、上に乗って燥いでいた大筒だ。
いままで使用していた(大胡しか使っていないが)普通の大筒とは違い、距離はそう飛ばない代わりに大きな玉を飛ばせる。
城の周りに作られた斜面も手伝い勢いを削がれず転がって行き、すごい勢いで敵兵を薙ぎ倒す。
これが堀と土塁の出入り口、虎口の前に来た敵兵を射角に捕らえる場所に、それらが設置されているのだ。
それの火蓋が切られ、眼の色を変えて突撃してくる敵に発砲した!!
轟音と共に火炎と黒煙を吐き出し、無数の鉄砲用3匁丸玉が飛ぶ。
第1射、12門。
100名近くの北条方の兵が「あの世へ突撃」していった。
他の生き残りは茫然としている。
そこへ更に各方面500丁の鉄砲射撃が連続して行われる。
既にほとんどの敵兵が有効射程1町の内まで前進していた。
虐殺が始まった。
◇ ◇ ◇ ◇
北部正面
矢野孫右衛門
(真田一族の足軽大将)
東側で砲撃が始まると同時に、大筒への発砲を指示する。大音響とともに3匁の丸玉が雲蚊のように一斉に飛んでいく。
しかし、北条の兵は竹束に身を隠しており、大きな損害は与えられない。
「次! 例の奴じゃ! 装填急げ!!」
鉄砲が連続射撃をしている間に装填を急がせる。
敵は竹束を15間(30m)程度まで近づけていた。
急いで後退しようとしている。
「装填完了しましたっ!」
「よしっ! 竹束を狙って各個射撃!!」
慎重に狙いを定めた大筒が火を噴く。
今度は3匁玉ではない。
あれはもう仕舞じゃ。
今度は薄い鉄の筒で束ねられた100匁の丸玉24個がばらけて一斉に飛ぶ。
これが一つの竹束を襲った。
所々で血が舞った。
悲鳴も出さずに吹き飛ぶ兵たち。
竹束を放り出して逃げ出す兵に向けて鉄砲が狙い撃ち、できる限りの連射が追い打ちをかける。
堀から2町までの坂。
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彼の代名詞である“微笑み”も単に苦し紛れの策に対する苦笑に過ぎなかった。
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彼は情報の重要性を誰よりも重視し、巧みに情報を利用した謀略で敵を混乱させ、更に戦場では敵の意表を突く戦術を駆使して勝利に貢献していく……。
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あらすじにある通り、主人公にあるのは日本で得た中途半端な知識のみで、チートに類する卓越した能力はありません。基本的には政略・謀略・軍略といったシリアスな話が主となる予定で、恋愛要素は少なめ、ハーレム要素はもちろんありません。前半は裏方に徹して情報収集や情報操作を行うため、主人公が出てくる戦闘シーンはほとんどありません。
■■■
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